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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 Y050709103542
審判 全部申立て  登録を維持 Y050709103542
審判 全部申立て  登録を維持 Y050709103542
審判 全部申立て  登録を維持 Y050709103542
管理番号 1157592 
異議申立番号 異議2006-90291 
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-06-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-06-23 
確定日 2007-05-16 
異議申立件数
事件の表示 登録第4939781号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4939781号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4939781号商標(以下「本件商標」という。)は、「LEADING THE NEXT」の欧文字を横書きしてなり、平成16年7月27日に登録出願され、第5類、第7類、第9類、第10類、第35類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同18年3月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由(要旨)
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するから、その登録は取り消されるべきである旨主張し、その理由を要旨以下のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証を提出している。
(1)商標法第4条第1項第11号
ア 引用商標
申立人の引用する登録第4463685号商標は、「Inspire The Next」の文字を標準文字で表してなり、平成12年2月4日に登録出願、第5類、第15類及び第17類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同13年3月30日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4574995号商標は、「Inspire The Next」の文字を標準文字で表してなり、平成12年1月19日に登録出願、第1類、第2類、第6類、第7類、第8類、第9類、第10類、第11類、第12類、第14類、第16類、第19類、第20類、第35類、第36類、第37類、第38類、第39類、第40類、第41類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同14年6月7日に設定登録されたものである(以下、これらの商標をまとめていうときは「引用商標」という。)。
イ 本件商標と引用商標の類否
本件商標は、「LEADING」と「THE NEXT」の文字よりなることは明らかなところ、前者は、「導く、先導する」等の意味でよく知られている「Read」から派生したものであると容易に認識される。
また、後者は、定冠詞「THE」と「次の」の意味の形容詞「NEXT」
とが結合され、後に続く名詞が省略された特異な表現方法からなるものであり、 そうすると、本件商標「LEADING」の部分が「次の何か」即ち「THE NEXT」を強調する行為を表示するにすぎず、「THE NEXT」の部分が強く印象に残るものである。
他方、引用商標は、申立人の創作に係る独創的な商標であって、家電、電子、通信機器等を中心として幅広い分野の需要者・取引者に広く知られていることは周知の事実である。
すなわち、引用商標は、「Inspire」の文字と「The Next」の文字を結合した態様からなることは明らかであって、前者は、広く知られた「Inspiration」の語と語源を共通にし、後者は、定冠詞「The」と「次の」の意味の形容詞「Next」とを結合したものである。
引用商標は、本来であれば「The Next」の後に名詞を置くことによって、「次の」何であるかを明示するのが普通であるが、意図的に名詞を置かなかったことによって、顧客・株主・従業員と共に「The Next」の後に続く言葉を考え、共有していくことを狙いの一つにしているものである。このように、引用商標は極めて特異でかつ独創的な商標である。
そうすると、本件商標と引用商標は、ともに極めて特徴的な構成をとり、着想と構成の軌を一にするばかりでなく、看者の印象に強く訴える特徴的主要部分の文字綴り「THE NEXT」及び「The Next」を共通にし、全体の意味合いも極めて近接した関係にあって、「次の何かを助長する(促す)」という点で同様の意味内容を想起・連想させるから、本件商標は、引用商標と外観、称呼、観念において互いに相紛れるおそれがある類似の商標というべきである。
ウ 上記の主張は、次の判決例に照らしても妥当なものと思われる。
(A)全体の印象が共通し類似すると判断した判決として、「大森林」と「木林森」平成3年(オ)1805号 最高裁判決 (甲第5号証)
(B)基幹部分に注視が及ぶとし、類似するとした判決として、「Golden Retriever」と「Labrador Retriever」平成13年(行ケ)第114号 東京高裁判決(甲第8号証)、同じく、「セレモアみずき」と「株式会社セレモアつくば」平成14年(行ケ)第152号 東京高裁判決(甲第9号証)ほか。
(2)商標法第4条第1項第15号
商標法第4条第1項第15号において、「他人の業務に係る商品または役務と混同を生ずるおそれがある場合とは、その他人の業務に係る商品または役務であると誤認し、その商品または役務の需要者が商品または役務の出所について混同を生ずるおそれがある場合のみならず、その他人と経済的または組織的に何等かの関係がある者の業務に係る商品または役務であると誤認し、その商品または役務の出所について混同を生ずるおそれがある場合もいう。」(最高裁 平成10年(行ヒ)第85号判決)とされている。いわゆる「広義の混同」といわれるものである。
そして、「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知・著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品との性質、用途または目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に支払われる注意力を基準として、総合的に判断すべきである(同判決)。
これを本件商標と引用商標との場合についてみるに、引用商標は、「Inspire」の文字に「The Next」の文字を結合した極めて特徴的な他に類をみない独創性の高い構成からなることは前記のとおりである。
また、引用商標は、家電、電子、通信機器等を中心とする幅広い分野の取引者、需要者に広く知られている周知著名な商標であるところ、本件商標は、この著名な引用商標の着想・構成と軌を一にするものであると同時に、全体の意味合いも同一の印象を与える類似の商標であるから、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用するときには、その商品及び役務が引用商標の商標権者又はその者と経済的若しくは組織的に関係のある者の業務に係る商品又は役務であると誤認し、その商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第19号
