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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y18
管理番号 1159084 
異議申立番号 異議2005-90524 
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-07-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-10-04 
確定日 2007-05-18 
異議申立件数
事件の表示 登録第4878963号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4878963号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第4878963号商標(以下「本件商標」という。)は、平成17年2月10日に登録出願、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第18類「かばん金具,がま口口金,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,皮革」を指定商品として、同17年7月8日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のとおりである。
(1)登録第2404270号商標
別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和58年8月18日に登録出願、第24類「おもちや、人形、娯楽用具、運動具、釣り具、楽器、演奏補助品、蓄音機(電気蓄音機を除く)レコ?ド、これらの部品及び附属品」を指定商品として、平成4年4月30日に設定登録、その後、同13年12月18日に商標権の存続期間の更新登録、指定商品については、同16年2月12日に第25類「仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴(「乗馬用靴」を除く。),乗馬靴」とする指定商品の書換登録がなされたものである。
(2)登録第4156306号商標
別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成9年3月11日に登録出願、第25類「帽子,その他の被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同10年6月12日に設定登録されたものである。
(3)登録第4580889号商標
別掲(4)のとおりの構成よりなり、平成12年12月28日に登録出願、第16類「革製のペンケース,革製のブックカバー,革製のシステム手帳,革製の書類挟み」、第18類「擬革,獣皮,皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録されたものである。
以下、一括していう場合には、「引用商標」という。

3 登録異議の申立ての理由の要点
(1)本件商標は、申立人の引用する登録商標と外観上類似するものであり、引用商標に係る指定商品又はこれに類似する商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)本件商標は、申立人が長年にわたりニット製品に使用し、服飾品の分野において著名となっている引用商標と近似し、かつ、その指定商品についても、申立人の扱う商品と密接な関連を有するものであるから、本件商標をその指定商品に付して使用した場合には、申立人と何らかの関係を有するものによって販売されているかのように、需要者に混同を生じさせるおそれがあり、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 本件商標に対する取消理由の要旨
本件商標と引用商標とは、細部の表現方法においては差異を有するものであるが、(イ)四肢を開脚して左横向きに後ろ足で起立したライオンのごとき姿態図形を黒塗りで欧紋章的に表現してなる。(ロ)尾はいずれも略垂直に描かれ、そして先端部は下方に垂れ下がっている。(ハ)前足の付け根の胸部が太く張り出している等の点において、構成の軌を一にするものであり、これらの共通点が視覚上看者の印象に強く残るものである。しかも、服飾品等の分野においては、動植物等のロゴマークがワンポイントマークとして表示されるなど比較的小さく表示される場合やししゅう、刻印等として用いられる場合があることからして、細部の相違点まで看者の注意が及ばないことも多いというべきである。
そうとすると、本件商標と引用商標とは、時と所を異にして離隔的に観察した場合には、かれこれ相紛れるおそれのある、外観において類似する商標であって、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似のものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。

5 商標権者の意見の要旨
(1)本件商標と引用商標との差異は、細部の表現方法にとどまるものではなく、商標の要部ないし商標の表現方法にまで及ぶものである。すなわち、本件商標と引用商標は、欧紋章的なライオンの姿態をシルエットで表現した図形商標であるが、そのライオンの体格、体形及び姿勢に顕著な差異があることに加えて、ライオンの顔の形・表情や、尾の形・太さ・本数にも明確な差異があり、更に「短剣」を片手に持って顔の前にかざしているか否かという顕著な差異がある。
(2)取消理由における(イ)及び(ハ)の共通点は、欧紋章的なライオンの姿態を表した図形商標において、ありふれたものであり、視覚上看者の印象に強く残るものではない。また、(ロ)の「尾はいずれも略垂直に描かれ、先端は下方に垂れ下がっている」という構成態様は、共通点とはいえないから、構成の軌を一にするとの認定は誤りである。
(3)本件商標の指定商品である「かばん類、袋物」の分野における取引者・需要者は、著名ブランド間の異同や著名ブランドと偽ブランドの異同を見分ける為に、商標の細部の違いにまで相当の注意を払い、その違いを見極めようとする傾向があるため、本件商標と引用商標とが比較的小さく表示される場合や、刺繍、刻印等として用いられる場合であっても、誤認混同するおそれはないといえる。
(4)別紙Eは、本件商標と引用商標、申立人が使用する商標、ザ・スコッチハウス・リミテッドの登録商標及びオートモビーユ・プジョーの登録商標について、それぞれの構成態様を比較したものであるが、引用商標と周知商標であるザ・スコッチハウス・リミテッド及びオートモビーユ・プジョーの商標は、互いに非類似の商標として登録されている。そして、これらの中で、引用商標との相違点が最も多く、全体の外観が最も相違するのは、本件商標であるから、本件商標と引用商標とは、外観上相紛れることのない非類似の商標である。

