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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 Y03
管理番号 1154054 
異議申立番号 異議2006-90462 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2007-04-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2006-09-14 
確定日 2007-02-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第4964392号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4964392号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4964392号商標(以下「本件商標」という。)は、「フジボウ」の片仮名文字を横書きで書してなり、平成17年8月30日に登録出願、第1類、第3類、第5類、第17類及び第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成18年6月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第2490569号商標(以下「引用商標」という。)は、「フィジボゥ」の片仮名文字と、「physibeau」の欧文字とを2段に横書してなり、平成2年12月25日に登録出願、第4類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同4年12月25日に設定登録されたものである。その後、指定商品については、同15年5月28日に指定商品の書換登録により、第3類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品となっている。

3 登録異議の申立ての理由の要点
本件商標は、その構成より「フジボウ」の称呼が生ずるのに対し、引用商標は、その構成より「フィジボウ」の称呼が生じる。
そして、両称呼は、語頭音「フ」と拗音を伴う「フ」、即ち「フィ」か、という微差を有するのみであり、日本語の発音には、「fi」に該当する発音が無いことから、「f」に該当する「フ」と「i」に該当する「イ」の拗音「ィ」を結合しているため、語頭音である「フィ」を強く且つ一連に発音すると「フ」の部分が強調され、全体として極めて近似する称呼となる。
したがって、本件商標と引用商標とは、観念については両者共に造語であるため比較の余地がないが、外観が比較的近似したものであり、更に称呼において類似し、その指定商品も類似する。
よって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるから、指定商品中、第3類の指定商品について、取り消されるべきである。

4 当審の判断
本件商標は、前記1のとおり、「フジボウ」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して、「フジボウ」の称呼を生ずるものである。
これに対し、引用商標は、前記2のとおり、「フィジボゥ」と、「physibeau」の文字を書してなるものであるから、その構成文字に相応して、「フィジボウ」の称呼を生ずるものである。
そこで、本件商標より生ずる「フジボウ」の称呼と引用商標より生ずる「フィジボウ」の称呼を比較するに、両称呼は、語頭部において「フ」と「フィ」の音の差異を有するが、他の3音の「ジボウ」を共通にするものである。そして、該差異音中後者の「フィ」の音は、「フ」に続く「イ」の音を拗音、促音等のように発音させるため、小文字「ィ」にて表記されているが、これは本来の日本語には無い発音を、外国語の発音に近似させるための表記であり、日本語の拗音にも促音にも無いため、その前後の音にあまり吸収されず、単音(一音)として明瞭にまた若干強めの発音になるものである。このことは、例えば、「フィアンセ(婚約の相手)」、「フィート(ヤード‐ポンド法における長さの単位)」、「フィーバー(熱中して騒ぐこと)」、「フィクション(作りごと)」、「フィジカル(物質的)」、「フィナーレ((演劇などの)終幕)」、「フィルム(写真感光材料の一)」、「フィンガー(指)」等々の語が、「フアンセ」、「フート」、「フーバー」、「フクション」、「フジカル」、「フナーレ」、「フルム」、「フンガー」の様に聴取されることなく、明瞭に聴別されていることからもいえるものである。
一方、申立人は、前記3で、「日本語の発音には、『fi』に該当する発音が無いことから、『f』に該当する『フ』と『i』に該当する『イ』の拗音『ィ』を結合しているため、語頭音である『フィ』を強く且つ一連に発音すると『フ』の部分が強調され、全体として極めて近似する称呼となる。」旨述べるが、「拗音」の意は『(1)日本語のア〔a〕ウ〔u〕オ〔o〕の母音の前に半母音〔j〕を伴った子音が添っている音節。「や」「ゆ」「よ」の仮名を他の仮名の下に添えて表し(現在は一般に小さく書く)一音節をなす。すなわち、「きゃ〔kja〕」「きゅ〔kju〕」「きょ〔kjo〕」、その他「ぎ」「し」「じ」「ち」「に」「ひ」「び」「ぴ」「み」「り」に「や」「ゆ」「よ」が添うもの。開拗音。(2)「か」「が」「け」「げ」の子音と母音との間に〔w〕の音の挿入された音節。「くゎ〔kwa〕」「ぐゎ〔gwa〕」「くゑ(小文字)〔kwe〕」「ぐゑ(小文字)〔gwe〕」。現在は、方言に「くゎ」「ぐゎ」が残るのみ。合拗音。(株式会社岩波書店発行 広辞苑第五版)』とあることからすると、「ィ」の音は拗音には含まれず、「フィ」の音が「フ」の音に近似するとの、請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標と引用商標とは、その称呼の識別に重要な要素をしめる語頭のおいて、「フ」と「フィ」の音が異なり、いずれの音も、比較的はっきりと発音され、両称呼が比較的短い音構成よりなることも考慮すれば、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は、決して小さいものとはいえず、それぞれの称呼を全体として称呼した場合も、その語調、語感が相違したものとなり、互いに聞き誤るおそれはないというのが相当である。
また、本件商標と引用商標とは、いずれも特定の観念を有しない造語よりなるものと理解されるから、観念上比較することはできない。
さらに、両商標は、前記1及び前記2のとおりの構成よりみて、外観上互いに区別し得る差異を有するものである。
したがって、本件商標と引用商標とは、その称呼、観念及び外観のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
以上のとおり、本件商標の登録は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2007-02-07 
出願番号 商願2005-80877(T2005-80877) 
審決分類 T 1 652・ 262- Y (Y03)
最終処分 維持  
前審関与審査官 松浦 裕紀子 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 山本 良廣
石田 清
登録日 2006-06-23 
登録番号 商標登録第4964392号(T4964392) 
権利者 富士紡ホールディングス株式会社
商標の称呼 フジボウ、フジボー 
代理人 鈴木 正次 
代理人 涌井 謙一 
代理人 鈴木 一永 
代理人 山本 典弘 

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