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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y44 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y44 |
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管理番号 | 1171067 |
審判番号 | 不服2006-27290 |
総通号数 | 98 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2008-02-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-12-04 |
確定日 | 2008-01-04 |
事件の表示 | 商願2006- 19294拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「スパ バーデンバーデン」、「SPA BADEN-BADEN」の文字を併記してなり、第44類「エステティック美容,その他の美容,理容,サウナの提供,その他の入浴施設の提供,ダイエット及び健康管理に関する情報の提供,あん摩,マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として、平成18年3月6日に登録出願されたものである。 第2 原査定における拒絶理由の要点 原査定は、「本願商標は、『スパ』『SPA』及び『バーデンバーデン』『BADENーBADEN』の文字を二段に普通に用いられる方法で書してなるところ、該構成中の『スパ』『SPA』の文字部分は、温泉、湯治場等の意味を有するものとして普通に使用されており、また、該構成中の『バーデンバーデン』『BADENーBADEN』の文字部分は、ドイツ南部、フランスとの国境近くの温泉地で、欧州でも屈指の高級温泉地として、欧州はもとより、日本国内においても知られているものと認められる。また、本願商標の構成文字全体よりは、『湯治場バーデンバーデン』程の意味合いを生ずるものである。そうすると、本願商標をその指定役務中例えば『温泉施設の提供』に使用するときは、役務の提供場所・質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3.当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号、及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、本願商標の「スパ バーデンバーデン」「SPA BADEN-BADEN」の文字に関して、下記の事実が認められる。したがって、平成19年9月5日付け証拠調べ通知書により、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき通知した。 記 1.インターネット検索情報(なお、下線は当合議体によるもので、以下2ないし4も同じである) (1)バーデン・バーデンについて(ウィキペディア:)(http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%90%E3%83%BC%E3%83%87%E3%83%B3) 「バーデン・バーデン(Baden-Baden)はドイツ連邦共和国の都市。バーデン=ヴュルテンベルク州に属する。人口は約5万4千人。ヨーロッパ有数の温泉地として幅広く知られる。街の名前の由来 ドイツ語では、バーデン(Baden)という語自体が、『入浴(する)』を意味しており、そこからバーデンという地名がついた。1931年、多く使われていたバーデン・イン・バーデン(Baden-in-Baden)という表現が縮まって、バーデン・バーデンが街の名称となった。地勢・産業 シュヴァルツヴァルト(黒い森)の北部に位置する。ヨーロッパ有数の観光、保養都市であり、街の財政もこれに多くを依存している。街には競馬場もある。近隣の都市としては、約40キロ南西にフランスのストラスブール(シュトラスブルク)、30キロ北にカールスルーエ、約90キロ南にフライブルクが位置している。」と記載されている。 (2)バーデン・バーデンについて(バーデン・バーデン市広報課作成:http://www.baden-baden.de/jp/spahealthbeauty/indexc.php?content=/content/00577/indexjp.html) (ア)「カラカラ浴場」(http://www.baden-baden.de/jp/spahealthbeauty/indexc.php?content=/content/00573/indexjp.html&nav=694)の項には、「街の中心に位置するカラカラ浴場は、パラダイスのような雰囲気の中で最高レベルのウェルネスを提供しています。