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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を取消(申立全部取消) Y32 |
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管理番号 | 1167843 |
異議申立番号 | 異議2006-90589 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2006-11-16 |
確定日 | 2007-10-05 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第4979682号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第4979682号商標の商標登録を取り消す。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4979682号商標(以下「本件商標」という。)は、「白州山紫水明」の文字を標準文字で書してなり、平成17年12月13日に登録出願、第32類「ビール,清涼飲料,果実飲料,飲料用野菜ジュース,乳清飲料,ビール製造用ホップエキス」を指定商品として、同18年8月18日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同第11号に該当すると主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第36号証を提出した。 (1)商標法第4条第1項第15号該当 本件指定商品の分野において、ウイスキーに使用する「白州」の商標(以下「引用商標」という。)は、申立人の商標として広く一般に知られている(甲第5号証ないし同第32号証)から、この引用商標と同一の文字を語頭部に有する本件商標がその指定商品に使用された場合には、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。 (2)商標法第4条第1項第11号該当 本件商標は、その指定商品の分野において需要者の間に広く認識されている申立人の「白州」及び「HAKUSHU」の文字を上下二段に横書きしてなり、昭和62年10月15日に登録出願、第28類「酒類」を指定商品として、平成2年7月30日に設定登録された登録第2253929号商標と実質的に同一の商標「白州」を語頭部に有するものであり、「ハクシュウ」の称呼を共通にするものであるから、上記登録商標に類似する。 また、本件商標は、その構成中「山紫水明」の文字部分が「白州」の文字と分離独立して認識され「サンシスイメイ」と略称される可能性があり、この「山紫水明」の文字及び「サンシスイメイ」の称呼において申立人の「山紫水明」の文字を標準文字で書してなり、平成16年9月30日に登録出願、第33類 「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同17年4月8日に設定登録された登録第4854983号商標に類似する。 なお、本件商標は、上記各登録商標の指定商品に含まれる商品を指定商品とするものである。 3 取消理由の要旨 当審は、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成19年6月1日付けで通知した商標登録の取消しの理由の要旨は、次のとおりである。 (1)申立人が提出する甲各号証によれば、以下の事実が認められる。 ア 申立人のホームページ[写し](甲第2号証)には、冒頭及び2頁以下に、商品ウイスキーが掲載され、そのラベルには引用商標である「白州」の文字が縦書きされている。なお、前記「白州」の下には、小さく「“はくしゅう”」との表示がある。 また、記事中には、「1994年、シングルモルト“白州”誕生。」の表題の下、「白州蒸溜所で生まれた多彩な個性のモルト原酒は、森の奥の静かな貯蔵庫で熟成を重ねています。その数、約数十万樽。そんな膨大な数のモルト原酒のなかから、理想とするモルト原酒のみを厳選し、1994年、遂にシングルモルト“白州”は誕生しました。」と掲載されている。 イ 「世界酒大事典(1995年(平成7年)8月1日柴田書店発行)」(甲第5号証)の331頁に、「はくしゅう 白州」として、「国産ウイスキーの商品名。サントリー製のピュア・モルト・ウイスキーで、12年物である。」との記載と、ラベルに「白州」の表示がある商品ウイスキーの写真が掲載されている。 ウ 「世界の名酒事典’95(平成6年11月30日講談社発行)」(甲第6号証)の84頁に、「『ピュアモルト白州12年』は、サントリー第3の蒸留所である白州東蒸留所のモルトのみ使用した、フルーティーで香ばしい重厚なタイプで平成6年に発売。」との記載と、ラベルに「白州」の文字を表示した商品ウイスキーの写真が掲載されている。 そして、平成7年から平成17年に至る間、毎年、講談社より発行された「世界の名酒事典」の全部に、「白州」に関する前記同様の趣旨の記載と、商品ウイスキーの写真が掲載されている(甲第7号証ないし同第17号証)。 エ 株式会社日本デイリー通信社作成に係る「サントリーウイスキー『白州』広告出稿調査報告(2001年1月?2006年9月)」(甲第21号証)によれば、上記期間の新聞126紙、雑誌395誌を対象とした調査において、2001年には、新聞で101.5段分、雑誌で8頁分に当たる量の広告出稿があり、2002年には、新聞で52.5段分、雑誌で10頁分というように、前記全期間の合計で、新聞で284段分、雑誌で94.16頁分の広告出稿をしたことが認められる。その媒体としては、日本経済、毎日、読売、朝日、産経の各新聞、週刊現代、週刊文春、週刊ポスト、週刊新潮、サライ、Domani、Tokyo Walker、BRUTUS等の雑誌であることが認められる。 そして、それぞれの表現事例には、ラベルに「白州」の文字を表示した商品ウイスキーの写真が掲載されている。 