本件商標は、独創性の高い引用商標と極めて近似した構成方法よりなり、そこから想起される意味合いをも含め、近似した関係にあることは紛れもない事実であるところ、その着想を含め本件商標の構成が偶然の結果として引用商標と類似するものとなったとは到底いい得ないものである。
そうすると、公正な取引の観点からすれば、広く知られたこのような商標の使用は断じて避けるべきところ、あえてこのような商標を採択しなければならない必要性、必然性はなく、このような商標を採択、使用する出願人(商標権者)の行為は、取引秩序を乱すものであり、商道徳に反するばかりでなく、出願人(商標権者)の悪意ないし不正の目的を推測させるに十分である。
よって、本件商標は商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号
本件商標は、極めて独創性のある著名な引用商標の存在を認識しつつこれを採択使用したものであり、当該商標権の名声に便乗し、かつ、その利益を横奪することにほかならず、ひいては当該商標の名声を希釈化するものであって、商道徳に反するばかりでなく、取引秩序を乱すものといわなければならない。
したがって、本件商標の使用は、社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するものであり、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(5)結語
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に該当するものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1に示したとおり「LEADING THE NEXT」の欧文字よりなるところ、その構成に係る「LEADING」、「THE」及び「NEXT」の各文字(語)は、それぞれ「導くこと、誘導」、定冠詞及び「次の、次位の」を表す英単語であるが、直ちには全体として熟語的な意味合いを看取させるものではないものの、「次(世代)を導く」程の意味合いを看取させるといえるものである。
してみれば、これよりは「リーディングザネクスト」の称呼のみを生ずる不可分一体の商標として把握・認識されるものと判断するのが相当である。
他方、引用商標は、前記2(1)アに示したとおりであるところ、その構成に係る「Inspire」、「The」及び「Next」の各文字(語)は、それぞれ「正気づける、鼓吹する、…に影響を与える」、定冠詞及び「次の、次位の」を表す英単語であり、これよりは、直ちには熟語的な意味合いを看取させるものではないが、「次に影響を与える」程の意味合いを看取させるといえるものである。
してみれば、これよりは「インスパイアザネクスト」の称呼のみを生ずる不可分一体の商標として把握・認識されるものと判断するのが相当である。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、それぞれより生ずると認められる両称呼を比較しても、称呼を比較する上で重要な位置を占める両者の語頭部分において、「リーディング」と「インスパイア」の顕著な差異を有するものであるから、両称呼は、称呼において判然と区別し得るものである。
また、両商標の構成は、それぞれ前記のとおりであるから、外観上、十分に区別できる差異を有するものであり、さらに、観念においても、上記のとおりであるから、観念上も相紛れるおそれはない。
してみると、たとえ、申立人の提出に係る甲第18号証ないし甲第20号証によって、引用商標が、申立人(企業)のスローガンを表すものとして、インターネット検索情報、テレビジョンのCM等に頻繁に使用され、需要者の間に相当程度広く知られていることは認め得るとしても、本件商標の構成態様は、前述のとおりであって、引用商標とは外観、称呼、観念のいずれよりみても十分に区別できる別異の商標といえるものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものということはできない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは、別異の商標と認識されるものであり、加えて、申立人が、実際に使用している引用商標は、特に独創性を有するものとも認められず、かつ、前記の甲各号証によれば、「HITACHI」の文字と共に使用されていることが殆どであることを合わせ考えると、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合に、これに接する取引者・需要者が申立人又は引用商標などを連想・想起することはなく、その商品及び役務の出所について混同を生ずるおそれはないものとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するということもできない。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記(1)のとおり、引用商標と同一または類似の商標ということはできないばかりでなく、本件商標権者が本件商標を採択使用する行為に不正の目的があったということもできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、前記したとおりであり、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものではないし、また、本件商標をその指定商品及び指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、または社会ひいては国際信義に反するものでなく、さらに、他の法律によってその使用が禁止されているものとは認められない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号にも該当しない。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第11号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-04-26 
出願番号 商願2004-69105(T2004-69105) 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (Y050709103542)
T 1 651・ 271- Y (Y050709103542)
T 1 651・ 222- Y (Y050709103542)
T 1 651・ 22- Y (Y050709103542)
最終処分 維持  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 関根 文昭
久我 敬史
登録日 2006-03-24 
登録番号 商標登録第4939781号(T4939781) 
権利者 サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド
商標の称呼 リーディングザネクスト、リーディングザネキスト 
代理人 松田 三夫 
代理人 ポレール特許業務法人 
代理人 中山 俊彦 
代理人 下坂 スミ子 

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