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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
管理番号 1145003 
審判番号 不服2004-8760 
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-11-24 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-04-28 
確定日 2006-09-21 
事件の表示 商願2003- 68301拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「クイックチュアブル」の文字を標準文字で表してなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成15年8月11日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由の要点
原査定は、「本願商標は、『クイックチュアブル』の文字を書してなるところ、指定商品との関係では、これより、『即効性のある、かみ砕ける錠剤』の如き意味合いを表すものと看取されるものである。即ち、本願商標を構成する文字中、『クイック』の部分は、『速いこと、すばやいこと』等の意味を表し、英語の『quick』に由来する平易で親しまれた外来語に相当するもの、同じく、『チュアブル』は『歯でかみ砕けること、かみ砕けるもの、特に水なしで味つきの錠剤』の意味を表し、薬剤等を扱う業界においては、そのような意味合いで普通に使われているものである。してみれば、これをその指定商品中、『即効性のある、かみ砕ける錠剤』等について使用しても、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
本願商標は、前記1のとおり、「クイックチュアブル」の文字を書してなるところ、例えば「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(株式会社三省堂:発行)、「大きな字のカタカナ新語辞典」(株式会社学習研究社:発行)等によれば、本願商標の構成中の「クイック」の文字は「速いこと,すばやいこと」等を意味する外来語であり、同じく「チュアブル」の文字は「歯でかみ砕けること,かみ砕けるもの,特に水なしで飲める味つきの錠剤」、「なめたりかんだりして水を飲まずに服用するタイプの錠剤」等の意味を有する和製語であって、いずれも一般に親しまれた語であることから、これら2語よりなると理解、認識されるものである。
ところで、前記「クイック」の文字は、前記意味合いを有しながらも、一方では他の語と結合し、複合語を作る(『官公庁のカタカナ語辞典 第2版』株式会社三省堂:発行の『クイック』の項参照)ことが少なくないものであって、例えば「クイックプリント(少部数の印刷物を、すばやく仕上げるサービス)」、「クイックマッサージ(短時間で主に腰から上を集中的にマッサージするサービス)」(「imidas 2006 最新キーワード事典」株式会社集英社:発行)及び「クイックサンド(流砂。地盤液化。水で飽和した砂地が液状化する現象)」、「クイックステップ(モダン競技種目の1。軽快な足はこびの踊り)」(「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」株式会社三省堂:発行)等に、その用例が認められるところであり、同じく「チュアブル」の文字は、本願の指定商品との関係においては、例えば「チュアブル剤(薬剤)」、「チュアブル錠の薬剤」の用例で、商品名、或いは品質(形状)を表示する語として採択・使用されているところである。
そして、本願の指定商品を取り扱う業界における、「クイック」及び「チュアブル」の語或いはこれらの語と同義的に用いられる語の採択・使用の状況をみるに、以下の雑誌記事やインターネットのウェブサイトに、その実情をみることができる。
(1)胃腸薬についての記事中に、「チュアブル錠」、「チュアブルタイプ」及び「胃の中にすばやく広がるという特性をもつ」の記載(「DIME」第14巻第1号、小学館:発行、1999年1月1日発行 149頁)、
(2)胃腸薬についての記事中に、「チュアブル剤」及び「即効性と持続性の制酸剤が胃痛、ムカムカを改善するチュアブル剤」の記載(「mono」第20巻第20号、株式会社ワールドフォトプレス:発行、平成13年12月2日発行 218頁)、
(3)山之内製薬についての記事中に、「新しいチュアブル(chewable=噛める)錠」及び「『胃の中にすばやく広がる』という特性と…」の記載(「財界」第44巻第25号、株式会社財界研究所:発行、1996年10月22日発行 218頁)、
(4)エスエス製薬株式会社の「『イブクイック頭痛薬』新発売」のウェブサイトに、「クイックな効き目が期待できる」及び「『速く効き、胃にもやさしい頭痛薬』として、位置づけ」の記載(http://www.ssp.co.jp/news/2006/060421.html)、
(5)エーザイ株式会社の「企業情報-ニュースリリース」のウェブサイトに、「服用後早く溶けて速やかに効果が出るよう製剤上の工夫(クイック製剤)をいたしました。」の記載(http://www.eisai.co.jp/news/news199507.html)、
(6)「薬の症状別クイックガイド」のウェブサイトの「パンシロンNOW UP2」に、「水なしで飲める即効性の高いチュアブル錠」の記載(http://www.e-people.co.jp/drag/quick/futukayoi.html)。
これらの実情によれば、この種業界においては、「クイック」、「チュアブル」の語が、それぞれ「速く効く、即効性」、「チュアブル剤(噛み砕ける薬剤)、或いはチュアブル錠(噛み砕ける錠剤タイプの薬剤)」の意味合いで使用されており、両語は互いに関連しあって商品(薬剤)の品質を表示していることが認められる。
そうとすれば、前記のとおり、「クイック」と「チュアブル」の語を連綴してなると判断される本願商標よりは、全体として「即効性のあるチュアブル錠(錠剤タイプの薬剤)」或いは「即効性のある噛み砕ける薬剤」の意味合いを、容易に理解するものといわなければならない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「チュアブル剤、チュアブル錠の薬剤」に使用しても、これに接する需要者をして、「即効性のあるチュアブル錠(錠剤タイプの薬剤)」或いは「即効性のある噛み砕ける薬剤」であるものと理解させるに止まり、単に商品の品質、用途を表示したものと認識させるにすぎないものであり、また、これを前記以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標が、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すべき限りでない。
なお、請求人(出願人)は、当審における「請求の理由」において、「『クイックチュアブル』の文字自体からは、特定の語義を有する熟語若しくは複合語を形成したものとは認め難く、原査定が説示するような『即効性のある、かみ砕ける錠剤』という意味を直ちに理解することは不可能であるばかりでなく、該文字全体が上述の意味として、薬剤を取り扱う業界において、薬剤の品質・用途を表すための文字として普通に使用されている事実は見当たらない。そして、原審もこの点の証左を何ら示していない。」旨述べているが、本願商標については、「クイック」と「チュアブル」の語を連綴してなると判断され、全体として「即効性のあるチュアブル剤(錠)」或いは「即効性のある噛み砕ける薬剤」の意味合いを、容易に理解するものであって、商品の品質、用途を表示したものと認識させるにすぎないものであることは上記のとおりである。そして、本願商標が、商標法第3条第1項第3号に該当するか否かの判断にあっては、高裁判決において「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様の商標につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである(東京高裁、平成12年(行ケ)76号判決)。」と判示されていることもあり、「クイックチュアブル」の語が、薬剤を取り扱う業界において、薬剤の品質・用途を表すために普通に使用されている事実がないことのみによって、本願商標が当該法条に該当することを否定することはできないから、請求人の前記主張は採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-07-24 
結審通知日 2006-07-24 
審決日 2006-08-11 
出願番号 商願2003-68301(T2003-68301) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y05)
T 1 8・ 13- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 啓之渡邉 健司 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 澁谷 良雄
岩本 和雄
商標の称呼 クイックチュアブル 
代理人 大房 孝次 
代理人 白濱 國雄 
代理人 谷山 尚史 

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