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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z16
管理番号 1146661 
審判番号 取消2005-31045 
総通号数 84 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-12-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-08-25 
確定日 2006-10-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第4536689号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4536689号商標(以下「本件商標」という。)は、「メイキングメモリーズ」の文字を書してなり、平成13年2月21日に登録出願、第16類「紙類,印刷物,写真,写真立て,文房具類,書画」を指定商品として、同14年1月18日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「本件商標の指定商品についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第12号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)請求の理由
請求人が調べたところ、本件商標は、設定登録を受けてから今日まで既に3年以上の年月が経過しているにもかかわらず、本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の登録(平成17年9月15日)前三年以内に日本国内において、被請求人によって使用がなされた事実を発見することはできなかった。
また、商標登録原簿には、使用権者に係る記録は存在しないから、専用使用権者が本件商標に存在せず、さらに、登録された通常使用権者が存在しないことも明らかである(甲第2号証)。
ところで、商標法において、不使用について正当な理由がある場合は取り消さないと規定されているが、そのような事情が存在することを請求人は知らないし、本件審判請求に係る各指定商品の性質から考えて、そのような事情が存在するとは考えられない。
このように、本件商標が商標法第50条第1項に係る不使用の状態にあり、かつ、その不使用についての正当な理由の存在も確認できないから、その登録の取消しを免れることはできない。
よって、本件商標は、その指定商品について商標法第50条の規定に基づいて、その登録を取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
ア 商品カタログに関する疑問点
被請求人は、商品カタログを提出し、本件商標は3年以内に指定商品について国内で使用がされている旨を主張しているが、提出した商品カタログを単に「販売店の要請に応じて配布し、また、ギフトショー、ホビーショー等の各種展示会においても配布して」いると主張しているだけで、何ら証拠を提出していない。
請求人は、スクラップブッキングの本場でリーダー的存在の地位を占めており(甲第3号証)、インターネット上の多くの日本語ウエブサイトで請求人の商品が紹介されている一方、被請求人の「メーキングメモリーズ」の商標を付した商品を紹介するウェブサイトは存在していない。現在のインターネットの発達状況から考えて、被請求人が本件商標を使用していれば、インターネットで確認できるのが普通と思われることから、商品カタログだけが唐突に存在するという印象は否めない。
次に、被請求人のウェブサイトにアクセスして商品を確認したところ、アルバムバインダー、クリアリフィル、カラーペーパー、デザインペーパーの4種類の商品が掲載されている(乙第1号証ないし同第4号証)。品番が異なるものの、被請求人のウェブサイト掲載の商品は、アルバムバインダー、クリアファイル、台紙(無地)、台紙(デザインプリント)が、被請求人の提出証拠のそれぞれの商品と同一であることが判明した(甲第5号証)。当該証拠から明らかなように、被請求人が本件商標を現在使用している事実を確認できない。
そこで、被請求人ウェブサイトの上記商品を個別に検討すると、まず、アルバムバインダーについては、その表面中央部に「ALBUM HOBBY」の文字が明確に表示されている。当該文字の位置及び大きさに加え、他に識別標識と評価できる文字が存在しないことから、被請求人が「ALBUM HOBBY」なる文字を識別標識として使用していると評価するのが自然である。事実、被請求人の関連会社が「Album Hobby/アルバムホビー」商標について商標登録を受けていることが判明した(甲第6号証)。登録商標を指定商品に使用しているのであるから、商号商標でもない本件商標をわざわざ同一商品に使用するのは不可解である。被請求人がウェブサイトにおいて現在販売しているアルバムバインダーと色彩・デザイン・商品に付された商標に変更が加えられていないのに、本件商標だけが使用されなくなったというのも不自然である。
