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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y11
管理番号 1155551 
審判番号 取消2006-30093 
総通号数 89 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-05-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-01-19 
確定日 2007-03-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4634142号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4634142号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4634142号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成14年2月12日に登録出願、第11類「電球類及び照明用器具,原子炉,ガスストーブ,太陽炉,ボイラー,ガス湯沸かし器,ガスレンジ,調理台,冷凍機械器具,アイスボックス,氷冷蔵庫,蒸発装置,暖冷房装置,換気装置,太陽熱利用温水器,浄水装置,家庭用電熱用品類,シャワー器具,家庭用浄水器,水道蛇口用座金,水道蛇口用ワッシャー,水道用栓,汚水浄化槽,家庭用汚水浄化槽,消毒装置,給水用設備,飲料水用ろ過器」を指定商品として、同15年1月10日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)本件商標と本件商標に係る指定商品等が記載された新聞広告(乙第1号証;以下「本件広告」という。)が商標法第2条第3項第8号に該当しないことについて
被請求人は、本件商標をその指定商品に使用しているとして、本件広告(乙第1号証)ほかを提出している。
しかしながら、商標法第2条第3項第8号における「商品又は役務に関する広告」とは、需要者・取引者に提供されることが具体的に予定されている商品又は役務に関する広告をいう。しかるに、本件広告には、「下記の製品を生産・販売しております」として商品名が列挙されてはいるものの、それらは、複数の商標(商標登録第4634142号又は商標登録第4634144号に係る商標)について、商標登録原簿又は商標公報の指定商品の欄に記載の商品をそのままの記載順序でそのまま掲載したものにすぎず、型番又は写真等によって具体的な製品を特定できるような表示が全く掲載されていない。
また、乙第3号証の「販売代理意向書」の第1条によれば、「甲(被請求人会社)は、中国で生産している電器製品を日本の電器製品の規格に合格することを努力する。」とある。この文言は、同意向書が締結された2005年3月17日において、被請求人が日本の規格に合格した製品を日本国内の需要者に提供できる状態になかったことを明らかに示している。
そうとすれば、本件広告が掲載された「中文導報」の発行日である平成17年2月24日(前記意向書の締結前)において、被請求人が、日本の電器製品の規格に合格した製品を日本国内の需要者に提供できる状態になかったことも明らかである。
したがって、本件広告は、具体的な商品に関する広告とはいえず、せいぜい営業内容を含めた会社自体の広告に過ぎないものであり、商標法第2条第3項第8号における「商品又は役務に関する広告」には該当しない。
この点については、東京高裁平成10年(行ヶ)第187号審決取消請求事件判決(甲第2号証)において判示されているとおりである。
(イ)名目的使用を推認させる事実について
被請求人によって行なわれた広告は、僅か1回にすぎないこと、しかも、本件広告は、前述のとおり、日本の市場で販売することが可能な商品が不存在であったにもかかわらずなされていること、被請求人は、「中国における総合家電メーカーとして現実に数多くの製品を製造・販売」していると述べているが、実際には、中国において販売実績もない「原子炉」等を営業品目として本件広告に掲載していること等からみて、被請求人は、不使用取消審判が第三者から請求されることを想定して、不使用取消を免れるためだけの目的で、事前に、本件広告をなしたとみるのが相当である。
(ウ)被請求人の主張・証拠の信用性に疑義を生じさせる事実
被請求人のウェブサイト画面資料(乙第2号証)に掲載の被請求人の商標は、請求人(ダイキン工業株式会社)の著名商標である「DAIKIN+三角形の図形」と極めて酷似するものであって、ダイキン工業株式会社の名声にフリーライドする意図を推認させるものである。また、同資料第1頁の中央部に「日本ダイキン株式会社技術提携します」と、添付の翻訳文の第1段落に「上海大金科技有限公司が日本大金株式会社を買収する」との各記載があるが、請求人の調査によれば、それらの会社は、その設立以来何ら事業活動を行なっていない会社であるから、両者間での技術提携ということはあり得ないものである。さらに、「販売代理意向書」(乙第3号証)の契約の相手方である「乙(日本時存有限会社)」も、その設立以来何ら事業活動を行なっていない会社であるから、そのような会社との契約は極めて名目的なものというべきである。
