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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) Z24
管理番号 1146897 
異議申立番号 異議1999-90790 
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-12-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 1999-06-14 
確定日 2006-10-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第4240746号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4240746号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第4240746号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成9年7月23日に登録出願され、第24類「布製身の回り品,織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕」を指定商品として、同11年2月12日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
本件商標は、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)の著名な略称を含むものであり、その者(他人)の承諾を得ずに登録出願されていることは明らかであるから、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものである。
本件商標と引用登録第852071号商標外4件とは、「ヴァレンティノ」の称呼を共通する類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品は各引用商標の指定商品と抵触するから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品が恰も登録異議申立人(以下「申立人」という。)の製造、販売等の業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれがあるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものである。

第3 取消理由の通知(要旨)
1 申立人の主張の趣旨及び提出に係る証拠によれば、次の事実が認められる。
「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァニ)は1932年イタリア国ボグヘラで誕生、17才の時パリに行き、パリ洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー「ジーン・デシス、ギ・ラ・ロシュ」の助手として働き、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion Oscar)」を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同氏の作品が掲載された。これ以来同氏は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーと呼ばれ国際的なトップデザイナーとして知られている。
我が国においても、ヴァレンティノ ガラヴァニの名前は1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品はファッション雑誌「世界の一流品大図鑑」、「男の一流品大図鑑」、「ヴァンサンカン」、「ミセス」等により継続的に日本国内にも紹介されている。
昭和49年には三井物産株式会社の出資により同氏の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンティノヴティックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同氏の作品は我が国のファッション雑誌にもより数多く掲載されるようになり、同氏は我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。
以上のとおり、ヴァレンティノ・ガラヴァニは、世界のトップデザイナーとして本件商標が登録出願された平成9年7月当時には、既に我が国においても著名であったものと認められる。
同氏の名前は「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァニ」とフルネームで表示され、このフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられており、ファッションに関して「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば同氏を指すものと広く認識されるに至っているというべきである。
2 当審において調査するに、「ヴァレンティノ ガラヴァニ」「VALENTINO GARAVANI」は、我が国においては、「ヴァレンチノ」、「ヴァレンティーノ」あるいは「VALENTINO」とも略されて表示されていることは、田中千代「服飾辞典」同文書院1981年p550、山田政美「英和商品辞典」(株)研究社1990年p447、金子雄司外「世界人名辞典」岩波書店1997年p84)において裏付けられるばかりでなく、雑誌における表現においても、たとえば、「marie claire」1996年2月1日号、「non-no」1989年 No23号等からも認められる。
3 以上1及び2の事実を総合すると、申立人は、「VALENTINO」又は「VALENTINO GARAVANI」よりなる商標を婦人服を始めとし、紳士服、ベルト、バッグ、靴、香水等の商品に使用しており、その結果、これら商標は、本件商標の登録出願の時には、既に我が国において、取引者、需要者間に広く認識されていたものといえる。
4 本件商標は、その構成中に「Valentino」の文字を有するものであり、その指定商品は、引用商標が使用されている被服等と密接な関係を有する「布製身の回り品」等を含むものである。