ガラス張りのモダンな浴場の殿堂。青い海のようなプールに、大理石の柱の間から暖かい蒸気が浮かんでいます。地下2000メートル、23ヶ所から湧き出る温泉が900平米の温浴センターの魅力を作り出しています。温水と冷水の人工滝や洞窟、ワールプール(渦流浴槽)、ジャグジーバス、ジェットバスなど、ロマンティックでエキサイティング。新設された多種サウナの熱気から冷水に飛び込むころには、きっと自分だけの世界に浸っていることでしょう。外は雪でも、ガラスの中は夏の地中海。」と記載されている。 (イ)「ローマ・アイルランド浴場(フリートリッヒ浴場)」(http://www.baden-baden.de/jp/spahealthbeauty/indexc.php?content=/content/00575/indexjp.html&nav=695)の項には、「温浴文化の最高峰として、揺るがない地位を誇るフリートリッヒ浴場なら、安らかな時間を過ごせます。中世の雰囲気が漂うロマンティックな旧市街。125年前、フリートリッヒ浴場がローマ浴場跡に建設された時、温度の異なるさまざまな温浴を楽しむローマ文化と熱気浴の伝統を持つアイルランド文化を融合させたのは画期的なアイデアです。真ん中の華麗なドーム状の浴場では、芸術性の高いフレスコ画や大理石など、目を楽しませてくれるだけでなく、身体と心を包み込む芳香は肌で感じる装飾です。フリートリッヒ浴場の贅沢で華麗な魅力。ここを訪れた多くの人たちに新たなインスピレーションを与えてきた不思議な空間でもあるのです。・・・16ステップで構成されている特別な温浴コースは、一生に一度の稀有な温泉体験を与えてくれます。次々に変わる温度、貴重な温泉を多様な形で味わう温浴を続ける内に心が休まります。最後の仕上げは、石鹸水のブラシマッサージ。」と記載されている。 (ウ)「温泉水」(http://www.baden-baden.de/jp/spahealthbeauty/indexc.php?content=/content/00576/indexjp.html&nav=696)の項には、「深度2000メートルの地下から湧き出る、天然のミネラル分が多く含まれる温泉は摂氏50?68度です。地球の奥深くから私たちの下にたどり着くまでに、岩石から主に塩化ナトリウムを吸収していますが、それだけではありません。1リットル当たり、少なくとも1グラムの無機質を含有しています。リチウム、セシウム、珪酸、硼酸、マンガン、マグネシウムなどですが、コバルト、亜鉛、銅などもわずかながら含まれています。まさに、これらが治癒力を与える効力があるとされるミネラル分なのです。心臓の病、血液循環機能の障害、代謝疾患、気道障害などに対して効力のある当地の温泉が、健康な身体にも良い理由がよく分かります。さらに温泉は、その熱と含有物質により、筋肉、関節、皮膚などの血行を促進させる効果があります。」と記載されている。 (エ)「タラソ・温浴トリートメント」(http://www.baden-baden.de/jp/spahealthbeauty/indexc.php?content=/content/00598/indexjp.html&nav=702)の項には、「これだけは世界広しといえども、バーデン・バーデンにしかありません。今も数千年前と変わらず、ミネラル分を豊富に含む80万リットルの温泉が毎日湧き出ているバーデン・バーデンならではのエステです。ミレーユ・ギユーによって形成されたタラソ温泉療法は、温泉を利用した多様なトリートメントとタラソセラピーが組み合わされた独特の療法で、バーデン・バーデン独自のエステとして大きな評判を呼んでいます。」と記載されている。 (3)「バーデン・バーデン」について(ドイツ観光局:http://www.visit-germany.jp/JPN/destination_germany/master_tlkur.htm) 「バーデン・バーデン Baden-Baden温泉で健康に」の欄には、「健康のために休養をとりたい人には、鉱泉療養浴場バーデン・バーデンをおすすめします。この国際的雰囲気を持った湯治場に滞在すること自体が体のリフレッシュに繋がるでしょう。」、「クア地バーデン・バーデンの雰囲気と環境、そして黒い森シュヴァルツヴァルトの山々の麓の気候と素晴らしい立地条件が、この地で保養する人々をリラックスさせるのに役立っています。かつて、ローマ人が約2,000年前にこの地を最も人気のある地にしたのでした。彼らはこの地域で、ほぼ摂氏70度の塩とラドンを含んだ温泉を発見したのです。・・・適応症:心臓・血管・循環器疾患、姿勢・運動器官疾患、リューマチ疾患、婦人科疾患、神経系疾患、心身消耗状態、一般虚弱体質、回復期のケア。」(http://www.visit-germany.jp/JPN/destination_germany/master_tlkur-id1039-fstadt_kur_allgemein.htm#top)と記載されている。 (4)「黒い森シュヴァルツヴァルトの温泉街道 一番良いプレゼントは自分へ送るべし!」について(http://www.visit-germany.jp/JPN/destination_germany/master_tlfstrasse-id49.htm) 「シュヴァルツヴァルトの北部ののどかな山や渓谷の風景の中の街道。ナーゴルト川とエンツ川が合流する近く、金の街プフォルツハイムとフロイデンシュタット近郊の高原、標高1,000mのクニービス山の間の街道。そして、長さ270km、プフォルツハイムからバート・リッポルズアウを通り、プフォルツハイムに戻るユニークな一周コース。これがシュヴァルツヴァルト温泉街道です。ここシュヴァルツヴァルト北部以外に、こんなに多くのクナイプ療法や気候療法、温泉療法、鉱泉療法などの保養地が密集している所はありません。またここにはドイツでも非常に大きな自然公園があります。・・・深く険しい谷間に何百年も前からその治癒力で知られている鉱泉や温泉が沸き出ています。ナーゴルトタール峡谷のバート・リーベンツェルとバート・タイナッハ、エンツタール峡谷のバート・ヴィルトバート、ムルグタール峡谷のバート・ローテンフェルツ、アルプタール峡谷のバート・ヘレンアルプ(7つの谷間に挟まれている)とヴァルトブロン、ヴォルファッハ峡谷の上部のバート・リッポルズアウとオーズ峡谷にある世界的に有名なバーデン・バーデン、これらの峡谷に源を発する温泉やミネラルを多く含んだ鉱泉は多くの湯治場で医療用として用いられています。」と記載されている。 (5)「ヨーロッパ屈指の温泉リゾート」(http://www.tavinci.jp/local/ovs/db/p03_0003db2.html) 「この地で温泉が発見されたのは、紀元前後のこと。19世紀には世界中から王侯貴族や文化人が避暑に訪れ、『ヨーロッパの夏の首都』との賞賛を受けた。現在でも、各種スパ施設をはじめ、多くの五つ星ホテルや星付きレストラン、ブランドショップが軒を連ね、ドイツを代表する温泉リゾートとして、セレブにも観光客にも人気が高い。」と記載されている。 (6)「ヨーロッパの温泉事情」(http://ouro.hp.infoseek.co.jp/eurospa.htm) 「西欧の湯治生活」の項には、「地元欧州のリゾート地にはそれぞれの温泉開発を促す企業が入り、海外の観光客を対象とした温泉商売の激戦を展開している。(例:伊・モンティカッテイーニ、アバノ、仏・エクス・レ・バン、ビシー、ブルボン、独・バーデンバーデン、ビースバーデンなど)。また各地の鉱泉水を世界に輸出販売し、更に皮膚医学と温泉療法に着眼して温泉水の商品化を目指している。」と記載されている。 (7)「海外温泉事情」(http://onsen1ban.blog59.fc2.com/blog-category-54.html) 「ドイツの温泉療養地」の項には、「ドイツの温泉町のほとんどには、土地の名前に入浴、お風呂を意味する『バート』あるいは『バーテン』がついています。例えば『バーデン・バーデン』『バート・ホンブルグ』『ヴィース・バーデン』『バート・キッシンゲン』・・・といった具合です。これらの温泉地の発祥はローマ時代にさかのぼりますが、温泉療養地としても200年の歴史があります。温泉療養地を、ドイツではクアオルト(Kurort)といい、3つの基本要素からなりたっています。まず、第一にクアハウス(Kurhaus)。これは療養地の中心となる施設で、療養者のコミュニティセンター的な役割を果たしています。ここではダンス、カジノ、食事、講演会、音楽会などが楽しめますが、原則として治療施設はありません。二番目にクアミッテルハウス(Kurmittelhaus)という多目的総合治療館が、治療用施設として存在します。ミッテルとは、薬や治療の意味です。ここには浴槽、各種水治療室、泥浴室、吸入療養室、電気・磁気療法室、マッサージ室、サウナ室、各種運動施設、屋内外のプールなどが整備されています。・・・日本のように多人数で大きな温泉浴槽に浸かることは、水着を着用したプールでの運動浴以外にはありません。三番目にはクアパルク(Kurpark)といわれる公園があります。この公園はかなり広く、その中に前述のクアハウスやクアミッテルハウスが設置されています。・・・療養地では、その中や近接していろいろなスポーツを楽しむ設備があり、また、歩いて体力づくりやリハビリテーションを目的とするテラインクール(Terrainkur)といわれる地形療法が行える歩道が整備されています。さらに療養地ではクリマテラピー(Climatherapy)といって、その土地の気候を利用した気候療法も行われます。」と記載されている。 (8)「バーデンバーデン ?BADEN-BADEN」(JTBツアー)(http://www.jtb.co.jp/kaigai/pkg/list.aspx?CityCD=ZCC&Proc=1) 「温泉と黒い森で知られる保養地。