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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y05
審判 全部申立て  登録を維持 Y05
管理番号 1166166 
異議申立番号 異議2007-900074 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-11-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2007-02-09 
確定日 2007-09-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5002054号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5002054号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5002054号商標(以下「本件商標」という。)は、「ミラテラ」の片仮名文字を横書きしてなり、平成18年4月20日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年11月10日に設定登録されたものである。なお、指定商品については、その後、平成19年2月27日に、一部放棄による指定商品の一部抹消の登録がなされている。

2 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)登録異議申立人の引用する商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、下記の2件の登録商標を引用している。
(a)登録第4776294号商標(以下「引用商標1」という。)は、「MIRCERA」の欧文字と「ミアセラ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成15年9月25日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同16年6月4日に設定登録されたものである。
(b)登録第4976606号商標(以下「引用商標2」という。)は、「MIRCERA」の欧文字と「ミルセラ」の片仮名文字とを二段に横書きしてなり、平成17年12月28日に登録出願、第5類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同18年8月4日に設定登録されたものである。
(以下、まとめていうときは「引用各商標」という。)
(2)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、その構成文字に相応して「ミラテラ」の称呼を生じ、引用各商標は、読みを特定した片仮名文字に相応して、引用商標1からは「ミアセラ」の称呼を、引用商標2からは「ミルセラ」の称呼を生ずるものである。
本件商標から生ずる「ミラテラ」の称呼と引用各商標から生ずる「ミアセラ」及び「ミルセラ」の称呼とは、第2音、第3音において相違するところ、第2音における「ラ(ra)」と「ア(a)」は、母音「ア(a)」を共通にする近似音であり、「ラ(ra)」と「ル(ru)」は、50音図中同じラ行に属する子音(r)を同じくする近似音である。そして、第3音における「テ(te)」と「セ(se)」も母音「エ(e)」を共通にする類似音である。
そうとすれば、これらの相違音は、いずれも中間に位置するものであるから、称呼全体に及ぼす影響は強いものとはいえず、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合、両商標がいずれも造語であることとも相侯って、これらの称呼は極めて紛らわしいものとなる。
また、本件商標と引用各商標の片仮名文字部分とは、視覚上、強い印象を与える語頭の「ミ」を同じくし、視覚的印象を強く残す語尾の「ラ」も同じであり、さらに、中間に位置する第2文字の「ラ」と「ア」も文字の構成が似ており、第3文字の「テ」と「セ」も文字の構成が似ているものであるから、両者は、外観においても極めて紛らわしい商標である。
そして、本件における抵触商品は、「薬剤」であり、混同による医療事故発生の防止は、厚生労働省、医師、薬剤師、医薬品業者等の関係者において積極的に取り組まれている課題であるから、商標の混同・類似の判断にも、誤用例等の経験則は十分に生かされるべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)本件商標と引用各商標とは、それぞれ前記したとおりの構成よりなるものであるところ、本件商標は、その構成文字に相応して「ミラテラ」の称呼を生じるものであり、引用各商標は、読みを特定したものと認められる片仮名文字に相応して、引用商標1からは「ミアセラ」の称呼を、引用商標2からは「ミルセラ」の称呼を生ずるものということができる。
そこで、本件商標と引用各商標から生ずる称呼とを比較するに、これらの称呼は、第2音と第3音において差異を有するところ、まず、第2音における「ラ」と「ア」、「ラ」と「ル」の各音を比較してみるに、「ラ」と「ア」の音については、「ラ」の音は有声の弾音にして明瞭に響く音であり、「ア」の音も開放母音にしてはっきりと澄んだ音であるから、母音を共通にするとしても、この両音は充分に聴別し得るものということができる。また、「ラ」と「ル」の音については、「ラ」は、上記したとおり、弾音にして明瞭に響く音であるのに対して、「ル」の音は響きの弱い母音である「u」の音を伴っているため、「ル」の音自体も比較的響きの弱い音として聴取されることから、いずれも同行音に属する音ではあるが、この両音の響きにも充分に聴別し得る差異があるものということができる。次に、第3音における「テ」と「セ」の音を比較してみるに、「テ」の音は破裂音であるのに対して、「セ」の音は摩擦音であるから、この両音は、その音質を明らかに異にし、音の強さも異にするものということができる。
そうとすれば、これらの称呼は、いずれも4音という比較的短い称呼において、その半数に当たる2音の差異を有するものであるから、中間部分における差異とはいえ、これらの音の差異が両称呼に与える影響は決して小さいものとはいえず、両者は、これをそれぞれを一連に称呼するも、互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
また、本件商標と引用各商標との片仮名文字部分の外観を比較してみても、中間部分とはいえ、4文字構成中の2文字において、引用商標1との関係においては、「ラ」と「ア」及び「テ」と「セ」の文字において差異があり、引用商標2との関係においては、「ラ」と「ル」及び「テ」と「セ」の文字において差異が認められる。しかして、これらの文字は、見慣れた片仮名文字であって、その字形も明らかに異にするものであるから、通常の注意力をもってすれば、両者の外観を見誤ることはないものということができる。 さらに、観念において、本件商標と引用各商標とが紛れるおそれがあるとの理由は見いだせない。
(2)この点について、申立人は、審決例等を挙げるとともに、本件・引用各商標の指定商品は「薬剤」であることから、過去における誤用例等の経験則は十分に生かされるべきである旨主張している。
しかしながら、それら審決例等で争われている商標は、いずれも、本件とは商標の構成を異にするばかりでなく、そもそも、商標の類否の判断は、各商標における事情も踏まえつつ、個別に判断されるべき性質のものであるから、申立人が主張するような審決例があるからといって、上記した本件商標と引用各商標との類否の判断が左右されることはない。また、本件・引用各商標の指定商品が「薬剤」であることを考慮しても、本件商標と引用各商標とは、充分に区別し得る差異を有するものである。
(3)してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても紛れるおそれのない非類似の商標というべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-09-03 
出願番号 商願2006-36621(T2006-36621) 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (Y05)
T 1 651・ 262- Y (Y05)
最終処分 維持  
前審関与審査官 齋藤 貴博 
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 岩崎 良子
伊藤 三男
登録日 2006-11-10 
登録番号 商標登録第5002054号(T5002054) 
権利者 アステラス製薬株式会社
商標の称呼 ミラテラ 
代理人 藤倉 大作 
代理人 橘 哲男 
代理人 中村 稔 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 松尾 和子 
代理人 熊倉 禎男 

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