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審決分類 審判 査定不服 称呼類似 登録しない Y16
管理番号 1162565 
審判番号 不服2005-11713 
総通号数 93 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-09-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-22 
確定日 2007-08-08 
事件の表示 商願2004- 30567拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として、平成16年3月31日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願の拒絶の理由に引用した登録第2301105号商標(以下「引用商標1」という。)は、「エイビス」の片仮名文字を書してなり、昭和62年10月12日登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成3年2月27日に設定登録、その後、指定商品については、同14年5月1日に第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、登録第2301106号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和62年10月12日登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として平成3年2月27日に設定登録、その後、指定商品については、同14年5月1日に第16類「印刷物,書画,写真,写真立て」に書換登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、黒枠の正方形内に、「えーびす」の平仮名文字を大きく横書きし(末尾の「す」は「び」の右下方に位置する。)、該文字の左下方に「ENTERTAINMENT」「BUSINESS」「STATION」の欧文字を三段に小さく横書きしてなるところ、黒枠の正方形と各文字部分とが常に不可分一体のものとしてのみ認識されるとは言い難く、読みやすい文字部分がおのずと看者の注意を引くものである。
そして、該文字部分は、「えーびす」と「ENTERTAINMENT」「BUSINESS」「STATION」の文字とが平仮名文字と欧文字という文字の種類及び右上部と左下部という文字の配置をも異にするばかりでなく、文字の大きさが前者が後者の6倍以上をもって肉太に表され顕著に異なるものであるから、平仮名文字「えーびす」と他の欧文字は視覚上分離されて看取されるものである。また、本願商標を構成する平仮名文字と欧文字の両文字を全体として称呼するときは、「エービスエンターテイメントビジネスステーション」というように冗長に亘るものであり、かつ、両文字部分全体を一体に称呼、観念しなければならない格別の事情を見いだし得ない。そうすると、本願商標に接する取引者、需要者は、右上部に大きく、顕著に表された「えーびす」の文字に着目し、これより生ずる称呼をもって取引に当たる場合も少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本願商標は、「えーびす」の文字に相応して「エービス」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
一方、引用各商標は、前記1のとおり、「エイビス」の文字からなる商標及び「エイビス」の文字を含む商標であるから、該文字に相応して「エイビス」の称呼を生ずること明らかである。
そこで、本願商標から生ずる「エービス」の称呼と引用各商標から生ずる「エイビス」の称呼を比較するに、両者は語頭音「エ」及び第3音以下の「ビ」「ス」を共通にしているものであって、異なるところは、第2音において、前者が前音「エ」(e)の長音であるのに対して、後者が母音「イ」(i)であるかの差異を有するのみである。
そして、後者の「イ」(i)は、前音の母音「エ」(e)とともに「エイ」(ei)の二重母音となる関係上、転化して母音「エ」(e)の長音として発音されることが少なくないから、両者は、それぞれを一連に称呼するときは、その語調、語感が近似して、互いに紛れて聴取されるおそれがあるものといわざるを得ない。
したがって、本願商標と引用各商標とは、称呼において類似する商標と認められる。
次に、本願商標と引用各商標とは、ともに、直ちに特定の意味合いを想起するものとはいえない造語よりなるものと認められるから、観念において比較することができない。そうすると、本願商標と引用各商標とは、観念において顕著な差異は認められないのであるから、観念上の差異が称呼における類似性を凌駕するほどのものではない。
してみれば、本願商標と引用各商標とは、外観において相違し、観念については比較することができないものであることを考慮しても、両者は、称呼上類似の商標であって、かつ、指定商品も同一又は類似するものと認められる。
