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審決分類 |
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y30 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y30 |
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管理番号 | 1157360 |
審判番号 | 不服2005-15672 |
総通号数 | 90 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2007-06-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2005-08-16 |
確定日 | 2007-04-17 |
事件の表示 | 商願2004-98252拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 本願商標 本願商標は、「プチノエル」の片仮名文字を標準文字で書してなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く),米,脱穀済のえん麦,脱穀済の大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,酒かす,ホイップクリーム用安定剤」を指定商品として、平成16年10月27日に登録出願されたものである。 第2 原査定の拒絶の理由(要旨) 原査定は、「本願商標は、『小さい』の意味を有する『プチ』の文字と『クリスマス』の意味を有する『ノエル』の文字を一連に『プチノエル』と書してなるところ、指定商品中『菓子、パン』との関係において、クリスマス用に製造された商品(例えば、クリスマスケーキ、クッキー)を『プチノエル』と称して販売されている事実が窺えることから、「クリスマス用の菓子、クリスマス用のパン」に使用したときは、単に商品の品質、用途を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 第3 当審における証拠調べ通知 当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するか否かについて、職権に基づく証拠調べをした結果、次の事実を発見したので、同法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づく通知を行った。 1 「プチノエル」又は「プチ・ノエル」の語の使用事実 (1)「株式会社ファミリーマート」のホームページにおいて、「ファミリーマートのクリスマス2006 クリスマス商品ご予約承り開始!・・・プチノエル(税込価格1,300円)低価格ながら本格的な味と斬新なデザインで人気のレアチーズケーキです。タルトに、白桃の入ったヨーグルト風味レアチーズムースと、レアチーズムースを重ね、さらにイチゴと生クリーム入りのプロフィットをのせた、2人用のケーキです。(直径約12センチ/2?3人向け)」との記載(http://www.family.co.jp/company/news_releases/2006/061006_1.html)。 (2)「富山全日空ホテル」のホームページにおいて、「クリスマスケーキ予約開始!・・・プチノエル詰め合わせ2,310円」との記載(http://www.anahotel-toyama.com/ureshi051011/merry.html)。 (3)「株式会社モンテール」のホームページにおいて、「ブッシュ・ド・ノエル・・・ワンポイント・アドバイス 他のフルーツやチョコ、マロンをトッピングしたり、上からソースをかけたり・・・生地を薄く焼き細く巻いてかわいい『プチノエル』にしたり・・・アレンジは自由自在です。」との記載(http://www.monteur.co.jp/recipe/00037.html)。 (4)「パティスリー ル・バニーエ」のホームページにおいて、「クリスマス用プチガトー・・・週末からはチョコレートとフランボワーズのプチノエルも販売開始予定です!!」との記載(http://vanillier.blog15.fc2.com/blog-entry-25.html)。 (5)「クレヨンハウス」のホームページにおいて、「クリスマスには「ケーキおばさん」の絶品ケーキ!・・・プチ ノエル (小さな薪型ケーキ)・・・「オーガニック ノエル」を、お一人用に可愛らしく作りました。細い薪型ケーキです。 レストラン店内でお召し上がりください。もちろんテイクアウトもお待ちしております。」との記載(http://www.crayonhouse.co.jp/home/index_cake.html)。 (6)「株式会社大丸」のホームページにおいて、「クリスマスケーキ特集・・・チョコとバニラ、どちらも食べたい!そんな欲をかなえるプチサイズ。〈キャピタル東洋亭〉プチ・ノエル 各税込420円」との記載(http://www.daimaru.co.jp/kyoto/xmas/cake/index.html)。 (7)「ぬまづ菓子の木」のホームページにおいて、「プチノエル プチサイズのノエル。今年はチョコ生クリームと苺クリームをご用意しました。お二人でのクリスマスや、プレゼントにもぜひどうぞ。」との記載(http://www3.ocn.ne.jp/~kashiya/newpage24.htm)。 (8)「三月うさぎ」のホームページにおいて、「クリスマスケーキご予約承り中!!・・・プチ・ノエル 1個 ¥525」の記載(http://www.sangatuusagi.co.jp/Xmas2005/XmasCake2005.pdf)。 (9)「パティスリー コロレ プレオープン。 という感じで、私の作ったお菓子を紹介してゆきます。・・・ ブッシュドノエル いよいよやってくるクリスマス。お菓子屋さんは大忙し。今年もがんばろう。 プチノエル 左のノエルの切れ端で作ってみました。中にはカラメリゼしたくるみを入れて、アクセントに。」との記載(http://www.geocities.co.jp/Foodpia-Olive/4359/colorer.html)。 2 以上よりすれば、本願指定商品中の「ケーキ」については、「プチノエル」の語は、「一人用又は少人数用のブッシュ・ド・ノエル等のクリスマスケーキ」を表すものとして、この種業界において、相当程度に使用されていることが窺えるところ、かかる点を考慮すれば、本願商標「プチノエル」を当該商品について使用する場合、需要者等は、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認識、把握するというのが自然である。 