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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 取り消して登録 Y11
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 取り消して登録 Y11
管理番号 1153916 
審判番号 不服2004-15994 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-08-02 
確定日 2007-03-28 
事件の表示 商願2003-109897拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願商標は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第11類「化学物質を充てんした保冷具」を指定商品として、平成15年12月10日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『氷点下パック』の文字を普通に用いられる方法で表してなるが、該構成中の『氷点下』の文字は、『水の氷点以下の温度』の意味を有し、『パック』の文字は、『包装したもの』の意味を有しているものであるから、本願商標は、全体として『水の氷点以下の温度になるパック(包装したもの)』の如き意味合いを容易に認識させるものである。ところで、近時、氷点以下の温度になる保冷具が市場で取引されている実情が見うけられる。そうすると、これを本願指定商品に使用したときは、これに接する需要者は、『水の氷点以下の温度になる保冷パック(保冷具)』の如き意味合いを把握・認識するに止まり、自他商品の識別標識としては認識できないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における証拠調べ通知
当審において、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かについて、職権により証拠調べをした結果、下記の事実を発見したので、商標法第56条第1項で準用する特許法第150条第5項の規定に基づき請求人に通知した。

1.「氷点下」及び「パック」の語の有する意味について、広辞苑によれば、以下の事実が認められる。
(1)「氷点下」の項に、「水の氷点以下の温度。セ氏零度以下。」(株式会社岩波書店 広辞苑第5版)の記載がある。
(2)「パック」の項に、「包装すること。包装したもの。」(株式会社岩波書店 広辞苑第5版)等の記載がある。
2.インターネット情報において、「氷点下」及び「パック」の文字が、商品「化学物質を充てんした保冷具」等について使用されている事実。
(1)株式会社ハセックのホームページ中の製品ガイドにおいて、保冷製品-「氷太クン」シリーズの商品紹介に、「氷太クンの特徴!!」として「氷太クンは、今までにない氷点下で冷やす保冷材です。」の記載がある。また、製品紹介中に「-5℃ 通常の保冷材よりも少し低め。でも、氷点下です。」の記載がある。(http://www.bcap.co.jp/hasec/framepage7.htm)
(2)スリーティ株式会社のホームページにおいて、「瞬間冷却パック」「ひえっぺ」の商品紹介として、「袋をたたけば い?ち、に?、さんで氷点下」の記載がある。また、使用法として「1度使った『ひえっぺ』を冷凍庫に入れておけば、保冷剤として利用できます。」の記載がある。(http://www.giftshop.co.jp/hieppe/index.htm)
(3)株式会社爽快ドラッグのホームページにおいて、「ヒヤロンミニ」の商品紹介として「ワンタッチで氷点下」の記載がある。また、ヒヤロンミニの詳細説明として、「●どこでもすぐ氷点下」の記載がある。また、商品写真によれば「ワンタッチ即冷パック」の表示がある。(http://www.soukai.com/P262857/p.html) また、ケンコーコム株式会社のホームページにおいて、「ワンタッチ冷却パックヒヤロンミニ」の商品説明文に、「ワンタッチで冷たさをキープできるミニサイズのパック。」、「冷蔵庫で冷やしなおすと再び使うことができますが、保冷時間は短くなります。」の記載がある。(http://www.kenko.com/product/groupwords/gw_103302.html)
(4)株式会社コーエイトレードのホームページ「オンライン販促品流通センター」において、「冷っ子ミニ」の商品紹介に「ワンツーパンチであっというまに氷点下!」の記載がある。また、商品写真によれば「瞬間冷却パック」の表示がある。(http://www.hansokuhin.com/good_db/shop_detail.php?seq=5316&SS=&nowpage=18&)
(5)株式会社サンケイ商事のホームページに、「クイックフリーズ」の商品紹介として「袋をポン。アッ!!っという間に氷点下」の見出しのもと、「クイックフリーズは、袋をたたけば氷点下まで急速冷却!」の記載がある。また、商品写真によれば、「急速冷却パック」の表示がある。(http://www.sankei-shoji.co.jp/quick.html)
(6)ティエヌケイ東日本株式会社のホームページに、「クールパック(ハードケースタイプ)」の商品説明として、「適合温度0℃タイプ、-5℃タイプ、-16℃タイプ、-20℃タイプ、-25℃タイプ」の記載がある。また、製品仕様中の品質表示の項目に「パック」「外装ポリエチレン」の記載がある。(http://www2.neweb.ne.jp/wd/tnk-east/index2.html)、(http://www2.neweb.ne.jp/wd/tnk-east/coolpack/pic13.html)
3.新聞記事情報において、氷点下の温度を維持する保冷剤についての記事が掲載されている事実。
(1)2004年2月29日付け読売新聞(東京朝刊33頁)に、「環境に優しい保冷剤開発 白沢のメーカーと日本原研が共同で」の見出しのもと、「開発された保冷剤は、同研究所が開発した「セルロース誘導体ハイドロゲル」と呼ばれる放射線照射で生成したゲル状(半固体)物質に、冷却効果を促す天然物質を添加したもの。これにより、氷点下5度の温度を約十四時間維持することに成功した。」、「新開発の保冷剤は、すでに、企業や公的機関などで、食品や医療品の輸送に試験的に導入され、さらに氷点下25度に温度を下げる研究も進んでいる。」の記事の掲載がある。
なお、仮に、本願商標が使用をされた結果、識別性が生じているとするならば、例えば、以下のような証明書等を提出して、商標法第3条第2項の規定に該当する旨の主張をされたい。
(ア)納入伝票、注文伝票、請求書又は領収書等
(イ)広告宣伝等が掲載された印刷物(新聞、雑誌、カタログ、ちらし等)(ウ)商標が使用されていることを明示する写真等
(エ)広告業者又は印刷業者等の証明書
(オ)同業者、取引先又は需要者等の証明書