5 以上によれば、本件商標を、商標権者がその指定商品について使用した場合、取引者、需要者をして、その商品があたかも上記デザイナーあるいは、同人と何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見(要旨)
1 商品取引の実情からみて
「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァニ」が、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」と略称されることがあることをもって、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァニ」だけを指すものとして「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァニ」が広く認識されるに至っているとする判断は、不当である。
構成中に「Valentino」の文字を有する商標、すなわち、「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の形態での商標の使用例は、多数存在している。また、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」 といえば「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァニ」 だけを指称するという確たる証拠は何ら提示されていない。
そして、「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の商標は、商標としての構成音数の多さから、簡易・迅速を旨とする一般商品取引社会においては、実情として「Valentino」と略称されることも少なくない。
そうであれば、単に「Valentino」と略称された場合に、全ての聴者が「VALENTINO GARAVANI」を一意的に想起するとは限らず、ある聴者は「Valentino○○○」を想起し、また、ある聴者は「△△△Valentino」を想起し、また、他の聴者は「Valentino×××」を想起するというように、聴者によって想起する商標が全て異なるということも当然にあり得る。
また、「Valentino」は、イタリアにおいては、苗字としても名前としても一般的に多くの人に使用されており、決して特異な姓名ではなく、むしろ、ありふれた人名といえ、例えば、イタリアの「ナポリ」、「ローマ」、「ミラノ」及び「パレルモ」の電話帳には「Valentino A○○○」、「Valentino○○○」の形態の人名若しくは社名が多数掲載されている(乙第23号証の1ないし4)。
2 特許庁の登録商標の例からみて
「Valentino」の文字を有する商標は、既に特許庁において多数登録されており、本件商標に限ってその登録を取り消されるのは不合理である。
すなわち、「Valentino」の文字を有する商標で、「被服」や「布製身の回り品」等を指定商品とするものについて、特許庁において登録されている商標を、本件商標の登録出願日である平成9年7月23日より前に登録出願されたものと、それ以降に登録出願されたものとに分けて例示すると、平成9年7月23日より前に登録出願されたものが登録第852071号商標外209件が登録されており、平成9年7月23日以降に登録出願されたものが登録第4226095号商標外28件が登録されている。
このように200件を悠に越える多数の登録商標が実在すると、単に「Valentino」と称呼された場合には、全ての聴者が「VALENTINO GARAVANI」を一意的に想起するとは限らないことはもとより、想起される可能性のある登録商標の数の多さから、ある聴者は上記した登録商標の中から「Valentino○○○」を想起し、また、ある聴者は他の「△△△Valentino」を想起し、また、他の聴者はこれらとは異なる「Valentino×××」を想起するというように、聴者によって想起する商標が全て異なるという可能性が高い。
3 実際の商標使用状況からみて
「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の形態の商標、すなわち、「Valentino」若しくは「ヴァレンティノ」の文字を有する商標は、乙第1号証ないし乙第22号証に示す「MARIO VALENTINO」(登録第2215112号商標)、「Rudolph Valentino」(登録第2357409号商標)、「SABLINA VALENTINO」(登録第4067290号商標)外33件のように、「布製身の回り品」等に贈答品(ギフト商品)として多数使用されており、これらの大多数が「被服」や「布製身の回り品」等を指定商品とする登録商標である。
これらからも明らかなように、贈答品等においては、「Valentino」若しくは「ヴァレンティノ」の文字を有する商標が多数使用されているのが実情であり、簡易・迅速を旨とする一般商品取引の使用の現場(実体)においては、「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の形態での商標が、それぞれ「Valentinno」と略称されて使用されていることは想像に難くない。
そして、どの使用商標も、おそらく需要者にとっては「Valentinno」と称して取り引きされているのが実情であり、「VALENTINO」「ヴァレンティノ 」 といえば「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァニ」を想起する需要者もいるかも知れないが、前記したように「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の形態での商標が多数存在することより、かかる商標の中の少なくとも一つを想起する需要者もいるわけで、一意的に「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァニ」だけが想起されるという断定はできない。
また、上記した〔平成9年7月23日より前に登録出願された登録商標〕の中には「VALENTINO」(登録第852071号商標)「VALENTINO GARAVANI」(登録第1415314号商標)があり、これらは2件は共に申立人が所有する登録商標であるが、元々は権利者が相互に異なっており、その後、前者は平成8月9月9日付けで、また、後者は平成8年6月10日付けで申立人に権利の移転登録がなされたものである。ということは、これらの商標「VALENTINO」(登録第0852071号商標)「VALENTINO GARAVANI」(登録第1415314号商標)は、相互に非類似の商標として登録されたということである。
