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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Y32
管理番号 1166045 
審判番号 不服2006-19729 
総通号数 95 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-11-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-09-06 
確定日 2007-10-23 
事件の表示 商願2005-106074拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 1 本願商標
本願商標は、「奥越前」の文字を縦書きしてなり、第32類「清涼飲料,果実飲料,ビール,乳清飲料,飲料用野菜ジュース」を指定商品として、平成17年11月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『奥越前』の文字を表示してなるところ、該文字は、福井県の東部、大野・勝山盆地を中心とする地域の名称、または、行政区域では福井県勝山市及び同県大野市(大野市との合併前の和泉村を含む)を指す『奥越』の別称として県外人向けに観光パンフレットなどにおいて使用されているものであり(「角川日本地名大辞典18福井県」第5版参照)、また、このことは、福井県ウェブサイト(http://www2.pref.fukui.jp/event)、福井県観光連盟ウェブサイト(http://www.fukuioyado.com/)、並びに奥越前・奥美濃広域観光ガイドウェブサイト(http://www.fukui-gifu.net/map/index.html)において、「奥越前」が福井県勝山市及び同県大野市を指す地域の名称として使用されていることからも明らかであるから、これを本願指定商品に使用しても、需要者は単に同地域で生産、販売されるものであることを認識するにとどまり、商品の産地、販売地を普通に用いられる方法で表示するに過ぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、上記1のとおり、「奥越前」の文字よりなるところ、「広辞苑 第五版」(株式会社岩波書店発行)によれば、その構成中の「奥」の文字は、「内へ深く入った所。外面から遠い方。」等の意味を、また、「越前」の文字は、「旧国名。今の福井県の東部。」等の意味を有する語である。
そして、「奥越前」については、例えば、上記2で挙げた福井県ウェブサイトにおいて、福井県の地図で色分けされた特定の地域を、「奥越前」として、線で指し示している記載が認められる。
しかしながら、当審において、職権をもって、新聞記事情報及びインターネットのウェブサイトにおいて調査したところ、「奥越前」の文字は、該文字のみの使用でなく、例えば、別掲(1)ないし(5)に示すとおり、「奥越前地方(福井県大野市と勝山市)を中心に・・・」「福井県奥越前地域の酒造会社四社が・・・」「会場となる奥越前地方をPRするため、・・・」「奥越前地方と郡上郡の情報をリアルタイムで」「福井県は勝山市と大野市。俗に『奥越前』と呼ばれる。」のように、「地方」「地域」「俗に」等の文字とともに使用されている例が見受けられる。
同じく、別掲(6)のとおり、「奥越」が「奥越前」の略語である旨記載するウェブサイトも存在するところ、別掲(7)のとおり、「奥越は、大野市、勝山市など岐阜県境の一帯。」との新聞記事情報の記載も見受けられる。
そうとすると、本願商標「奥越前」が、「福井県の大野市、勝山市を中心とした地方(地域・一帯)」や「福井県の内陸部で東部」のごとき意味合いを想起させることがあるとしても、「福井県の大野市と勝山市」を指称する語としては、必ずしも一般に理解、把握されているものとはいえないというのが相当である。
また、本願商標が、取引者、需要者に本願商標の指定商品の産地、販売地として一般に認識されているとまではいい得ないばかりでなく、該文字が、該指定商品の産地、販売地を表示するものとして、取引上、普通に使用されている事実も見当たらない。
してみると、本願商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、直ちに商品の産地、販売地を表示したものとは理解、認識し得ず、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を十分に果たし得るものと認められる。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当ではなく、取消しを免れない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 【別掲】
(1)日本農業新聞、2006年3月4日付け99頁
「[わくわくプチ農園]粘りある在来サトイモ 大野芋」の見出しの下、「奥越前地方(福井県大野市と勝山市)を中心に・・・」と記載がある。
(2)日本経済新聞、地方経済面(北陸)、2001年2月2日付け8頁
「奥越前の4酒造4本セット発売、共同企画第12弾。」の見出しの下、「福井県奥越前地域の酒造会社四社が・・・」と記載がある。
(3)中日新聞、朝刊、福井版、2000年5月10日付け14頁
「恐竜エキスポを京都で街頭宣伝」の見出しの下、「会場となる奥越前地方をPRするため、・・・」と記載がある。
(4)中日新聞、朝刊、中濃総合版、1999年10月29日付け21頁
「奥越前地方と郡上郡の情報をリアルタイムで 福井・岐阜広域観光推進連絡会 来月 ホームページを開設 災害や積雪なども掲載」の見出しの下、「福井県奥越前地方と郡上郡の観光情報や、・・・」と記載がある。
(5)「スポニチ大阪」のウェブサイト(http://www.sponichi.co.jp/osaka/ser1/200607/12/ser1193883.html)
「=旅ナビ=福井県『奥越前』竜の棲み家、名水わき出る」の見出しの下、「福井県は勝山市と大野市。俗に『奥越前』と呼ばれる。」と記載がある。
(6)「私設 おくえつネット」のウェブサイト(http://www.okue2.cside2.com/where.php)
「奥越ってどこ?」の見出しの下、「奥越は『奥越前』の略称です。」と記載がある。
(7)中日新聞、1989年9月14日付け朝刊21頁、市民総合版
「奥越前へいらして 観光団がPR終来社」の見出しの下、 「奥越は、大野市、勝山市など岐阜県境の一帯。」と記載がある。
審決日 2007-10-11 
出願番号 商願2005-106074(T2005-106074) 
審決分類 T 1 8・ 13- WY (Y32)
最終処分 成立  
前審関与審査官 田口 善久冨澤 武志 
特許庁審判長 井岡 賢一
特許庁審判官 鈴木 修
岩本 和雄
商標の称呼 オクエチゼン 
代理人 戸川 公二 

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