• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y36
審判 全部申立て  登録を維持 Y36
審判 全部申立て  登録を維持 Y36
審判 全部申立て  登録を維持 Y36
審判 全部申立て  登録を維持 Y36
管理番号 1166184 
異議申立番号 異議2006-90172 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-04-28 
確定日 2007-10-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第4924940号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4924940号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4924940号商標(以下「本件商標」という。)は、「MY BEST ING」の欧文字を標準文字で横書きしてなり、平成17年6月30日に登録出願、第36類「クレジットカードの利用者に代わってする支払い代金の清算,クレジットカード・デビットカードの発行の取次ぎ,資金の貸付,債務の保証,割賦購入のあっせん,プリペイドカードの発行,商品券の発行,ガス料金又は電気料金の徴収の代行,集金の代行及び支払いの取次ぎ,料金収納事務代行,株式市況に関する情報の提供,商品市場における先物取引の受託,保険情報の提供,建物の管理,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,中古自動車の評価,企業の信用に関する調査,税金に関する情報の提供,慈善のための募金,野生生物及び自然環境の保護のための募金,プリペイドカード用精算機の貸与」を指定役務として、同18年1月27日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立の理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は、取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第32号証を提出している。
(1)引用商標
申立人が引用する(1)ないし(15)の登録商標(以下、これらをまとめていうときは、単に「引用商標」という。)及びその指定役務は、別掲に示したとおりであり、いずれも、現に権利が有効に存続しているものである。
(2)甲立人の著名性
申立人アイエヌジー・グループ・エヌ・ヴイ(ING GROEP N.V.)(以下「INGグループ」という。)は、オランダのアムステルダムに本社をもつ法人であり、オランダ大手金融三社の1991年の統合により誕生したものである。
そして、保険、銀行及び資産運用の業務を目的とし、保険業と銀行業が融合した世界初の本格的複合金融コングロマリットとして知られている(甲第17号証、甲第22号証第10頁、甲第23号証第10頁)。
また、INGグループは、先進国はもとより、アジア、アフリカ、中南米、東・中欧などといった新興市場国にも進出し、世界の金融市場で主導的な地位を築いている。
さらに、INGグループは、さまざまな大型企業買収など、ビジネスについての積極的なポートフォリオ戦略の実銭により、規模を拡大している。
以上の結果、INGグループの事業規模は、2002年フォーブス誌「THE GLOBAL 500」(総合ランキング)において、世界第10位の評価を得ており、2002年フォーチュン誌「GLOBAL 5 HUNDRED」生命保険(株式会社)部門では、第1位となっている。
また、2006年フォーブス誌「The World's Biggest Public Companies 」(売上高、純利益、資産、時価総額の総合ランキング)上、世界第11位の評価を得ている。
ところで、わが国におけるINGグループ各社のうち、「アイエヌジー生命保険株式会社(以下「ING生命」という。)」は、日本における「INGグループ」の活動の中心的役割をになっている。そして「ING生命」の株は、「INGグループ」の「アイエヌジー インシュアランス インターナショナル B.V.」が100%保有している。
「ING生命」は、1998年1月21日に日本での営業開始以来12年目で、米国スタンダード&プアーズ(S&P)社より格付け「AA-」を取得して以来、2006年7月25日現在までその格付けは変わらない(甲第17号証及び甲第19号証)。
「ING生命」の提供する保険業務サービスについては、特に「変額年金」サービスが周知であり、このサービスを1999年4月に我が国で初めて取扱いを開始し、現在に至るまで提供し続けている。
以上より、申立人は、その略称「ING」を含めて、本国オランダや日本のみならず、世界的に周知・著名な名称ということができる。
(3)引用商標の著名性
上記のとおり、申立人は、「アイエヌジー・グループ・エヌ・ヴィ(ING GROEP N.V.)」と称するものであり、「アイエヌジー・グループ」若しくは「アイエヌジー」の部分は、その名称の要部となるところである。
また、前述のように、保険業、銀行業の金融業において世界的に周知・著名な事業者であり、そのハウスマークとして、各引用商標は、申立人の世界50か国以上のINGグループにより使用されている。
したがって、INGグループの周知・著名性に比例して、各引用商標は、世界的に周知・著名な商標といえる。
わが国においては、上述した「アイエヌジー生命保険株式会社」、「アイエヌジー投信株式会社」などが、引用商標の一部を従前より現在に至るまで、使用している。
たとえば、「INGグループ」、「ING生命」及びこれらの提供するサービスに関する宣伝広告が本件商標の登録出願日以前より、新聞、雑誌等に数多く掲載されているが、これらには、すべて引用商標の一部が使用されている。
以上にかんがみると、甲第2号証ないし甲第16号証に示す登録商標(引用商標)は、申立人の著名な商標であることは明らかである。
(4)具体的理由について
(ア)商標法第4条第1項第8号について
申立人の名称が「アイエヌジー・グループ・エヌ・ヴィ(ING GROEP N.V.)」であり、その略称が「ING」が本件商標の登録出願時及び登録査定時に著名であったから、「ING」を一部に含む本件商標は、他人の著名な略称を含む商標に該当し、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(イ)商標法第4条第1項第10号について
本件商標は、周知・著名な申立人の引用商標「ING」を一部に含み、それが他の文字と外観構成がまとまりよく一体に表されているものであるとしても、引用商標「ING」と類似する。
また、本件商標の指定役務は、申立人の行っている保険、銀行、資産運用の業務と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして、需要者間に広く認識されている商標に類似する商標であって、同一又は類似の役務に使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(ウ)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「MY」、「BEST」、「ING」の各単語の間にはスペースが空いており、また、「MY BEST」が「私の一番」といった意味を有する一方、「ING」は特定の観念が生じないことから、「ING」の部分のみを分離、抽出して称呼されることが考えられるところ、これは、引用商標「ING」と共通する。
特に、引用商標「ING」は、周知・著名であるから、本件商標とは類似するといえる。
また、本件商標の指定役務には、引用商標の指定役務と同一又は類似の役務を含むから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(エ)商標法第4条第1項第15号について
本件商標の指定役務のうち、「中古自動車の評価,慈善のための募金,野生生物及び自然環境の保護のための募金,プリペイドカード用精算機の貸与」については、引用商標(1)ないし(15)と類似しない。
しかし、申立人は、世界初の本格的複合コングロマリットであり、永年にわたり大型の企業買収などを行い、その事業規模を拡大してきた。
したがって、金融以外の業務に拡張する可能性は、一般の需要者、取引者におおいに予想できるものである。
また、引用商標(1)ないし(15)は、いずれも世界的に周知・著名であり、創造標章に係るハウスマークに該当するから、本件商標は、他人の業務に係る役務と混同を生ずるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(オ)商標法第4条第1項第19号について
申立人の引用する周知・著名商標は、世界50か国以上で、本件商標の登録出願日のかなり以前より使用されており、商標権者が「MY BEST」と特定の観念を持たない「ING」との組み合わせを採択し、さらに、「BEST」と「ING」の間にスペースを空けていることからも、「ING」の部分を強調し、目立たせるような態様で登録出願・登録しようとしていたことから、申立人の信用にフリーライドする意思が推認される。
以上より、本件商標は、他人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標と類似の商標であって、不正の目的によって使用をするものであるから、商標法第4条第1項第19号にも該当する。