そして、これらの「Valentino」若しくは「ヴァレンティノ」の文字を有する登録商標の類否判断においては、「Valentino」だけを分離・抽出して観察することなく、商標全体を対比観察して、相互に非類似と判断したからこそ登録された考えるのが自然である。
かかる観点からも、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば「VALENTINO GARAVANI」だけを指すという一意的な図式での判断には無理がある。
仮に、これだけ多数の「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の形態での商標が贈答品等の商標として使用されている現状において、本件商標が「VALENTINO GARAVANI」と商品の出所の混同を生じるおそれがあるということでその登録を取り消されるとなると、「Valentino○○○」や「△△△Valentino」の形態での商標の多くもその登録を取り消されることになり兼ねず、そのような事態になれば、長年にわたって形成された贈答品等の商品取引秩序に大混乱を来すことは明らかである。
4 「日本国周知・著名商標」の検索結果からみて
特許庁がインターネットにて開設しているホームページの電子図書館では、「日本国周知・著名商標」を検索することができるが、かかる「日本国周知・著名商標」の検索欄にて「VALENTINO GARAVANI」と「VALENTINO」をそれぞれ検索してみたが、検索結果はいずれも0件だった。
ということは、現時点(平成13年10月26日現在)においても 、 特許庁は「VALENTINO GARAVANI」と「VALENTINO」のいずれも周知・著名商標として認識していないといえる。
5 以上に述べてきたように、本件商標は、デザイナーであるヴァレンティノ・ガラヴァニと何等かの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生じさせるおそれがないことより、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

第5 当審の判断
平成13年9月12日付けで通知した前記第3の取消理由は、妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は、以下の理由により採用できない。
1 「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の著名性について
前記第3(取消理由の通知)で認定したとおり、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)は、本件商標の登録出願日(平成9年(1997年)7月23日)までには、世界的に著名な服飾デザイナーとして、我が国のファッション及びファッション関連商品の取引者、需要者の間に広く認識されていたものである。そして、それと共に「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示も、新聞、雑誌の記事や見出し中において、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏や同氏のデザイナーブランドである「VALENTINO GARAVANI」の略称として頻繁に用いられていたり、辞典類において「ヴァレンティノ」が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」氏の通称、略称であることが記載されていることからしても、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品のブランドを表すものとして、我が国のファッション関連分野において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであって、その著名性は、本件商標の登録出願日(平成9年(1997年)7月23日)から登録査定時(平成10年(1998年)12月14日)に至るまで継続していたと認められる。
2 商品の出所の混同について
(1)商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないとしているところ、これには、「当該商標をその指定商品又は指定役務に使用したときに、当該商品又は役務が他人の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれがある商標のみならず、当該商品等が上記他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品又は役務であると誤信されるおそれ(いわゆる「広義の混同のおそれ」)がある商標が含まれる」と解され、さらに、「混同を生ずるおそれ」の有無は、当該商標と他人の表示との類似性の程度、他人の表示の周知著名性及び独創性の程度や、当該商標の指定商品等と他人の業務に係る商品等との性質、用途又は目的における関連性の程度並びに商品等の取引者及び需要者の共通性その他取引の実情などに照らし、当該商標の指定商品等の取引者及び需要者において普通に払われる注意力を基準として総合的に判断されるべきであると解される(最高裁平成12年7月11日 平成10年(行ヒ)第85号)。
(2)これを本件についてみると、以下のとおりである。
ア 本件商標は、上段にアルファベットの「V」のモノグラムを配し、下段に「Valentio Primiero」欧文字を横書きした構成からなり、両者は分離した構成となっている。そして、下段部の文字部分は、「Valentio」の部分と「Primiero」の部分が一字程度間隔を空け分離して記載されており、「Valentio」と「Primiero」と二分して認識され得るものであるから、上記前半部分は、「Valentio」表示と同一綴り字で、外観、称呼、観念を同じくする類似性の強いものといえるものである。
また、「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示は、前記認定のとおり、本件商標の登録出願日当時、著名なファッションデザイナーである「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)氏又はそのデザインに係る商品のブランドを表すものとして、我が国のファッション関連分野において、取引者、需要者の間に広く認識されていたものであり、その著名性は、本件商標の登録査定時(平成10年(1998年)12月14日)に至るまで継続していたものであって、周知著名性の程度の極めて高いものである。
