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審決分類 審判 査定不服 商4条1項11号一般他人の登録商標 登録しない Y09
管理番号 1160768 
審判番号 不服2003-22011 
総通号数 92 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-08-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-11-13 
確定日 2007-06-28 
事件の表示 商願2002- 83310拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲(1)に表示するとおりの構成よりなり、第9類「耳栓,加工ガラス(建築用のものを除く。),アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,オゾン発生器,電解槽,検卵器,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,自動販売機,ガソリンステーション用装置,駐車場用硬貨作動式ゲート,救命用具,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,保安用ヘルメット,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,電動式扉自動開閉装置,乗物運転技能訓練用シミュレーター,運動技能訓練用シミュレーター,理化学機械器具,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,消防艇,ロケット,消防車,自動車用シガーライター,事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服,眼鏡,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,スロットマシン,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,運動用保護ヘルメット,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,レコード,メトロノーム,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM,計算尺,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、平成14年10月1日に登録出願されたものであり、その後同15年6月30付けの商標登録出願人名義変更届により、出願人が、「ぴあ株式会社」から「ぴあデジタルライフライン株式会社」に変更されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願の拒絶の理由に引用した登録商標は、以下の7件(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)であり、外観、観念において類似する商標であると認定、判断し本願を拒絶したものである。
(1)登録第1443809号商標は、別掲(2)に表示するとおり、昭和50年6月24日登録出願、第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として、同55年11月28日に設定登録され、その後、平成2年11月26日及び同12年11月21日に商標権存続期間の更新登録がなされ、さらに、第1類、第2類、第5類。第8類、第9類、第16類、第17類、第24類、第27類及び第34類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が、同13年4月25日にされたものである。
(2)登録第1632807号商標は、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、昭和54年3月30日登録出願、第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同58年11月25日に設定登録され、その後、平成6年4月27日及び同15年12月2日に商標権存続期間の更新登録がなされ、さらに、第9類、第16類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が、同16年1月21日にされたものである。
(3)登録第1714461号商標は、別掲(2)に表示するとおりの構成よりなり、昭和50年6月24日登録出願、第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同59年9月26日に設定登録され、その後、平成7年3月30日及び同16年8月31日に商標権存続期間の更新登録がなされ、さらに、第20類、第24類及び第25類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が、同16年10月6日にされたものである。
(4)登録第2702816号商標は、別掲(3)に表示するとおりの構成よりなり、昭和54年4月5日登録出願、第24類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成7年1月31日に設定登録され、その後、同17年1月18日に商標権存続期間の更新登録がなされ、さらに、第9類、第20類及び第28類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品とする書換登録が、同17年9月7日にされたものである。
(5)登録第3117693号商標は、別掲(4)に表示するとおりの構成よりなり、平成5年1月13日登録出願、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年1月31日に設定登録され、その後、同17年12月13日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
(6)登録第3161989号商標は、別掲(4)に表示するとおりの構成よりなり、平成5年1月13日登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同8年5月31日に設定登録され、その後、同18年5月2日に商標権存続期間の更新登録がなされたものである。
(7)登録第4642486号商標は、別掲(5)に表示するとおりの構成よりなり、平成14年2月22日登録出願、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年1月31日に設定登録されたものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲(1)に表示するとおり、やや図案化した「ぴあ」の文字と「Digital Lifeline」の欧文字を書してなるものと容易に看取されるものである。
