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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消200631314 審決 商標
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取消2007300061 審決 商標
取消200631602 審決 商標
取消200631398 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1416252841
管理番号 1170737 
審判番号 取消2006-31306 
総通号数 98 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-02-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-10-19 
確定日 2007-12-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第4659206号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4659206号商標の指定商品及び指定役務中、第14類「貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,キーホルダー」,第16類「印刷物」,第25類「被服」,第28類「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」及び第41類「電子計算機通信網を利用したアダルトエンタテイメントに関する図・絵・写真・映画・音楽・音声・ゲームの提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4659206号商標(以下「本件商標」という。)は、「WICKED」の文字を標準文字としてなり、平成11年1月20日に登録出願、第9類「録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子応用機械器具及びその部品」、第10類「コンドームその他の避妊用具」、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・宝石箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第16類「印刷物」、第25類「被服」、第28類「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」、第35類「アダルトエンタテイメントの分野における商品の販売に関するオンラインによる媒介又は取次」、第41類「電子計算機通信網を利用したアダルトエンタテイメントに関する図・絵・写真・映画・音楽・音声・ゲームの提供」及び第42類「電子計算機通信網を利用したアダルトエンタテイメントに関する雑誌記事の提供」を指定商品・指定役務として、平成15年4月4日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べた。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品(役務)中、第14類「貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶・水盤・針箱・ろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口・靴飾り・コンパクト及び財布,キーホルダー」、第16類「印刷物」、第25類「被服」、第28類「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」、第41類「電子計算機通信網を利用したアダルトエンタテイメントに関する図・絵・写真・映画・音楽・音声・ゲームの提供」について、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品について使用をしていないものである。
(2)弁駁
ア 弁駁の趣旨
被請求人は、該答弁書において、「被請求人は本件商標の審判請求の予告登録前3年以内に本件商標をその指定商品(役務)中『アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具』について使用している」旨主張し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第5号証を提出している。
しかしながら、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第5号証は、いずれも本件商標の審判請求の予告登録前3年以内の使用の事実を証明するに足るものではない。よって、本件商標の登録は取消しを免れない。
イ 被請求人の提出に係る乙各号証の成否
(ア)乙第1号証ないし乙第4号証について
A.「ホームページ」 について
