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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y16
審判 全部申立て  登録を維持 Y16
管理番号 1161031 
異議申立番号 異議2004-90382 
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-08-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-06-14 
確定日 2007-07-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第4760101号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4760101号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4760101号商標(以下「本件商標」という。)は、「オール株価チャンス」の文字を標準文字により表してなり、平成15年10月15日に登録出願され、第16類「雑誌,新聞」を指定商品として同16年3月26日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録第4714196号商標は、「オール株価チャンス」の文字を横書きしてなり、第36類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成15年2月3日に登録出願、同年10月3日に設定登録されたものである。

第3 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項11号に該当すると主張し、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同9号証(枝番を含む。)を提出した。
1 商標法第4条第1項第7号について
(1)申立人は、昭和22年7月に株に関する月刊誌「産業と経済」を創刊し、昭和60年から、その臨時増刊として、本件商標と同一の称呼が生じ得る「オール株価チャンス」の商標を付した雑誌を年4回のペースで編集、発行、販売している(甲第3号証)。
(2)申立人は、平成12年に商号を「株式会社産業と経済」から「株式会社落合商事」に変更した(甲第2号証)。
(3)申立人は、上記(1)の雑誌に係る商標権及び営業権並びに雑誌コード使用権を本件商標の商標権者(以下「商標権者」という。)に譲渡することを内容とする商標権等譲渡契約契約(以下「本件譲渡契約」という。)を、商標権者と平成12年3月11日付けで締結した(甲第4号証)。
(4)しかしながら、商標権者は、上記(3)の本件譲渡契約に基づく対価につき申立人が再三催告したにもかかわらず、申立人が譲渡対価費用債権を申立人に対し有していることを認めた上で当該対価を支払うことなく、「産業と経済」及び「オール株価チャンス」の両雑誌を現在に至るまで発行し続けている(甲第5号証の1及び同号証の2)。
(5)商標権者が、「オール株価チャンス」の雑誌を発行可能であったのは、「オール株価チャンス」に付与されている「雑誌コード使用権」の所有者が、申立人から商標権者になったことを、雑誌の取次業者に書面で告知したことによる(甲第6号証の1ないし同号証の6)。
(6)そこで、申立人は、平成15年10月2日付け通告書で本件譲渡契約を解除することを通知した(甲第7号証)。
(7)これに対して、商標権者は、申立人が商標「オール株価チャンス」につき有していた商標登録第1978634号の更新登録をしていないことを奇貨として、本件商標を商標登録出願し、商標登録を取得したものである。
(8)このような商標権者の行為は、私的契約取引関係を支配している真義誠実の原則に反するものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と同一又は類似するものであって、また、本件の指定商品「雑誌、新聞」と、引用商標の指定役務「株式市況に関する調査及び情報の提供」とは、その提供元及び用途を共通にし、かつ、需要者も同一にする類似のものである。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第7号及び同項11号に該当する旨主張しているので、以下、これらの点について判断する。
1 商標法第4条第1項第7号について
当審において、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する旨の取消理由通知を平成17年2月21日付けで発したところ、商標権者は、同年4月11日及び、同年11月25日付けで意見書を提出するとともに、その証拠方法として乙第1号証ないし同第3号証を提出し、さらに、同年7月1日付けの証拠方法提出書により、証拠方法として乙第4号証ないし同第7号証を提出している。
そして、上記商標権者の主張及び乙各号証を総合すれば、以下の事実を認めることができる。
(1)商標権者は、実質的に経営破綻・倒産状態にあった申立人との平成12年3月11日付け本件譲渡契約が、対債権者用のいわゆる「見せ契約書」として作成されたものであるとして、本件商標登録異議申立書に添付された甲第8号証の訴状に基づく事件「東京地方裁判所平成16年(ワ)第6586号事件」において、被告準備書面(1)ないし同(3)を提出したこと(乙第1号証ないし乙3第号証)。
