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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y4344
管理番号 1168990 
審判番号 不服2005-23190 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-12-01 
確定日 2007-11-21 
事件の表示 商願2005- 34896拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ハイパー銭湯」「HYPER銭湯」「はいぱー銭湯」の各文字を上下3段に普通に用いられる方法で書してなり、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,老人の養護,動物の宿泊施設の提供,カーテンの貸与,会議室の貸与,家具の貸与,加熱器の貸与,壁掛けの貸与,敷物の貸与,タオルの貸与,調理台の貸与,展示施設の貸与,流し台の貸与,布団の貸与」及び、第44類「美容,理容,入浴施設の提供」を指定役務として、平成17年4月19日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、より優れた銭湯の意で入浴施設の提供において役務の質の表示として一般に使用されているスーパー銭湯よりも優れた銭湯の意を認識される『ハイパー銭湯』『HYPER銭湯』『はいぱー銭湯』の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これを本願の指定役務中『入浴施設の提供』に使用するときは、単に役務の質について普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、上記1のとおり「ハイパー銭湯」「HYPER銭湯」「はいぱー銭湯」の各文字を上下3段に書してなるところ、これよりは「ハイパー」「HYPER」及び「はいぱー」の文字と「銭湯」の文字とを結合したものと容易に認識されるものである。そして、その構成中「ハイパー」「HYPER」の語は「『過度の』『超越した』の意。『スーパー』よりもさらに強い意味で用いる。」を意味する英語由来の外来語であり(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)、また、「はいぱー」の文字は、それをひらがな表記したものと看取されるものである。同じく、その構成中、「銭湯」の文字は、「料金を取って入浴させる公衆浴場。ふろや。湯屋。」を意味する語としてよく知られているものである(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)。
そうしてみると、本願商標からは、全体として「超越したふろや」程度の意味合いを取引者・需要者に容易に看取させるものである。
(2)ところで、入浴施設の提供に係る業界では、「スーパー銭湯」が、 本来の銭湯の他に外食などの各種施設及び店舗がある公衆浴場を指称するものとして一般によく知られている。このことは、以下のインターネット情報や雑誌からも窺える。
(ア)http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%91%E3%83%BC%E9%8A%AD%E6%B9%AF
「フリー百科事典『ウィキペディア』」のホームページに、「スーパー銭湯」の見出しの下、「スーパー銭湯(スーパーせんとう)は、日本における公衆浴場の一形態。本来の銭湯の他に外食などの各種施設及び店舗がある公衆浴場を指す。」・・・「定義と特徴」の項には、「・駐車場を確保して、自動車での来店を想定」 「・上記に関連して、郊外の基幹道路沿いに出店 」「・内湯のみでなく、ジャグジー、サウナ、露天風呂等の設備がある」「・食事スペースや休憩場所がある」「・理髪店・マッサージ店との提携 」「・営業時間が長く、早朝・午前中(朝8時?10時)から深夜0?1時頃まで営業をしている」「・年中無休か休業日が少ない 」と掲載されている。
(イ)「財界 10月5日号」(2004年10月5日 株式会社財界研究所発行)
「スーパー銭湯のパイオニア全国展開する『極楽湯』ブランドで総合温浴業界をリード・・自然堂」の見出しの下、「・・これまでの『銭湯』にとって代わり台頭しているのが、様々なお風呂や天然温泉、露天風呂、マッサージから食事処を一カ所に集めた総合温浴施設『スーパー銭湯』だ。」と掲載されている。
(ウ)「ダカーポ」(2005年10月5日 株式会社マガジンハウス発行)41頁
「 一体なぜ?電力会社がいま、スーパー銭湯開業に熱中するワケ」の見出しの下、「7月末、中部電力グループはサウナや露天風呂、飲食店などを備えた複合レジャー施設『スーパー銭湯』を、来年4月末を目標に開業すると発表した。・・・」また、その下段に「中部電力以外の電力会社系スーパー銭湯」として「東京電力/極楽湯」「九州電力/湯あみの郷」「中国電力/ほの湯」「北海道電力/湯処花ゆづき(予定)」の紹介記事が掲載されている。
(3)さらに、「ハイパー」「HYPER」の語は、前記したとおり、「過度の」「超越した」等を意味し、また、「スーパー」よりもさらに強い意味を有するものとして、例えば、「ハイパー繊維」「ハイパーインフレ」「ハイパーソニック」「ハイパーマーケット」「ハイパーテキスト」「ハイパ-ストレッチ」「ハイパーガレージセール」等のように、各種の辞典や雑誌に、種々の用語の接頭語として使用されているものである。
(ア)「カタカナ・外来語/略語 辞典 全訂版」( 2006年4月10日 株式会社自由国民社発行)475頁
「ハイパー繊維」の項に、「繊維をどんどん細くしていくと新しい機能が生まれる。スーパー繊維が強度を追求するのに対して、新しい機能を持つ繊維をハイパー繊維とよぶ。」と記載されている。
(イ)「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」( 2005年10月20日 株式会社三省堂発行)777頁及び778頁
ア「ハイパーインフレ」は、「超インフレ.極度のインフレ.」と記 載されている。
イ「ハイパーソニック」は、「極超音速。ふつう、音速の5倍以上を さす。」と記載されている。なお、その項に矢印で示されている「 スーパーソニック」の文字は、「超音速」を意味する旨、同辞典の 535頁に記載されている。
ウ「ハイパーマーケット」は、「スーパーマーケットの特に大規模な もの。」と記載されている。
(ウ)「広辞苑第五版」(株式会社岩波書店発行)2115頁
