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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y2930
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y2930
管理番号 1153816 
審判番号 不服2004-15460 
総通号数 88 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-04-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-07-26 
確定日 2007-03-02 
事件の表示 商願2002-89376拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「NATTOKINASE」の欧文字を標準文字で書してなり、第29類及び第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成14年10月22日に登録出願され、その後、指定商品については、同15年6月30日付けの手続補正書により、第29類「納豆菌により作られる酵素を含有する粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品,肉製品を主原料とし、納豆菌により作られる酵素を含有する粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品,加工水産物を主原料とし、納豆菌により作られる酵素を含有する粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品,野菜を主原料とし、納豆菌により作られる酵素を含有する粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品」及び第30類「穀物を主原料とし、納豆菌により作られる酵素を含有する粉状・粒状・錠剤状・カプセル状・液体状・ゼリー状の加工食品」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、納豆菌により作られる酵素のひとつを意味する『NATTOKINASE』の文字を普通に用いられる方法で書してなるので、これをその指定商品に使用しても、取引者・需要者は、『納豆菌により作られる酵素を含んだ商品』の意味合い、すなわち商品の品質等を表示したものと認識するに止まり、自他商品識別標識としての機能を有するものとは認識しないものであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号について
本願商標は、その指定商品について前記1のとおり補正された結果、これをその指定商品に使用しても商品の品質について誤認を生ずるおそれはなくなった。
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定の拒絶の理由は解消した。
(2)商標法第3条第1項第3号について
本願商標は、「NATTOKINASE」の欧文字を標準文字で書してなるものである。
ところで、1980年代、当時宮崎医大助教授の須見洋行氏によって発見された、納豆菌に含まれる血栓を溶解する酵素のひとつが「ナットウキナーゼ」と命名され、一般に広く知られている事実が存在する。
そして、このことは、以下の書籍及び雑誌の記載により裏付けられるものである。
(a)「丸善食品総合辞典」(平成10年3月25日 丸善株式会社発行 782頁)の「納豆菌」の語の説明として、「納豆は蒸し大豆の6倍もビタミンB2が多く、また納豆菌の分泌したナットウキナーゼ(血栓溶解酵素)を含む」との記載がある。
(b)「納豆のすすめ」(1999年11月25日 PHP研究所発行 17頁)には、「納豆には血液中の血栓を溶かす強力な酵素であるナットウキナーゼが含まれている」との記載がある。
(c)改訂版「健康食品百科」(2003年3月25日 ブレーン出版株式会社発行 285頁?286頁)には、「納豆キナーゼ 別名:ナットウキナーゼ 納豆菌発酵エキス末 ナットウエッセ」「納豆キナーゼは倉敷芸術科学大学の須見洋行教授が昭和53年に米国シカゴ・マイケルリーズ研究所で文部省在外研究員として循環整理分野において心筋梗塞や脳梗塞などの血栓溶解酵素を研究していたときに発見した酵素です。尿から取れる血栓溶解物質のウロ(尿)キナーゼにちなんでナットウ(納豆)キナーゼと命名しました。1986年にNHKで納豆に含まれる血栓溶解酵素納豆キナーゼの顕著な効果が放送されてから納豆ブームとなりました。」との記載がある。
(d)「食品の効きめ事典」(2003年8月25日 真興交易株式会社医書出版部発行 92頁)には、「納豆そのものや発酵ろ液に含まれる酵素、ナットウキナーゼには血栓を溶解する活性がある。」との記載がある。
(e)「健康食事典」(2004年3月30日 朝日新聞社発行 47?48頁)には、「ナットウキナーゼの威力 須見洋行教授は、納豆の驚くべき効能を明らかにし、『納豆博士』とも呼ばれている。82年に納豆の中に血栓(血の塊)を溶かす作用のあるナットウキナーゼという酵素を発見し、納豆ブームに火をつけた。」との記載がある。
(f)「日経ヘルス サプリメント事典」(2004年7月20日 日経BP社発行 176頁)には、「ナットウキナーゼ 納豆菌が作り出すたんぱく質分解酵素の一つ。血栓を溶かす働きがあり、血液をサラサラにする効果がヒトで確認されている。」との記載がある。
(g)「サプリメント事典」(2004年10月14日 平凡社発行 296頁)には、「◆ナットウキナーゼは、納豆に含まれる血栓溶解酵素。」「納豆には血栓を溶かす酵素・ナットウキナーゼが存在する。ナットウキナーゼのサプリメントが、脳梗塞を予防するとして利用されている。」との記載がある。
(h)「食材健康大事典」(2005年11月20日 株式会社時事通信社発行 155頁)には、「納豆は、発酵によって原料のダイズにはなかった多くの有効成分が作り出される。とくに、ナットウキナーゼという酵素には、できてしまった血栓を溶かす強い力があり、そのパワーは食品中トップともいわれる。」との記載がある。
(i)「週刊新潮」(2001年1月4・11日合併号 新潮社発行 117頁)には、「外国の医学界では納豆は知らなくとも、納豆に含まれる『ナットウキナーゼ』という成分なら知っているという学者が多いという。ナットウキナーゼというのは、脳梗塞や心筋梗塞の原因となる血管内の血栓を溶かすのに優れた作用を持つ成分だ。」の記載がある。
