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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y05
管理番号 1171199 
異議申立番号 異議2007-900106 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-02-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-02-28 
確定日 2007-12-21 
異議申立件数
事件の表示 登録第5007594号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5007594号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5007594号商標(以下「本件商標」という。)は、「キャベターゼ」の文字を標準文字で書してなり、平成18年5月24日に登録出願、第5類に属する「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,失禁用おしめ,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,乳児用粉乳」を指定商品として、同年12月1日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由の要旨
登録異議申立人(以下「申立人」という)は、本件商標は商標法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第12号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)引用商標
本件商標は、申立人の所有する登録第1837004号商標(以下「引用商標」という。)と類似するものであり、指定商品「薬剤」等において抵触するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標と引用商標の対比
上記第1の本件商標の構成に徴すれば、本件商標から「キャベターゼ」なる全体称呼を生じる場合があることは一応否定し得ない。
しかしながら、本件商標中後半部の「ターゼ」の文字は酵素を意味する接尾語として汎用されており、当該「ターゼ」の語が、商品「薬剤」に使用された場合、取引者・需要者は「健胃消化剤」を直感するのが通常である。
すなわち、当該「ターゼ」の文字は識別力が無いか、仮にあったとしてもその識別力は極めて薄弱なものである。
してみれば、商取引の実際においては、本件商標に接した取引者・需要者が前半部の「キャベ」に着目し、当該文字から生じる「キャベ」のみの称呼を以って取引することこそむしろ自然というべきである。
他方、引用商標は、「キャベ」の文字を標準文字で書してなるから、「キャベ」なる自然称呼が生じることは引用商標の構成に徴し極めて明らかであり、何人においても異論のないところである。
したがって、本件商標と引用商標とは、「キャベ」の称呼を同一にする類似の商標であり、また両商標の指定商品が相抵触するものであること明らかである。
(3)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号の規定に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)申立人は、「キャベ」なる商標を、医薬品「胃腸薬」について、平成元年4月から現在まで継続して使用しているものである。
その結果、当該商標「キャベ」を使用した医薬品「胃腸薬」の平成元年度から本件商標の出願日前たる平成18年5月までの売上高総額は、242億9,000万円に達している(甲第3号証)。
また、当該商標「キャベ」を使用した医薬品「胃腸薬」の発売準備期間を含む平成元年4月から本件商標の出願日前たる平成18年3月までの新聞広告量は総計7万1,710段;雑誌広告量は、総計53.76頁;TVCM(テレビコマーシャル)量は、総計16万2,788GRP(延べ視聴率)に達している(甲第4号証)。
(2)以上の事実に徴すれば、「キャベ」なる商標が、遅くとも本件商標の出願日前には、「医薬品」の分野において申立人の著名な商標となっていたことは否定し得ない。
このことは、株式会社ドラッグマガジン(甲第5号証)が1991年2月に、当該商標「キャベ」を使用した「胃腸薬」を、薬粧ヒット商品大賞に選定した事実(甲第6号証)及び同ドラッグマガジンが1992年1月に、当該商標「キャベ」を使用した「胃腸薬」を、薬粧ヒット商品として第3位にランク付けした事実(甲第7号証)、並びに胃腸薬の分野における当該商標「キャベ」を含むキャベジン「胃腸薬」の販売シェアが、1990年度から2004年度までの間、1991年度の第2位を除き、他は全て第1位にランク付けされている事実(甲第8号証ないし甲第12号証)からも極めて明らかである。
してみれば、仮に、本件商標と引用商標が非類似の商標であったとしても、当該著名商標「キャベ」を含む本件商標が医薬品等に使用された場合、「ターゼ」が「酵素」を意味することとも相俟って、取引者・需要者が申立人の業務に係る上記「胃腸薬」のシリーズ商品あるいは何らかの関連商品である、と認識するのがむしろ自然であり、自ずとその出所について混同を生じせしめるおそれは必至である。
(3)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものである。
3 むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の規定に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録を取り消すべきである。

第3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成19年8月29日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)申立人の提出した甲第1号証ないし甲第12号証によれば、申立人の引用商標「キャベ」は、平成元年頃より申立人によって「胃腸薬」ついて継続して使用された結果、本件商標の登録時はもとより、その登録出願時において既に、取引者又は需要者の間に広く認識されるに至っていたものということができる。
(2)しかして、本件商標と引用商標についてみると、本件商標は、「キャベターゼ」の文字からなるところ、その構成各文字は一連に表されているものの、語頭に位置する「キャベ」の文字は、上記の周知な引用商標と構成上同一のものであるから、例えば、申立人に係る著名な「キャベジン」等とを併せみれば、「キャベ」の文字を含む本件商標に接する取引者又は需要者は、本件商標の語頭に位置する「キャベ」の文字部分に着目し、そのシリーズ商品あるいは関連商品であるかの如く、引用商標をその一部に含むものとして看取し認識される場合も決して少なくないというのが相当である。
そして、本件商標の指定商品中「薬剤」は、引用商標の使用商品と同一又は類似の商品であり、また、本件商標の薬剤以外の指定商品は、引用商標の使用商品とは医療に供されるという側面(用途)において共通性を有するものであるうえ、ともに薬局等の同じ販売場所で販売され、取引者又は需要者を共通にすることが多いものであるから、関連性の高い商品というべきである。
(3)してみれば、本件商標は、その登録出願時において指定商品について使用するときには、取引者又は需要者が本件商標の構成中、語頭の「キャベ」の部分から引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人の業務に係る商品、あるいは同人と組織的又は経済的に関係のある者の業務に係る商品であるかの如くに誤信し、その出所について混同するおそれがあったといわざるを得ないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見
商標権者は、上記第3の取消理由通知に対して、指定した期間内に意見を述べていない。

第5 当審の判断
本件商標は、上記第3で述べたとおり先の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反して登録されたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-11-06 
出願番号 商願2006-47311(T2006-47311) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y05)
最終処分 取消  
前審関与審査官 須田 亮一鈴木 斎 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
岩本 和雄
登録日 2006-12-01 
登録番号 商標登録第5007594号(T5007594) 
権利者 米田薬品工業株式会社
商標の称呼 キャベターゼ 
代理人 特許業務法人アルガ特許事務所 
代理人 西沢 茂稔 

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