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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y122837
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y122837
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y122837
管理番号 1171195 
異議申立番号 異議2006-90464 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2008-02-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-09-15 
確定日 2007-12-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第4961199号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4961199号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4961199号商標(以下「本件商標」という。)は、「C130ER」の文字を標準文字で表してなり、2005年1月4日カナダ国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成17年5月16日に登録出願、第12類「航空機並びにその部品及び附属品」、第28類「航空機の模型を用いた遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),航空機をゲーム内容とするビデオゲームおもちゃ及び航空機をゲーム内容とする液晶表示画面付き電子ゲームおもちゃ,航空機の模型おもちゃ,航空機の模型おもちゃを用いて空中戦の感覚を楽しむような遊戯用器具,航空機の模型を用いて操縦の感覚を楽しむ遊戯用器具」及び第37類「航空機の修理又は整備」を指定商品及び指定役務として、同18年6月16日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立の理由の要点
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立の理由を要旨以下のように述べ、その証拠として甲第1号証ないし甲第5号証を提出している。
(1)本件商標は「C130ER」の文字よりなるものであるが、これはロッキード・マーチン・コーポレーション(本件の申立人)が開発したC130の航続距離延長タイプ(ER)であると、需要者に認識させるから、この商標を「航空機並びにその部品及び附属品」及び「航空機の修理又は整備」等に用いると、公正な競業秩序を損なうので、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)C130ERは、申立人が開発した輸送機の商標C-130及び当該C130シリーズの1つであるC-130E又はC-130Rと類似し、かつ、当該C-130E又はC-130Rは、本件商標登録出願時において、申立人が開発した、軍事用輸送機として需要者の間に広く認識されている商標であって、航空機並びにその部品及び附属品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(3)商標C-130及びC-130Eは、本件商標登録出願時において、申立人が開発し、販売している軍事用輸送機の名称及び商標であると広く認識されており、本件商標を、本件商標権者(以下「商標権者」という。)がその指定商品及び役務に使用すると、商標権者と申立人とは、経済的、または組織的に何らかの関係があるものと混同のおそれが生じ、ひいては、需要者が出所について混同するおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当する。

