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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300362 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 110
管理番号 1157448 
審判番号 取消2006-30450 
総通号数 90 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-06-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-04-14 
確定日 2007-04-26 
事件の表示 上記当事者間における登録第2485536号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2485536号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成2年7月10日に登録出願、第10類「新生児黄疸治療用光線治療器及びその部品(蛍光管)」を指定商品として、同4年12月25日に設定登録されたものであり、その後、指定商品については、同16年11月4日に指定商品の書換登録がされ、第10類「新生児黄疸治療用光線治療器及びその部品(蛍光管)」と書き換えられている。

2 請求人の主張の要旨
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第5号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品「新生児黄疸治療用光線治療器及びその部品(蛍光管)」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)登録商標の使用について
被請求人(商標権者)が本件商標をその指定商品に使用している事実を証明するものとして提出した乙第2号証の2に示されている商標は、片仮名文字「グリーンライト」のフォント(字体・大きさ・太さ)が本件商標のそれとは明らかに異なり、その位置も、本件商標にあっては、シンボルマークの右横下半分に欧文字「TOITU」と(被請求人のシンボルマークをはさんで)対をなすかたちで配置されているのに対し、同証拠物件においては、シンボルマークの右横上方に配置され、その下には、片仮名文字「グリーンライト」と同様のフォント(字体・太さ)にて品番「FL20S-BG-NU」が記されている。
乙第2号証の2に示されている商標は、本件商標の使用ではなく、商標権者(被請求人)の所有する他の登録第1793760号商標(甲第2号証)の使用と認められるものである。片仮名文字「グリーンライト」及び品番「FL20S-BG-NU」は、単に商品の品質等を表示するにすぎない部分と認められる。このことは、他社の蛍光灯においても、フォントの差異により、商標部分と商品の品質等を表示する部分とを容易に識別可能となっていることからも裏づけられる(甲第5号証)。
さらに、部品(本件における「蛍光管」)と本体(本件における「新生児黄疸治療用光線治療器」)とは同一の商標でもって取引されるのが社会通念上、期待或いは要請されるところ、乙第2号証の1に示される本体のカタログ(及び同カタログ中の写真)に付されている商標は、本件商標ではなく、上述の登録第1793760号商標である。同カタログ中に「トーイツ特別仕様による蛍光灯」との記載があるとおり、蛍光管があくまでも本体の部品としてのみ取引されるのであれば、本体と部品に商標の差異を設けることは商品に接する需要者の混乱を招くことにつながるばかりで、当該商標の存在は、商標法の趣旨に反するものといわざるを得ない。
したがって、乙第2号証の2に係る商標は、本件商標の使用とは認められない。
(イ)その他
(a)被請求人は、乙第2号証の1として、「トーイツ光線治療器LF-301」のカタログを提出しているが、同カタログの発行時期が一切記載されておらず、同商品の販売時期が不明である。また、同カタログには、本体である光線治療器の写真が掲載されているのみで、部品である蛍光管は掲載されておらず、両者の一体性が直視できない。よって、証拠としての客観的信憑性に欠けるものである。
(b)被請求人は、乙第3号証の1として、商標権者(被請求人)の大阪営業所の「グリーンライト」に係る出荷実績一覧表を提出しているが、同出荷実績一覧表の出力元が不明であり、また、発送先の大多数が大阪営業所となっており、実際の発送先が不明である。したがって、証拠としての客観的信憑性に欠けるものである。