(a)被請求人は、答弁書において「本件商標と社会通念上同一のものとされた「WICKED」が『アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具』に付されて、また、ホームページ上で当該商品の広告に表示されて使用されている」旨主張し、該事実を立証するため、同社の販売代理店であるというCalifornia Exotic Novelties(以下「CEN」という。)のホームページの打ち出しを証拠として提出している。
しかしながら、この乙第1号証ないし同第4号証のホームページの右下には、「2006年12月21日」と日付の記載があることから、該証拠は、本件審判請求の予告登録日以降のものであることは明らかである。したがって、乙第1号証ないし同第4号証をもって、本件商標が、指定商品(役務)中「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」について、本件審判請求の予告登録日前3年以内に、日本国内において、商標権者により使用されていることを証明するものとは認められるべきではない。
また、この「ホームページ」において掲載されている商品の画像は不鮮明であり、この画像を見る限りではどのような商品であるかは皆目見当がつかない。被請求人からはこの点につきなんら補足的説明もなされていないことから、乙第1号証ないし同第4号証にかかる証拠をもって、これらが本件商標の指定商品中「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」に果たして該当するものかどうかを判断することは不可能と思われる。
一方、請求人がこの「ホームページ」上の不鮮明な画像から推察した範囲では、画像に見られる商品は、被請求人が主張するような、第28類の「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」ではなく、むしろ第10類の「自慰補助器具,性交補助器具等」に該当するべきものと思われる。よって、この証拠をもって、本件審判請求にかかる指定商品(役務)の使用を証明したことにはならない。
さらに、被請求人提出の乙第1号証ないし同第4号証にかかる「ホームページ」だけでは、そこに記載されている商品が商標権者の商品であるかどうかさえ明らかにしていない。被請求人は、この点につき、不鮮明な画像を提示するだけで、具体的な説明を一切していないことから、「ホームページ」の管理者であるCENが商標権者の商品を取り扱っているかどうかさえはっきりしないと云わざるを得ない。
以上の事実を鑑みると、被請求人提出の乙第1号証ないし同第4号証は、本件審判請求の予告登録日前3年以内に、本件審判の取消請求にかかる指定商品中「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」について使用されたことを証明するに足りるものではないと言うべきである。
(b)なお、請求人が被請求人提出の乙第1号証ないし同第4号証のホームぺ一ジを見た限りでは、CENは、インターネットを通じて商品の通信販売を行っていると推察する。おそらく、画面の説明を見ながら注文していくのであろうが、表記がすべて英語であり、日本語の頁は一切設けられている様子がないことから、通常の日本の需要者等の英語の知識レベルを基準にした場合、日本の需要者がこの「ホームページ」の中身を正確に理解したうえで注文までたどりつくことはかなりの困難を伴うと思われる。また、価格も日本円に換算されていないと思われることから、この「ホームページ」は日本人を顧客対象として全く意識していないつくりとなっているというべきである。
したがって、仮に、本件商標の指定商品中の商品がこのホームページ上で取り扱われていることが証明されたとしても、その事実をもって、商標法第50条第2項にいう日本国内における登録商標の使用に該当するものとはいえないものと思料する。
B.「黙示の使用許諾」について
商品を単に販売しているからといって直ちに販売代理店であると認定することはできず、被請求人の主張は認めがたい。また、被請求人の商品を取り扱っている以上、同社が被請求人より黙示の使用許諾を受けていたとする主張も、被請求人は主張するばかりで、なんら立証を行っていないことから、被請求人の論理はあまりにも飛躍しすぎているというほかない。同社が被請求人の販売代理店、あるいは通常使用権者というのであれば、被請求人とCENとの間で交わされた契約書の類、あるいは、被請求人から同社に商品を卸した事実が証明できるような一連の請求書、納品書等が最低限証拠として提出されて然るべきと思料する。被請求人がCENを通常使用権者であると主張するのであれば、その事実を確認するためにも、請求人は被請求人に対し、この点につき、より具体的に説明し立証されることを求める。
(イ)乙第5号証について
A.「インボイス」 について
(a)乙第5号証は、「2004年5月18日付のCENからWINS CORP.宛インボイスの写し」とのことであるが、日付も不鮮明で確認し難く、該「インボイス」に記載されている商品番号「8112-01-3」あるいは「5125-01-3」あるいは「5353-04-3」あるいは「8533-04-3」の商品は、如何なる商品なのか不明である。