請求人は、「比較する商標の一方がある観念を有し、他方が特定の観念を生じない造語であるときは、称呼のみの観察においては称呼上紛らわしいとする要素があるとしても、明らかな観念上の相違により称呼に影響することがあるので、単に称呼のみの比較すべきでない」ことの文献を引用した上で、「引用商標「エイビス」は、観念を抽出することは困難であるのに対して、本願商標は、黒縁の正方形中に、大きな創作文字で「えーびす」、小さな創作文字で「ENTERTAINMENT」「BUSINESS」「STATION」とからなる構成であることから、「えーびす」の「えー」は「ENTERTAINMENT」の、「び」は「BUSINESS」の、「す」は「STATION」のそれぞれ頭文字を表していると容易に想像がつくものであることから、そこには観念が生じていると断言できる。したがって、両商標には明らかな観念上の相違がある為、単に称呼のみで判断すべきでない。」旨主張する。
しかしながら、 各欧文字を平仮名で表した場合「えんたーていめんと」「びじねす」「すていしょん」ということになり、その頭文字を羅列すると「えびす」であり、本願商標中の「えーびす」とは異なるものである。また、最初の欧文字「ENTERTAINMENT」の頭文字を長音で表すとすれば、そのためには各欧文字の頭文字を一音として表すこととなるが、そのようにした場合「ENTERTAINMENT」の頭文字「E」の「いー」、「BUSINESS」の頭文字「B」の「びー」及び「STATION」の頭文字「S」の「えす」ということになり、全体では「いーびーえす」とならざるを得ず、この場合でも、本願商標中の「えーびす」とは異なるものである。
そうすると、本願商標中の平仮名文字が欧文字の頭文字を表しているものとは認識し難いものであり、また、平仮名文字及び欧文字より、直ちに特定の意味合いを想起するものとはいえない一種の造語よりなるものと認められるから、本願商標は、特定の観念を生じ得ないというべきであり、また、前述のとおり、引用各商標も、直ちに特定の意味合いを想起するものとはいえない造語よりなるものと認められ、特定の観念を生じないものである。したがって、本願商標と引用各商標とは、観念において比較することができず、明らかな観念上の相違があるとは認められない。よって、請求人の前記主張は、その前提において妥当でなく、採用することができない。
さらに、請求人は、「商標の類似判断には、商標の有する外観、称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察するものであり、・・・一般的にみて称呼は相紛らわしいが、両商標の外観ないし観念が顕著に相違する場合において、それらの相違により、全体として相紛らわしくない場合には、称呼の面だけからみて類似の商標と判断するのではなく、外観及び観念をも含めて総合的に考察するものである。」とした上で、「本願商標と引用各商標とは、外観、観念共に顕著に相違し、市場において、出所の混同が生じ得ない商標である。」旨主張する。
ところで、商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かによって決すべきであるが、それには、そのような商品に使用された商標がその外観、観念、称呼等によって取引者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察すべく、決して上記3要素の特定の一つの対比のみによってなされるべきものではないが、少なくともその一つが類似している場合には、商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情が認められる場合を除いて、出所の混同を生ずるおそれがあると認めるのが相当である(参照:平成12年6月13日判決言渡、東京高等裁判所平成11年(行ケ)第422号)。
そして、本願商標と引用各商標とは、外観において相違するものの、観念については比較することができず顕著な相違があるとは認められないものであり、称呼において類似の商標であって、かつ、両商標において商品の出所の混同を生ずるおそれはないと考えさせる特別の事情は見出し得ない。
そうすると、本願商標と引用各商標とは、称呼において類似しているのであるから、同一又は類似の商品に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標というべきであり、請求人の前記主張も採用することができない。
さらに、請求人は、「本願商標は既に市場において新聞・雑誌の題号として使用されているが、引用商標と混同を生じているとの報告もない。」と主張するが、そのことは、現時点において、請求人に対して商品の出所の混同に関する苦情等が寄せられていないことを意味するものと解されるに止まるばかりでなく、仮に、引用商標と混同を生じているとの報告が寄せられていないからといって、将来においても、誤認混同を生ずるおそれがないとは断定することできないから、その主張も採用することができない。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は妥当なものであって、これを取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本願商標



引用商標2(登録第2301106号商標)(色彩については原本参照)


審理終結日 2007-05-25 
結審通知日 2007-06-01 
審決日 2007-06-18 
出願番号 商願2004-30567(T2004-30567) 
審決分類 T 1 8・ 262- Z (Y16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯山 茂 
特許庁審判長 伊藤 三男
特許庁審判官 森山 啓
岩崎 良子
商標の称呼 エービス、エンターテインメントビジネスステーション 
代理人 井澤 洵 

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