以上の事実は、被請求人の主張及び被請求人が提出した証拠の信用性に全体として強い疑問を生じさせるものである。
(エ)したがって、被請求人は、請求に係る指定商品のいずれかについて本件商標を使用したことを証明したことにはならない。

3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。
本件商標の商標権者である上海大金科技有限公司は、継続的に我が国において、指定商品について本件商標を使用しており、少なくとも、平成17年2月24日には、本件商標を使用して指定商品に関する新聞広告を行っている。
乙第1号証の新聞「中文導報」は、2005年2月24日に発行されたものである。そして、新聞掲載の広告には、「上海大金科技有限公司」、「中華人民共和国上海市中山南路617号金隆大廈6階」が表示されており、本件商標とともに請求に係る指定商品全てが記載されている。
新聞紙上の広告欄に指定商品とともに登録商標を掲載することは、商標法第2条第3項第8号における「商品に関する広告に標章を付して展示又は頒布する行為」に該当する。
なお、広告を行っていても実際には製品を全く製造等していないような場合には、名目的使用として商標法上の「使用」と認められない場合も考えられるが、乙第2号証「被請求人のウェブサイト画面資料」に示すように、被請求人は、中国における総合家電メーカーとして現実に数多くの製品を製造・販売し、ウェブサイトにおいても実際の製品に本件商標を付していることが確認できる。
また、被請求人が広告を掲載した中国語新聞「中文導報」は、中国語新聞としてわが国で最大の発行部数(8万部)を誇る全国紙であり、被請求人は、広告やウェブサイトからの問合せに対して直接自社製品を販売する体制をとっている。
さらに、乙第3号証「販売代理意向書」(2005年3月17日付)に示すように、被請求人は、中国からの直接販売だけでなく、日本の販売代理店を通じて自社製品(ドライヤー等)をわが国で販売する体制をとっている。
したがって、本件の新聞広告は名目的なものではない。
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者により指定商品について使用されているものであるから、本件審判の請求は成り立たない。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
乙第1号証は、2005年2月24日に発行された「中文導報」と題する新聞であり、その左肩には「日本新聞」と表示されており、我が国の各種企業の広告とともに、被請求人の広告が掲載されている。被請求人の広告には、上段中央部分に被請求人の名称である「上海大金科技有限公司」の文字が大きく表示され、その左側には本件商標が表示され、右側には、被請求人の所有に係る別件の登録第4634144号商標が表示されている。そして、広告の文言として、「当社は、DJBBSHブランド(日本における商標登録番号:第4634142号と第4634144号)の下記の製品を生産・販売しております。」として、製品名として「電球類及び照明用器具、原子炉、ガスストーブ、太陽炉、ボイラー、ガス湯沸し器、ガスレンジ、調理台、冷凍器械器具、アイスボックス、氷冷蔵庫、蒸発装置、暖冷房装置、換気装置、太陽熱利用温水器、浄水装置、家庭用電熱用品類、シャワー器具、家庭用浄水器、水道蛇口用座金、水道蛇口用ワッシャー、水道用栓、汚水浄化槽、家庭用汚水浄化槽、消毒装置、給水用設備、飲料水用ろ過器」が記載されている。そして、「上記製品の購入及びアフターサービスにつきましては下記にご連絡ください。」として「住所:上海市中山南路617号金隆大廈6階」とあり、電話番号、FAX番号及び電子メールアドレスが表示されている。
乙第2号証は、被請求人のウェブサイト画面をプリントアウトしたものであり、中国語で書かれた文献中には、本件商標及び上記別件商標の表示とともに、各種の冷蔵庫の写真とその商品説明が記載されている。
乙第3号証は、2005年3月17日付の「販売代理意向書」(中国語及び日本語)と題する契約書であり、被請求人が東京都中野区在の日本時存有限会社に対して、被請求人の製品である「ドライヤー、電気保温カップ」を日本国内において販売する販売代理権を付与した旨が記載されている。
(2)そこで、上記新聞に掲載した広告が商標法第2条第3項第8号に規定されているところの「商品又は役務に関する広告」に該当するか否かについて検討するに、同号に規定されている広告とは、需要者・取引者に提供されることが具体的に予定されている商品又は役務に関する広告をいうものと解される。
しかして、上記新聞は、その左肩に「日本新聞」と表示されていることから、我が国において、2005年2月24日に発行されたものと認められ、該広告には、被請求人の名称、本件商標及び商品名が記載されていることを認めることができる。
しかしながら、該広告において、被請求人の製品であるとして記載されているのは、商標登録原簿又は商標公報の指定商品の欄に記載されている商品を、「原子炉」をも含めて、また、概念表示のものをも含めて、一部を除きそのままの記載順序で掲載したものにすぎず(なお、「冷凍機械器具」が、「冷凍器械器具」と掲載されている)、製品の型番や商品説明あるいは製品の写真等、具体的に製品を紹介するような表示は全く掲載されていない。しかも、上記において認定したように、該広告は、上段中央部分に被請求人の名称である「上海大金科技有限公司」の文字が大きく表示され、その右側には、別件商標も表示されているものである。