(2)乙第3号証において、申立人が経営破綻・倒産状態にあった平成12年3月頃、商標権者と申立人は、商標権者が「産業と経済」「オール株価チャンス」の両雑誌の編集・発行を行っていくこと、その代わりに編集社員に対する未払い給料と未払い外注原稿料を商標権者が引き受けて支払うこと、また、編集者全員を責任をもって継続雇用していくこと等について緊急の合意をし、具体的に、編集社員に対する未払い給与3か月分(約450万円)と未払い外注原稿料(約250万円)の合計700万円を支払うことが決められた旨の記載がされていること。
(3)平成13年8月10日付け京橋社会保険事務所長作成に係る「被保険者縦覧照会回答票」によれば、申立人から引き受けた編集社員4名(山本太一、田中光吉、平木幸一郎、多田裕男)の申立人未払い給与3ヶ月分の金額が4,304,310円であったこと、その後、編集社員4名は、申立人会社を退職し、商標権者の会社へ入社して、社会保険加入の手続を平成12年6月26日から同年7月10日の間に終了したこと(乙第4号証)。
(4)本件譲渡契約の契約書は、本件商標と社会通念上同一の商標である登録第1978634号商標の権利及び雑誌コード使用権等の譲渡対価として金参千萬円を、契約日当日であり、かつ、支払期日である平成12年3月11日に支払うことを内容とするものであること。上記商標権は、すでに平成9年8月19日付けで存続期間満了により消滅している(乙第5号証)にもかかわらず、この契約書において譲渡対象とされていること。また、同じく、譲渡対象とされている雑誌コード使用権については、その移転手続が、申立人により平成12年3月15日に行われたこと(枝番を含む甲第6号証)。
(5)申立人は、商標登録第1978634号商標の商標権が平成9年8月19日付けで存続期間満了により消滅してから、商標権者による本件商標の出願日である平成15年10月15日までに、再度権利取得する手続をしていなかったこと。
(6)申立人は、平成12年3月11日付けの本件譲渡契約から同15年10月2日付け通知書(本件譲渡契約の譲渡対価をこの書面到達後1週間以内に支払うよう催告すると共に、支払いのない場合にはその売買契約を解除する旨を内容とするもの。)を通知するまで、その譲渡対価を要求せずに、商標権者に臨時増刊「オール株価チャンス」の編集・発行及びその雑誌コードの使用を放置していたこと。
(7)株式会社東京経営調査による調査報告書によれば、平成16年12月17日当時、申立人は、商業登記簿謄本に記載されている本店「東京都江戸川区南葛西四丁目8番7号」に、その実態が存在しないことが立証されている(乙第6号証)。
(8)申立人が、雑誌コード使用権移転の訴え(東京地方裁判所平成16年(ワ)第6586号事件)を提起したのにもかかわらず、訴訟の継続が休止され、最終的には、平成17年3月16日付けで訴訟が終結した(乙第7号証)。
(9)以上のことを総合すると、申立人が提出した本件譲渡契約の契約書の内容は、不自然な内容のものであって、法的拘束力を有さないものといわざるを得ない。このことは、この契約書について争われた東京地方裁判所平成16年(ワ)第6586号事件が、訴訟の継続が休止され、最終的には、平成17年3月16日付けで訴訟が終結されていることからも裏づけられる。
そして、この契約書とは別に、申立人との話し合いのもとに、商標権者は、申立人の編集社員に対する未払い給与3か月分の支払いをし、かつ、この編集社員を継続的に雇用し、その代わりに、「産業と経済」「オール株価チャンス」の両雑誌の編集・発行を行っているところである。
そうとすると、商標権者と申立人との話し合いで合意された内容は、信憑性があるものであって、商標権者は、自己の業務に係る商標として、「オール株価チャンス」の商標を出願し、権利化を図ったことは、何ら悪意のあるものでなく、私的契約取引関係を支配している真義誠実の原則に反するものではないものであるから、結局、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、商標において類似するとしても、本件商標の指定商品「雑誌、新聞」と、引用商標の指定役務「株式市況に関する調査及び情報の提供」とは、商品の製造、販売と役務の提供が同一の事業者によって一般的に行われているとはいえず、また、商品の販売場所と役務の提供場所を異にし、かつ、需要者の範囲も一致するとはいえず、結局、両商標は、非類似のものといわざるを得ない。
3 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第11号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-06-13 
出願番号 商願2003-90370(T2003-90370) 
審決分類 T 1 651・ 22- Y (Y16)
T 1 651・ 26- Y (Y16)
最終処分 維持  
前審関与審査官 米重 洋和 
特許庁審判長 小林 和男
特許庁審判官 小川きみえ
石田 清
登録日 2004-03-26 
登録番号 商標登録第4760101号(T4760101) 
権利者 株式会社プリントワン
商標の称呼 オールカブカチャンス 
代理人 佐藤 英二 
代理人 吉武 賢次 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 小泉 勝義 
代理人 浜田 廣士 
代理人 矢崎 和彦 
代理人 宮嶋 学 

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