(c)被請求人は、乙第4号証ないし乙第6号証として、医療機関の証明書を提出しているが、同証明書のフォームは、商標権者(被請求人)が作成したものであり、証拠としての客観的信憑性に欠けるものである。加えて、本体である光線治療器を購入・使用していることを証明する証明書の資料として、乙第2号証の1にみられるカタログを別添にて添付していながら、部品である蛍光管の本件商標を表示した写真を証明書に掲載しているのは意図的であるといわざるを得ない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第6号証(枝番を含む。)を提出した。
商標権者(被請求人)は、昭和33年設立の医療器械器具等の製造、販売を主たる営業とする株式会社であり(乙第1号証)、本件審判請求の登録(平成18年5月8日)前3年以内に、本件商標を付した蛍光管を装着して、「光線治療器LF-301(蛍光灯(管)「グリーンライト」FL20S・BG・NU付)」(乙第2号証の1、の2)を日本国内において販売してきた。販売例として、商標権者の大阪営業所の出荷台数を記載した資料を乙第3号証の1として提出する。
同光線治療器は、新生児の黄疸治療用器具であり、新生児高ビリルビン血症の光線治療(光線療法)に使用されるもので、極めてポピュラーな器具である。高ビリルビン血症とは、黄疸の別名である(乙第2号証の3)。
なお、商標権者(被請求人)は、本件商標を付した蛍光管(灯)を装着した前記光線治療器につき、平成2年6月14日に薬事法上の医療用具製造承認を取得し、平成2年9月から同治療器の販売・出荷を開始して、現在まで継続している(乙第3号証の2、の1)。
商標権者(被請求人)は、本件商標を付した蛍光管「グリーンライト(FL20S・BG・NU付)」を装着した光線治療器(乙第2号証の1及び同の2)を本件審判請求の登録前3年以内に、新生児黄疸治療用に日本国内各地の産婦人科などの医療機関向けに販売しており、これらの医療機関は、実際に同光線治療器を新生児黄疸治療用に使用している(乙第4号証ないし乙第6号証)。
以上の乙第1号証ないし乙第6号証により、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者により、「新生児黄疸治療用光線治療器及びその部品(蛍光管)」に使用されていたものである。

4 当審の判断
(1)乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、履歴事項全部証明書であり、商標権者は、昭和33年に設立された企業であり、医療器械器具等の製造、販売等を業とする株式会社である。
乙第2号証の1は、商標権者であるトーイツ株式会社の発行に係る「トーイツ光線治療器LF-301」のカタログであり、カタログの右肩には、別掲(2)のとおりの構成からなる商標が表示されており、製品の写真中には、「TOITU」の文字と別掲(2)と同様の図形とが並列に表された商標が表示されている。そして、製品の説明文には「新生児高ビリルビン血症の光線療法は、ポピュラーな治療法です。しかし、近紫外光線(ブルーホワイト)の生体に障害を及ぼす可能性や重い光線治療器の取り扱いが論議されています。トーイツはより安全な光線治療のため、これらの問題に挑戦し、新しい“グリーンライト”のトーイツ光線治療器LF-301を開発しました。」とあり、さらに、商品の具体的箇所の説明文中、「安全性の高いグリーンライト採用」の欄には「有害の可能性のある500nm以下の光を抑制したグリーン光線を発生するトーイツ特別仕様による蛍光灯です。」と記載されている。さらに、製品の仕様の「蛍光灯」の欄には「グリーンライト(FL20SBG-NU)×5灯」と記載されている。
乙第2号証の2は、「FL20S・BG・NU.」の製品記号が表示されている蛍光灯の写真であり、別掲(3)のとおりの構成からなる商標が表示されている。
乙第3号証の1は、「トーイツ・グリーンライトの出荷実績一覧表」であり、本件審判請求の登録(平成18年5月8日)前3年以内である2003年6月19日から2006年5月1日にかけて、商標権者の大阪営業所から「光線治療器用グリーンライト蛍光灯(FL20SBG-NU)」が出荷されていた事実が認められる(出荷先は社名が黒く塗り潰してあるため不明である。)。
乙第3号証の2は、医療用具製造承認書であり、商標権者が平成元年12月22日に厚生大臣宛に申請していた新生児黄疸治療用光線治療器LF-301についての医療用具製造承認申請が平成2年6月14日に承認された事実が示されている。
乙第4号証は、東京都町田市在の都南産婦人科からの平成18年5月24付の証明書であり、該病院においては、トーイツ社製光線治療器LF-301(蛍光灯(管)「グリーンライト」FL20S・BG・NU付)を平成15年6月に購入し、平成15年6月から平成18年5月にかけて、新生児黄疸治療用として使用していたことが記載されている。