第4 職権証拠調べに対する意見の要点 請求人(出願人)は、「証拠調べ通知書に記載されているように、最近は『プチノエル』の語がインターネット上にかなり掲載されるようになったが、本願出願時(平成16年10月27日)には、そのような事実はない。商標法第3条の判断時は、査定もしくは審決時というのが通説ではあるが、このことは、審査・審理が長期化すればするほど、インターネットに掲載さえしておけば、少なくとも他人の商標登録を阻止することができることにつながり、妥当な判断とはいえない。」旨主張している。 第5 当審における判断 商標法第3条第1項第3号の判断に際しては、「商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示としてなんぴともその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものと解すべきである。」(最高裁昭和53年(行ツ)第129号 昭和54年4月10日判決言渡)と判示されているところである。 これを踏まえて、本件についてみるに、本願商標は、「プチノエル」の文字よりなるところ、該文字は、「小さい」の意味を有する「プチ」の文字と「クリスマス」の意味を有する「ノエル」の文字とを連綴して表したものと容易に理解されるというのが相当である。 そして、「プチノエル」又は「プチ・ノエル」の語が本願指定商品中の「ケーキ」については、「一人用又は少人数用のブッシュ・ド・ノエル等のクリスマスケーキ」を表すものとして、この種業界において、相当程度に使用されていることが窺えることは、前記第3に挙げたとおりである。 してみれば、本願商標は、商品「ケーキ」との関係においては、「一人用又は少人数用のブッシュ・ド・ノエル等のクリスマスケーキ」を表す、取引上必要適切な表示というのが相当であるから、これを商標として特定人に独占使用を認めることは、公益上適切でないというべきである。 ところで、請求人(出願人)は、インターネットに「プチノエル」なる名称を付した菓子が掲載されている事実をもって、本願商標の自他商品識別性を否定するのは行き過ぎであり、また、商標法第3条の判断時は査定時もしくは審決時というのが通説であるとしても、審査・審理が長期化すればするほど、インターネットに掲載さえしておけば、他人の商標登録を阻止することができることにつながり、妥当な判断とはいえない旨主張している。 しかしながら、インターネットに掲載されている情報を徴するに、これらは単にインターネットに掲載されているにとどまらず、例えば、店舗において「プチノエル」と付したケーキを販売していることや、「プチノエル」と付したケーキを、カタログ、チラシ等に掲載しているであろうことは、商品「ケーキ」の取引の実情からすれば、容易に推認し得るものであって、かつ、本願商標の独占使用を特定人に認めることは適切でないというのが相当であることは前述のとおりである。 また、商標法3条1項3号該当性を判断するに当たって、「同号は、商標の登録に関する積極的要件ないし一般的登録要件に関する規定であって、その要件がないものについては、商標登録を拒絶すべき旨を定めたものであるから、このような要件の存否の判断は、行政処分一般の本来的性格にかんがみ、一般の行政処分の場合と同じく、特別の規定のない限り、行政処分時、すなわち、拒絶査定不服の審判においては、審決時を基準として判断されるべき・・・この点に関して、原告は、出願の時点で判断すれば当然に生じたであろう登録期待性が、その後の他人の行為によって奪われるのは社会的公平を損なうことになると主張する。しかし、同号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くとされているのは、このような商標は、商品の産地、販売地その他の特性を表示記述する商標であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合、自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによるものである。そうである以上、審決時において、そのような公益上適当ではなく、また、商標としての機能を果たし得ない商標について、登録を認める行政処分をしなければならないものと解することはできない。」旨判示されている(東京高裁平成11年(行ケ)第442号 平成12年8月29日判決言渡)ことよりすれば、かかる請求人(出願人)の主張を採用することはできない。 さらに、請求人(出願人)は、過去の登録例について述べているが、「ノエル」の文字よりなる登録第1540715号商標は、昭和56年に公告されたものであって、その判断時が相違するものであるから、その時点において、フランス語に由来する「ノエル」の語がその指定商品の品質等を表すものとして一般に認識されていたとは、にわかに認め難く、また、他の事例は、本願商標ほど、直接的かつ具体的に指定商品の品質等を表すものとして認識し、把握されるとはいい難いというのが相当であって、これらが登録されていることを理由として、本願商標も登録されるべきであるとはいい得ない。 以上よりすれば、本願商標「プチノエル」は、これをその指定商品中「一人用又は少人数用のブッシュ・ド・ノエル等のクリスマスケーキ」について使用する場合、これに接する需要者等は、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認識、把握するというのが自然である。 そして、商標法第3条の趣旨からして、これを特定人に独占させることは適切ではないというべきである。 また、本願商標から特定の商品(ケーキ)を認識、把握するものであれば、前記商品以外の「菓子、パン」に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるというのが相当である。 したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2007-02-07 |
結審通知日 | 2007-02-16 |
審決日 | 2007-02-27 |
出願番号 | 商願2004-98252(T2004-98252) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(Y30)
T 1 8・ 272- Z (Y30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 富田 領一郎、梶原 良子 |
特許庁審判長 |
高野 義三 |
特許庁審判官 |
久我 敬史 岡田 美加 |
商標の称呼 | プチノエル、ノエル |
代理人 | 伊藤 将夫 |