2番目のクリアリフィルについてであるが、当該商品の包装に本件商標は全く表示されていない。当該包装は、被請求人のウェブサイトにもクリアファイルのところで掲載されているが、同じデザインの包装であることが確認できる。また、「クリアリフィル」の文字の左横に「ALBUM HOBBY」の登録商標の表示が確認できる。商品カタログに「アルバムバインダー対応」と記載されていることから、上記アルバムバインダーと商標が統一されていると考えられる。
3番目及び4番目のカラーペーパー及びデザインペーパーについても、色彩及びデザインが被請求人のウェブサイトで現在販売されているものと同一であり、インターネット上の「ぶんぐオールスターズドットコム」というウェブサイトで、被請求人のアルバムバインダー及びその関連商品が紹介されている(甲第7号証)。
当該ウェブサイトの情報の内容については、アルバムバインダー、クリアリフィル、台紙無地及びデザイン台紙のサイズ、価格、種類の数などが被請求人の商品と一致している。また、HowTo本についても、被請求人のものと同一の表紙が写っている。加えて、当該ウェブサイトは2004年の1月から新製品の情報を提供していることから、当該ウェブサイトは被請求人の商品の正しい情報を提供していると信頼してよいと考える。そして、クリアファイル及び台紙を利用して魅力的なアルバムを作成するための本がHowTo本と考えられる。当該HowTo本の表紙にも、同一の「ALBUM HOBBY」の商標が表記されている。
以上の事実を総合的に勘案すれば、被請求人が提出した商品カタログに掲載されている商品は、「Album Hobby」の登録商標によって統一された一連の商品群であり、これらの商品群に、さらに商号商標ではない本件商標を統一商標として使用するというのは不可解かつ不自然である。
イ 展示会での配布について
被請求人は、提出した商品カタログを「ギフトショー、ホビーショー等の各種展示会においても配布している」と主張しているところ、ギフトショーについては、様々なギフトショーが存在していることから、被請求人のいうギフトショーがどのギフトショーなのか、特定することができなかった。
次にホビーショーについて調べたが、これは日本ホビーショーを指していると考える。その理由は、被請求人が日本ホビーショーを主催している日本ホビー協会の正会員であることが確認できたからである。当該ホビーショーに出展するためには、被請求人のように日本ホビー協会の正会員になることが必要であるが、商品カタログに表示されている被請求人の関連会社の株式会社アルテ(以下「アルテ社」という。)の名は、日本ホビー協会会員名簿に含まれていなかった(甲第8号証(1)ないし(3))。常識的に考えれば、正会員のみが出展できる日本ホビーショーの展示会会場において、出展資格のないアルテ社の名称及び住所が記載された商品カタログを配布することは禁じられているはずであるから、被請求人の主張は事実関係と整合性がないと考える。
また、当該アルテ社のウェブサイトの商品には、被請求人提出の商品カタログに掲載されている商品が含まれていないことが判明した(甲第9号証)。このように、被請求人の関連会社は、被請求人とは異なる商品を扱っているにもかかわらず、被請求人と連名の形で商品カタログに表示されており、しかも、非会員であるにもかかわらず、日本ホビーショーで配布されていたというのであるから、不可解としかいいようがない。
さらに、すでに述べたように、請求人は、米国におけるスクラップブッキング分野のリーディングカンパニー的存在であると共に、全米ホビー協会の会員であり、同協会は、日本ホビーショーの主催者である日本ホビー協会と協力関係にあって、協賛者でもある(甲第9号証)。したがって、被請求人は、このような全米ホビー協会における大きな存在の請求人の商号商標を印刷した商品カタログを展示会会場で堂々と配布していたことになり、このような行為が日本ホビー協会において問題とならないというのは不自然である。
このように、被請求人が提出した商品カタログを国内において展示・配布・インターネット等による提供を行ったという事実は立証されておらず、請求人独自の調査によっても確認することはできなかった。
ウ 本件商標の使用時期
被請求人が提出した商品カタログには、確かに「2003.12」及び「2004.05」の数字が印刷されているが、日付の書体といい、インクの色といい、明らかに浮いた存在であり、この程度の表示を後から追加することは、現在の印刷技術を考えれば容易と思われる。
さらに、甲第7号証の「ぶんぐオールスターズドットコム」において、2005年2月の「新製品の紹介コーナー」で紹介されている。もし、リニューアルしたものが新商品として紹介されたというのであれば、すでに述べたようにアルバムの色彩・デザイン・価格・商標等の変更が全くなされていないにもかかわらず、リニューアル商品として再登場するのも不自然である。
念のため、「アルバム ジャパンアート」をキーワードに検索を試みたところ、被請求人に関係するページはわずか15件にすぎず、2005年2月以前から本件商標と関係なくアルバムを製造販売していた事実を確認できなかった。つまり、甲第7号証の内容から2005年以前に被請求人のアルバムバインダーはまだ発売されていなかったのではないか、という疑問を否定する事実関係は見つかっていないということになる。