イ 本件商標の指定商品中の「布製身の回り品」には、「ハンカチ、タオル」が包含されており、この「ハンカチ、タオル」は、日常身体に使用されるファッションに直接関連する商品といえ、また、同じく「織物、布団、布団カバー、布団側、まくらカバー、毛布」も日常身体に使用されるファッションに関連する分野の商品であるといえるものであるから、「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示が使用されている「婦人服、紳士服」等のファッション関連商品とは極めて密接な関連性を有しており、両商品の取引者、需要者の相当部分が共通しているといえ、殊にその需要者は、特別な専門的知識経験を有しない一般大衆であって、これらを購入するに際して払われる注意はさほど緻密なものではないと考えられる。
ウ 以上の「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示の周知著名性の程度、本件商標と「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示との類似性の程度、本件商標と「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示とにおける商品の関連性及び需要者の共通性を総合すると、本件商標をその指定商品について使用した場合、これに接する需要者は、その構成中の「Valentio」の文字部分に強く印象づけられ、該商品が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきである。
3 商標権者の主張について
(1)商品取引の実情及び特許庁の登録商標例について
商標権者は、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」といえば、「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ・ガラヴァニ」だけを指称する確たる証拠は何ら提出されていないから、「VALENTINO」のみの表示が著名性を獲得したものとはいえない。また、構成中に「Valentino」の文字を有する商標、すなわち、「Valentino ○○○」や「△△△ Valentino」の形態での商標の使用例は、多数存在しているとし、一般商品取引社会においては実情として、「Valentino」と略称されることは少ないとする主張の根拠として、本件商標の登録出願日である平成9年7月23日より前に登録出願されたものと、それ以降に登録出願されたものとに分け、登録第1415314号商標の他200件以上の登録例を挙げ、「VALENTINO」のみの表示は、著名性を獲得したものとはいえない旨主張し、さらに、上記した〔平成9年7月23日より前に登録出願された登録商標〕の中には「VALENTINO」(登録第852071号商標)「VALENTINO GARAVANI」(登録第1415314号商標)があり、これらの2件は共に申立人が所有する登録商標であるが、元々は権利者が相互に異なっており、その後、前者は平成8月9月9日付けで、また、後者は平成8年6月10日付けで申立人に権利の移転登録がなされたものであるから、これらの商標は相互に非類似の商標として登録されたということである旨主張している。
しかし、世界的著名なデザイナーである「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」及びそのデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト、バッグ等の商品群に使用される「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標が、単に「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」と表示され、本願商標の登録出願前より需要者の間に広く認識されていることは、前記認定のとおりであり(関連事件として、「平成16年(行ケ)第335号」「平成17年(行ケ)第10270号」「平成17年(行ケ)第10491号」外参照)、また、本件商標そのものがその指定商品について使用された場合に、本件商標の登録出願時において、該商品が「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品との間に、出所の混同を生ずるおそれがあったか否かを問題とすべきであるから、商標権者の挙げる登録商標の存在及び上記2件の事例により、前記認定が左右されるものではない。
なお、「VALENTINO」の文字をその構成中に有する登録商標及び商標登録出願に関して、本件と同様に審決又は異議決定をしたものに対する東京高等裁判所及び知的財産高等裁判所における行政訴訟事件において、次のとおり判決されているところである。
(ア)平成14年(行ケ)第201号事件(審判番号7-7234、商標登録第2699605号 商標「GIANNI VALENTINO」、指定商品第19類「台所用品、日用品」)は、平成15年9月30日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(イ)平成14年(行ケ)第354号事件(審判番号9-20430、商標登録第2614322号 商標「GIANNI VALENTINO」、指定商品第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」)は、平成15年9月30日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(ウ)平成14年(行ケ)第370号事件(審判番号8-20103、商標登録第2357409号 商標「RUDOLPH VALENTINO」、指定商品第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く) 」)は、平成15年9月29日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(エ)平成14年(行ケ)第402号事件(審判番号9-02833、商標登録第2715313号 商標「Rudolph Valentino/「V」図形」、指定商品第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く) 」)は、平成15年9月29日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(オ)平成14年(行ケ)第405号事件(審判番号11-35033、商標登録第2629700号 