5 当審の判断
平成18年8月1日付けで通知した前記3の取消理由は、妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は、以下の理由により採用できない。
本件商標と引用商標は、それぞれ別掲(1)、(2)、(3)及び(4)のとおり、欧紋章的なライオンの姿態をシルエットで表現した図形商標よりなるところ、これらを子細に対比観察すれば、商標権者が主張するとおり、それぞれのライオンの体格、体形及び姿勢、ライオンの顔の形・表情及び尾の形・太さ・本数等に差異があること及び「短剣」を片手に持って顔の前にかざしているか否かという点等に差異があることが認められるとしても、これらの差異は、本件商標と引用商標とを対比観察した場合にいい得ることであって、時と所を異にして離隔的に観察した場合には、両商標を区別し得るほど顕著な特徴として看者に強い印象を与えるものではなく、むしろ、商取引の場では、捨象し得る部分と見るのが相当である。
そして、商標権者は、取消理由で開示した共通点は、欧紋章的なライオンの姿態を表した図形商標や実際の取引において服飾等に使用されているライオン紋章としてありふれたものであり、視覚上看者の印象に強く残るものではない。そして、引用商標は、その欧紋章的なライオンの姿態を表したものの内、ランパントと呼ばれる最も基本的な姿勢であり、セイリャントと呼ばれる本件商標とは明確に区別できる旨主張する。
しかしながら、商標権者の主張のとおり、ライオンの紋章は、イギリス王リチャード1世が初めて用いたものであり、様々な姿勢をしたライオンの紋章が使用されていたとしても、これは、英国における事情であって、当該ライオンの紋章が日本において日常一般に使用され、親しまれているものとはいい難いことから、日本の取引者・需要者が、取消理由に開示した共通点をありふれたものと認識するとか、商標権者の主張する相違点を的確に把握し、理解するということはできない。
また、商標権者は、本件商標に係る指定商品の取引者・需要者は、使用されている商標について細部まで注意を払うため、本件商標と引用商標とが比較的小さく表示される場合や、刺繍、刻印等として用いられる場合であっても、誤認・混同するおそれはない旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標に係る指定商品の分野における主たる需要者は、老人から若者までを含む一般的な消費者であり、また、上記のとおり、当該需要者が必ずしもライオンの紋章について詳しいとはいえないことなども併せ考えれば、本件商標と引用商標とは、互いに誤認、混同するおそれが大きいものといわざるを得ない。
さらに、商標権者は、本件商標と他の欧紋章的なライオンの姿態からなる商標の登録例及び使用例をあげて、これらの商標のうち、引用商標との相違点が最も多く、全体の外観が最も相違するのは本件商標であるから、本件商標と引用商標とは、外観上相紛れることのない非類似の商標である旨主張する。
しかしながら、商標権者のあげる事例は、商標の具体的構成や周知性の程度等において本件商標と相違するものであって、事案を異にするものであるから、それら事例をもって、本件商標の登録の適否を判断する基準とするのは、必ずしも適切でない。
してみれば、本件商標と引用商標は、その外観において互いに類似する商標といわざるを得ない。
そして、本件の指定商品は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(1)本件商標




別掲(2)引用登録第2404270号商標



別掲(3)引用登録第4156306号商標



別掲(4)引用登録第4580889号商標



異議決定日 2007-03-30 
出願番号 商願2005-10839(T2005-10839) 
審決分類 T 1 651・ 261- Z (Y18)
最終処分 取消  
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 柳原 雪身
小林 由美子
登録日 2005-07-08 
登録番号 商標登録第4878963号(T4878963) 
権利者 株式会社セルツ
代理人 川尻 明 
代理人 足立 泉 
代理人 澤野 勝文 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 
代理人 土生 真之 
代理人 中田 和博 

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