オ 1994年2月18日付の朝日新聞(甲第22号証)、毎日新聞(甲第23号証)、産経新聞(甲第24号証)、日刊工業新聞(甲第25号証)及び同月22日付読売新聞(甲第26号証)には、概ね「サントリーは、ウイスキー造(作)り70周年を記念したピュアモルトウイスキー「白州(はくしゅう)」を、5月上旬から発売する。」との記事が掲載されている。 カ 2000年6月7日付の日経産業新聞(甲第27号証)及び同年同月10日付の山梨日日新聞(甲第28号証)には、「白州12年」がリニューアルして全国発売されるとの記事が、ラベルに「白州」の文字を表示した商品ウイスキーの写真とともに掲載されている。 キ 2006年2月12日付の日経流通新聞(甲第31号証)には、「シングルモルトウイスキー『白州』の新たなプレミアム商品として、貯蔵期間が18年を超える原酒を使った長期熟成のシングルモルト『白州18年』を3月7日、全国で発売する。」との記事が、ラベルに「白州」の文字を表示した商品ウイスキーの写真とともに掲載されている。 また、2006年7月3日付の日本食糧新聞(甲第32号証)には、前記「白州18年」が世界的な酒類国際コンペティション「第11回インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ06」(ISC)で金賞を獲得したとの記事が、ラベルに「白州」の文字を表示した商品ウイスキーの写真とともに掲載されている。 ク 以上を総合すれば、引用商標は、平成6年5月に販売を開始して以降、継続して申立人によって商品ウイスキーに使用され宣伝広告された結果、本件商標の登録(査定)時はもとよりその出願時には、既にその需要者の間において広く認識され周知な商標となっていたと認められるものである。 (3)そこで、本件商標と引用商標との類否についてみるに、引用商標は、「白州」と「はくしゅう」の文字を表してなるところ、その構成文字から「ハクシュウ」の称呼及び「白州(しらす)」の観念を生ずるものである。 これに対して、本件商標は、「白州山紫水明」の文字からなるところ、辞典類によれば、「白州」の文字は、「川の中などにできた白い砂の州。しらす。」を意味する既成の語であり、また、「山紫水明」の文字は、「山は紫がかった色で、水は清らかである。山や川のけしきの美しいこと。」を意味する熟語であって、一般に知られている語の一つということができるものである(甲第33号証、甲第34号証)。 そうすると、本件商標は、前記の「白州」「山紫水明」の両語を結合してなるものと容易に看取されるものである。そして、両語を結合した「白州山紫水明」は、同じ書体で一連に表されているものではあるが、全体として特定の観念を有する語とも認められず、これが常に不可分一体のものとしてのみ看取されるとしなければならない特段の理由は見いだせない。 しかして、本件商標は、語頭部に位置し観念上もまとまりのある「白州」の文字部分に着目して、取引に資される場合も決して少なくないとみるのが相当である。そして、当該文字部分は、前記の周知な引用商標の構成文字「白州」と一致し、当該文字部分に相応する称呼「ハクシュウ」及び「白州(しらす)」の観念を共通にするものである。 してみると、本件商標は、引用商標をその語頭部に含むというべきものであるから、引用商標とは類似の程度が決して低いものということはできない。 (4)次に、本件商標の指定商品と引用商標の使用商品との関係についてみるに、本件商標の指定商品中ビールは、引用商標の使用商品ウイスキーと、用途、用法、流通経路、生産者を共通にすることがある類似の商品であり、その余の指定商品とは、近年、酒類メーカー各社が清涼飲料、果実飲料等をも製造、販売しているのが実情であることから、生産者も共通にすることがあるばかりでなく、両者は、ともに飲料の類であり、また、販売コーナーも同じ、又は近接した場所であることの多いものであって、生産者、用途、販売場所等の関係からみても、関連性の程度が極めて高いものといえる。 また、両者の需要者も共通にすることがあるものというべきである。 (5)しかして、上記した引用商標の周知性の程度、本件商標と引用商標との間の類似性の程度、両商標が使用される商品の関連性及び需要者の共通性等を総合勘案すれば、本件商標の登録(査定)時はもとよりその出願時において、本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接する需要者が語頭部の「白州」から引用商標を想起し連想して、当該商品を申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く誤信し、その出所について混同するおそれがあったと判断されるものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 4 商標権者の意見 上記3の取消理由の通知に対し、商標権者からは、何らの応答もない。 5 当審の判断 本件商標は、上記3のとおりの取消理由があるものと認められるので、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであって、同法第43条の3第2項の規定に基づき、取り消すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2007-08-21 |
出願番号 | 商願2005-116670(T2005-116670) |
審決分類 |
T
1
651・
271-
Z
(Y32)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 平松 和雄 |
特許庁審判長 |
田代 茂夫 |
特許庁審判官 |
伊藤 三男 岩崎 良子 |
登録日 | 2006-08-18 |
登録番号 | 商標登録第4979682号(T4979682) |
権利者 | 株式会社シャトレーゼ |
商標の称呼 | ハクシューサンシスイメー、サンシスイメー |
代理人 | 田中 克郎 |
代理人 | 稲葉 良幸 |
代理人 | 伊藤 将夫 |
代理人 | 中村 勝彦 |
代理人 | 石田 良子 |