被請求人は、上記商品番号が乙第1号証ないし同第4号証に掲載されている商品番号と一致する旨主張するが、乙第1号証ないし同第4号証として提出されたホームページは、2006年12月21日時点のものであり、一方の乙第5号証として提出された「インボイス」に記載されている日付は、2004年5月18日のものであるから、両者の商品番号で示されている商品の同一性があると断言することには疑義が生じるといわざるをえない。
(b)さらに、被請求人が提出した証拠方法において、乙第4号証の「ホームページ」中においては品番「SE812501」との記載があるものの、「インボイス」においてはそのITEM No.の欄に「812501E」との記載が見られる。このような相違点も、請求人の上記疑義を裏付けるものである。
尚、被請求人は、この点につき、答弁書中において、両者は同一である旨述べているが、この主張のみでは、「SE812501」と「812501E」を同一の商品番号と認定するには不十分である。被請求人が本件商標の使用態様であるとして主張する「ホームページ」と「インボイス」とは、この商品番号のみによって関連づけられているものであり、この「インボイス」が本件における唯一の取引書類と言えることから、「ホームページ」に表示されている品番「SE812501」と「インボイス」中の商品番号「812501E」との同一性については厳格に判断されなければならず、上記のような被請求人の主張では不十分と言わざるを得ない。
したがって、被請求人による答弁書及び証拠方法によっては、「SE812501」と「812501E」を同一の商品番号とするための証明だけでは不十分であり、「812501E」との表示しかない「インボイス」は、本件商標が使用された商品の取引書類としての証明力は非常に低いと言うべきである。
(c)さらに、当該「インボイス」に対しては、WINS CORP.からCENに対し支払が実行されたかどうかについても明らかではなく、また実行されていたとしても、本件商標を付した商品の販売が実際に行われたかどうかも不明である。よって、この証拠をもって、本件商標を付した商品が本件商標の審判請求の予告登録日前3年以内に該当する2004年(平成16年)5月18日にCENからWINS CORP.へ納品された事実を証明するには足りないものと思料する。
B.商標法第50条第2項の「使用」の概念について
上述のとおり、CENが通常使用権者であること、及び同社からWINS CORP.へ本件商標を付した商品が実際に販売されたかどうかは疑義のあるところである。被請求人による証明も全くなされていない。
しかしながら、仮に、被請求人が主張するように、同社が通常使用権者であり、同社からWINS CORP.へ商品が販売されたことが事実であるとした場合でも、その事実をもってしても、この行為は、以下に述べるとおり、商標法第50条第2項に規定する登録商標の「使用」(同法第2条第3項)には該当しないというべきである。
被請求人が提出した証拠のうち、本件審判請求の予告登録日前3年以内という要件を満たすのは、乙第5号証の「インボイス」にすぎないところ、同証拠から認定できる事実は、(乙第5号証に表れる日付は不鮮明であり明確でないが、仮に、被請求人の主張する2004年5月18日であるとして)2004年(平成16年)5月18日に、アメリカに在住するCENと日本に在住するWINS CORP.との間で何らかの売買行為がなされたようだというだけであり、上述のとおり、何の商品であるかも明確でないうえ、その売買代金の支払も、商品の発送ないし受領もなされたかどうかも立証されておらず、WINS CORP.によって本件審判請求の予告登録日前3年以内に本件商標を付した商品が輸入されたという認定すらすることはできない。
商標法第50条は、「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」による使用を前提としているものであり、商標法第50条第2項本文は、商標の不使用における登録取消しの審判請求があった場合、被請求人は、日本国内における登録商標の使用を証明しなければならないことを規定しているところ、たとえ、上記輸入行為が確認されたとしても、CENとWINS CORP.間の取引は、WINS CORP.が単に商品を輸入したという事実にすぎず、被請求人が輸入したものでないから、このような行為は、商標法第50条に規定する登録商標の「使用」には該当しない。
したがって、いずれにしても、被請求人が提出する証拠からは、本件審判請求の予告登録日前3年以内の日本国内における商標権者等の登録商標の使用を証明するには足りないものというべきである。
ウ 以上より、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第5号証は、いずれも本件商標と同一又は社会通念上同一の本件審判請求の予告登録日前3年以内に日本国内における使用を証明するに足りるものでなく、本件に係る商標登録は取消しを免れない。

3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)本件商品についての使用