「ハイパーテキスト」は、「(一次元の文書構造を超える意) 文字・図形・画像・音声・プログラムなど、一まとまりの情報をネットワーク状につなぎ、種々の操作ができるようにしたコンピューター上の文書構造。電子辞書・マルチメディア‐データベース・文章作成システムなどに応用される。」と記載されている。
(エ)「週刊女性」(2005年10月18日 株式会社主婦と生活社発行)63頁及び64頁
「ハイパーストレッチで簡単やせBODY!」の見出しの下、「超カンタンなストレッチであっという間に部分やせが実現する、魔法のエクササイズがハイパーストレッチ。・・」 と掲載されている。
(オ)「メンズノンノ12月号」(平成17年12月1日 株式会社集英社発行)157頁
「あの人も、あのショップも、あのブランドも、超太っ腹で大放出111点
!誌上チャリティ・ハイパーガレージセール」の見出しの下、「あの俳優、モデル、スタイリストが!超人気のショップ&ブランドも!!愛用品やサンプル品など、レアなアイテムを、ドドーンと提供しちゃうガレージセール企画・・・」と掲載されている。
(4)また、以下のように、実際に「ハイパー銭湯」の文字を入浴施設の提供に係る役務の質を表示するものとして使用している事実がある。
http://www.news2u.net/NRR20032468.html
インターネットによる広告を行う「News2unet」(ニュース・ツー・ユー・ネット)による株式会社ジャパンニューアルファの広告に「サウナで雪が!?ハイパー銭湯 湯花楽(ゆからく)、日本初登場の施設を導入しリニューアルオープン」の見出しのもとに「ハイパー銭湯『湯花楽』」が紹介され、【ハイパー銭湯とは】の項に「スーパー銭湯を利用される方々から共通して生まれる不便さ・不満さを解消するサービスをも付加した、既存のスーパー銭湯とはサービスの異なる新しい入浴スタイルを持った温浴施設を指します。(自社定義)」と掲載されている。
(5)以上のとおり、入浴施設の提供に係る業界において、従来の入浴中心のサービスだけでなく、飲食などの提供等の各種サービスを付加したサービスが行われ、このような入浴施設が「スーパー銭湯」と称され、さらに、スーパー銭湯の不便、不満を解消するための、新たなサービスの付加が進められているところである。また、「ハイパー」「HYPER」が「過度の」「超越した」等を意味する語として知られていることからすると、「ハイパー銭湯」「HYPER銭湯」「はいぱー銭湯」の各文字からなる本願商標を、その指定役務中「入浴施設の提供」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、「各種サービスが付加され、また、従来のスーパー銭湯よりも優れたサービスを提供する入浴施設の提供」であるという、役務の質を誇称表示したものと理解、認識するにとどまるというべきであり、自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
(6)請求人の主張について
請求人は、「ハイパーホテル」(登録第4501098号商標)、「スーパーホテル」(登録第4332974号商標)、「SUPER RESORT EXPRESS」(登録第3360685号商標)、「温泉スーパーリゾート」(登録第4495119号商標)、「ハイパーリゾート/HYPER RESORT」(登録第4973075号商標)、「HyperFinder」(登録第4059076号商標)、「ハイパーフォト/HyperPhoto」(登録第4210952号商標)、「Hyper office」(登録第4279362号商標)、「Hyper Cross」(登録第4427365号商標)、「Hyper gate」(登録第4520798号商標)、「HYPERPOST」(登録第4638233号商標)、「ハイパーケア」(登録第4645239号商標)、「HyperMirror」(登録第4662766号商標)、「HiperRestaurant/はいぱーれすとらん」(登録第4867677号商標)が登録されているから、本願商標についても同様に判断するべき旨主張している。
しかしながら、商標法第3条第1項第3号の該当性は、出願された商標の構成態様と当該指定商品又は指定役務に基づき、とりわけ、その取引者・需要者を基準に個別具体的に判断されるべきである。そして、本件は、「ハイパー銭湯」「HYPER銭湯」「はいぱー銭湯」からなる本願商標について、本願指定役務中の「入浴施設の提供」に係る取引者、需要者をもとに、前記のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものと判断したものである。
しかるに、請求人の挙げる登録例は、その多くは、「入浴施設の提供」を指定役務とするものではなく、また、「入浴施設の提供」を指定役務としているものについても、その構成態様は、本願商標と異にするものであるから、本願商標は、前記登録例の存在をもって、入浴施設の提供に係る業界における前記実情が否定されるものでなく、また、その実情に基づいた前記認定が左右されるものでもない。
また、請求人は、「『ハイパーホテル』なる登録商標の所有者(なお、「ハイパーリゾート/HYPER RESORT」(登録第4973075号商標)も所有)が同一の指定役務において出願した『ハイパー銭湯/HYPER銭湯/はいぱー銭湯』の登録が否定されるとなると、第三者が当該商標を使用する蓋然性が極めて高くなり、入浴施設を含めて登録され周知となっている「ハイパーホテル」の提供者と同一のサービスであるかのように混同されることは明らかであり、このことは商標法の立法趣旨に反することとなる。」と主張しているが、本願商標は、前記のとおり、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできず、かつ、自他役務の識別力を有しないものとして本願商標を拒絶をすることは、何ら商標法の立法趣旨に反するものではない。
したがって、前記請求人の主張はいずれも理由がない。
(7)まとめ
以上のとおり、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-07-11 
結審通知日 2007-09-07 
審決日 2007-09-26 
出願番号 商願2005-34896(T2005-34896) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y4344)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 寺光 幸子
小川きみえ
商標の称呼 ハイパーセントー、ハイパー 
代理人 伊藤 哲夫 

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