ところで、一般に、簡易、迅速を尊ぶ取引の実際においては、商標は、各構成部分がそれを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほどにまで不可分的に結合していない限り、常に必ずその構成部分全体の名称によつて称呼、観念されるというわけではなく、しばしば、その一部だけによって簡略に称呼、観念され、その結果、一個の商標から二個以上の称呼、観念の生ずることがあるのは、経験則の教えるところである(最高裁判所第1小法廷昭和38年12月5日判決・民集17巻12号1621頁参照)と判示されているところである。
そこで、本願商標についてみるに、「ぴあ」の文字部分と「Digital Lifeline」の文字部分とは、ひらがな(やや図案化されている。)と欧文字との組み合わせからなるものであるから、各文字は視覚上分離して看取されるものである。そして、「ぴあ」の文字部分は、前記したチケット販売最大手のぴあ株式会社の略称として、かつ同社の取扱いに係るチケット販売等の代表的な商標(ハウスマーク)として、取引者、需要者間に広く認識されているものであるのに対し、「Digital Lifeline」の文字部分は、特定の観念を生ずるものではないことからすれば、本願商標における「ぴあ」の文字と「Digital Lifeline」の文字との結びつきは、それを分離して観察することが不自然であると思われるほどに不可分的に結合しているものとは認めることのできないものというべきである。
そうとすれば、本願商標は、「ぴあ」の文字部分が、独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと判断するのが相当であるから、該文字部分をもって取引にあたる場合も決してすくなくないものといわなければならない。
してみれば、本願商標からは、「ぴあ」の文字部分に相応して、「ぴあ」の称呼、「同僚、仲間」の観念をも生ずるものと判断するのが相当である。 他方、引用商標は、別掲(2)ないし同(5)に表示するとおり、やや図案化した「ぴあ」の文字(以下、これらをまとめて「引用ぴあ」という。)よりなるものであるから、これらの構成文字に相応して、「ぴあ」の称呼、「同僚、仲間」の観念を生ずるものである。
また、本願商標は「ぴあ」の文字をもって取引に当たる場合のあること上述したとおりであり、引用商標も「ぴあ」の文字をもって取引に資されるものといえるから、取引者、需要者が時と処を異にしてこれらに接する場合には、当該構成文字の綴りを共通にする点で外観上近似した印象、記憶、連想等を生じさせるおそれがあるものである。
してみれば、本願商標と引用商標とは、「ぴあ」の称呼、「同僚、仲間」の観念を共通にし、外観においても近似する類似の商標といわざるを得ない。
(2)請求人は、(ア)本願商標は、請求人の商号であり、前半の「ピア」の文字部分のみに分離されて称呼、観念されることはなく、「ピアデジタルライフライン」と一連に称呼されるべきものであること(イ)原査定の判断は、ぴあ株式会社の商標として著名であるから、同会社の業務に係る商品と誤認、混同するおそれがあるという理由は、商標法第4条第1項第11号に該当する根拠にはならないこと(ウ)請求人はぴあグループの一員で親子関係にあり、その社名が管理された状態で使用され、そのことが世間で認知されている場合には、経験則上不正使用の場合の混同にはならないこと」を主張している。
しかしながら、(ア)請求人がどのような意図をもって本願商標を出願したとしても、その意図により本願商標から生ずる称呼等が定まるものではなく、かつ、本願商標に接する取引者、需要者が、請求人の商号によってのみ本願商標を理解、認識するものとは言い得ないところ、前記のとおり、本願商標は「ぴあ」と「Digital Lifeline」とが視覚的に分離して看取され、かつ、「ぴあ」の文字部分が、ぴあ株式会社の略称として、かつ同社の取扱いに係るチケット販売等の代表的な商標(ハウスマーク)として、取引者、需要者間に広く認識されているものであることからすれば、本願商標が一体としての連携状態で看取されるとはいい難いものである。
また、(イ)原査定の「ぴあ株式会社が使用する図案化した「ぴあ」の表示は、同会社の業務に係る商品であるかのように誤認、混同するおそれがある」とは、出所の誤認、混同を生ずることを示唆するものであることを示しており、この記載があるとしても結論において、「本願商標は、前記引用された登録商標とは外観・観念において紛らわしい類似の商標であり、」と判断していることからみれば、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当していることは明らかである。
(ウ)商標法第4条第1項第11号は、先願登録主義を採用した我が国商標登録制度の基本規定として、先願に係る他人の登録と抵触する商標は、登録しない旨定めたものである。これは、既登録商標の権利を保護するための私益保護規定であり、同時に取引における競業秩序が、重複登録により乱されるおそれがあるのを防ごうとする公益保護のための規定であることも否定できない。
そうとすれば、たとえ請求人が引用商標の商標権者と親子関係にあっても、異なる権利者名で引用商標が登録されているものである以上、商標権者の同意やその登録商標の使用の有無とは関係なく、出所の混同のおそれが有り、かつ、本号の要件を満たすときは、本号が適用されるべきである。
すなわち、我が国商標制度は、先願登録主義を採用し、先願に係る他人の登録商標と抵触する同一又は類似の商標の登録を認めないものとし、そのことによって、登録商標につき商標権者の専用権、禁止権を保障しているものであり、それにもかかわらず、先願に係る他人の登録商標と抵触する同一又は類似の商標の登録を認めることは、登録商標の権利性を希釈化ないし弱体化することになり、上記商標制度の趣旨に反するからである。
したがって、請求人の主張は全て採用することができない。
(3)以上のとおりであるから、本願商標と引用商標とは、「ぴあ」の称呼、「同僚、仲間」の観念を共通にし、外観上もある程度近似した印象、記憶、連想等をあたえるものであって、全体として類似する商標というべきであり、かつ、その指定商品も同一又は類似のものであるから、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)本願商標

色彩は原本を参照されたい。

別掲(2)

色彩は原本を参照されたい。

別掲(3)


別掲(4)


別掲(5)


審理終結日 2007-04-12 
結審通知日 2007-04-17 
審決日 2007-05-11 
出願番号 商願2002-83310(T2002-83310) 
審決分類 T 1 8・ 26- Z (Y09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 齋藤 貴博平松 和雄 
特許庁審判長 中村 謙三
特許庁審判官 津金 純子
小林 和男
商標の称呼 ピアデジタルライフライン、ピア、デジタルライフライン、ライフライン 
代理人 小出 俊實 
代理人 鈴江 武彦 
代理人 石川 義雄 
代理人 吉野 日出夫 

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