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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y12
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y12
管理番号 1148289 
審判番号 不服2006-10030 
総通号数 85 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2007-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2006-05-17 
確定日 2006-11-15 
事件の表示 商願2004- 29830拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「e・4WD」の文字よりなり、第12類「陸上の乗物用の動力機械(その部品を除く。),動力伝導装置,制動装置,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品」を指定商品として、平成15年9月10日に登録出願された商願2003-78633に係る商標法第10条第1項の規定による商標登録出願として、同16年3月30日に登録出願されたものである。

第2 原査定における拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の規格、型式等を表示するための記号・ 符号として普通に採択・使用されているローマ文字一字の一類型である『e』の文字と、『四輪駆動(four wheel drive)』を指称する語として一般に広く知られている『4WD』の文字を、『e・4WD』と普通に用いられる方法で表してなるから、これをその指定商品中『自動車』に使用しても、これに接する需要者は、該商品が単に『四輪駆動自動車』の一種であると認識するに止まり、何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
本願商標は、前記のとおり「e・4WD」の文字よりなるところ、「e」の文字と「4WD」の文字の間に中黒を配したことにより、「e」の文字と「四輪駆動(前後4輪すべてに駆動力を配分する構造。また、その機構を持つ自動車。)」の意味を有する「4 wheel drive」の略語[株式会社岩波書店 広辞苑第五版]である「4WD」の文字との組み合わせよりなるものと容易に認識されるものである。
そして、「e」の文字についてみると、例えば、「自動車情報事典 大車林」(2004年2月2日 株式会社三栄書房発行)の「ECTチェッカー」の欄に「ECT(electronic controlled transmission)checker/電子制御方式トランスミッションの故障診断装置のこと。」と記載、「ETC車載機」の欄に「ETC(electronic toll collection)in-vehicle unit→自動料金収受システム(ETC)」との記載より、「E」の文字は、「電子の」の意味を有する「electronic」の略語として使用されているものである。
また、「e-4WD」の文字が、「前輪・後輪への動力伝導を、電子制御により必要に応じて切り替える4WD(四輪駆動装置、或いは四輪駆動自動車の略語)」等を意味する語であることが、下記のインターネットのウエブサイト上でも、確認し得るところである。
(1)「日産『マーチe-4WD』発売-電気モーターで後輪も駆動する4WD」との表示の下、「e-4WDは、コンパクトな4WDシステムで、前輪駆動(ガソリンエンジン)をベースに後輪をモーターで駆動させ、必要な時だけ4WDとして作動する。エンジンに取り付けた発電機を制御しながら、後輪をモーターで駆動させる。車体後部に搭載された小型モーターで後輪を駆動させるため、従来の4WDに必要だったプロペラシャフト、トランスファーが不要となり、室内スペースを犠牲にすることなく4WD化を実現した。」との表示(http://www.response.jp/issue/2002/0905/article19442_1.html)。
(2)「プリウスのシステムとはひと味違う4WDハイブリッド・システム」との表示の下、「プリウスとエスティマのシステムはちょっと違う。いちばん大きな違いは、e-4WDシステムという、リヤ駆動用の減速機一体型モーターが搭載されていること。前輪のスリップを感知すると、フロントモーターが発電機となってエンジン出力を吸収。前後トルクを最適制御し4WDへと切り替える。」との表示(http://www.goo-net.com/car_info/usedcar_topics/078/04.html)。
(3)「『マツダデミオ』に使いやすい電動4WD車を追加」との表示の下、「『マツダデミオ』e-4WDは、専用ジェネレータで発電し後輪をモーターで駆動する、日常での使いやすさを重視したコンパクトな4WDシステムを採用し、1.3リットル車と1.5リットル車の両方に設定した。電子制御により、滑りやすい路面での発進など必要な時に後輪を駆動することで、雪道に慣れていないドライバーでもスムーズな走行を可能としている。」との表示(http://www.mazda.co.jp/publicity/release/200311/1127.html)。
さらに、「CAR STADIUM」との表示の下、主要緒元の表の駆動方式の欄に「e4WD」との表示(http://carstadium.net/Guide/index.html)。
「中古車を探す」との表示の下、「メーカー・車種/いすゞミュー」の欄に「グレード/3ドアワゴン3.1ディーゼルターボタイプE4WD」との表示(http://www.carsensor.net/catalog/isuzu/mu/bukken/)。
「ベリーサ VERISA」との表示の下、「エンジンは1500で4ATと組み合わせる。FFとe4WDがある。」との表示(http://mtnomura.web.infoseek.co.jp/verisa01.html)。
以上よりすると、本願指定商品を取り扱う業界において、駆動方式の一つとして「e-4WD」、「e4WD」の文字が表示され使用されていることより、本願商標は、前記「e-4WD」、「e4WD」と同様の意味合いを認識されるものであり、これをその指定商品中「動力伝導装置、自動車」について使用しても、これに接する取引者・需要者は、前記実情より「前輪・後輪への動力伝導を、電子制御により必要に応じて切り替える四輪駆動装置、或いは、同機構を持つ四輪駆動自動車」程度を理解・認識するに止まり自他商品識別標識としての機能を果たさないものといわざるを得ない。
したがって、本願商標は、これをその指定商品中「前輪・後輪への動力伝導を、電子制御により必要に応じて切り替える四輪駆動装置、或いは、同機構を持つ四輪駆動自動車」について使用しても、単に商品の品質、機能を表示するにすぎないものであり、前記商品以外の商品について使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものというのが相当である。
以上のとおりであるから、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当し、登録することはできない。
なお、原査定は、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当するとして拒絶したものであるが、商標法第3条第1項の該当性の判断に関しては、当該商標の文字が、「e」と「4WD」の文字の組み合わせを前提として自他商品の識別標識としての機能を果たさないとし、当審決においては、指定商品を取り扱う業界では、「e-4WD」の文字、或いは「e4WD」の文字は、「e」と「4WD」の文字の組み合わせにより「前輪・後輪への動力伝導を、電子制御により必要に応じて切り替える四輪駆動装置、或いは四輪駆動自動車」程の意味合いの語として使用されていると認識されるから、本願商標がその指定商品に使用された場合、これに接した取引者、需要者は前記意味合いを認識するにすぎず、他人の同種商品とを識別するための標識であるとは認識し得ない商標とする内容において原査定と相違するものでないから、結局、原査定は妥当なものであって取り消すことはできない。
そうすると、原査定と当審決とは、いずれも本願商標を本願指定商品に使用しても、自他商品識別標識としての機能を有するものではなく、商標法第3条第1項所定の商標登録の要件を欠く商標に該当するという結論にいたるものであるから、両者は、その判断の内容において実質的に相違するものではない。(平成16年(行ケ)第369号判決[平成17年1月26日言渡]参照。)
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-09-13 
結審通知日 2006-09-19 
審決日 2006-10-02 
出願番号 商願2004-29830(T2004-29830) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y12)
T 1 8・ 13- Z (Y12)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 馬場 秀敏平松 和雄木住野 勝也 
特許庁審判長 小林 薫
特許庁審判官 寺光 幸子
長柄 豊
商標の称呼 イイヨンダブリュウデイ、エヨンダブリュウデイ、ヨンダブリュウデイ 
代理人 小栗 昌平 

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