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審決分類 審判 査定不服 商4条1項15号出所の混同 登録しない Z09
管理番号 1159038 
審判番号 不服2003-2627 
総通号数 91 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-07-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-02-19 
確定日 2007-06-22 
事件の表示 商願2001- 40996拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「U S POLO ASSOCIATION」の文字(標準文字による。)を書してなり、第9類「眼鏡,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,レコード,メトロノーム,電子応用機械器具及びその部品,オゾン発生器,電解槽,ロケット,遊園地用機械器具,スロットマシン,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,鉄道用信号機,火災報知機,ガス漏れ警報器,盗難警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,スプリンクラー消火装置,消防艇,消防車,自動車用シガーライター,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,磁心,抵抗線,電極,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,電気計算機,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,計算尺,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,レギュレーター,潜水用機械器具,アーク溶接機,金属溶断機,電気溶接装置,家庭用テレビゲームおもちゃ,検卵器,電動式扉自動開閉装置」を指定商品として、平成13年5月7日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、アメリカ合衆国ニューヨーク州在の『ザ ポロ/ローレン カンパニー』が、本願出願前より商品『被服、ネクタイ、眼鏡』等に使用して著名となっている商標「POLO」の文字をその構成中に含んでいますから、これを本願の指定商品に使用するときは、恰もその商品が上記会社あるいは同会社と、経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。

第3 請求人の主張の要点
請求人は、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するものでないとして、その理由及び当審における証拠調べ通知に対する意見を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第5号証(枝番を含む。)を提出している。
1.請求人は、引用商標の著名性を容認した上で、「POLO」の文字は、スポーツとしてのポロ/Polo競技を表す一般的な用語を採用したものであり、本来的にスポーツの名称である。請求人の上部団体であるアメリカ合衆国ポロ協会(United States Polo Association)は、米国を初め、カナダ、北メキシコのポロ・プレイヤーおよびポロ・クラブを統括する団体であり、本願商標「U S POLO ASSOCIATION」は、「アメリカ合衆国ポロ協会」の名称に由来する商標で、その意味が理解できないように分離された称呼・観念をもって取引に資されることはない。引用商標が商標として採択される以前から存在し長年に亘り使用されてきた米国でも著名なポロスポーツの統括団体の名称であり、他のPOLO関連商標と同列に取り扱われるものではない。本願商標は引用商標と具体的出所混同の可能性は実在せず、その可能性もないこと等を主張し、証拠を提出すると共に登録例及び判決例を挙げている。
2.本願商標の指定商品と著名性を獲得したラルフ・ローレンの引用商標の商品とが仮に関連があり、また、需要者・取引者が共通であったとしても、本願商標と引用商標とは類似しないものである。引用商標には高度の独創性が認められないので、引用商標はそれ自体の独創性によって識別された結果、周知著名となったのではなく、寧ろ、ラルフ・ローレンの使用する「ポロ」マーク、すなわち、ポロ・ラルフローレンというブランドとして使用されているものである。上記の主張に論拠がある事は近時の証拠の多くが「ポロ・ラルフローレン」または「ポロ バイ ラルフローレン」と表記されている事実からもうかがえる。これら諸事情を総合的に判断すると、「POLO」だけでは引用商標の権利者が特定できない事と、本願商標に接した取引者及び需要者が、間違って本願商標から「POLO」だけを取り出したとしても直ちに引用商標を連想するような事は全く無く、まして本願商標の付された商品をラルフ・ローレンの商品と誤解して商品の出所について誤認を生じさせる虞があるとは到底考えられない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第15号に規定されている「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」に該当するものではない。