商標「valentino /orlandi」、指定商品第17類「被服、布製身回品、寝具類」)は、平成15年6月19日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(カ)平成14年(行ケ)第421号事件(審判番号10-35465、商標登録第2582891号 商標「valentino /orlandi」、指定商品第22類「はき物、かさ、つえ、これらの部品および附属品」)は、平成15年6月19日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(キ)平成16年(行ケ)第335号事件(異議番号2003-90376、商標登録第4658091号 商標「SとV」のモノグラム図形/SILVIO VALENTINO」、指定商品第3類「せっけん類,薫料,つけづめ,つけまつ毛,歯磨き」)において、平成17年2月24日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(ク)平成17年(行ケ)第10270号事件(異議番号10-92002、商標登録第4161151号商標「GとV」のモノグラム図形/GIOVANNI VALENTINO」、指定商品第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」)において、平成17年9月28日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(ケ)平成17年(行ケ)第10491号事件(審判番号:不服2002-12122、商標「楕円形内デザイン化した欧文字らしき図形/FEMMIO VALENTINO」、指定商品第21類「ガラス基礎製品(建築用のものを除く。),なべ類,コーヒー沸かし(電気式又は貴金属製のものを除く。)外」)において、平成17年12月20日に請求を棄却する旨の判決が言い渡された。
(2)「Valentino」がイタリアではありふれた氏であるとする点について
商標権者は、「Valentino」がイタリアではありふれた氏又は名であるとする証明資料として、イタリアのナポリ、同ローマ、同ミラノ及び同パレルモの電話帳を提出している(乙第23号証の1ないし4)。
乙第23号証の1ないし4よりすると、確かに、イタリアの上記都市の電話帳に「Valentino ○○○」等の形態の人名若しくは社名が存在することは認められるが、少なくとも我が国においては、「Valentino」はありふれた氏又は名ではなく、また、混同を生ずるおそれがあるかどうかは、我が国における指定商品に係る取引者、需要者の認識によって決せられるものであるから、商標権者のこの点の主張も採用できない。
(3)実際の商標使用状況について
商標権者は、「Valentino」若しくは「ヴァレンティノ」の文字を有する商標が布製身の回り品」等に贈答品(ギフト商品)として多数使用されている実情の例として、乙第1号証ないし乙第22号証を提出して、一意的に「VALENTINO GARAVANI」「ヴァレンティノ ガラヴァニ」だけが想起されるという断定はできない旨主張し、さらに、これらの登録商標が取り消されると長年にわたって形成された贈答品等の商品取引秩序に大混乱を来す旨主張している。
しかし、商標権者の挙げた使用例(乙第1号証ないし乙第22号証)が「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標を使用した商品群との混同を惹起させ、「VALENTINO GARAVANI(ヴァレンティノ ガラヴァーニ)」商標へのフリーライドを狙ったものではないとの証拠はなく、その需要者が「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品群の一つであると既に混同をしていた可能性も否定できないから、これらの使用例をもって、本件商標を使用した指定商品と「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」のデザインに係る商品群との間に出所の混同を生ずるおそれがないと断定することはできない。
したがって、この点に関する商標権者の主張も採用することができない。
(4)「日本国周知・著名商標」の検索結果について
商標権者は、特許庁のホームページの電子図書館の「日本国周知・著名商標」の検索欄にて「VALENTINO GARAVANI」と「VALENTINO」を検索してみたが、検索結果はいずれも0件だったので平成13年10月26日現在においても、特許庁は「VALENTINO GARAVANI」と「VALENTINO」のいずれも周知・著名商標として認識していないといえる旨主張している。
しかし、特許庁のホームページの電子図書館の「日本国周知・著名商標」中にすべの周知・著名商標が掲載されているものではないし、また、上記検索結果が0件だったとしても、「VALENTINO GARAVANI」、「VALENTINO」の周知・著名性が直ちに否定されるものではないことは明らかであり、加えて上記1のとおり、「VALENTINO」、「Valentino」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」の表示は、周知・著名なものと認められるものであるから、この点に関する商標権者の主張も採用することができない。
以上、商標権者の主張は、いずれも採用することができない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する
なお、商標権者は、証人尋問を申し出ているが、本件の結論に照らせば、証人尋問を行う必要はないものと判断されるから、証人尋問の申し出は採用しない。
別掲 別掲 本件商標




異議決定日 2006-09-11 
出願番号 商願平9-141662 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (Z24)
最終処分 取消  
前審関与審査官 井岡 賢一山口 烈 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 1999-02-12 
登録番号 商標登録第4240746号(T4240746) 
権利者 株式会社フジメン通商
商標の称呼 バレンチノプリミエーロ 
代理人 杉村 興作 
代理人 末野 徳郎 
代理人 松尾 憲一郎 
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