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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 109
管理番号 1144961 
審判番号 取消2005-30668 
総通号数 83 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-11-24 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-06-08 
確定日 2006-09-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第0780421号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第780421号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和41年5月16日に登録出願、第9類「産業機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品、機械要素、但し、農業用機械器具、修繕用機械器具を除く」を指定商品として、同43年5月9日に設定登録され、その後、商標登録の取消し審判により、指定商品中「バルブ」について取り消すべき旨の審決がされ、同61年11月19日にその確定の登録がされたものであって、本件商標に係る商標権は、同53年7月3日、同63年6月22日及び平成10年5月26日の3回にわたり商標権存続期間の更新登録がされ、有効に存続しているものである。

2 請求人の主張の要点
請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第9類「産業機械器具、動力機械器具、風水力機械器具、事務用機械器具、その他の機械器具で他の類に属しないもの、これらの部品及び附属品、機械要素、但し、農業用機械器具、修繕用機械器具、バルブ、セメント製品製造用型枠、管継ぎ手、金属製フランジ、ガスケット、パッキング、キー、コッタ、オイルフェンス、航路標識、調律機、マーキング用孔開型板、液体貯蔵槽、工業用水槽、液化ガス貯蔵槽、ガス貯蔵槽を除く」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第4号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品中、上記請求に係る指定商品につき、継続して3年以上日本国内において使用されていないのみならず、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められない。
加えて、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権許諾の登録もないのであるから、使用権者による使用ということも問題にならないので、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標の指定商品中、上記請求に係る指定商品につき登録の取消しを求める。
(2)被請求人の答弁に対する弁駁の理由
(ア)被請求人の「油さし」について
被請求人は、長年の間油さしなどの機械器具及びその部品並びに附属品の製造販売を業として行っており、「油さし」は「産業機械器具」、「その他の機械器具で他の類に属しないもの」又は「これらの部品及び附属品」に含まれる商品であると述べているが、「油さし」は、総合カタログ(乙第3号証)及びその写真(乙第6号証)によればポリ容器であり、価格・形状からみてこれは「機械器具」でもないし、機械器具専用の部品・附属品とも思われず、「プラスチック製包装容器」(18CO9)に属する商品と考えられる(甲第3号証)。
この点に関する被請求人の立証は不充分であり、オイル専用の容器であることは明らかであるが、特定の機械器具専用の油さしであれば、どのような機械器具あるいはその部品又は附属品として販売されているかの立証がなされるべきであり、販売先のトラスコ中山株式会社(以下「トラスコ中山」という。)が更にどのような購入者(一般消費者か機械メーカーか)に販売しているのかも不明である。
被請求人の提出に係る乙号証からは、特定の(特殊な)油さしではなく、汎用性のあるポリ容器の形状をした油さしであるから、これは請求に係る指定商品には含まれないと判断せざるを得ない。
(イ)被請求人の使用する商標について
次に、総合カタログ第24頁の「ポリ容器」の登録商標と思われる第1853521号商標は、(昭和34年法)「第5類グリース、ワックス、その他本類に属する商品」を指定したもので、以下「万能ポリ容器」、「抗菌ポリ容器」、「オイラーポリ容器」と共に付された商標、及びトラスコ中山宛の請求書(乙第10号証、同第14号証)に付された商標は、いずれもこれらと同一のものと思われ、これは本件商標の使用ではない。
(ウ)むすび
以上、被請求人が提出した乙各号証は、本件商標の使用及び請求に係る商品への使用を客観的に推認し得るものとはいえない。