3.証拠調べ通知書で示された各種事実を考慮しても、本願商標は引用商標とは混同を生じない非類似の商標であり、また、現実に出所の混同も存在しないことは明らかである。また、引用商標にフリーライドする意思は全く存在せず、本願商標の使用はダイリュ-ションを招くものではない。
4.以上、詳述したとおり、本願商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当するものではない。

第4 当審の判断
1.当審において、ラルフ・ローレンのデザインに係る被服等について使用される「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章(以下、これらをまとめて「引用商標」という。)に関して行った職権による証拠調べにより、以下の事実を発見したので、その旨を請求人に通知し、相当の期間を指定して意見を述べる機会を与えた。
(1)株式会社講談社昭和53年7月20日発行「男の一流品大図鑑」(184頁)及びサンケイマーケティング昭和58年9月28日発行「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)の記述によれば、以下の事実が認められる。
アメリカ合衆国在住のデザイナーであるラルフ・ローレンは、1967年に幅広ネクタイをデザインして注目され、翌1968年にポロ・ファッションズ社(以下「ポロ社」という。)を設立、ネクタイ、シャツ、セーター、靴、カバンなどのデザインをはじめ、トータルな展開を図ってきた。1971年には婦人服デザインにも進出し、アメリカのファッション界では最も権威のある「コティ賞」を1970年と1973年の2回受賞したのをはじめ、数々の賞を受賞した。1974年に映画「華麗なるギャッツビー」の主演俳優ロバート・レッドフォードの衣装デザインを担当したことから、アメリカを代表するデザイナーとしての地位を確立した。
そして、前記の記述には「Polo」及び「by RALPH LAUREN」の文字並びに「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形を組み合わせた標章が用いられ、これらの標章は単に「ポロ」と略称されて紹介されている。
(2)株式会社洋品界昭和55年4月15日発行「海外ファッション・ブランド総覧1980年版」の「ポロ/Polo」の項(123頁、195頁、221頁、224頁、281頁)及びボイス情報株式会社昭和59年9月25日発行「ライセンス・ビジネスの多角的戦略’85」の「ポロ・バイ・ラルフ・ローレン」の項(223頁)の記述並びに昭和63年10月29日付け日経流通新聞の記事(5頁)によれば、我が国においては西武百貨店が昭和51年にポロ社から使用許諾を受け、昭和52年からラルフ・ローレンのデザインに係る紳士服、紳士靴、サングラス等、昭和53年から婦人服の輸入、製造、販売を開始したことが認められる。
(3)ラルフ・ローレンに係る紳士服、紳士用品については、昭和53年2月16日付け日本経済新聞(夕刊)の広告(6頁)、前出「男の一流品大図鑑」(184頁)、株式会社講談社昭和54年5月20日発行「世界の一流品大図鑑’79年版」(147頁)、株式会社チャネラー昭和54年9月20日発行「別冊チャネラー79-9/ファッション・ブランド年鑑’80年版」(61頁、130頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(12頁 昭和55年11月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’80年版」(131頁 昭和55年6月20日発行)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(87頁 昭和56年6月20日発行)、前出「舶来ブランド事典『’84ザ・ブランド』」(208頁)、株式会社講談社昭和60年5月25日発行「流行ブランド図鑑」(63頁)のそれぞれにおいて、メガネについては、前出「世界の一流品大図鑑’80年版」(200頁、201頁)、「男の一流品大図鑑’81年版」(171頁)、「世界の一流品大図鑑’81年版」(259頁、260頁)のそれぞれにおいて、「POLO」、「ポロ」、「Polo」、「ポロ(アメリカ)」及び「ポロ/ラルフ・ローレン(アメリカ)」等の表題の下に紹介されていることが認められる。
(4)平成3年株式会社研究社発行「英和商品名辞典」には、「POLO ポロ」の見出し語の下に「⇒Polo by Ralph Lauren」との記載があり、「Polo by Ralph Lauren ポロバイラルフローレン」の見出し語の下に「米国のデザイナーRalph Lauren(1939-)がデザインした紳士物衣料品。通例Poloと略されて呼ばれる。・・・1976年に紳士服でCoty賞を受賞、翌年には婦人服で受賞。・・・1974年の映画The Great Gatsby(「華麗なるギャッツビー」)の衣裳を担当して、人気が急上昇した」と記載されている。
平成11年1月10日株式会社小学館発行の「ランダムハウス英和大辞典」には、「polo」の見出し語の下に「3《商標》ポロ:米国のRalph Lauren デザインによるバッグなどの革製品。4ポロ⇒POLO BY RALPH LAUREN」の記載があり、「Polo by Ralph Lauren」の見出し語の下に「《商標》ポロバイラルフローレン:米国のR.Laurenデザインのメンズウエア」と記載されている。