3 本件に対する取消理由の要点
当審において、平成19年2月2日付けで、商標権者に対し通知した取消理由は、要旨次のとおりである。
(1)申立人の提出に係る甲第1号証ないし甲第5号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)C130は、米国ロッキード社(1995年にマーチン・マリエッタ社と合併、現在ロッキード・マーチン・コーポレーション(本件の申立人))が開発し、販売している軍事用輸送機であり、該商標は、航空機業界では広く需要者に浸透している。この事実は、インターネットの数え切れないほどのサイトで確認することが可能である(例えば、甲第1号証参照)。また、C130がロッキード・マーチン・コーポレーションの開発した軍事用輸送機であるということは、商標権者が、本件商標登録願と同日で提出した商標登録願(商願2005-42375)の拒絶理由通知書(甲第2号証参照)の理由2にも示されるように、特許庁審査官によっても認められているところである。
(イ)一方、航空機には、しばしば長距離型には「LR」、航続距離延長型には「ER」を基本型に付けることが慣行化している(甲第3号証参照)。即ち、「LR」なる文字は、航空業界では、Longer Range、「ER」なる文字は、Extended Rangeの略である。即ち、航空業界における「ER」は、通常の航空機の航続距離(燃料を最大限積み、他の積載物を積まない状態で飛行できる距離)を延長したものであることを意味している。したがって、C130とERを組み合わせてなるC130ERは、申立人が開発した軍事用輸送機の航続距離延長タイプであると、需要者は認識する商標である。
(ウ)なお、甲第2号証の理由2において、審査官は、「C130」の名称の使用に関し、商標権者が申立人から承諾を得たものとも認められないと認定している。事実、申立人は、平成18年1月12日に出所の混同を生じるおそれがある「C130」及び「C130ER」の使用を中止するよう要求する書面(甲第4号証参照)を商標権者に送付している。
(エ)従って、申立人の航空機として著名なC130と、航続距離延長タイプを示すERを単に結合したに過ぎない本件商標C130ERを、商標権者が独占的に「航空機並びにその部品及び付属品」、及び「航空機の修理及び整備」に用いると、健全な競争秩序の維持を図ることが出来ない。
(オ)更に、最近では、特定の航空機の模型を製品化したり、特定の航空機を題材とするゲームおもちゃを製品化する際には、近年の企業の知的財産権意識の向上などから、メーカーに許可を得ることが必要となっている。また、製品化された後の製品には、パッケージなどに「この製品は、○○株式会社のライセンスに基づいて製品化されています」という文字が必ず加えられるようになっている。してみると、C130シリーズの1つであると認識される、C130ERを、開発、製造者であり、長年使用してきた申立人以外である、商標権者及びそのライセンシーが使用すると、あたかもその標章の使用が申立人により許諾されたかのような誤認を生じ、公正な競業秩序を保つことができない。よって、本件商標を、第28類「航空機の模型を用いた遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。)、航空機をゲーム内容とするビデオゲームおもちゃ及び航空機をゲーム内容とする液晶表示画面付き電子ゲームおもちゃ、航空機の模型おもちゃ、航空機の模型おもちゃを用いて空中戦の感覚を楽しむような遊戯用器具、航空機の模型を用いて操縦の感覚を楽しむ遊戯用器具」に使用することは、公の秩序を害するおそれがある。
(カ)未登録商標「C130(又は、C-130)」は、申立人が長年に亘り使用してきた航空機の名称である。即ち、前記甲第1号証及び甲第5号証にも示されるように、申立人は、輸送機に「C130(又は、C-130)」という名称を50年以上に亘り、約60カ国で使用してきた事実が存在する。これは、C130(又は、C-130)が、今現在、申立人の、いわゆる周知商標として機能していることを意味している。また、この未登録周知商標「C130(又はC-130)」と、商標権者の「C130ER」は、明らかに類似する商標である。加えて、申立人が開発、使用してきた航空機は、C-130だけにとどまらず、C130シリーズとして、数々世にでており(甲第5号証参照)、このC130シリーズの1つである「C-130E」又は「C-130R」と商標権者の「C130ER」は類似関係にある。
(キ)航空機の開発は、安全性、経済性、快適性、低公害性等の追求により、逐年コストが増大しているため、航空機業界は寡占状態にある。よって、寡占状態の中にある、航空機業界を代表する会社である、申立人、商標権者の両者が、互いに類似する商標を、「航空機及び、明らかにこれに関連する商品、役務」に使用すれば、当然に混同を生じる結果を招き、混乱が起きる。即ち、商標権者が「C130ER」を、「航空機及び、明らかにこれに関連する商品、役務」に使用すれば、C130の著名性故、その商品又は役務は、申立人の業務に係る商品又は役務であると認識され、出所について混同する場合のみならず、商標権者が申立人と経済的又は組織的に何らかの関係があると誤認され、この誤認に基づいて出所について混同を招いてしまう。
上記見解は、本件商標C130ERを、「航空機並びにその部品及び付属品」、及び「航空機の修理及び整備」に用いた場合にとどまらず、実際の航空機をそのモデルに使用する、航空機模型、航空機ゲームおもちゃに使用しても同様の、出所の混同を生じるものである。
(2)したがって、本件商標は、商標法第4条1項第7号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
当合議体は、前記3の取消理由の通知について、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者は、その期間内に何ら意見を述べていない。

5 当審の判断
本件商標についてした、前記3の取消理由は妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条1項第7号、同第10号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-07-20 
出願番号 商願2005-42377(T2005-42377) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Y122837)
T 1 651・ 25- Z (Y122837)
T 1 651・ 22- Z (Y122837)
最終処分 取消  
前審関与審査官 門倉 武則 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川きみえ
石田 清
登録日 2006-06-16 
登録番号 商標登録第4961199号(T4961199) 
権利者 ボンバーディア インコーポレイテッド
商標の称呼 シイイチサンゼロイイアアル、シイヒャクサンジューイイアアル 
代理人 相田 伸二 
代理人 廣田 米男 
代理人 杉村 興作 
代理人 末野 徳郎 

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