第4 請求人の意見の要旨
請求人は、前記第3の証拠調べ通知に対して、本願商標は、使用により需要者が何人かの業務に係る商品であるかを認識できるに至っており、商標法第3条第2項に該当し、商標登録を受けることができる旨、述べると共に、平成16年10月20日付け手続補正書において提出した甲第1号証ないし同第18号証(枝番を含む。)に加え、同18年10月20日付け手続補足書、及び同年12月27日付け手続補足書において甲第19号証ないし同第37号証(枝番を含む。)を提出した。

第5 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「氷点下パック」の文字を白抜きにし、その周りに隈取りを施した構成よりなるところ、文字のデザイン化が盛んに行われている昨今の実情からすると、この程度のデザインをして、格別特異な書体、特殊な文字を表したものとは認められず、普通に用いられる態様の域を出ない方法で表してなるものといわざるを得ないものであって、構成中の「氷点下」の文字は「水の氷点以下の温度。」等の意味合いを有し、「パック」の文字は「包装したもの。」等を意味する語として一般に良く知られ、親しまれた語であるといえるものである。
してみれば、「氷点下パック」の文字よりなる本願商標は、これに接する取引者、需要者をして、全体として「水の氷点以下の温度になるパック(包装したもの)」の意味合いを有するものであると、容易に認識、理解されるというのが相当であり、これを本願指定商品について使用するときは、「水の氷点以下の温度になる保冷パック(保冷具)」であることを認識させるにとどまるものであって、単に商品の品質・内容・効能を表示したものにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。
しかしながら、請求人(出願人)は、本願商標は同法第3条第2項の規定に該当する旨主張し、当審において甲第1号証ないし同第37号証を提出しているところ、甲第2号証、同第5号証、同第6号証及び同第8号証ないし同第10号証「商品写真」、同第11号証ないし同第15号証「2002年3月から2004年7月までの商品コード別の各売上数及び各売上額の一覧及び販売店の名称等」、同第31号証及び同第32号証「雑誌ガルヴィ8月号に掲載された商品写真及びその証明書」、同第36号証「請求人(出願人)のホームページの2006年7月1日から9月1日までのアクセス数一覧」及び同第37号証「2006年3月から11月の各商品毎の取り扱い販売店、その住所及び販売個数一覧」等を総合勘案すれば、本願商標と同一と認め得る商標が、2002年3月頃より継続して商品「化学物質を充てんした保冷具」について使用された結果、現在においては、少なくとも当該商品の取引者、需要者間において請求人(出願人)の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものと認め得るところである。
してみれば、本願商標は、上記商品について同法第3条第2項に規定する要件を充たしているものであるから、同法第3条第1項第3号に該当するとして、本願を拒絶すべき限りでない。
その他、政令で定める期間内に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標

審決日 2007-03-06 
出願番号 商願2003-109897(T2003-109897) 
審決分類 T 1 8・ 17- WY (Y11)
T 1 8・ 13- WY (Y11)
最終処分 成立  
前審関与審査官 平松 和雄木住野 勝也 
特許庁審判長 澁谷 良雄
特許庁審判官 石田 清
海老名 友子
商標の称呼 ヒョーテンカパック、ヒョーテンカ 
代理人 大西 孝治 
代理人 大西 正夫 

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