かつてヨーロッパの夏の都として知られ、今も街はエレガントな雰囲気に満ちている。街全体が公園のようで、クアハウス(温泉施設)にはドイツで最も古いカジノもある。」と記載されている。 2.「バーデン・バーデン」の新聞検索結果について (1)「[特集]国際家族年/4 家族湯日記<4> バーデン・バーデン」(1994.06.11付け 毎日新聞社東京朝刊 17頁) <ドイツ「黒い森」近郊> ◇緑と花が満ちあふれ、町全体がくつろぎの公園 フランクフルトから南に約一八〇キロ、「黒い森」外れの丘陵地にある有名な高級温泉保養地である。人口五万人ほど。石でできた重厚な町は、緑と花が満ちあふれ、小川の水は澄んでいる。その整然とした美しさには圧倒されてしまう。・・・カラカラ・テルメは円形の屋外プールを中心に七つの浴場があり、利用客めいめいがのんびりと温泉を楽しんでいる。・・・日本人は年間一万人程度がこのバーデン・バーデンを訪れているという。しかしその大半は、一日か二日の滞在がせいぜい。」と記載されている。 (2)「温泉文化で国際交流 海外8都市から参加者 別府で11月 /大分」(1998.09.11付け 朝日新聞社 西部地方版/大分) 「運輸省のモデル事業「地域文化を通じた国際交流支援事業」の第一号に指定された「別府ONSEN文化国際交流事業」の実行委員会は、別府市山の手町のビーコンプラザで十一月十日、温泉文化がある海外の都市からパネリストを招き、シンポジウムを開くことを決めた。「世界ONSEN文化シンポジウム」というタイトルで、温泉で知られる海外の八都市からパネリストを招待。それぞれの温泉地に伝わる温泉文化や温泉利用法について学び、今後の交流やまちづくりの在り方について意見交換をする。事業は二〇〇〇年度までの三年間にわたる。運輸省によると、二〇〇〇年春に立命館アジア太平洋大学が開学することや、二〇〇二年のサッカーワールドカップ(W杯)の開催県であることなどから、モデル地域に指定したという。実行委の事務局によると、別府は温泉の湧出量(ゆうしゅつりょう)が世界第二位。泉質では、地球上にある十一種類のうち十種類がわき出ており、この点では世界一という。「温泉を生かした国際交流を」という点で意見が一致した。 シンポジウムでの交流が予定されている都市(または国、地域)は次の通り。バース(英国)▽バーデン・バーデン(ドイツ)▽モンテカティーニ(イタリア)▽エビアン(フランス)▽ホットスプリングス(米国)▽ロトルア(ニュージーランド)▽韓国(都市は未定)▽台湾(同)。」と記載されている。 3.バーデン・バーデンの商品(特産物)について (1)「ミネラルウォーターの定義」(http://homepage3.nifty.com/hotspa/column/hotcolumn2.html) 「ミネラルウォーターの定義は、日本の農林水産省の「品質表示ガイドライン」で示されています。・・・ヨーロッパでは、鉱泉水を飲む習慣が盛んでして、良質な産地が数多くあります。フランスのビシーやドイツのバーデンバーデンに代表されるように、これらのミネラルウォーターの産地は温泉地であることも多いのです。」と記載されている。 (2)「ドイツ オレンジのボディーソープ」(http://cgi43.plala.or.jp/kobijutu/rcart/rcart.cgi) 「ドイツの高級保養地バーデンバーデンの温泉水の入ったオレンジのボディーソープ、元気が出ます。」と記載されている。 (3)「トロン泉について」(http://www.h3.dion.ne.jp/~toron/tron.html) 「トロン泉とは、トロンとはラジウムが崩壊する過程でできる最もイオン化作用が強い物質です。そのトロンから放出される活性気体の元素がトロン泉です。自然界に存在する物質の中で、最も強力なイオン作用(電解作用)を有します。」、「トロン原石は、地球上にごく僅かしか存在しない希少な石です。この天然の薬石を源泉とした、効力きわだつ温泉浴が『トロンの湯』です。『奇跡の湯』として世界的に有名な天然トロンの湯は、今から約2,000年前にドイツのバーデンバーデンで発見されました。この名湯が、世界一とまで言われるようになったのは、中世の頃からです。当時の貴族たちが、この湯を”戦いで傷ついた身体を直す湯”、”美肌をつくる湯”として、大変珍重していた記録が残されています。この名湯を弱酸性液体抽出方式でつくった温泉浴が、『トロンの湯』です。」と記載されている。 4.参考判決について (1)「昭和54年4月10日 昭和53年(行ツ)第129号最高裁判所第3小法廷判決」 「商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」としている。 (2)「昭和61年1月23日 昭和60年(行ツ)第68号 最高裁第1小法廷判決」 「商標登録出願に係る商標が商標法3条1項3号にいう『商品の産地又は販売地を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標』に該当するというためには、必ずしも当該指定商品が当該商標の表示する土地において現実に生産され又は販売されていることを要せず、需要者又は取引者によって、当該指定商品が当該商標の表示する土地において生産され又は販売されているであろうと一般に認識されることをもつて足りるというべきである。」としている。 5.以上の事実を総合的に勘案すると、本願商標は、「スパ バーデンバーデン」及び「SPA BADEN-BADEN」の文字を併記してなるところ、該文字(語)は、「温泉地バーデンバーデン」の意味を有し、その構成中「バーデンバーデン」「BADEN-BADEN」の文字(語)は、ドイツ連邦共和国の都市名であり、ヨーロッパ有数の温泉地、観光地、保養地として世界的に有名であることが認められる。そして、該地では、入浴施設の提供、サウナの提供、エステティック美容、マッサージ、温泉療法などの役務が提供されていることが認められるから、このような商標を独占使用を認めることは公益上適当でない(上記第3の4(1)参照)。 仮に、日本において上述のバーデン・バーデンのような入浴施設の提供が実際に行われていないとしても、上記第3の4(2)の判決で述べられているように、需要者又は取引者が一般に認識されることをもって足りるとしているが、バーデン・バーデンは、鉱泉水、ミネラルウォーター、トロン原石の産地とし知られており、日本では、該地の温泉水の入ったボディーソープが販売されていること、トロンの湯と称する入浴施設が提供されていること、日本人観光客も年間1万人も訪れる観光地であること等の事実からすれば、本願商標が全体として「温泉地 バーデン・バーデン」の意味を認識させることを併せ考えると、これに接する取引者、需要者をして、該地の温泉水、トロン原石を利用した入浴施設の提供又はバーデン・バーデンの入浴施設などを模した役務、入浴施設の提供の質(内容)を手本とした役務の意を容易に認識させると判断するのが相当であると認められるから、単に役務の質、役務の提供の用に供する物を表示するにすぎないものと認められる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務について使用するときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当すると言わざるを得ない。 第4.請求人は、上記第3.の「職権証拠調べ通知書」に対して、何ら意見を述べていない。 第5.当審の判断 本願商標は、前記のとおり「スパ バーデンバーデン」、「SPA BADEN-BADEN」の文字を表してなるものである。 そして、該文字については、前記第3の1ないし5に記載のとおり、本願商標が全体として「温泉地 バーデン・バーデン」の意味を認識させることから、本願商標を「温泉施設の提供」に使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、該地の温泉水、トロン原石を利用した入浴施設の提供又はバーデン・バーデンの入浴施設などを模した役務、入浴施設の提供の質(内容)を手本とした役務の意を容易に認識させると判断するのが相当であると認められるので、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認められる。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務について使用するときには、役務の質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は妥当であって取り消すべき限りでない。 なお、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、これらはいずれも本願商標とその構成、態様等を異にするものであるから、同一に論ずることはできず、請求人のかかる主張を採用することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-11-05 |
結審通知日 | 2007-11-06 |
審決日 | 2007-11-19 |
出願番号 | 商願2006-19294(T2006-19294) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(Y44)
T 1 8・ 13- Z (Y44) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 蛭川 一治 |
特許庁審判長 |
井岡 賢一 |
特許庁審判官 |
岩本 和雄 鈴木 修 |
商標の称呼 | スパバーデンバーデン、バーデンバーデン |
代理人 | 神吉 出 |
代理人 | 辻本 一義 |
代理人 | 辻本 希世士 |