(5)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」及び「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等を模倣したブランド商品が市場に出回り刑事摘発を受けた旨が、例えば、平成元年5月19日付朝日新聞(東京版)夕刊(16頁)、同4年9月23日付読売新聞(東京版)朝刊(16頁)、同5年10月13日付読売新聞(大阪版)朝刊(30頁)、同11年6月8日付朝日新聞(西部版)夕刊(6頁)、同11年9月9日付日本経済新聞朝刊(39頁)に報道されている。
(6)ラルフ・ローレンの「Polo」、「POLO」、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形等について、上記認定事実とほぼ同様の事実を認定した判決として、東京高裁平成2年(行ケ)183号(平成3.7.11言渡)、東京高裁平成11年(行ケ)250号、同251号、同252号、同267号、同290号(以上平成11.12.16言渡)、同268号、同289号(以上平成11.12.21言渡)、同288号(平成12.1.25言渡)、同298号、同299号(以上平成12.2.1言渡)、同333号、同334号(以上平成12.3.29言渡)、平成12年(行ケ)5号(平成12.9.28日言渡)、同140号(平成12.10.25言渡)、同112号(平成12.11.14言渡)、同162号(平成13.2.8言渡)、平成11年(行ケ)420号(平成13.4.19言渡)、平成13年(行ケ)90号(平成13.7.10言渡)、同119号(平成13.11.29言渡)、平成16年(行ケ)33号(平成16.5.27言渡)等がある。
(7)以上の事実を総合し、上記判決をも併せ考慮すると、「Polo」ないし「POLO」の文字よりなる標章、「by RALPH LAUREN」の文字よりなる標章、「馬に乗ったポロ競技のプレーヤー」の図形よりなる標章及びこれらを組み合わせた標章は、我が国においては、遅くとも本願出願時までにはラルフ・ローレンのデザインに係る商品を表示するものとして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連の商品分野の取引者、需要者の間において広く認識され、かつ著名となっていたものであり、その状態は現在においても継続しているものと認めることができる。
2.かかる事情の下において本願商標をみると、本願商標は、上記第1のとおり、「U S POLO ASSOCIATION」の文字よりなるものであるところ、これよりは、全体として親しまれた熟語的意味合いを看取させるものではなく、また、特定の団体名称を表示するものとして我が国において広く知られているともいえないものである。
しかして、被服類、眼鏡等のいわゆるファッション関連商品について使用をする商標として周知・著名な引用商標と同一の「POLO」の文字をその構成中に有する本願商標を、引用商標の使用する商品と同一の商品である「眼鏡」を含むその指定商品について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その構成中の「POLO」の文字に着目し、周知・著名となっている引用商標を連想、想起し、該商品がラルフ・ローレン又は同人と組織的、経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
また、本願商標が、請求人の主張するアメリカ合衆国ポロ協会(United States Polo Association)の団体名を表したものとして我が国において広く一般に知られているとはいえないし、「POLO」の語がスポーツ名を表す一般用語であるとしても、ポロ競技は、我が国においてはなじみの薄いスポーツであって、少なくともファッション関連商品に使用される商標の構成部分としての「POLO」が一般用語としてのポロ競技を示す語として、周知・著名な引用商標の連想、想起を阻害するような強い意味づけを有するものということはできない。
そうすると、本願商標をその指定商品に使用した場合には、引用商標の周知・著名性からして、取引者、需要者がポロ競技ないしはポロスポーツの統括団体名を連想、想起するというよりは、むしろ、引用商標を連想、想起するというのが相当である。
3.請求人は、本願商標は引用商標と具体的出所混同の可能性は実在せず、その可能性もないこと等を主張し、登録例及び判決例を挙げている。
しかしながら、請求人が掲げる登録例及び判決例は、いずれも本件と事案を異にするものであるから、これらの登録例及び判決例が本願の判断に影響を及ぼすものではない。
4.以上のとおりであるから、本願商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、これを取り消すべきかぎりでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-01-23 
結審通知日 2006-01-27 
審決日 2006-02-07 
出願番号 商願2001-40996(T2001-40996) 
審決分類 T 1 8・ 271- Z (Z09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 忠司平澤 芳行鈴木 幸一 
特許庁審判長 小川 有三
特許庁審判官 山本 敦子
矢代 達雄
商標の称呼 ユウエスポロアソシエーション、ポロアソシエーション、ユウエスポロ、ポロ 
代理人 広瀬 文彦 

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