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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y03
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y03
管理番号 1168875 
審判番号 不服2006-10529 
総通号数 97 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2008-01-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-23 
確定日 2007-11-14 
事件の表示 商願2005-20842拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「ドクターズセレクション」の文字を標準文字で書してなり、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜きベンジン,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,塗料用剥離剤,靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類,研磨紙,研磨布,研磨用砂,人造軽石,つや出し紙,つや出し布,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、平成17年3月10日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『医師の選択』の意味を認識させるにとどまる『ドクターズセレクション』の文字を書してなるところ、近時、健康志向が高まる中、香粧品を取り扱う業界においても、医師が研究開発した商品や医師の管理のもと精油を医薬品のように治療に役立てる商品が多数製造・販売されている実情にあることを考慮すると、これをその指定商品中、例えば『せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類』等について使用するときは、単に『医師が選んだ(すなわち医学的効能を有する)商品』であるという商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり、「ドクターズセレクション」の文字よりなるところ、我が国の一般国民の通常の外国語の理解力に照らすと、その構成文字は、英語の「doctor’s selection」を片仮名文字で表したものと容易に理解できるものであって、「doctor」(ドクター)が「医師。医者。」を、「-’S」(ズ)が名詞の所有格語尾である「…の」を、「selection」(セレクション)が「選択」をそれぞれ意味する語であることも、広く知られているといえるものであるから、その構成全体からは、原審説示のとおり、「医師の選択」程の意味合いを容易に認識させるものということができる。
(2)そして、近時、健康志向が高まる中、香粧品を取り扱う業界においても、医師が研究・開発した商品であることや、医師が選び推奨する商品であることなどをうたい文句にして、商品の品質や信頼性がより高いものであることを宣伝広告する商品が数多く販売されているというのが実情であって、このことは、例えば、以下のア?ケの刊行物、新聞記事情報及びインターネット情報によっても裏付けられるところである。
ア 「現代用語の基礎知識2007」(自由国民社、2007年1月1日発行、1287頁)には、「ドクターズコスメ/メディカルコスメ」の項に、「皮膚科医が研究・開発した化粧品。トラブル肌の増加にともない、より高い効き目をもつ化粧品が求められている。そこで、敏感肌でも安心して使え、ニキビ、シミ、たるみなどに効果のあるスキンケア化粧品を開発。クリニックの患者のほか、一般にも販売し、『医師のお墨付き』という安心感もあって使用者が増加している。」との記載がある。
イ 2003年7月4日付け朝日新聞(東京朝刊 21頁)には、「百花競う化粧品市場 ロングセラーの再評価も」の見出しの下、「○医師『お墨付き』」の小見出しの下に「『ニキビが出来やすい』『アレルギー体質』といった理由で、自分を敏感肌だと思っている人が、年々増えている。紫外線やストレスとの関係も指摘され、女性の7割が『敏感肌』と自覚しているとの統計もある。敏感肌市場は広がり続け、いまや化粧品と医薬部外品とあわせて800億円規模と試算される。美容ライターのもりたじゅんこさんによると、『無添加』や『自然派』をうたった製品が国内で本格的に流通し始めたのは95年ごろから。3、4年前からは、企画や成分の決定に医師がかかわるスキンケア製品を店頭で販売する『ドクターズコスメ』が注目され、新ブランドが続々発売されている。『悩んでいるから皮膚科医らのお墨付きに希望を抱くのでは』と、もりたさん。・・・」との記載がある。
ウ 2005年7月13日付け産経新聞(大阪夕刊 5頁)には、「【これが流行 これが人気】ドクターズコスメ 専門医も参加で安心感」の見出しの下、「女性用化粧品で、皮膚科などの医師が開発に携わった『ドクターズコスメ』が人気だ。さまざまな化粧品を使っているうちに肌荒れする女性が増え、信頼度が高く肌に優しい基礎化粧品の需要が高まっているからだ。・・・肌に優しいことを売り物にした化粧品は一般にも多いが、ドクターズコスメは名前の通り、開発過程に“健康の専門家”がかかわっていて、安心感があるのが最大の特徴だ。・・・」との記載がある。
