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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 112
管理番号 1151976 
審判番号 取消2005-30130 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-02-04 
確定日 2007-01-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第1702120号の2商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1702120号の2商標の指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第17021202号の2商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおり「FORZA」の欧文字の上下に横線を配した構成よりなり、昭和56年11月6日に登録出願、第12類「輸送機械器具、その部品及び付属品(他の類に属するものを除く)」を指定商品として、同59年7月25日に設定登録され、その後、平成17年11月16日に「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」に指定商品の書換登録がされた登録第17021202号を原登録商標とし、本件審判請求の登録後である同年11月24日に指定商品中の「船舶並びにその部品及び付属品,航空機並びにその部品及び付属品,鉄道車両並びにその部品及び付属品,自動車並びにその部品及び付属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リャカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」について現商標権者に分割移転されたものであり、現に有効に存続している。

第2 請求人の主張及び弁駁の要点
1 請求人は、結論同旨の審決を求めると主張し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標の指定商品中「自動車並びにその部品及び附属品」については、請求人が調査した限り、継続して三年以上日本国内において使用した事実がない。すなわち、商標権者自身による使用はもとより、商標登録原簿を見ても設定登録された専用使用権はなく、また、許諾を受けた通常使用権者等による使用の事実もないと共に、その不使用についての正当な理由があるとも認められない。
よって、本件商標における指定商品中の「自動車並びにその部品及び附属品」については、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録の取消しを請求する。
2 弁駁の理由
(1)被請求人は、平成9年5月1日付けで本件商標の使用に関する日産自動車株式会社(以下「被請求人」という。)と当時の商標権利者であった株式会社ユニオンエンタープライズ(以下「前商標権者」という。)とが取り交わした「商標使用許諾契約書(写)」によって、被請求人が使用権者であると主張する。
しかし、専用使用権は、その登録が効力発生要件であるところ、登録原簿には日産自動車を専用使用権者とする設定の事実がない。したがって、専用使用権は認められない。
(2)商標法は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが登録商標を使用していることを要求している。
しかし、本件商標を使用したとされる指定商品の自動車は、被請求人により1998年から2000年に車種「ラシーンFORZA」として製造され、そして2000年8月に生産が中止されている。したがって、被請求人が2000年9月から現在に至る5年以上の間、「FORZA」の商標を使用していないことは明らかである。
商標権者等が登録商標を使用していることを証明するためには、通常、商標の使用時期、使用場所および商標の使用の事実を示す書類を提出することが要求されている。
(3)乙第4号証は、被請求人が商品「自動車」に本件商標を使用していた事実を証明する商品カタログであるが、同証第5頁には、「広報第19号平成10年4月6日」と記載されている。そうすると、当該商品カタログは、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等が登録商標を使用していた事実を証明していない。
乙第5号証は、被請求人が製造販売した自動車が、中古車市場で取引されているホームページを抜粋したものであるが、その作成者は、ウェブページを管理運営する中古車販売業者等であり、本件審判において使用の事実が求められている商標権者等と関係のない第三者である。