乙第5号証は、静岡県駿東郡長泉町在の前川産婦人科クリニックからの平成18年5月25付の証明書であり、該病院においては、トーイツ社製光線治療器LF-301(蛍光灯(管)「グリーンライト」FL20S・BG・NU付)を平成16年12月に購入し、平成16年12月から平成18年5月にかけて、新生児黄疸治療用として使用していたことが記載されている。
乙第6号証は、静岡県静岡市在のくさなぎマタニティクリニックからの平成18年5月25付の証明書であり、該病院においては、トーイツ社製光線治療器LF-301(蛍光灯(管)「グリーンライト」FL20S・BG・NU付)を平成17年10月に購入し、平成17年11月から平成18年5月にかけて、新生児黄疸治療用として使用していたことが記載されている。
(2)上記において認定した事実によれば、商標権者は、医療器械器具等の製造、販売等を業とする企業であり、新生児高ビリルビン血症(黄疸)の光線治療のための機器である「光線治療器LF-301」の製造・販売をしていたものと認められる。そして、商標権者は、発行の時期は明らかではないものの、「光線治療器LF-301」に係るカタログ(乙第2号証の1)を制作し、該機器に用いられる「光線治療器用グリーンライト蛍光灯(FL20SBG-NU付)」に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付していたことを認めることができる(乙第2号証の2)。また、商標権者は、具体的な発送先は明らかにしていないものの、本件審判の請求の登録(平成18年5月8日)前3年以内である2003年6月19日から2006年5月1日にかけて、「光線治療器用グリーンライト蛍光灯(FL20SBG-NU付)」を商標権者の大阪営業所から出荷していたものと推認し得るところである(乙第3号証の1)。そしてまた、乙第4号証ないし乙第6号証の各医療機関からの証明書によれば、都南産婦人科は平成15年6月に、前川産婦人科クリニックは平成16年12月に、くさなぎマタニティクリニックは平成17年10月に、それぞれ、商標権者の製造に係る光線治療器LF-301(蛍光灯(管)「グリーンライト」(FL20S・BG・NU付))を購入し、その後も継続して使用していたものと認めることができる。
(3)以上、乙第4号証ないし乙第6号証に、その他の乙各号証を総合してみれば、商標権者(被請求人)は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、新生児黄疸治療用光線治療器及びその部品である蛍光灯(管)を販売したものと認められ、該蛍光灯(管)には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたものと認めることができる。
そして、光線治療器LF-301に用いられる「蛍光灯(管)」は、乙第2号証の1の商品説明によれば、「有害の可能性のある500nm以下の光を抑制したグリーン光線を発生するトーイツ特別仕様による蛍光灯です。」と記載されているように、医療用機械器具である光線治療器LF-301用に開発されたものと認められ、かつ、それ自体も該機器の部品として独立して取引に供されていたものと認められる。
(4)請求人の主な反論に対して
(ア)商標権者(被請求人)の使用に係る商標は、本件商標の使用とは認められない旨の主張について
そこで、商標権者(被請求人)の使用に係る商標が本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえるか否かについてみるに、本件商標は、別掲(1)に示したとおり、中央に図形を表し、その左下に「TOITU」の欧文字を、右下に「グリーンライト」の片仮名文字を配してなるものである。
これに対して、商標権者が蛍光灯(管)について使用している商標(乙第2号証の2)は、別掲(3)に示したとおり、中央に図形を表し、その左下に「TOITU」の欧文字を、図形の中段部分の右側にやゝ小さめに「グリーンライト」の片仮名文字が表示されており、「グリーンライト」の文字の下には、「FL20S・BG・NU.」なる製品記号も表示されている。
この両者を比較してみると、確かに、請求人が主張しているように、商標権者の使用に係る商標と本件商標とは同一の構成からなるものとはいえない。しかしながら、商標の使用は、商標を付する対象に応じて、適宜に変更を加えて使用されるのがむしろ通常であり、本件の場合も、上記の如く、本件商標とは、「グリーンライト」の文字の位置に若干の差異があるとしても、本件商標も使用に係る商標も、いずれも、図形部分を中央にして、その左右に、「TOITU」の欧文字と「グリーンライト」の片仮名文字を配した構成からなるものであって、文字部分からは、同一の称呼を生じ、外観においても全体として同視し得る範囲内のものと認められるから、この程度の変更がなされているとしても、商標権者の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といわなければならない。