エ 「コスメ」と題するウェブページ(http://www.chuoh-clinic-kagoshima.com/center000/cosme/cosme.html)には、「Dr.sオススメコスメ」及び「■ 当院のドクターが選んだオススメのコスメ No'1」との記載がある。
オ 「あづさ皮膚科クリニック ドクターズコスメ」と題するウェブページ(http://www.sbc-n.com/contents/doctors_cosme/dc.html)には、「あづさ皮膚科クリニックのドクターが厳選した、各種お肌のトラブルに対し有効な成分を含有する基礎化粧品などを集めてみました。当サイトではこれらのドクターズ・コスメの通信販売のご注文を受け付けています。」との記載がある。
カ 「アロマ:通販:ロート製薬オンラインショップ」と題するウェブページ(http://www.shop.rohto.co.jp/shop/category/category.aspx?category=10)には、「ブレンドオイル(ドクターズレシピ)」の見出しの下、「ドクターが選んだ最適ブレンドアロマを4種類ご用意しました。お好みのブレンドをお気軽にお楽しみください。」との記載がある。
キ 「アメニティ ビューティラボ ‐amenity beauty labo.‐」と題するウェブページ(http://www.rakuten.ne.jp/gold/amenity-b/dentalcare.html)には、「歯ブラシ」や「はみがき剤」等のデンタルケア商品について、「毎日のお手入れについて」の見出しの下、「健康で美しい歯を保つためには毎日のお手入れがとても大切です。毎日のケアに役立つアイテムや、それぞれのお悩みに合わせたものまで取り揃えました。すべて、歯科医院で取り扱っているものばかりです。ドクターが選んだ商品をあなたのもとへお届けします。」との記載がある。
ク 「‐あいけんドットねっと ‐デンタルリンスジェル〈45g/45g×2個〉1780円/3180円」と題するウェブページ(http://www.ai-ken.net/nichiyou/hamigaki/dental.shtml)には、商品「デンタルリンスジェル」について、「全国400以上の歯科医院が本気で薦める!!」、「歯科医師が本気で薦める『抜歯防止対策』!!」及び「全国400以上の歯科医院で歯周病対策治療の一つとして取り入れられており、研磨剤、サッカリン、パラベン等を配合しない全ての人にやさしい商品です」との記載がある。
ケ 「医師がすすめるカリウム石けんピュアポタッシュ」と題するウェブページ(http://www.ongakujin.jp/pure_po.html)には、「・・・ピュアポタッシュカリウムソープは30余年の基礎研究を元に、アレルギー専門医の協力を得てつくられたスキンケアのためのカリウム石けんです。肌が乾燥しやすい冬場や、日焼けの後のダメージを受けた肌に、また、敏感肌、乾燥肌、アトピー性皮膚炎、老人性掻痒症などでお悩みの方に、医師が推奨するカリウム石けんを是非お試しください。・・・」との記載がある。
(3)そうすると、全体として「医師の選択」程の意味合いを容易に認識させる本願商標「ドクターズセレクション」を、その指定商品中、少なくとも「化粧品,香料類,歯磨き,せっけん類」に使用する場合には、これに接する取引者・需要者は、その商品を「医師が選択した商品」であると理解し、そのことから、その商品は、医師の専門的知識や経験に基づいて選択された高品質の信頼性が高いものという認識が生ずるということができるから、単に商品の品質を表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識し得ないものというのが相当である。また、本願商標を、医師が選択した商品以外の前記各商品に使用するときは、これに接する取引者・需要者に、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものというべきである。
(4)請求人は、商標の構成中に「ドクター(DOCTOR)」や「セレクション(SELECTION)」等の語をそれぞれ含む過去の登録例を挙げて、審査の安定や審査の衡平性等の観点から、本願商標の識別力の判断にあたっても、それら過去の登録例と判断を一にすべきである旨主張する。
しかし、請求人の挙げる過去の登録例は、「ドクターズ(doctor’s」と「セレクション(selection)」との組み合わせからなる商標についてのものでない以上、判断対象たる商標から生ずる観念を異にする点で本願商標とは事案を異にするものであり、また、登録出願に係る商標が商標法第3条第1項第3号等に該当するか否かは、当該商標の査定時又は審決時において、指定商品の取引の実情等を考慮し、個別具体的に判断されるべきものであるから、それら過去の登録例をもって本願商標の登録の適否についての判断基準とするのは必ずしも適切でない。
したがって、請求人の上記主張は、採用することができない。
(5)以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2007-09-10 
結審通知日 2007-09-18 
審決日 2007-10-01 
出願番号 商願2005-20842(T2005-20842) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y03)
T 1 8・ 13- Z (Y03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 杉山 和江 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 田村 正明
岡田 美加
商標の称呼 ドクターズセレクション 
代理人 網野 友康 

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