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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Y43
管理番号 1169068 
審判番号 不服2006-22316 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-10-04 
確定日 2007-11-26 
事件の表示 商願2005- 56875拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの文字を書してなり、第43類に属する願書記載のとおりの役務を指定役務として、平成17年6月23日に登録出願され、その後、同18年4月3日付けの手続補正書により、第43類「ジンギスカン料理を主とする飲食物の提供」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、「東京都中央区日本橋本町3-4-14所在の興和株式会社が薬剤などに使用して需要者間に広く認識されている商標「キャベジン」と同一視される平仮名文字「きゃべじん」を書してなるものであるから、これをその指定役務に使用するときは、あたかも同社の提供する役務または同社と何らかの関係を有する者の役務であるかのごとく役務の出所について混同を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定し、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「きゃべじん」の平仮名文字を表してなるものである。
ところで、興和株式会社(本社:愛知県名古屋市中区錦3-6-29所在)の代表的な医薬品のひとつである胃腸薬「キャベジンコーワ」は、「キャベジン」と略されて、新聞において全国的に宣伝、広告され、インターネットにおいても普通に使用されているところである。
上記した実情は、以下のような新聞記事情報及びインターネット情報からも裏付けられる。
(1)2007年5月19日付け朝日新聞朝刊の7頁には、「(キミの名は)ウナコーワ」の見出しの下、「興和は綿布問屋として1894(明治27)年、名古屋市で創業した。1919年に紡績業、46年に光学機器業、47年には医薬品業と業容を拡大してきた。医薬品としては、胃腸薬のキャベジンコーワやかぜ薬のコルゲンコーワなどを生み出してきた。」との記載がある。
(2)2005年4月19日付けの化学工業日報の3頁には、「佐藤製薬など3社、H2ブロッカーのスイッチOTCを発売」の見出しの下、「興和新薬は年間百二十億円を売り上げる胃腸薬のナンバーワンブランド「キャベジン」を保有しており、今回「アルタットA」の追加で、胃腸薬製品のラインアップを強化。」との記載がある。
(3)2005年1月28日付けの化学工業日報の11頁には、「大日本製薬、興和にOTC事業を譲渡」の見出しの下、「興和のOTCの事業規模は約三百四十億円。主要品目はキャベジン、バンテリンなど。」との記載がある。
(4)2004年5月26日付けの朝日新聞/名古屋朝刊の11頁には、「東海の企業・3月期決算【名古屋】」の見出しの下、「●興和 7期ぶり増収/主力のキャベジンやキューピーコーワは低価格競争の激化で売上高が伸びず、花粉飛散量が少なく点眼液なども不調だったが、鎮痛消炎剤のバンテリンミニパットなどが好調で7期ぶりの増収に。」との記載がある。
(5)2003年6月7日付けの朝日新聞/東京朝刊の56頁には、「バンテリンコーワ 興和新薬(キミの名は)」の見出しの下、「興和新薬の製品には「キャベジン」「コルゲン」「ケラチミン」など、切れ目に「ン」がつくものが多く、いわば「伝統」。」との記載がある。
(6)2002年10月3日付けの化学工業日報の8頁には、「大衆薬工業協会、12月11日を「胃腸の日」に決定」の見出しの下、「同協会加盟者(九十一社)のうち、五十社が胃腸薬を手がけており、市場規模は七百三十億円(店頭売りベース、昨年度)で約一%減。興和の「キャベジン」(シェア一八%)、大正製薬の「大正漢方胃腸薬」(一二%)、太田胃散の「太田胃散」(一0%弱)がベストスリー。」との記載がある。
