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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 010
管理番号 1150097 
審判番号 取消2006-30118 
総通号数 86 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-02-23 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2006-01-25 
確定日 2006-12-18 
事件の表示 上記当事者間の登録第3161752号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第3161752号商標(以下、「本件商標」という。)は、「OMNI」及び「オムニ」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成5年4月16日に登録出願、第10類「医療用機械器具」を指定商品として、平成8年5月31日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証を提出した。
本件商標は、その指定商品「医療用機械器具」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

3 被請求人の主張
被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由(第1回及び第2回)を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第10号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)答弁(第1回)
ア 本件商標は、「医療用機械器具」について、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において使用されている。
イ 本件商標の使用に関するライセンス契約
本件商標の商標権者である大日本住友製薬株式会社は、ドイツ法人ロシュ・ダイアグノスティックス・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(Roche Diagnostics GmbH、以下「RDG社」という。)と本件商標の使用についてライセンス契約を交わしている(乙第1号証)。同契約書の「Dainippon pharmaceutical Co.,Ltd.」は、大日本住友製薬株式会社の旧名称「大日本製薬株式会社」の英語表記である(乙第2号証)。
このライセンス契約書2.01(乙第1号証)において、大日本住友製薬株式会社はRDG社に本件商標の独占的使用権を与えている。さらに、同契約書WITNESSETH(乙第1号証)及び2.02(乙第1号証)において、RDG社は、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社(以下「ロシュ社」という。)に本件商標の使用についてサブライセンスを与えている。 ウ 使用証拠について
ロシュ社は、「血液ガス及び電解質分析装置」及び「血液分析システム」に商標「OMNI」及び「オムニ」を使用している(乙第3号証ないし乙第7号証)。
(ア)乙第3号証は、ロシュ社が頒布したデスクトップ型血液分析システムのパンフレットである。乙第3号証には、「OMNIシステム」、「OMNI シリーズ」の表示がある。
(イ)乙第4号証は、ロシュ社が頒布した血液ガス及び電解質分析装置のパンフレットである。乙第4号証中の写真には「Roche OMNI C」が製品に表示されている。これは当該製品が、ロシュ社の「OMNI」シリーズの中の一製品であることを表している。
(ウ)乙第5号証は、ロシュ社が頒布した製品パンフレット写である。乙第5号証中には、「ロシュのオムニはハートフル・ケア」、 「OMNI SYSTEM」「OMNI S」「OMNI C」「安定性・運用性・機能性が向上したOMNI システム」等の記述がある。
(エ)乙第6号証は、ロシュ社ホームページ中の2003年?2005年のプレスリリースのプリントアウトである。
乙第6号証-1は、2003年のプレスリリースであり、ロシュ社が2004年1月1日から血液ガス分析装置及び電解質分析装置の「OMNI」シリーズとして、デスクトップ型血液分析システム「OMNI C」を販売していることが窺える。
乙第6号証-2は、2004年のプレスリリースであり、2004年9月1日からデスクトップ型血液ガス及び電解質分析装置「OMNI S」を発売していることが分かる。また、乙第6号証-2中には、「血液ガス分析装置(OMNI シリーズ)」「OMNI シリーズとしてOMNI、OMNI Cシリーズを販売しておりますが、今回あらたにOMNI Sが加わり、...」等の表示がある。
乙第6号証-3は、2005年のプレスリリースであり、ロシュ社は、2005年1月17日に血液ガス事業を協働展開する代理店を招いてOMNI全国代理店会議を開催し、「OMNI 300 Sales Campaign」の実施や「OMNI CLUB」の開設などが確認されていることが分かる。また、「OMNI 300 Sales Campaign」の一環として、2005年4月21日にOMNIシリーズ機器を車内に装備した特別仕様車「OMNIキャラバンカー」の完成式を開催したことが示されている。
(オ)乙第7号証は、ロシュ社のOMNIシリーズ製品の仕切書写である。乙第7号証中には、販売者「ロシュ社」を表す「ロシュ」、製品の商標名「オムニ」、そのシリーズ名「S システム 6」が示されており、2005年3月?2005年12月の間にOMNI(オムニ)シリーズ製品が取引されたことが分かる。
(カ)上記(ア)?(オ)のように、乙第3号証ないし乙第7号証から、ロシュ社は、本件審判請求登録前3年以内に「血液ガス及び電解質分析装置」及び「血液分析システム」に商標「OMNI」及び「オムニ」を使用している事実が証明される。
エ 使用商品について
上記「血液ガス及び電解質分析装置」及び「血液分析システム」は、生命維持のための最低条件である呼吸管理を目的とした血液ガス及び電解質の分析のために、病院の中央検査室、手術室、集中治療室などで使用される医療機器である。したがって、「血液ガス及び電解質分析装置」及び「血液分析システム」は、「医療用機械器具」の範疇に属する商品であることは明らかである。
オ 商標の同一性について
本件商標は、欧文字「OMNI」と片仮名「オムニ」を二段に書してなる。「OMNI」は、後に語を伴って「全て」の意味を表し「オムニ」と発音される英単語であり(乙第8号証)、例えば「OMNIBUS(オムニバス)」の語は「映画などでいくつかの短編を並べて全体で一つの作品にしたもの」として馴染みのある語である(乙第9号証)。したがって、本件商標の「OMNI」は「オムニ」とのみ称呼・把握されるものであり、本件商標上段の「OMNI」と下段の「オムニ」は同一の称呼・観念を生じるものと言える。
よって、本件商標とロシュ社が使用している商標「OMNI」及び「オムニ」とは互いに称呼・観念を共通とするものであり、商標法第50条第1項括弧書きの「社会通念上同一と認められる商標」である。
カ 以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求登録前3年以内に、日本国内において本件商標の通常使用権者であるロシュ社により「医療用機械器具」に属する商品「血液ガス及び電解質分析装置」及び「血液分析システム」について使用されているのであるから、請求人の主張は理由がないものである。
(2)答弁(第2回)
上記使用事実をさらに証明するために、乙第10号証を補充する。乙第10号証は、2005年9月10日付発行の日本麻酔科学会準機関誌「麻酔」の表紙、該当頁及び裏表紙写である。乙第10号証により、ロシュ社が商標「OMNI」を付したデスクトップ型の血液分析システムの広告を掲載していることが分かる。「血液分析システム」は「医療用機械器具」に属する商品である。さらに、本件商標と上記商標「OMNI」とは互いに称呼・観念を共通とするものであり、商標法第50条第1項括弧書きの「社会通念上同一と認められる商標」である。