ホームページの内容は、クルマ情報サイト「Goo-net」、中古車販売業「Gulliver」、中古車販売業「carview.co.jp」等の作成するウェブに中古車が掲載されている事実を単に示すものであって、商標権者等が商標を使用した事実を示すものではない。商標を付した商品の転得者における商標の使用は、商標権者の管理の外にあり、商標権者等による使用にあたらない。
付言するに、過去に販売され、現在は製造中止の物が中古品として市場に流通することは、中古自動車に限らず、日常茶飯事のことである。このような商品についても商標権者等による商標の使用と認めることは、商標法第50条に規定する不使用商標取消審判制度を否定するものである。被請求人は、答弁書第6頁で自動車の特殊性を強調するが、法を曲げて自動車に特例を設けるほどの特殊性が存在するとは思えない。
(4)被請求人が、過去に使用した商標の態様をみると、乙第4号証及び乙第5号証の「ラシーン FORZA」、「RASHEEN フォルザ」、「ラシーン フォルザ」等であり、「FORZA」または「フォルザ」が、「ラシーン」または「RASHEEN」という単語と常に一体となっている。その理由は、フォルザが車種「ラシーン」の一型式であり、ラシーンとともに使用しないと、商品の自動車が市場に認知されない、すなわち商品の出所表示機能を発揮しないからである。したがって、被請求人が使用した商標は、「ラシーンまたはRASHEEN」と「フォルザまたはFORZA」との結合商標であって、本件商標「FORZA」と明らかに相違する。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
1 答弁の理由
(1)本件商標は、本件審判の請求の予告登録前三年以内に日本国内において、被請求人及び中古自動車販売店により請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」の範疇に含まれる商品「自動車」について使用されている。
(2)本件商標を構成する「FORZA」の文字は、「力強く、勢い、頑張れ、力強いもの」等を意味するイタリア語であるが、我が国において広く知られている語とはいえず、むしろ一種の造語と認識される。そして、造語からなる欧文字にあっては、英語風またはローマ字読みされるのが我が国の実情である。
そして、「FORZA」の文字の既登録例等をみると、「フォルザ」と読ませている例が多くみられる。
してみれば、「FORZA」と「フォルザ」とは、取引者・需要者をして社会通念上同一の商標と認識される。
そのことから、被請求人は、「FORZA」の文字からなる本件商標を「フォルザ」と読ませ、商品「自動車」に使用しているところである。
加えて、一般に自動車については、人気のある自動車をシリーズ化して製造販売する傾向にあり、その場合、一つの基幹となる名称にボディタイプ、個別商標などを加えて、商品展開をしているのが実情であり、本件商標についても基幹となる商標「RASHEEN(ラシーン)」にボディタイプ、個別商標である「FORZA(フォルザ)」を付したものである。
(3)「FORZA」または「フォルザ」の文字からなる商標が付された自動車が中古自動車市場において使用されている事実がある(乙第5号証)。
「FORZA」または「フオルザ」の文字からなる商標が付された自動車は、被請求人が1998年4月から2000年に渡り製造し、2000年8月に生産を中止したものであるが、初回車検の3年を経過した頃から現在に至るまで中古車として根強い人気を持っている。
そして、その初回車検の3年を経過した時期が、2001(平成13)年?2003(平成15)年であることからすると、本件審判請求の予告登録前3年以内である2002(平成14)年2月24日から2005(平成17)年2月23日の間に「FORZA」または「フォルザ」の文字からなる商標が付された自動車が中古自動車販売店において取り引きされていたものと推認し得るところである。
(4)乙第6号証は、審決公報であって、そこにおいては「 …(トヨタ自動車)は『スプリンター』及び『スプリンターカリブ』を販売しており、過去に販売された自動車については中古車市場において現在も取り引きされているのが実情である。」としている。
ところで、一般に他人の商標の附された他人の商品を正当に購入した者が、そのまま他人の商標を附して販売する行為は正当な行為で、これが侵害行為に当たらないとされている。これは、商標権者が商標を付した商品を販売し対価を得たことによって、商標権は消尽し、商標権者から商品を購入した譲受人が第三者に転売する行為までは商標権の追求権は及ばないという理論をもって説明されている。そして、この第三者に転売する行為については黙示の使用許諾が与えられているともされている。
この様な場合にあって、その商標権が有する損害賠償請求権や不当利得返還請求権などの金銭的追求権が及ばなくなったとしても、定期点検や車両検査などが義務付けられている自動車の特殊性を考慮すると、その商標の持つ本質的機能である品質保証機能や出所表示機能までもが損なわれるものではない。