3 当審の判断
本件商標は、「MY BEST ING」の欧文字を横書きしてなり、「MY」、「BEST」及び「ING」の各欧文字の間には、一字程度の間隔を有するものの、それぞれの欧文字は、同書、同大にバランスよく横書きされているものである。
そして、上記構成からなる本件商標に接する取引者、需要者は、「私の一番の、私の最善の」等の意味合いを容易に認識させる「MY BEST」の文字と進行形や動名詞をつくるための「ING」(イング)の文字とを結合し、「MY BEST ING」と表示したものと理解、認識するものとみるのが相当であり、また、これより生ずる「マイベストイング」の称呼も冗長ともいえず、よどみなく一連に称呼し得るものである。
してみれば、本件商標は、たとえ、申立人の使用に係る「ING」の文字が「金融、保険」等の役務について、相当程度知られているものとしても、上記構成からなる本件商標にあっては、申立人の著名な略称を含む商標として認識されることはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するということはできない。
また、本件商標は、上記のとおり、「マイベストイング」の一連の称呼を生ずるものであり、他方、引用商標からは「イング」又は「アイエヌジー」の称呼をも生ずるものであるから、そうとすれば、両商標は、その構成音数を著しく異にし、それぞれを一連に称呼しても、称呼上相紛れるおそれはないものといわざるを得ない。
さらに、両商標の構成前記のとおりであるから、外観上も相紛れるおそれはなく、本件商標は造語と認められるから、観念において比較すべくもないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標であるから、両商標の指定役務の類否について判断するまでもなく、本件商標は、商標法第4条第1項第10号及び同第11号には該当しない。
次に、本件商標をその指定役務に使用した場合、需要者、取引者が申立人の業務に係る役務かのごとく、役務の出所について混同を生ずるか否かについて判断する。
前述のとおり、本件商標は、「MY BEST ING」の欧文字を横書きしてなり、一連一体の商標と認識されるものであるから、申立人が周知・著名であると主張する引用商標とは、別異の商標として認識されるものとみるのが相当である。
してみれば、本件商標をその指定役務に使用しても、需要者が申立人の業務に係る役務であるかのごとく、役務の出所について混同を生ずるおそれはないものといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということもできない。
さらに、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であること前述のとおりであるし、本件商標は、商標権者が不正の目的をもって使用するものということもできないから、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第10号、同第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)国際登録第729149号商標
ING
指定役務:第36類 国際登録簿に記録されたとおりの役務
(2)登録第3331047号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(3)登録第3331048号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(4)登録第3064807号商標


指定役務:第35類「生命保険の引受け」
(5)登録第3086722号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(6)登録第3086723号商標
ING BANK
指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(7)登録第4118556号商標
ING BARINGS
指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務

(8)登録第4198146号商標
ING BARINGS
指定役務:第36類「輸出入に関する事務の代理又は代行」
(9)登録第4310853号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(10)登録第4310854号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(11)登録第4558360号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(12)登録第4558361号商標


指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(13)登録第4115610号商標
ING Bank N.V.
指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(14)登録第4115611号商標
アイエヌジーバンク エヌ・ヴイ
指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
(15)登録第4181820号商標
アイエヌジー生命保険株式会社
指定役務:第36類 商標登録原簿に記載されたとおりの役務
異議決定日 2007-09-26 
出願番号 商願2005-60009(T2005-60009) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (Y36)
T 1 651・ 222- Y (Y36)
T 1 651・ 271- Y (Y36)
T 1 651・ 25- Y (Y36)
T 1 651・ 23- Y (Y36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小俣 克巳 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 小林 和男
久我 敬史
登録日 2006-01-27 
登録番号 商標登録第4924940号(T4924940) 
権利者 三菱UFJニコス株式会社
商標の称呼 マイベストイング、マイベストアイエヌジイ 
代理人 木村 吉宏 
代理人 小谷 武 
代理人 特許業務法人ウィンテック 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