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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y07
管理番号 1157629 
異議申立番号 異議2005-90625 
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-12-09 
確定日 2007-05-02 
異議申立件数
事件の表示 登録第4893410号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4893410号商標の指定商品中、第7類「電気掃除機」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第4893410号商標(以下「本件商標」という。)は、「マルチサイクロン」の文字を標準文字で書してなり、平成17年1月24日に登録出願、第7類「食料加工用又は飲料加工用の機械器具,動力機械器具(陸上の乗物用のものを除く。),業務用電気洗濯機,業務用脱水機,業務用食器洗い乾燥機,交流電動機及び直流電動機(陸上の乗物用の交流電動機及び直流電動機(その部品を除く。)を除く。),家庭用電気洗濯機,電気掃除機,電気ミキサー,家庭用食器洗い乾燥機,電機ブラシ,電気式ワックス磨き機,電気缶切り器,家庭用電気氷かき器,家庭用電気調理カッター,家庭用電気生ゴミ処理機」及び第11類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成17年9月9日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由の要旨
本件商標は、その指定商品中第7類「家庭用電気洗濯機,電気掃除機,電気ミキサー,家庭用食器洗い乾燥機,電気式ワックス磨き機,電気缶切り器,家庭用電気氷かき器,家庭用電気調理カッター,家庭用電気生ゴミ処理機」については、商品の品質、効能を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であるから、商標法第3条第1項第3号に該当する。

第3 取消理由通知
1 「マルチサイクロン」の語について
(1)本件商標は、前記第1のとおり、「マルチサイクロン」の文字を書してなるものであるところ、その構成中の「マルチ」の語は、「数量や種類の多いさま。いくつかの要素が合わさっているさま。」を意味するもの(大辞泉:甲第2号証)であって、日常的に使用されている語である。また、「サイクロン」の語は、「インド洋方面に発生する、強い熱帯低気圧。」のほか「流体を旋回させ、遠心力と重力を利用して、流体中の固体微粒子を分離する装置。・・空気中の粉塵粒子の分離に使われる。」を意味するもの(大辞泉:甲第3号証)であり、本件登録異議の申立てに係る指定商品中の「電気掃除機」について、吸い込んだ空気とゴミとを旋回によって分離するため、ゴミ収納部に紙パックが不要な商品を表すものとして、本件商標の査定時には、この種商品の業界において普通に使用されていたことは、特許庁において顕著な事実である。
(2)また、平成17年7月1日に施行された「石綿障害予防規則」(厚生労働省令第21号)の第18条に規定される「マルチサイクロンによる除じん方式」について、「2個以上のサイクロン(粉じんを含有する気体を円筒内で旋回させ、その遠心力で外方に分離される粉じんを落下させるもの)を並列に接続したものであり、サイクロン系としては高性能を有するものであること。サイクロンを2個又は4個接続したものは、通常それぞれダブルサイクロン、テトラサイクロンといわれ、これらはマルチサイクロン方式のものに含まれるが、単体サイクロンは、これに含まれないものであること。」(「石綿障害予防規則の施行について」(平成17年3月18日 基発第0318003号))とされている。
さらに、集じん機械(装置)の分野において、「マルチサイクロン」は、集じん機械(装置)に組み込まれる構造要素として、本件商標の登録出願前より普通に使用されていることは、例えば、1980年1月30日付け日経産業新聞(13頁)に「日立造船製の焼却炉3基にそれぞれマルチサイクロン付き電気集じん装置が設置されている。」と、1995年9月24日付け日経産業新聞(11頁)に「集じん用マルチサイクロンを備えるなど環境対策にも配慮・・」と、1996年2月7日付け日刊工業新聞(25頁)に「排ガス処理にはマルチサイクロンを使い、煤塵を捕集できる」と、また、1997年1月28日付け日刊工業新聞(14頁)に「集じん機はマルチサイクロン方式を採用している。」と記載されていることからも明らかである。
一方、電気掃除機の分野においても、「『マルチサイクロン方式』は遠心力を利用し、ホコリをかき出す『サイクロン方式』を2度適用し、ホコリがたまる部分にフィルターがなくてもホコリが完全に分離するよう具現した。」(2005年5月9日LG Japan ニュース:甲第5号証)として、電気掃除機の機能、品質を表示するためのものとして、「マルチサイクロン」の語が使用されていることが認められる。
(3)前記(1)及び(2)で述べた集じん機械(装置)及び電気掃除機の分野における取引の実情を考慮すれば、本件商標を「電気掃除機」について使用した場合、その取引者、需要者は、「複数のサイクロン(方式)で、吸い込んだ空気とゴミとを旋回によって分離する機能を備えた商品」あるいは「サイクロンを2度、3度発生させ、吸い込んだ空気とゴミとを分離する機能を備えた商品」なる意味合いを表したものと理解するというべきである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、これを「電気掃除機」について使用しても、前記1(3)で認定した意味合いをもって、商品の品質(機構・方式)を表したものと認識するにとどまるものと認められるから、自他商品の識別標識としての機能を有しないものというのが相当である。
したがって、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品中の第7類「電気掃除機」について、商標法第3条第1項第3号に違反してされたものといわなければならない。

第4 当審の判断
本件に関し、審判長は、商標権者に対し、平成18年11月20日付けで、前記第3の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もなかった。
そして、前記第3の取消理由は、妥当なものと認められるので、本件商標の指定商品中、第7類「電気掃除機」についての登録は、商標法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
しかしながら、本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品については、同法第3条第1項第3号に違反して登録されたものではなく、取り消すべき理由がないものであるから、同法第43条の3第4項の規定により、登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-03-14 
出願番号 商願2005-4664(T2005-4664) 
審決分類 T 1 652・ 13- ZC (Y07)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 金子 尚人 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 鈴木 新五
中村 謙三
登録日 2005-09-09 
登録番号 商標登録第4893410号(T4893410) 
権利者 三洋電機株式会社
商標の称呼 マルチサイクロン 
代理人 鈴木 博久 
代理人 高柴 忠夫 
代理人 芝野 正雅 
代理人 志賀 正武 
代理人 渡邊 隆 

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