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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 Y05 審判 全部申立て 登録を維持 Y05 |
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管理番号 | 1167828 |
異議申立番号 | 異議2007-900084 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2007-02-19 |
確定日 | 2007-11-14 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5003723号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5003723号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5003723号商標(以下「本件商標」という。)は、平成17年3月1日に登録出願、「METRIX」の欧文字を標準文字で表してなり、第5類「インスリン非依存性糖尿病治療用の内服薬,その他の薬剤」を指定商品として、同18年11月17日に設定登録されたものである。 2 引用商標 登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第3265175号商標(以下「引用商標」という。)は、平成6年5月27日に登録出願、「MET‐RX」の欧文字を横書きしてなり、第29類「乳たんぱく・炭水化物・ビタミン・ミネラルを含む粉末状・スティック状・錠剤状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品」を指定商品として、同9年2月24日に設定登録され、同19年1月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされたものである。 3 登録異議の申立ての理由の要点 (1)商標法第4条第1項第11号について (ア)本件商標について 本件商標は、標準文字で「METRIX」と書してなるもので、その構成より「メトリックス」の称呼が生ずる。そして、本件商標は、第5類「インスリン非依存性糖尿病治療用の内服薬,その他の薬剤」を指定商品とするものである。 (イ)引用商標について 引用商標は、欧文字の「MET」と「RX」とを小さなハイフンで連結し「MET‐RX」と一連一体に書してなるもので、その構成より「メトリックス」又は「メトレックス」の称呼が生ずる。そして、引用商標は、第29類の「乳たんぱく・炭水化物・ビタミン・ミネラルを含む粉末状・スティック状・錠剤状・顆粒状・カプセル状・液状の加工食品」を指定商品とするものである。 (ウ)商標の類似性 本件商標より生ずる「メトリックス」の称呼と、引用商標より生じ得る称呼のうち「メトレックス」とを比較すると、これらの称呼はいずれも6音構成よりなり、そのうち5音を共通にし、僅かに第3音目に差異を有するのみである。 そして、当該差異音は、いずれも「ラ」の同行音で、舌面を硬口蓋に近づけ、舌の先で上歯茎を弾くようにして発音する有声子音「r」と、本件商標は母音「i」、引用商標は母音「e」の結合した子音共通の音節であるばかりでなく、その母音の「i」と「e」は、調音方法が近い音声であることから、近似した音として聴取されるものである。 してみると、両称呼における当該差異音が、称呼全体に及ぼす影響は決して大きいものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼するときは、その語調、語感が極めて近似したものとなり、互いに聞き誤るおそれがあるものである。 してみれば、共に造語と認められる本件商標と引用商標は、外観において特徴的な差異を有せず、称呼において類似するものであることから、両商標は、類似するものである。 (エ)指定商品の類似性 本件商標と引用商標の指定商品の類否について検討してみるに、以下のとおり、両者は生産販売部門、原材料及び品質、用途、需要者の範囲等を総合的に考慮すると実質的に類似するものである。 引用商標の指定商品は、一般に「サプリメント」と呼ばれているものである。サプリメントは「ビタミン、ミネラル、ハーブ、アミノ酸のいずれかを含み、通常の食事を補うことを目的とするあらゆる製品(たばこを除く)」(「栄養補助食品健康教育法(DSHEA)」,米,1994)と定義付けされている。 日本の特許庁では、現状、サプリメントは医薬品と区別して第29類に分類しているが、例えば、ビタミン類を主原料とするものについて電子図書館の商品・役務名リストを見てみると、「総合ビタミン剤」、「ビタミン剤用のカプセル」、「錠剤型ビタミン剤」などは医薬品として第5類に分類し、同じ形状のものでも「ビタミンを主原料とする錠剤状・カプセル状の加工食品」のように末尾が「?の加工食品」となっているものは第29類に分類して両者を一応区別しているものの、その原材料、品質及び用途において両者の境界は必ずしも明確ではなく、少なくとも医師、薬剤師等の保健専門家ではない一般の需要者、取引者が、商品を前にして峻別しうるものではない。 さらに、最近では製薬会社でもサプリメントを製造するようになり、薬局などには必ずといっていいほどサプリメント専用コーナーが設けられるようになり、需要者、取引者は、薬剤師等の助言を受けながら、良質なサプリメントを入手できるようになった。(甲第4号証及び甲第10号証ないし甲第12号証) 以上のとおり、本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、共に広義の医薬品の範疇に属するものとして病院、薬局等でも入手できることが多く、これらの商品の需要者、取引者が前者においてはもちろん、後者においても多くは健康に対する懸念又は関心をもつ者であることは顕著な事実であり、この事実に同一製造業者が両商品を製造することがみられる点を併せ考えると、引用商用と前示のとおり称呼において類似する本件商標をその指定商品に使用するときは、引用商標の前記指定商品の製造、販売元がこれを製造、販売しているか、又は取扱っているかのような印象を一般に与え、商品の出所を混同させるおそれがあることは明らかであるから、両商品は類似するものというべきである。 (オ)むすび 以上のとおり、本件商標は、引用商標と称呼において類似する商標であり、また、その指定商品も類似するものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、その登録は取り消されるべきものである。 (2)商標法第4条第1項第15号について 申立人は、本場アメリカにおいて、サプリメントの分野における先駆けとして、引用商標「MET‐RX」を広く使用し今日に至っている。(甲第14号証ないし甲第19号証) 以上のとおり、インターネットのサプリメントに関するサイトにおいて、申立人に係る商品「MET‐RX」がベストセラー商品として大々的に宣伝されていることからすると、健康に対する懸念又は関心をもって、インターネットを通じて、あるいは、薬局等でじかに医薬品又はサプリメントを求める取引者、需要者間では、申立人に係る引用商標は周知・著名のものと考えられる。 そうであるならば、本件商標の出願時及び査定時において、本件商標が付された商品が流通した場合、需要者、取引者は、「MET‐RXシリーズの一商品である」と誤認し、その商品の出所について混同を生ずるおそれが高いことは明らかである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであり、その登録は取り消されるべきものである。 (3)結論 以上述べたとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の2第1号により取り消されるべきものである。 4 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号について 本件商標は、「METRIX」の欧文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して「メトリックス」の称呼を生ずるものである。そして、該文字は特定の語義を有しないものであるから、一種の造語として認識されるものである。 一方、引用商標は、「MET‐RX」の欧文字を書してなるところ、該文字は特定の語義を有しないものであるから、一種の造語として認識されるものである。 ところで、申立人は、「引用商標からは『メトリックス』又は『メトレックス』の称呼が生ずるから、本件商標と引用商標とが称呼上類似する。」旨主張しているが、引用商標から「メトリックス」の称呼を生ずることの裏付けとなる証拠はみあたらない。 さらに、引用商標から「メトレックス」の称呼を生ずる裏付けとなる証拠についてみるに、引用商標の周知・著名性を立証するものとして申立人から提出された証拠は、甲第14号証ないし甲第19号証の6件のみと少なく、かつ、その殆どが日付が不明なものであるか、あるいは本件商標の出願後の検索によるインターネットの商品情報の写しと認められるものであり、ほかに周知・著名性を立証する証拠の添付はないから、上記証拠によって、本件商標の出願前及び登録時に、我が国の取引者、需要者の間において、引用商標が、申立人の商品を表示する商標または「メトレックス」の称呼を生ずる商標として、既に周知、著名となっていたと認めることはできない。 そうすると、たとえ、上記証拠中に引用商標とともに「メトレックス」の片仮名文字が掲載されている事例が見受けられるとしても、引用商標が「メトレックス」の称呼をもって、取引者、需要者に認識されているとはいえないから、申立人が主張したように引用商標から「メトレックス」の称呼を生ずると認めることはできない。 してみれば、引用商標から「メトリックス」又は「メトレックス」の称呼が生ずるとして本件商標と引用商標とが類似するとの申立人の上記主張は採用できない。 そして、一般に読みが特定できない造語よりなる商標の場合には、わが国で一般に親しまれている英語風読みをもって称呼されるとみるのが自然である。 さらに、我が国における英語教育の状況等にかんがみれば、引用商標にあっても自己の有する英語の知識に従って、当該文字の配列となるべく似たような文字の配列からなる英単語を探し出し、称呼を特定する場合が多いというべきであるから、引用商標は、「メットアールエックス」の称呼を生ずるものとみるのが相当である。 そこで、本件商標から生ずる「メトリックス」の称呼と引用商標から生ずる「メットアールエックス」の称呼とを比較すると、両者は、その音構成が明らかに相違するから、それぞれを一連に称呼するときは、全体の語感・語調が異なったものとなり、互いに聞き誤るおそれはないものといわなければならない。 また、本件商標と引用商標は、それぞれ前記の構成に照らし、外観上区別し得るものであり、さらに、いずれも造語よりなるものであるから、両者を観念において比較することはできない。 してみれば、本件商標と引用商標は、それぞれの指定商品の類否について判断するまでもなく、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても非類似の商標といわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号について 前記(1)で認定、判断したとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標というべきものであるばかりでなく、引用商標が周知、著名となっていたと認められないから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者・需要者をして、引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)むすび 上記(1)及び(2)のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2007-10-29 |
出願番号 | 商願2005-17299(T2005-17299) |
審決分類 |
T
1
651・
262-
Y
(Y05)
T 1 651・ 271- Y (Y05) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 野口 美代子、酒井 福造 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
津金 純子 小畑 恵一 |
登録日 | 2006-11-17 |
登録番号 | 商標登録第5003723号(T5003723) |
権利者 | ピーティー カルベ ファルマ ティービーケイ |
商標の称呼 | メトリックス |
代理人 | 向江 正幸 |
代理人 | 小山 方宜 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 中村 稔 |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 高崎 真行 |
代理人 | 福島 三雄 |