そのことから、乙第6号証に示す審決では、新車に付された商標は「中古車市場」においても「商標」としての機能を有すると認定している。
すなわち、本件商標の中古車市場における使用は、商標の使用に該当するものである。
(5)乙第7号証は、指定商品に「中古車」または「中古自動車」を含む登録例である。
(6)乙第8号証は、平成9年5月1日付けで本件商標の使用に関する日産自動車と当時商標権利者であった前商標権者とが取り交わした「商標使用許諾契約書(写)」である。
(7)以上によれば、本件商標は、本件審判請求の予告登録前三年以内に日本国内において、請求に係る指定商品である「自動車並びにその部品及び附属品」の範疇に含まれる「自動車」について、被請求人及び中古自動車販売店により使用されているものである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるものでない。

第4 当審の判断
1 不使用による商標登録取消しの審判請求があった場合、商標法第50条第2項本文は「前項の審判の請求があった場合においては、その審判の請求の登録前三年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れない。」と規定している。
2 これを本件についてみるに、先ず、原登録商標の商標権は、前記第1のとおり、本件審判請求の登録(平成17(2005)年2月23日)より後である同年11月24日に、本件取消審判の請求に係る商品を含む指定商品について、登録第1702120号の2商標として、前商標権者より、被請求人へ分割移転されたものである。
したがって、前商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れない。
そこで、被請求人が、本件商標は本件審判請求の登録前三年以内に中古自動車として取引されているものであるから、「自動車」について被請求人及び中古自動車販売店により使用されていると主張し、証拠資料として提出している乙第4号証、乙第5号証及びその他乙各号証について検討する。
(1)乙第4号証は、インターネット上の被請求人のホームページの写しであり、このうち5枚目の「NISSAN PRESS RELEASE」には、「広報第19号平成10年4月6日」、「日産自動車では、「ラシーン フォルザ」を追加し、4月6日より全国一斉に発売する。」等が記載されていることから、平成10年4月6日に、被請求人が「FORZA」または「フオルザ」を自己の製造に係る「自動車」について、商標として使用したことは認められるものの、被請求人は、同商品の生産を2000年(平成12年)8月に中止しているのであるから、これを以て本件審判請求の登録前三年以内の使用と認めることは出来ない。
(2)乙第5号証(資料中に通しの頁が付されていないため、当審において1ないし72番の番号を付した。以後、例えば乙第5号証の1枚目を表すときには「5-1」とする。)は、インターネット上の「Goo-net」の中古車情報サイト、「Gulliver」の車カタログ及び中古車検索サイト、中古車販売業「carview.co.jp」の中古車検索サイト等の写しであり、このうち、一例を挙げれば、「Goo-net」の中古車情報サイト(5-1及び5-2)では、「中古車情報 今月の特集 まだまだあるぞ これもクロスオーバーワゴンだ!!」、「NISSANN RASHEEN FORZA/ニッサン ラシーン フォルザ 中古車平均価格:130万円 デビューが早すぎた生粋クロスオーバーワゴン ・・・そんなわけで今や中古車しか手に入れられないラシーンだが、フォルザでも新車価格(200万弱)を考えれば妥当な相場。・・・。」等の表示及び中古自動車の写真が掲載され、
同じく、「carview.co.jp」中古車検索サイト(5-14)では、中古車の検索用データとして、「基本データ 日産 ラシーン ¥1,148,000(税込み) 年式 平成10年(1988) グレード ラシーン フォルザ Sパック 車検 - 走行距離 41,640km カラー 装備一覧 店舗情報 株式会社カーサービス山形」等の表示及び中古自動車の写真が掲載され、
同じく、「Goo-net」の中古自動車情報サイト(5-23)では、日産プリンス神奈川販売(株)Get-U中古車ご担当者様の見出しで、「日産 ラシーン フォルザSパッケージ 更新日:2005/03/08 車両本体価格:113.4万円 リ未検 年式:平成11年 走行距離:3.3万km 車検:検18.6 排気量:2.0L 車体色:テラコッタオレンジM/シルバーM ドア:5D 日産プリンス神奈川販売(株)Get-U中古車センター」等の表示及び中古自動車の写真が掲載され、