このように、被請求人は商品カタログを提出しているが、請求人が調べた事実と照らし合わせると、事実との整合性が全くなく、事実関係と離れて唐突に存在しているという印象を拭い去ることができなかった。被請求人は提出に係る商品カタログが3年以内のものという客観的な証拠を提出していないことから、被請求人はこの点を証明していない。
エ むすび
以上から、本件商標が指定商品について本件審判の請求の登録日から3年以内に使用がなされた事実を、被請求人は立証していない。加えて、被請求人提出の証拠は、商品カタログに本件商標を掲載しただけのものであるから、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)に該当しないことは明らかであり、同様に、「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し、引き渡し、譲渡若しくは引渡しのために展示し、輸入し、又は電気通信回線を通じて提供する行為」(同第2号)にも該当しないこともまた、明白である。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において使用しており、また、現在も使用を継続している。
乙第1号証ないし同第4号証は、被請求人が製造及び販売している商品「アルバムバインダー」、「クリアリフィル」、「カラーペーパー」及び「デザインペーパー」の商品カタログであり、被請求人は、この商品カタログを販売店の要請に応じて配布し、また、ギフトショー、ホビーショー等の各種展示会においても配布している。
そして、これらには商品名として「Making Memories」と印字されている。
ここで、「Making Memories」は、「メイキングメモリーズ」と称呼され、本件商標との関係では、商標法第50条に規定する「片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼を生ずる商標」と考えられる。そのため、これにより、被請求人は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していることが証明される。
次に、これら乙各号証には、「2003.12」又は「2004.05」と印字されており、これらは商品カタログの発行月を示している。そのため、被請求人は、少なくとも平成15年12月及び同16年5月時点において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標について使用をしていることが証明できる。
また、乙第1号証及び同第3号証の「アルバムバインダー」はアルバムの一種、「クリアリフィル」はいわゆるクリアファイルであり、本件審判請求に係る指定商品中の「文房具類」に含まれる。さらに、乙第2号証及び同第4号証の「カラーペーパー」及び「デザインペーパー」は、本件審判請求に係る指定商品の中の「紙類」に含まれると思われる。
したがって、これにより、被請求人が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用している商品が本件審判請求に係る指定商品であることが証明できる。
(2)このように、被請求人は、少なくとも平成15年12月及び平成16年5月時点において、本件審判請求に係る指定商品に関して、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用しているので、「本件商標と同一又は社会通念上同一と認められる商標が、本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の登録(平成17年9月15日)前三年以内に日本国内において、被請求人によって使用がなされた事実を発見することはできなかった」という請求人の主張は誤りである。

4 当審の判断
被請求人は、「本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の登録前三年以内に日本国内において使用しており、また、現在も使用を継続している。」旨主張し、乙第1号証ないし同第4号証を提出しているので、以下検討する。
(1)乙第1号証ないし同第4号証について
乙第1号証ないし同第4号証は、上部に「Making Memories」の文字が表され、下部に被請求人とアルテ社の名称が併記された商品カタログであり、これらには「写真だけのアルバムから、素敵にイメージアップした作品に・・・」と記載されて、乙第1号証及び同第3号証には「アルバムバインダー」と「クリアリフィル」が、乙第2号証及び同第4号証には「カラーペーパー」と「デザインペーパー」がそれぞれ掲載されている。また、これら各号証には「2003.12」(乙第1号証及び同第2号証)又は「2004.05」(乙第3号証及び同第4号証)の数字が記載されている。
(2)乙各号証について
乙第1号証ないし同第4号証の上記各事実によれば、以下のとおり認定することができる。