(7)2002年5月15日付けの読売新聞/中部朝刊の27頁には、「健康・医療 企業の知恵=特集」の見出しの下、「◇薬品/◆息の長い商品作り 病院用薬品にも力/カエルのマスコットで知られる薬品メーカー「興和」(本社・名古屋市中区)。胃腸薬「キャベジン」は、薬局で市販されている胃腸薬として長年、トップシェアを誇る同社の商品だ。」との記載がある。
(8)1994年6月11日付けの朝日新聞./東京夕刊の5頁には、「円高ニッポンで何を買う 当世アジア昇竜みやげ物事情」の見出しの下、「○台湾・韓国 電気製品・食料品・・・「神話」はなお健在/一行が、まず殺到したのは薬売り場。健康食品や「キャベジン」などの胃腸薬、目薬を何本も買う。」との記載がある。
(9)1992年4月14日付けの流通サービス新聞の18頁には、「クローズアップ/胃腸薬?市場、着実な伸び。ヤング層にターゲット」の見出しの下、「興和から出されている「キャベジンコーワ錠」は脂肪食の取り過ぎをはじめ、グルメ時代に照準を合わせた総合胃腸薬。」との記載がある。
(10)「TBSがっちりマンデー!!」(http://www.tbs.co.jp/gacchiri/oa20061022-mo2.html)のウェブサイトにおいて、「お薬儲かり大戦争!!BATTLE2「胃腸薬」の見出しの下、「順位の入れ替わりの激しい僅差の胃腸薬市場。そんな中不動の1位を守り続けるのが、キャベジン!!/キャベジンは関連商品の売り上げだけで、会社の売り上げの30%を占めるドル箱商品。」との記載がある。
以上よりすると、「キャベジン」は、2002年の時点では、「胃腸薬としての市場シェア第1位(18%)」(上記新聞記事(6))及び2005年の時点では、「興和新薬は年間百二十億円を売り上げる胃腸薬のナンバーワンブランド「キャベジン」を保有」(上記新聞記事(2))からも明らかなように、本願商標の出願時はもちろん、出願時以前より現在においても、興和株式会社が取り扱う胃腸薬として、我が国の取引者、需要者間に広く認識されている著名な商標ということができる。
そして、本願商標は、「きゃべじん」の平仮名文字よりなるところ、その構成文字に相応して「キャベジン」の称呼が生ずるものであって、興和株式会社の著名な商標「キャベジン」とその称呼が同一であり、平仮名文字と片仮名文字の違いがあるとしても、称呼上類似の商標といわなければならない。
また、本願商標の指定役務は、「飲食物の提供」のところ、上記新聞記事(9)により「キャベジン」は、脂肪食の取り過ぎをはじめ、グルメ時代に照準を合わせた総合胃腸薬であり、一般に胃腸薬は、食後の胃のもたれやむかつき、胃重、食べ過ぎ、飲み過ぎにその効能を発揮するものである等を考えあわせれば、その需要者において、相当な範囲で同じ需要者を含んでいるということができ、「胃腸薬」と「飲食物の提供」とは少なからぬ関係を有する商品・役務といえるものである。
そうとすれば、興和株式会社の「キャベジン」が、胃腸薬として取引者、需要者において広く認識されていることは上記のとおりであるから、本願商標は、たとえ、平仮名文字であるとしても、これに接する一般需要者は、興和株式会社の著名な胃腸薬である「キャベジン」を想起し、同社が提供する役務と認識し、または、同社と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
なお、請求人は、興和株式会社が薬剤などに使用して需要者に広く認識されている商標は、「キャベジンコーワ」であり、キャベジンではない旨、また、製薬会社である興和株式会社とは、飲食物の提供という役務では、広義の混同も生じない旨主張しているが、該商品を「キャベジン」と略して、取引者、需要者に広く認識されていること、及び飲食物の提供と胃腸薬との関連は上記のとおりであるから、この主張は採用できない。
したがって、本願商標が、商標法第4条第1項第15号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲

審理終結日 2007-09-06 
結審通知日 2007-09-14 
審決日 2007-10-03 
出願番号 商願2005-56875(T2005-56875) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Y43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 寺光 幸子
手塚 義明
商標の称呼 キャベジン 
代理人 久保 司 

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