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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 009
管理番号 1151852 
審判番号 取消2006-30241 
総通号数 87 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-03-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-02-23 
確定日 2007-01-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第3078089号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3078089号商標の登録は、指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3078089号商標(以下「本件商標」という。)は、「リアル」の片仮名文字を横書きしてなり、平成4年5月26日に登録出願、第9類「電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同7年9月29日に設定登録、その後、平成17年9月20日付けで商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べた。
(1)請求理由
請求人の調査するところによると、本件商標は、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において、商標権者により使用されている事実を発見することができなかった。
また、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、専用使用権者又は通常使用権者により使用されている事実も発見することができなかった。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、「電子応用機械器具及びその部品」について、その登録を取り消すべきものである。
(2)答弁に対する弁駁の要点
特許庁商標課編の「商品及び役務区分解説」(改訂第3版 商品区分解説 第9類 65頁)によると、「13 電気通信機械器具 この概念には、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素にしている『通信機械器具』の大部分が含まれる。また、電子の作用を応用した『電気通信機械器具』もこの概念に属し、本類15 電子応用機械器具及びその部品には含まれない。」とある。
同じく、「15 電子応用機械器具及びその部品いわゆる“電気機械器具”が、電気の作用をその機械器具の機能の本質的な要素としているものだけを含むのに対し、この概念には、電子の作用を応用したもので、その機械器具の機能の本質的な要素としているものだけが含まれる。ただし、“電気通信機械器具”は、何らかの形(例えば、「大規模集積回路」)で電子の作用を応用しているものも多いが、電気通信機械器具という概念がある以上、電子応用機械器具には含まれない。」とある。
被請求人提出に係る乙第1号証の商品カタログに掲載されている商品の本質的な要素は、カラーテレビ(液晶テレビ)であり、あくまでもPC用ディスプレイは、付加価値の要素にすぎない。このことは、当該カタログの表表紙ないし裏表紙に「三菱カラーテレビ」と明記されていることからも明らかである。
そもそも、カラーテレビは主な用途が映像視聴用であるため、動画再生能力が必要であり、明るいリビングルームで視聴するために画面の大きさや光量が要求される。
一方、PC用ディスプレイは、ワープロ、インターネットのウェブサイト閲覧等のために、静止画の表示性能が重視される傾向にあり、書斎等で使用されるために、光量はそれほど必要ない。
特に、PC用ディスプレイの場合、静止画を高い解像度で見る必要があり、カラーテレビに比べて解像度が高い表示手段を採用している。
このように、カラーテレビとPC用ディスプレイには機能的に大きな差があり、一般的にも、これまで商品として同一のものとは認識されていないと考えられる。
そうすると、カラーテレビ(液晶テレビ)が、商標法上、PC用ディスプレイにも相当する商品として扱うのが妥当である、との被請求人の主張は、その前提に誤りがあるものといわざるを得ない。
してみれば、被請求人の「カラーテレビ(液晶テレビ)」は、商標法上の商品としては、「電気通信機械器具」の範疇に属し、仮に、当該「カラーテレビ(液晶テレビ)」が「PC用ディスプレイ」としても使用される場合があるとしても、「テレビ」が本質的な要素であり、「PC用ディスプレイ」は、あくまでも付加価値的な要素の域を出ないことから、「電子応用機器及びその部品」の範疇には属しないものである。
したがって、本件商標は、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」について、その登録を取り消すべきものである。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第10号証を提出した。
答弁の理由
被請求人提出に係る乙第1号証の商品カタログに示す如く、本件商標は、本件審判の予告登録前3年以内に、本件取消請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」について被請求人自身により使用されている。
当該商品カタログの裏表紙には被請求人の商号が記載されており、また、その作成年月日は2005年10月である。
当該商品カタログ中には、本件商標である「リアル」の片仮名文字が表記されている。
また、当該商標が使用されている商品(以下、本件商品と記す)は、当該カタログにおいて「カラーテレビ」と銘打たれているが、当該カタログの7頁右側で「多彩なデジタル機器の入・出力に対応。デジタル時代に必要な充実した端子を搭載。……PC端子1系統(D-Sub15ピン)パソコンをそのまま接続して、画面に表示。インターネット画像やプレゼンテーション画像を大画面で楽しめます。」と謳っているとおり、本件商品はPC(パーソナルコンピュータ)用ディスプレイとして使用されることが見込まれているものである。