請求人は、使用に係る商標のうち、「グリーンライト」及び「FL20S-BG-NU」は、単に商品の品質等を表示するにすぎない部分と認められるから、乙第2号証の2に示されている商標は、本件商標の使用ではなく、商標権者(被請求人)の所有する他の登録第1793760号商標(図形と「TOITU」の文字のみからなる商標)の使用である旨主張しているが、上記したとおり、使用に係る商標は、本件商標と同じ構成要素である図形部分と「TOITU」の欧文字及び「グリーンライト」の片仮名文字からなるものであるから、「グリーンライト」の文字部分が商品の品質等を表示するものであるか否かに拘わらず、本件商標の使用というべきである。
さらに、請求人は、部品である「蛍光管」と本体である「新生児黄疸治療用光線治療器」に用いる商標に差異を設けることは商品に接する需要者の混乱を招き、当該商標の存在は、商標法の趣旨に反するものである旨主張しているが、本体である「新生児黄疸治療用光線治療器」には、図形と「TOITU」の文字を用い、部品である「蛍光管」には、図形と「TOITU」の文字に加えて「グリーンライト」の文字を用いることは、部品である商品が「蛍光管」であることから、むしろ、全体として、整合性が図られているものというべきであって、請求人の主張に合理的な理由は見出し得ない。
(イ)乙第2号証の1のカタログには、光線治療器の写真が掲載されているのみで、部品である蛍光管は掲載されておらず、両者の一体性が認められない旨の主張について
確かに、乙第2号証の1のカタログには、蛍光灯(管)の写真は掲載されていないが、仕様欄の「蛍光灯」の箇所には、「グリーンライト(FL20SBG-NU)×5灯」と記載されており、一方、乙第2号証の2の蛍光灯(管)の写真にも「グリーンライト/FL20S・BG・NU」と表示されていることからみれば、乙第2号証の2の蛍光灯(管)は、乙第2号証の1のカタログに掲載されている光線治療器に用いられる蛍光灯(管)であることを容易に把握することができるものというべきである。
(ウ)医療機関の証明書(乙第4号証ないし乙第6号証)のフォームは、被請求人が作成したものであり、証拠としての客観的信憑性に欠けるものである旨の主張について
確かに、乙第4号証ないし乙第6号証の各医療機関からの証明書は、いずれも同じ体裁のものであるから、そのフォーム自体は被請求人が作成したものということができる。
しかしながら、上記各証明書は、各医療機関において、トーイツ社製光線治療器LF-301(蛍光灯(管)「グリーンライト」FL20S・BG・NU付)を購入した時期及び新生児黄疸治療用として使用していることの事実の証明を求めたものであり、これは、各医療機関において証明し得る事項であって、各医院の責任者が証明しているものであるから、証明書のフォームを被請求人が作成したからといって、その証拠価値に影響を与えるものとはいえない。定型的な文面をもって、商標の周知・著名性を証明した証明書とは性質を異にするものというべきである。
(エ)そうしてみると、請求人の上記主張は、いずれも採用することができない。
(5)まとめ
以上のとおり、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を取消請求に係る本件商標の指定商品「新生児黄疸治療用光線治療器及びその部品(蛍光管)」中の「蛍光管」について使用していたものといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(1)
本件商標




別掲(2)
カタログに表示されている商標




別掲(3)
蛍光灯(管)に表示されている商標




審理終結日 2007-02-23 
結審通知日 2007-03-01 
審決日 2007-03-14 
出願番号 商願平2-77824 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (110)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 鈴木 新五
山口 烈
登録日 1992-12-25 
登録番号 商標登録第2485536号(T2485536) 
商標の称呼 トーイツグリーンライト、トーイツ、グリーンライト 
代理人 隈部 泰正 
代理人 飯田 秀郷 
代理人 早稲本 和徳 
代理人 鈴木 英之 
代理人 栗宇 一樹 
代理人 戸谷 由布子 
代理人 大友 良浩 

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