4 当審の判断
(1)被請求人の提出に係る乙号証によれば、以下を認めることができる。 ア 被請求人は、2005年1月に締結されたライセンス契約において、RDG社に日本における本件商標の独占的使用権を与えたこと、そして、RDG社は、ロシュ社に本件商標の使用についてサブライセンスを与えていることが認められる(乙第1号証)。
イ ロシュ社のカタログ(乙第3号証)には、その表紙に、デスクトップ型血液分析システムとして「Roche OMNI S システム」の文字と「Roche OMNI S」と表示した商品の現物写真が掲載されており、また、中の頁には、「OMNI S」「OMNIシステム」「OMNIシリーズ」「OMNILINK」の文字が表示されるとともに、当該商品に関する説明が掲載されている。
ウ 「ロシュ社ホームページ」(乙第6号証-2)には、「2004年 プレスリリース」として、ロシュ社が「2004年9月1日付で血液ガスおよび電解質分析装置、OMNI Sならびに専用ソフトウェアOMNILINKを新発売いたしました。」との記述が掲載されている。
エ 2005年3月25日発行、同年9月27日発行、同年11月27日発行及び同年12月26日発行の仕切書(乙第7号証)によれば、ロシュ社を販売主とし相手方をそれぞれ「株式会社増田医科器械店」「(株)南部医理科」「株式会社八神製作所」「成和産業株式会社」として、その品名等の欄に「ロシュ オムニ S システム6」と記載されていることが認められる。
これら仕切書と前記イ及びウを併せみれば、前記各年月日に、商標「OMNI S」を表示した商品「血液分析システム」の取引がなされたと推認し得るものである。
オ 2005年9月10日発行の(社)日本麻酔科学会準機関誌「麻酔」(乙第10号証)には、商品「血液分析システム」についての広告が掲載され、そこには、商品現物の写真とともに、「OMNI S」の表示及び「OMNIシステム」の表示、更に「ロシュ・ダイアグノスティックス」の表示があることが認められる。
(2)本件商標は、「OMNI」及び「オムニ」の文字を上下二段に横書きにした構成からなるものである。そして、上記(1)の使用商標は、「OMNI S」であり、記号の「S」を付記しているが、「OMNI」を主要な部分とするものであり、片仮名文字を欠く点で本件商標と相違するけれども、片仮名文字を欠くことにより観念上の異同があるとも認められず、称呼「オムニ」を共通にしているから、本件商標とは社会通念上同一の商標と認め得るものである。
(3)また、使用に係る商品「血液分析システム」は、本件商標の指定商品「医療用機械器具」に属することが明らかなものである。
(4)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において、通常使用権者によって指定商品「医療用機械器具」の一に使用されたと認められるものである。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが指定商品について使用をしていないものには該当しないから、商標法第50条に照らし、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-09-21 
結審通知日 2006-09-28 
審決日 2006-11-07 
出願番号 商願平5-38849 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (010)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 八木橋 正雄佐藤 久美枝 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小川 有三
登録日 1996-05-31 
登録番号 商標登録第3161752号(T3161752) 
商標の称呼 オムニ 
代理人 深見 久郎 
代理人 森田 俊雄 
代理人 竹内 耕三 
代理人 野田 久登 

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