(ア)商品について
被請求人が提出した商品カタログに掲載されている商品についてみると、商品「アルバムバインダー」は、写真用の「アルバム」であり、「クリアリフィル」は、同アルバムに使用される専用ファイル、「カラーペーパー」及び「デザインペーパー」は、同アルバムに使用される専用台紙と認められ、いずれも本件審判の請求に係る指定商品中の「文房具類」に属する商品と認められる。
(イ)商標について
本件商標は、「メイキングメモリーズ」の文字よりなり、「メイキングメモリーズ」の称呼を生ずるものであるところ、被請求人が提出した商品カタログのいずれにも表示されている「Making Memories」の文字からなる商標(以下「被請求人商標」という。)は、「メイキングメモリーズ」の称呼のみを生ずるものといえ、本件商標と被請求人商標は、同一の称呼を生ずるものと認められる。
そうすると、被請求人商標からは、本件商標を直ちに理解、認識でき、他の観念を有した文字(語)が想定されることもなく、欧文字と片仮名文字の相互の使用と認められ、本件商標とは社会通念上同一のものというのが相当である。
(ウ)被請求人が提出した商品カタログの作成時期について
該商品カタログには「2003.12」又は「2004.05」の数字が記載されており、これらの数字は、一般の商品カタログの体裁に照らせば、その作成年月を表しているということができるから、被請求人の提出した商品カタログは、2003年(平成15年)12月又は2004年(平成16年)5月に作成されたものと認められる。
(エ)商品カタログの頒布について
被請求人は、「商品カタログを販売店の要請に応じて配布し、また、ギフトショー、ホビーショー等の各種展示会においても配布している。」と述べており、該商品カタログには、被請求人及びその関連会社と認められるアルテ社の住所、電話番号、ドメイン名など、詳細な情報が記載されており、被請求人の提出した商品カタログは、その体裁及び商取引の実情に照らせば、特段の事由がない限り、取引者、需要者に頒布されたものと認められるところ、両当事者の主張、立証を総合勘案しても、上記特段の事由は見出すことができない。
してみれば、被請求人が提出した商品カタログは、これらが作成された2003年(平成15年)12月又は2004年(平成16年)5月以降に、取引者、需要者に配布されたものと認めるのが相当である。
(2)以上の認定事実によれば、商標権者である被請求人は、本件審判の請求の登録前三年以内に、日本国内において、本件商標を請求に係る指定商品中「文房具類」に属する「アルバム並びにその専用ファイル及び台紙」について使用したものといわなければならない。
(3)請求人の主張について
(ア)請求人は、被請求人の「メイキングメモリーズ」の商標を付した商品を紹介するウェブサイトは存在しない。また、被請求人のウェブサイト及び被請求人の商品を紹介しているウェブサイトでは「Album Hobby」商標が使用されており、本件商標は表示されていない。したがって、被請求人が提出した商品カタログに掲載されている商品は、「Album Hobby」の登録商標によって統一された一連の商品群であり、これらの商品群に、さらに商号商標ではない本件商標を統一商標として使用するというのは不可解かつ不自然である旨主張する。
しかしながら、被請求人が提出した商品カタログに掲載されている商品は、被請求人のウェブサイトの商品と品番が異なっており、また、被請求人のウェブサイトの商品には、該商品カタログにない商品も掲載されている。そうすると、被請求人が提出した商品カタログは、被請求人のウェブサイトに商品を掲載した時期と異なる時期に作成されたものとみることができるから、被請求人が提出した商品カタログに「Making Memories」商標が使用されている事実は、何ら不自然ではないといわなければならない。
また、一つの商品に複数の商標が使用されることはごく普通のことであって、シリーズ商品といえる一群の商品に使用される商標についても、例えば複数の商標を主たる商標、他を従たる商標とみれば何ら不自然ということはできない。したがって、請求人のこれらの点に関する主張は、上記判断を左右するものではない。
(イ)請求人は、日本ホビー協会が主催する日本ホビーショーには同協会の正会員のみが出展でき、被請求人は同協会の正会員であるが、アルテ社は同協会の会員名簿に含まれていなかった。常識的に考えれば、正会員のみが出展できる日本ホビーショーの展示会会場において、出店資格のないアルテ社の名称及び住所が記載された商品カタログを配布することは禁じられているはずであるから、被請求人の主張は事実関係と整合性がない旨主張する。
また、請求人は、アルテ社は被請求人と異なる商品を取り扱っているにもかかわらず、同社の名称が被請求人と連名の形で被請求人が提出した商品カタログに表示されており、しかも、非会員にもかかわらず日本ホビーショーで配布されていたというのであるから、不可解としかいいようがない旨も主張する。
しかしながら、請求人の証拠には、日本ホビーショーの会場において、これを主催する協会の正会員である企業の名称のほかに、正会員でない企業の名称が記載されている商品カタログを配布することが禁じられていると認めるに足りる証拠はない。