同じく、クルマ・ポータルサイトGoo-net(5-24)では、(有)オートガレージ MAXご担当者様の見出しで、「日産 ラシーン フォルザ4WD 背面付 更新日:2005/04/17 車両本体価格:56.8万円 リ未検 年式:平成11年 走行距離:9.0万km 車検:検18.4 排気量:2.0L 車体色:グリーン ドア:5D (有)オートガレージ MAX」等の記載及び中古自動車の写真が掲載されている。
以上のとおり、乙第5号証によっては、中古自動車販売業者がインターネット上で自己の販売又は斡旋にかかる中古自動車の車種名として、本件商標「FORZA」又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標である「フォルザ」を使用していることが認められる。
しかしながら、当該中古自動車を中古自動車市場に提供していたのはそれぞれの中古車検索サイトを管理、運営している中古自動車販売業者であって、被請求人ではないから、当該中古自動車に本件商標が使用されているとしても、被請求人が、本件審判請求の登録前三年以内に、本件取消に係る商品「自動車」に含まれる「中古自動車」について、本件商標を使用していたということは出来ない。
また、前商標権者又は被請求人は、中古自動車販売業者と、本件審判請求の登録前三年以内の期間において、本件商標を中古自動車に使用することについて使用許諾等の契約をしていたものとは認められないから、中古自動車販売業者が商標法第50条にいう通常使用権者であったといえないことは明らかである。
したがって、中古自動車販売業者の当該使用をもって、本件商標についての通常使用権者の使用ということもできない。
(3)次に、被請求人は、平成9年5月1日付けで前商標権者と商標権使用許諾契約を取り交わし、本件審判請求の登録前三年以内に、本件商標を「自動車」について使用していたとして、乙第8号証を提出しているが、乙第8号証は、その契約内容によれば専用使用権の許諾に関するものと認められるところ、商標登録原簿を徴するに、当該専用使用権の設定登録がされた事実を確認できないから、専用使用権の効力は発生していないものである。
また、仮に他に被請求人と前商標権者間において使用権の許諾があったとしても、前記のとおり、被請求人は、既に2000年8月に本件商標を付した自動車の生産を中止しており、その後生産を再開したとの事実も認められないものであり、加えて、本件商標の使用を証する証拠として提出された乙第5号証により、被請求人が、本件商標をその商品(中古自動車)について使用していたといえないことは上記のとおりであるから、被請求人のかかる主張は採用できない。
(4)さらに、被請求人は、中古車自動車販売業者に対し黙示の使用許諾を与えているから、当該中古自動車販売業者による中古自動車市場における当該中古自動車についての本件商標の使用は商標の使用に該当する旨主張しているが、通常使用権は、当事者間の一定の契約により効力を発生するものと解されるところ、当該黙示の許諾によっては、当該中古自動車販売業者が本件商標の通常使用権者と認めることはできないから、被請求人の主張は理由がなく採用できない。
(5)以上のとおり、乙第4号証、乙第5号証及びその他の乙各号証並びに被請求人の答弁書における主張を総合しても、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「自動車並びにその部品」のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明したものと認めることはできない。

3 結論
本件商標は、本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において前商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品「自動車並びにその部品及び附属品」についての登録商標の使用をしていることを証明したものということはできない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の結論掲記の商品について、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 本件商標


審理終結日 2006-05-18 
結審通知日 2006-05-24 
審決日 2006-12-15 
出願番号 商願昭56-92254 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (112)
最終処分 成立  
前審関与審査官 能條 佑敬 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小川 有三
登録日 1984-07-25 
登録番号 商標登録第1702120号(T1702120) 
代理人 市川 利光 
代理人 中嶋 伸介 
代理人 小栗 昌平 

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