3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第17号証を提出した。
被請求人は、本件商標を、本件審判の請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中「油さし」について使用している。「油さし」は、本件商標の指定商品中「産業機械器具」、「その他の機械器具で他の類に属しないもの」又は「これらの部品及び附属品」に含まれる商品である。したがって、本件商標登録は、取り消されるべきはない。
(1)本件商標を被請求人が使用した事実
被請求人は、平成15年から平成17年にかけて、本件商標を付した「油さし(商品名「ボール(BALL)オイラー」又は「オイラー」)」に関するカタログを頒布した。
また、被請求人は、平成17年5月31日、トラスコ中山株式会社新潟支店(以下、「トラスコ中山」という。)に本件商標を付した「油さし」を販売した。
ア 本件商標を付した「油さし」のカタログ頒布について
(ア)カタログの作成
被請求人は、自己の取扱商品を掲載したカタログの印刷を印刷業者である株式会社活英社(以下、「活英社」という。)に依頼した(乙第3号証「印刷物作成証明書」)。
平成15年8月頃、活英社は、被請求人の依頼に応じて、カタログ10,000部を印刷し、同15年8月頃から同17年にかけて、そのうちの9,200部を被請求人の求めに応じて分納した。平成17年7月時点で、活英社は、残り800部のカタログを保管している(乙第4号証及び同第5号証「印刷物受取書」)。
(イ)カタログの頒布
活英社から納品されたカタログの頒布は、被請求人の営業担当者がトラスコ中山などの得意先に直接出向いてカタログを手渡した。
(ウ)カタログの「油さし」
カタログの第26ページ最上段向かって左には、各種の商品「油さし(オイラー)」が写真入りで掲載されている。記号「G」の「油さし」写真を見て分かるように、「油さし」の胴体には本件商標が付されている。また同箇所には、その品名、品番及び容量などの商品情報が一覧表となって掲載されている。記号「G」列の商品情報を見ると、品名「ボールオイラー」、品番「A-104」及び容量「350ml」と表記されている。
(エ)上のとおり、分納されたカタログが、被請求人により得意先に頒布されたことは社会通念上明らかである。
(オ)小括り
したがって、平成15年から平成17年にかけて、本件商標を付した「油さし(商品名「ボール(BALL)オイラー」又は「オイラー」)」に関するカタログを被請求人が頒布したという事実が社会通念上証明される。
イ 「油さし」の販売について
(ア)「油さし」
乙第6号証(枝番を含む。以下同じ)の写真の「油さし」は、カタログ(第26ページを参照)の記号「G」が付された「油さし」(品名ボールオイラー、品番A-104、容量350mml)である。
以下、「油さし」とは、このボールオイラー(品番「A-104」)のことを意味する。
「油さし」は、徳利型の胴体に細長の注ぎ口が付けられたものである。その胴体には、商品名「ボールオイラー」と本件商標が表示されている。「油さし」の底面部分にはシールが貼付され、そのシールには、「A-104」と容量「350cc」とバーコードが表示されている。
(イ)トラスコ中山への「油さし」の販売
(a)平成17年5月31日、被請求人は、トラスコ中山より「油さし」12個を含む商品の注文を受け、「油さし」は、同日に、運送用箱に収納された状態で被請求人の小牧工場から出荷され、トラスト中山(株)HC東日本物流センターの受領担当者に渡された(乙第7号証「注文書」ないし同第13号証「配達受取書」)。これらの注文書、請求書(被請求人控)などには「油さし」の「(品番)A104」、(品名)「ボール(BALL)オイラー」などの文字が表示されている。
(b)被請求人は、平成17年6月20に請求書をトラスコ中山に送付し(乙第14号証「御請求書」)、同年7月11日に、トラスコ中山により「油さし」の代金の入金がなされた(乙第15号証「入金モニターリスト」)。
(ウ)小括り
上のとおり、注文書、請求書(被請求人控)、配達受取書などの取引書類等(乙第7号証ないし同第17号証)により、被請求人は、平成17年5月31日、本件商標を付した「油さし」をトラスコ中山に販売した事実が証明される。
なお、上に示した各書面に記載の商品名「ボールオイラー」中の「オイラー」とは、「油さし」の一般的な名称である。したがって、同書類には、本願商標「ボール」が表記されていることも申し添えておく。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人が、本件審判の請求の予告登録前3年以内に日本国内において、本件審判の請求に係る指定商品中「油さし」について本件商標を使用した事実が証明される。このため、本件商標は、取り消されるべきではない。