本件商標と社会通念上同一のものとされた「WICKED」が「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」に付されて、また、ホームページ上で当該商品の広告に表示されて使用されている。被請求人は該事実を立証するため、同社の販売代理店であるCENのホームページの打ち出し(乙第1号証ないし同第4号証)を提出する。
このホームページからCENが被請求人の販売代理店であることは明らかである。してみれば、本件商標は被請求人自身によって本件商標が使用されていたものとなる。また、CENが使用していたとされたとしても、同社が被請求人の商品を取り扱っている以上、少なくとも、同社が被請求人から黙示の使用許諾を受けていたことは明らかである。すなわち、この場合には、本件商標は通常使用権者によって使用されていたことになる。
(2)我が国における予告登録前3年以内の使用
本件取消審判は、平成18年11月1日(審判注:商標登録原簿によれば、本件審判の予告登録日は平成18年11月6日である。)に登録されたものである。しかるに、上記商品中商品番号「8112-01-3」 「8125-1-3」 「8353-04-3」 「8533-04-3」の商品が「WINS CORP. No.5 KUKUBOSHI BLDG 3-20-16 ASAKUSABASHI TAITO TOKYO 111 JAPAN(日本国東京都台東区浅草橋3-20-16)」に「05/18/04」(2004年5月18日)に販売された。被請求人は該事実を立証するため、CENからWINS CORP.宛のインボイスの写しを提出する(乙第5号証)。なお、乙第4号証においては商品番号「812501E」とされているが、実際は同一のものである。
上記インボイスから本件商標が付された「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」が本件取消審判の予告登録前3年以内に日本の会社に販売されたことは客観的立証されたと言える。
(3)まとめ
以上述べたことから、本件商標が本件審判の取消請求に係る商品について予告登録前3年以内に被請求人自身ないしは通常使用権者によって使用されていたことが客観的に証明された。したがって、本件商標の登録は取消しを免れることが出来る。

4 当審の判断
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第1号証は、CENのホームページの写しと認められるところ、左上部に「Wicked」の表示があり、商品記号「8112-01-3」の女性器を模して型どったと思しき器具を始めとして、同種のものがその包装容器とともに掲載されている。全ての記載は英文字であり、価格を示す記載は見いだせない。また、前記記号の商品を拡大した包装容器の左下部に、やや図案化した「Wicked」の文字が表示されている。
イ 乙第2号証は、CENのホームページの写しと認められるところ、左上部に「Wicked」の表示があり、商品記号「8353-04-3」の男性器を模して型どったと思しき器具を始めとして、同種のものがその包装容器とともに掲載されている。全ての記載は英文字であり、価格を示す記載は見いだせない。また、前記記号の商品を拡大した包装容器の上部に、やや図案化した「Wicked」の文字が表示されている。
ウ 乙第3号証は、CENのホームページの写しと認められるところ、左上部に「Wicked」の表示があり、商品記号「8533-04-3」の器具のほか、男性器を模して型どったと思しき器具等、同種のものがその包装容器とともに掲載されている。全ての記載は英文字であり、価格を示す記載は見いだせない。また、前記記号の商品を拡大した包装容器の左下部に、やや図案化した「Wicked」の文字が表示されている。
エ 乙第4号証は、CENのホームページの写しと推定されるところ、「Model#:SE812501」「Type:Masturbtors」等の記載とともに女性及び女性器を模したと思しき器具とその包装容器、その他の商品が掲載されているが、本件商標の表示は明確でない。全ての記載は英文字であり、価格を示す記載は見いだせない。
オ 乙第5号証は、CENから東京都台東区浅草橋3-20-16の「WINS CORP.」に宛てたインボイス(送り状)の写しと認められる。
そして、写しのため必ずしも鮮明とは言い難いけれども、Invoice Date欄に「05/18/04」との記載及び「ITEM NO.」欄には「8112-01-3」「8353-04-3」「8533-04-3」との記載が認められ、これらの番号が前記アないしウに掲載の商品記号と合致することから、当該書面は、2004年5月18日にCENから東京都台東区所在の「WINS CORP.」に宛てた前記アないしウに掲載の商品記号の商品を含むインボイス(送り状)であると認め得るものである。
(2)使用商標及び使用商品について
本件商標は「WICKED」の文字(標準文字)からなるものであるところ、上記(1)に示された商標は、「Wicked」の文字及びやや図案化した「Wicked」の文字を表してなるものであるから、本件商標とは社会通念上同一の商標と認め得るものである。