加えて、新聞広告には、本件商標の指定商品が一部を除きそのまま掲載されており、購入が可能であるかのように記載されているが、乙第3号証(販売代理意向書)によれば、被請求人が東京都中野区在の日本時存有限会社に対して付与した日本国内における販売独占権は、「ドライヤー、電気保温カップ」についてのみである。そして、その第1条によれば、「甲(被請求人会社)は、中国で生産している電器製品を日本の電器製品の規格に合格することを努力する。」と記載されており、この記載からみれば、上記新聞はこの販売代理契約が締結される以前に発行されているものであるから、該広告が掲載された時点においては、日本の電器製品の規格に合格した製品を日本国内の需要者に提供できる状態になかったものといわなければならない。そして又、その後、我が国において、それらの商品について、現実に取引されたことを認めるに足る証拠(例えば、カタログやパンフレット、取引書類等)も提出されていない。
以上の事実を総合してみれば、上記広告は、特定の商標を付した具体的な商品の販売を目的とする広告とはいい難く、むしろ、単に、被請求人の営業内容を宣伝することを主眼とする被請求人会社自体の広告とみるのが相当である。
したがって、上記広告をもってしては、本件商標をその指定商品について使用していた事実を証明したものとはいえない。
この点について、被請求人は、乙第2号証(ウェブサイト画面)及び乙第3号証(販売代理意向書)を挙げて、被請求人は、中国における総合家電メーカーとして現実に数多くの製品を製造・販売しており、中国からの直接販売だけでなく、日本の販売代理店を通じて自社製品(ドライヤー等)をわが国で販売する体制をとっているものであるから、該新聞広告は名目的なものではない旨主張している。
しかしながら、前記したとおり、該新聞広告は具体的な商品の広告とは認め難いばかりでなく、日本の販売代理店に関しても、提出されているのは乙第3号証の契約書のみであって、契約商品についての具体的な販売準備活動状況等についての主張・立証もない以上、被請求人の主張は俄には認め難いところである。
なお、このような広告が「商品又は役務に関する広告」に該当しないことは、東京高裁平成10年(行ケ)第187号審決取消請求事件判決において判示されているとおりである。
(3)次に、乙第2号証のウェブページに商品を掲載(広告)したことが我が国における商標の使用(商標法第2条第3項第8号)に該当するか否かについて検討するに、上記ウェブページは、被請求人の住所が中華人民共和国上海市中山南路617号金隆大廈6階であることから、中国のサーバーに設けられているものと推認されるところ、トップページの一部に日本語で「ブランドは品質から生まれる」、「日本ダイキン株式会社技術提供します」と書かれている以外は、全て中国語で記載されていることからみて、一般的な日本の需要者を対象としたものとは認められない。そして、上記ウェブページは、日本からもアクセス可能であり、日本の検索エンジンによっても検索可能であるが、そのことは、インターネットのウェブページである以上当然のことであるから、上記ウェブページにおける商品掲載(広告)をもって、日本国内における使用に該当するものということはできない。
なお、このようなウェブページによる広告が日本国内における使用に該当するものといえないことは、東京高裁平成17年(行ケ)第10095号審決取消請求事件判決において判示されているとおりである。
(4)以上のとおり、被請求人の答弁の全趣旨及び乙各号証を総合的に判断しても、被請求人は、本件審判の請求の登録(平成18年2月3日)前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが取消請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標の使用をしていたことを証明したものとは認められない。
したがって、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2006-10-24 
結審通知日 2006-10-31 
審決日 2006-11-13 
出願番号 商願2002-10025(T2002-10025) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y11)
最終処分 成立  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 澁谷 良雄
久我 敬史
登録日 2003-01-10 
登録番号 商標登録第4634142号(T4634142) 
商標の称呼 デイジェイビイビイエスエッチ、デイジェイビイビイエスエイチ 
代理人 竹内 耕三 
代理人 森田 俊雄 
代理人 西脇 民雄 
代理人 野田 久登 
代理人 深見 久郎 

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