4 当審の判断
(1)本件商標は、別掲のとおりの構成よりなるものであり、また、本件取消審判の予告登録は、平成17年6月27日にされたものであるところ、被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
(ア)被請求人は、活英社に乙第3号証に添付されている商品カタログ10,000部の作成を依頼し、活英社は、平成15年8月26日から同17年2月16日にかけて、800部を残し、9.200部を分割して納品した(乙第2号証ないし同第5号証)。
(イ)上記(ア)で納品された商品カタログには、表紙に「OHSAWA WAX」「ALL ITEMS CATALOGUE」「総合カタログ」と表示され、下部に「大澤ワックス株式会社」の文字が表示されている。また、同第26ページには、「オイラーポリ容器」として「油さし」の写真が掲載され、写真の下には、品番がA-101、A-102、A-100、A-104、容量が35mlから350mlまでの6種類、JANコードが「4952703340395」など6個とする品名「ボールオイラー」が記載されており、それぞれのボールオイラーと油差しの写真とは、CないしH(CないしHは、○の中に表示されている。以下、同じ)で符合させており、例えば、品番「A-104」で、容量「350ml」のボールオイラーはGとして、上部の油差しの写真G(右から2番目)と符合させている。
該写真では、油差しの胴体部分の商標が、やや不鮮明であるものの、同型と認め得る乙第6号証の油差しの胴体には、本件商標中の図形と同一と認め得る図形と「ボールオイラー」の文字が表されている。そして、乙第6号証の油差しの底部には、品番A-104、容量350cc、JANコード番号と認め得る「4952703340210」が表示され、これら品番等が一致するから、前記商品カタログ第26頁に掲載された写真の油差し(Gのもの)には、乙第6号証の油差しと同一の商標が表示されているものと認められる。
(ウ)被請求人は、平成17年5月31日に、トラスコ中山から、品番、サイズ、色柄が「A-100、170ml、F」「A-101、100mlD」「A-104、350ml、G」のBOLL(ボール)オイラーをそれぞれ12個とする注文を受け(乙第7号証及び同第8号証)、同日に発送した(乙第10号証ないし同第13号証)。
(エ)被請求人は、平成17年6月20にトラスコ中山に対し上記商品の代金を請求し(乙第14号証)、同年7月11日にトラスコ中山から同代金の入金があった(乙第15号証及び同第16号証)。
(2)以上の各事実によれば、平成15年8月26日から同17年2月16日にかけて納品された被請求人の商品カタログには、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が表示された「油さし」が掲載されているものと認められ、これを分割して納品されたその部数及びトラスコ中山の「油さし」の注文書には品番のほかに容量(サイズ)、Gなどの記号が記載されていることからすれば、この商品カタログは、トラスコ中山をはじめとする取引業者に配布されたものと推認することができる。
そして、被請求人は、平成17年5月31日にトラスコ中山に対し、本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が表示された「油さし」を販売したものと認められる。
(3)また、被請求人の油さしは、「35ml」の小型のものから「350ml」の大型のものまで6種類あり、これらの「油さし」は、一般家庭で用いられるのみならず、機械類等の製造工場、運送会社、ガソリンスタンド、自動車の整備工場など産業用、業務用にも使用されるものと判断するのが相当である。
そうすると、請求人の品番「A-104」の「油さし」は、本件取消し請求に係る指定商品に含まれる商品であるといわなければならない。
(4)請求人は、被請求人の「油さし」は、総合カタログ(乙第3号証)及びその写真(乙第6号証)によればポリ容器であり、価格・形状からみてこれは「機械器具」でもないし、機械器具専用の部品・附属品とも思われず、「プラスチック製包装容器」(18CO9)に属する商品である旨主張する。
しかしながら、被請求人の上記商品は、総合カタログ(乙第3号証)及びその写真(乙第6号証)によれば、「油さし」そのものであって、単なる「プラスチック製包装容器」とは認め難い。しかも上記のとおり、その用途に着目すれば、産業用、業務用とみることも可能なものということができるから、この点に関する請求人の主張は、上記判断を左右するものではない。
また、請求人は、総合カタログ第24頁の「オイラーポリ容器」と共に付された商標、及びトラスコ中山宛の請求書(乙第10号証、同第14号証)に付された商標は、昭和34年法の第5類「グリース、ワックス、その他本類に属する商品」を指定商品とする第1853521号登録商標と同一のものと思われ、これは本件商標の使用ではない旨主張する。
確かに、該商品カタログ第24頁には「登録番号」として上記登録番号が記載されている。しかしながら、この登録番号は、該商品カタログに掲載されているオイル、ワックスなどの商品の商標の登録番号として特に例示されたものであることは、被請求人の商品「油さし」が、第1853521号の指定商品に属する商品でないことから明らかというべきである。しかも、乙第6号証の写真の「油さし」の胴体には本件商標と社会通念上同一と認め得る商標が表示されており、該商標は、登録第1853521号商標とは異なるものであるから、請求人の上記主張も採用することができない。
(5)してみれば、本件審判の予告登録前3年以内に、本件商標は、商標権者である被請求人により請求に係る指定商品に含まれている「油さし」について使用されていたといわなければならない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中、請求に係る商品について取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)本件商標


審理終結日 2006-04-18 
結審通知日 2006-04-21 
審決日 2006-05-09 
出願番号 商願昭41-26634 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (109)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 伊藤 三男
山本 良廣
登録日 1968-05-09 
登録番号 商標登録第780421号(T780421) 
商標の称呼 ボール 
代理人 犬飼 達彦 
代理人 太田 直矢 
代理人 岡田 英彦 
代理人 アインゼル・フェリックス=ラインハルト 
代理人 加藤 義明 

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