また、使用に係る商品も「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」と認め得るものである。
この点について、請求人は、当該商品がむしろ第10類の「自慰補助器具,性交補助器具等」に該当すべきものである旨主張する。
しかし、本件商標の出願書類に徴すれば、前記の使用に係る商品と同種と認められる物品の写真及び説明を示し、審査官の指示を経て、それを第28類「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」と表示する指定商品として採用された上で商標登録がなされた経緯があり、これに照らせば、使用に係る商品は、本件商標の指定商品の一に該当し、かつ、取消請求に係る商品に含まれるというべきものであるから、請求人の主張は採用し得ない。
(3)使用許諾について
被請求人は、CENに対して使用を許諾したと主張するが、これを裏付ける何らの証拠もなく、かつ、被請求人とCENとが、口頭や黙示による許諾があったと推認し得るに足りる何らかの関係(例えば,親子会社)にあったとすべき証左もない。
被請求人は、CENを同人の販売代理店であるというが、CENは、米国における通信販売業者として被請求人の商品をそのホームページ上において取り扱っているに過ぎない者とみるのが相当である。
したがって、CENが通常使用権の許諾を受けた者であるとの被請求人の主張は、採用し得ない。
(4)使用行為について
商標法第50条第2項本文は、商標の不使用による登録取消しの審判があった場合、被請求人は、日本国内における登録商標の使用を証明しなければならないことを規定しているところ、商標法第2条第3項第2号にいう「譲渡」が日本国内において行われたというためには、譲渡行為が日本国内で行われる必要があるというべきであって、日本国外に所在する者が日本国外に所在する商品について日本国内に所在する者との間で譲渡契約を締結し、当該商品を国外から日本国内に発送したとしても、日本国内に所在する者による「輸入」に該当しても、国外に所在する者による譲渡に該当するものとはいえないと解される(東京高裁・平成17年(行ケ)第10817号事件判決参照)。
これを本件についてみると、被請求人の主張及び乙第5号証によれば、日本国内に所在するWINS CORP.と日本国外に所在するCENが日本国外に所在する被請求人の商品について譲渡契約を締結し、インボイス(送り状)を交わしたものである。
これによれば、被請求人がWINS CORP.と本件商標を付した商品について直接的に取引関係をもったものでないことは明らかというべきである。
また、CENを通常使用権者と認められないことは(3)のとおりであるが、仮にCENを通常使用権者とした場合であっても、被請求人あるいはCENが本件商標を付した商品について日本国内において譲渡行為を行ったとすることはできないというべきであり、せいぜい、日本国内に所在するWINS CORP.による輸入を推認し得るに止まるというべきである。
そして、被請求人の主張及び全証拠からは、輸入をしたWINS CORP.が本件商標について使用を許諾された者、すなわち、通常使用権者であったと認めることができない。
(5)小括
してみると、被請求人提出の証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に取消請求に係る商品「アダルトエンタテイメントの分野におけるおもちゃ・娯楽用具」について、社会通念上同一と認められる本件商標を使用していたと推認することができるものの、その使用が日本国内において被請求人あるいは通常使用権者によるものであったと認めることはできないというべきである。
また、被請求人は、請求人の弁駁(上記2(2))に対し、答弁していない。
他に本件商標の使用を認め得る証拠はなく、不使用の正当理由に関する被請求人による主張及び立証はない。
(6)結語
以上によれば、本件商標は、取消請求に係る指定商品について、継続して3年以上日本国において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが使用をしていないものに該当するから、商標法第50条により、その登録の取消しを免れないものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-07-06 
結審通知日 2007-07-12 
審決日 2007-07-26 
出願番号 商願平11-3627 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z1416252841)
最終処分 成立  
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 岩崎 良子
伊藤 三男
登録日 2003-04-04 
登録番号 商標登録第4659206号(T4659206) 
商標の称呼 ウイックド 
代理人 田中 克郎 
代理人 田島 壽 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 伊藤 亮介 
代理人 青木 篤 

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