また、一般に、商品カタログにどのような商品を掲載し、その体裁をどのようにするかは、これを作成する企業の判断にゆだねられているといわざるを得ず、アルテ社が取り扱っていない商品が掲載されているという点を併せて被請求人が提出した商品カタログを検討しても、被請求人の主張が事実関係と整合性がなく、不可解なものであるとは認められないから、これらの点に関する請求人の主張も上記判断を左右するものではない。
(ウ)請求人は、米国にけるスクラップブッキング分野のリーディングカンパニー的存在であると共に、全米ホビー協会の会員であり、同協会は、日本ホビーショーの主催者である日本ホビー協会と協力関係にあって、協賛者でもある。したがって、被請求人は、このような全米ホビー協会における大きな存在の請求人の商号商標を印刷した商品カタログを、展示会会場で堂々と配布していたことになり、このような行為が日本ホビー協会において問題とならないというのは不自然である旨請求人は主張する。
しかしながら、我が国において登録商標を所有する商標権者が、我が国で開催された商品展示会会場において、該登録商標と社会通念上同一の商標を掲載した商品カタログを配布することはごく自然なことであるといわなければならない。
(エ)請求人は、被請求人が提出した商品カタログに印刷されている「2003.12」及び「2004.05」の数字は、書体といい、インクの色といい、明らかに浮いた存在であり、これ程度の表示を後から追加することは、現在の印刷技術を考えれば容易と思われる、さらに、甲第7号証の「ぶんぐオールスターズドットコム」において、2005年2月の「新製品の紹介コーナー」で紹介されている。もし、リニューアルしたものが新商品として紹介されたというのであれば、既に述べたようにアルバムの色彩・デザイン・価格・商標等の変更が全くなされていないにもかかわらず、リニューアル商品として再登場するのも不自然である。念のため、「アルバム ジャパンアート」をキーワードに検索を試みたところ、被請求人に関係するページはわずか15件にすぎず、2005年2月以前から本件商標と関係なくアルバムを製造販売していた事実を確認できなかった。つまり、甲第7号証の内容から2005年以前に被請求人のアルバムバインダーはまだ発売されていなかったのではないか、という疑問を否定する事実関係は見つかっていないということになる旨主張する。
確かに、請求人の指摘する「2003.12」及び「2004.05」の数字は、他の文字、例えばその左側に表示されている電話番号の数字の書体と異なっていると認められる。しかしながら、それをもって、この数字が被請求人カタログの作成時期と異なる時期に追加印刷されたものと認定することはできず、請求人の提出に係る証拠にもこの点を認め得る証拠はない。
そして、被請求人の商品カタログの「アルバムバインダー」の価格をみると乙第1号証には「各¥980」の記載、同第3号証には「各¥1,029(本体価格¥980)」の記載があり、これは、消費税に関し、平成16年4月から「総額表示方式」(内税表示)が義務化されたことによる表示と推認できるものであって、乙第1号証は、その表示が義務化される前の商品カタログといえるから、該商品カタログの作成時期を否定することはできない。
また、甲第7号証の「ぶんぐオールスターズドットコム」のページには「新製品情報」として「発売元:ジャパンアート」と記載されて被請求人の商品が紹介されている。しかしながら、ここに掲載されている「アルバム用シール」、「テンプレート」及び「ハウツー本」は、被請求人が提出した商品カタログには掲載されていない。これらの商品は、新商品として発表されているのであるから、被請求人が述べる商品カタログの作成時期を否定し得る根拠とはなり得ないといわなければならない。
(4)結論
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前三年以内に、我が国において商標権者である被請求人により請求に係る指定商品中「文房具類」に属する「アルバム並びにその専用ファイル及び台紙」について使用されていたといわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-05-25 
結審通知日 2006-05-30 
審決日 2006-06-14 
出願番号 商願2001-14465(T2001-14465) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Z16)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山本 良廣 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 2002-01-18 
登録番号 商標登録第4536689号(T4536689) 
商標の称呼 メイキングメモリーズ 
代理人 杉本 良夫 
代理人 浅村 肇 
代理人 浅村 皓 
代理人 根本 雅成 
代理人 高原 千鶴子 

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