(j)「日経ヘルス Health」(2005年5月号 日経BP社発行 46頁)には、「ナットウキナーゼ 血液サラサラ効果バツグンの納豆。その納豆パワーの一端を担うのが、納豆菌が作り出す、たんぱく質を分解する酵素、「ナットウキナーゼ」。血栓を溶かして血液の流れを高め、心筋梗塞や脳梗塞を防ぐ働きは薬並みだ。」、「ナットウキナーゼとは 納豆菌が大豆を発酵させ、納豆を作り出すときにできる、たんぱく質分解酵素の一つ。血管壁にできた血の塊である血栓を溶解し、血液を流れやすくする作用がある。」との記載がある。
また、以下の新聞記事及びインターネットのウェブサイトの記載によれば、本願商標と同じ「NATTOKINASE」(Nattokinase)の文字及び本願商標の片仮名表記「ナットキナーゼ」の文字が、前記、納豆菌に含まれる酵素のひとつである「ナットウキナーゼ」の同義語として、本願指定商品を取り扱う業界において、取引上、普通一般に使用されている事実が認められる。
(a)「ナットキナーゼ」の見出しのもと、「ナットキナーゼは納豆菌がつくる酵素で、血液をサラサラにして血液中の血栓を溶かしたり、血栓ができるのを防ぐとして注目されています。」との記載がある。(http://www.k-salad.com/dic_supple/nattokinase.shtml)
(b)「血液をサラサラにする納豆は、夕食で!毎日食べよう!健康食品・納豆」の見出しのもと、「納豆菌のナットキナーゼには、血液をサラサラにする効果や整腸作用があります。」との記載がある。(http://allabout.co.jp/family/seniorlife/closeup/CU20030325/index.htm)
(c)「日本老友新聞」の見出しのもと、健康相談に関する「問い」に対する「答え」の欄に、「納豆には、・・・ナットキナーゼという血栓予防効果のある成分が含まれています。」との記載がある。(http://www.do-yukai.com/rouyu_shimbun.php?page=kenko2&id=211)
(d)「SATOMIC coQ10(コエンザイムQ10/ナットキナーゼ含有)」の見出しのもと、「納豆菌を液体培養し、培養液から抽出、精製、粉末化して得られる培養エキス末がナットキナーゼです。ナットキナーゼは血栓溶解による血液改善で高血圧の予防、非アルツハイマー症の老人性のボケ(痴呆)の予防に役立ちます。」との記載がある。 (http://www.kanazawarakuza.com/goodsdetail.php?gd_no=832)
(e)「ナットザイム・ナットウキナーゼ 100mg180ソフトジェル」の見出しのもと、掲載されている容器の画像のラベル中に「Nattokinase」の文字があり、「納豆酵素ナットキナーゼ 分離され精製されたナットキナーゼは、煮沸した大豆と納豆菌の発酵過程から引き出された酵素です。」との記載がある。(http://majimax.com/index.php?vtype=product&cid1=&cid2=&pid=v_091&PHPSESSID=3b1cc0173ed423f1e6d489d61d37b502)
(f)「ナットキナーゼ1500 120錠」の見出しのもと、掲載されている容器の画像のラベル中に「Nattokinase」の文字があり、「現在、アメリカで大変話題になっているシステミック酵素があります。それは日本でおなじみの納豆に含まれるナットウキナーゼです。」の記載がある。(http://www.majimax.com/index.php?vtype=product===v_092)
(g)「HEARTSHOP」の見出しのもと、掲載されている容器の画像のラベル中に「NATTOKINSASE」の文字があり、「ナットキナーゼは、伝統的な日本の大豆食品『納豆』から分離された浸透性酵素です。」との記載がある。(http://store.yahoo.co.jp/natureheart/natou30.html)
(h)「内藤商店、『納豆錠』開発 糸引き納豆嫌いな人でもOK」の見出しのもと、「昔から糸引き納豆を摂取すると便秘を解消する働きの他、抗菌作用が高く、ナットキナーゼの働きで血栓を溶かして、血液をサラサラにすることもわかっていたという。」との記載がある。(1997.04.14 日本食糧新聞)
(i)「[よみうり寸評]健康食品として見直される納豆」の見出しのもと、「その納豆には脳卒中や心筋コウソクの原因になる血栓を溶かす強力な酵素が大量に含まれている。今月初め、学会で宮崎医大の須見洋行助教授が発表した。この酵素をナットキナーゼと呼ぶ」との記載がある。(1988.04.27 読売新聞 東京夕刊 1頁)
(j)「[話の港]納豆をよく食べると脳卒中や心筋コウソクが予防できる」との見出しのもと、「▽…須見助教授が名付けたこの酵素の名は「ナットキナーゼ(納豆線溶酵素)」。」との記載がある。(1988.03.30 読売新聞 東京夕刊 19頁)
これらの実情にかんがみれば、本願商標を納豆菌により作られる酵素を含有してなる本願指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、上記血栓を溶解する酵素の名称を欧文字表記したものと認識し、商品の品質を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
なお、請求人は、過去における自己の登録商標を例に挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、それらの登録例は、本件とは指定商品等が相違するものであるから、本件とは事案を異にするものであり、その主張は採用することができない。
また、請求人は、「ナットキナーゼ」の物質特許も取得している旨主張しているが、その特許権が、本件の判断を左右するものではなく、本願商標については、上記認定のとおりであるから、この主張についても採用することができない。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するものとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-11-16 
結審通知日 2006-11-24 
審決日 2007-01-10 
出願番号 商願2002-89376(T2002-89376) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (Y2930)
T 1 8・ 272- Z (Y2930)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 飯塚 隆白倉 理 
特許庁審判長 田代 茂夫
特許庁審判官 藤平 良二
小林 由美子
商標の称呼 ナットーキナーゼ、キナーゼ 
代理人 竹内 卓 
代理人 岡本 昭二 

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