つまり本件商品は、「カラーテレビ」即ちテレビジョン受信機と、PC用ディスプレイとの両方を兼ね備えた商品であるから、商標法上においてもPC用ディスプレイに相当する商品として扱うのが妥当である。
そして、PC用ディスプレイは、本件商標の指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に該当するものである。
してみると、結局、本件商標は、被請求人自身によって、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」に相当する商品について、本件取消審判の請求の登録日(平成18年3月10日)前3年以内に使用されていた事実がある。

4 当審の判断
(1)被請求人は、本件商標は、本件審判請求予告登録前3年以内に、本件取消請求に係る商品である「電子応用機械器具及びその部品」に現に使用しているとし、証拠資料として乙第1号証ないし乙第10号証を提出している。
(2)しかるところ、被請求人の提出に係る乙第1号証の商品カタログは「三菱カラーテレビ 2005.秋・冬 総合カタログ」であり、そこには「液晶TV/REAL/リアル」の文字が三段で表示されている。
そして、被請求人は、当該液晶テレビは「外部デジタル機器(例えば、パソコン等)と高画質接続」等の多くの機能、特に「パソコン用のディスプレイ」としての機能を有しており、かつ、「パソコン用のディスプレイ」は、本件取消請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」に属するものであるから、本件商標は本件取消請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」について使用されている旨主張している。
ところで、「テレビジョン受信機」とは、放送局から送られてくるテレビ電波を受信して、画像と音声を再生する装置をいい、テレビ受像器とも言われる(現代商品大辞典 新商品版 昭和61年10月18日発行(東洋経済新聞社 昭和61年10月18日発行)。また、日本標準商品分類(平成8年9月 第3版総務庁統計局統計基準部 編集)では、「大分類その他の機器」に属し、「民生用電気・電子機械器具」の「映像機器」に分類されるものとして表示されている。
これに対し、「電子計算機用(パーソナルコンピュータ用)ディスプレイ」は、コンピュータの入出力装置データの出力、キーボードの入力操作により、文字、記号をブラウン管上の定まった位置に表示する装置であり、近年プラズマパネル、液晶、エレクトロルミネッセンス等の平面ディスプレイも使用されるようになっている(現代商品大辞典 新商品版 昭和61年10月18日発行(東洋経済新聞社 昭和61年10月18日発行)機器をいう。さらに、日本標準商品分類(平成8年9月 第3版総務庁統計局統計基準部 編集)では、「大分類情報・通信機器」に属し、「電子計算機及び関連装置」の範疇のものとして表示されている。
(3)これを、本件乙第1号証、12頁に表示された使用商品「32V型 液晶TV」についてみるに、入力・出力端子群の項目に、「●ビデオ入力3系統3端子●S映像入力3系統3端子●D4入力端子2系統2端子●デジタル放送出力端子1系統●PC端子1系統1端子・・」等の表示があり、当該液晶テレビが「外部デジタル機器(例えばパーソナルコンピュータ等)と高画質接続」等の多くの機能を備えていることがわかる。しかしながら、該カタログが「テレビジョン受信機」のものであること、及び単に使用商品の付属的な機能の一つとして、「パーソナルコンピュータ」に接続し、「ディスプレイ」として使用することができることが表示されているにすぎないものである。
そうとすれば、本件使用商品は商品の区分第9類の「電気通信機械器具」に属する「テレビジョン受信機」であって、第9類の「電子応用機械器具及びその部品」に属する商品とみることは出来ないものである。
(4)なお、被請求人は、乙第2号証ないし乙第4号証は「シャープ(株)」、「ソニー(株)」及び「日本サムスン(株)」の「カラーテレビ(液晶テレビ)」の商品カタログ、乙第5号証ないし乙第10号証は「デル(株)」、「(株)アイオーデータ機器」、「(株)iiyama」、「(株)Impress Watch」及び「アイティメディア(株)」の商品「液晶テレビ」に関するインターネットウェブページに掲載されている各種「カラーテレビ(液晶テレビ)」においても、本件使用商品と同様な機能を有する旨述べるが、上記認定のとおり「パーソナルコンピュータ用のディスプレイ」とみることはできない。
(5)そうとすれば、被請求人提出に係る乙第1号証ないし乙第10号証によっては、本件商標が本件取消請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」に使用されていた事実を証するに不十分であるといわざるを得ない。
(6)以上のとおり、被請求人は、本件商標を継続して本件取消審判の請求の登録日(平成18年3月10日)前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る商品「電子応用機械器具及びその部品」について使用していなかったものといわざるを得ず、また、これを使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。
(7)したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の「電子応用機械器具及びその部品」についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-11-16 
結審通知日 2006-11-22 
審決日 2006-12-07 
出願番号 商願平4-116887 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (009)
最終処分 成立  
前審関与審査官 今田 三男田口 善久 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 小川 有三
岩崎 良子
登録日 1995-09-29 
登録番号 商標登録第3078089号(T3078089) 
商標の称呼 リアル 
代理人 塩田 康弘 
代理人 加藤 恒 
代理人 堀 城之 

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