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審決分類 |
審判 判定 審理一般(別表) 属する(申立て不成立) 109 |
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管理番号 | 1142011 |
判定請求番号 | 判定2006-60008 |
総通号数 | 81 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標判定公報 |
発行日 | 2006-09-29 |
種別 | 判定 |
2006-02-21 | |
確定日 | 2006-08-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第2677680号商標の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | 第9類「ソフトウエア」に使用する(イ)号標章は、登録第2677680号商標の商標権の効力の範囲に属する。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第2677680号商標(以下「本件商標」という。)は、「HARVEST」の欧文字を横書きしてなり、平成1年5月9日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、同6年6月29日に設定登録、同16年5月11日に存続期間の更新登録がされ、その後、同17年6月22日に第9類「電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極,調相機,回転変流機,配電用又は制御用の機械器具」に指定商品の書換登録がされたものである。 第2 イ号標章 被請求人が商品「ソフトウエア」に使用する商標(以下「イ号標章」という。)は、別掲(1)のとおり「JasmineSoft Harvest」の欧文字を横書きしてなるものである。 第3 請求人の主張 請求人は、「イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属しない」との判定を求め、その理由を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。 1.理由の要点 本件商標は、「HARVEST」のゴシック体の文字を横書きに記してなるものである。 そして、イ号標章は、「JasmineSoft」と「Harvest」の間に空白を1文字入れて連結し、一段に横書きしてなるものである。 また、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具」に含まれる「電子計算機用プログラム」とイ号標章の使用商品は、類似商品である。 しかしながら、請求人は、平成14年3月27日に、商標「JasmineSoft」を出願し、同15年3月7日に登録(商標登録第4650221号)となり、また、同16年3月23日には、商標「JasmineSoftHarvest」を出願し、同16年11月12日に登録(商標登録第4815730号)となり、出願当初より、一貫して「JasmineSoft」及び「JasmineSoftHarvest」を使用してきたものである。 したがって、本件商標は、あくまでも、「HARVEST」のみの文字による構成であり、イ号標章は、明らかに識別可能な「jasmineSoft」が付加されており、「jasmineSoft Harvest」の一体の商標として外観、称呼及び観念上も一般に認識されるものと思われる。 よって、イ号標章は、本件商標とは異なるものであるから、本件商標の商標権の効力の範囲に属さないものである。 2.判定請求の必要性 本件商標の商標権者である被請求人は、請求人がインターネットの自社ホームページに自社の名称としてイ号標章を平成16年3月頃より継続して使用していたところ、本件商標と密接に関係するとの理由から、イ号標章の使用停止の警告を発した(甲第1号証)。 請求人は、イ号標章は、「JasmineSoft Harvest」と表記される一体の商標であると主張した(甲第2号証)が、被請求人は「JasmineSoft」と「Harvest」の間に空白を1文字入れることも、独立表示になるとの解釈であり、その対応に苦慮しているところである。 よって、本判定を求める次第である。 3.イ号標章の説明 請求人は、平成16年3月より、自社ホームページにおいて、WEBアプリケーションソフトの名称として「JasmineSoft Harvest」(別掲1)を同17年12月14日まで使用してきた。このソフトは、ホームページより体験版ソフトをダウンロードし、試用してから正式の購入となる販売形式をとっており、ホームページでの宣伝広告を主とする商品である。 表示態様として「JasmineSoft Harvest」及び別掲(2)などがある。横並び又は2段表示など態様のバリエーションはあるが、何れも「JasmineSoft」と「Harvest」とが独立して表示されることはない。 4.イ号標章が本件商標の商標権の効力の範囲に属さないとの説明 本件商標は、「HARVEST」のゴシック体の文字をすべて太文字で横書きに記してなるものであり、「取入れ、収穫」の意味を有する語である。 他方、イ号標章は、「JasmineSoft Harvest」の文字からなるものであり、一体の造語よりなるものであるから特定の意味を有しないものである。 したがって、本件商標とイ号標章とは、外観において明らかに異なり、称呼において「ハーベスト」と「ジャスミンソフトハーベスト」と相違し、観念上も異なるものである。 以上のとおり、イ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属さないものである。 5.よって、請求の趣旨のとおりの判定を求める。 第4 被請求人の答弁 被請求人は、「本件判定の請求は、成り立たない」との判定を求めると答弁し、その理由を次のように述べた。 1.本件商標とイ号標章の類否について 本件商標は、「HARVEST」の欧文字を書してなるものであるところ、「ハーベスト」と読まれ、「収穫」の語義を有する英語を大文字表記したものであることは明らかであるから、「ハーベスト」の称呼、「収穫」の観念が生じるものである。 一方、イ号標章は、「JasmineSoft」と「Harvest」の文字の間を1文字程度空けて「JasmineSoft Harvest」と横書きしてなるものであるところ、構成文字全体をもって、熟語或いは熟語的意味合いを認識させるものとは言えないばかりでなく、「JasmineSoft」の文字部分は、請求人の商号の略記・略称「ジャスミンソフト」に通じるものであることから、該文字部分は請求人の取り扱いに係る商品全部に共通して使用される所謂ハウスマークと認識され、「Harvest」の文字部分は、商品毎に使用される所謂商品マークと認識される場合も決して少なくないとみるのが取引の経験則に照らし相当である。 してみると、イ号標章は、構成中の「Harvest」の文字部分それ自体独立して自他商品の識別標識としての機能を果たしうるものというべきであるから、該文字部分に相応して、「ハーベスト」の称呼及び「収穫」の観念をも生じるものというべきである。 そうであるとすれば、本件商標とイ号標章は、その外観上の相違を考慮するとしても、「ハーベスト」の称呼及び「収穫」の観念を共通にする類似のものというべきであり、かつ、本件商標の指定商品中にはイ号標章が使用される「ソフトウエア」と同一又は類似の商品が包含されていることは明らかである。 したがって、イ号標章は、本件商標の商標権の権利範囲に属するものといわなければならない。 第5 当審の判断 1 本件商標とイ号標章の類否について 本件商標は、前記のとおり「HARVEST」の文字をゴシック体で横書きに表したものであり、該文字は「収穫、取り入れ」等の意味を有する英語であり、これより「ハーベスト」の称呼及び「収穫、取り入れ」の観念を生ずるものである。 一方、イ号標章は、「JasmineSoft」と「Harvest」の間に1文字程度のスペースを設け、「JasmineSoft Harvest」と表したものであるところ、その構成中前半の「JasmineSoft」の文字部分と、後半の「Harvest」とは、全体として特定の意味合いを形成する等、これを常に一体のものとしてみなければならない特段の事情が見当たらないものであり、又、これを「ジャスミンソフトハーベスト」と称呼したときには、全体として比較的冗長な音構成よりなるから、「JasmineSoft」と「Harvest」の間に一拍程度おいて発音されること、及び「JasmineSoft」が請求人の商号の略称であることから、「Harvest」は、商品毎の個別商標として把握され、簡易迅速を尊ぶ商取引にあっては、「Harvest」の文字部分を以て取引に資される場合も少なくないものといわなければならない。 してみれば、「Harvest」の文字部分より、「ハーベスト」の称呼及び「収穫、取り入れ」の観念を生ずるものとみるのが相当である。 また、請求人がイ号標章の他の表示態様として挙げる別掲(2)のとおりの構成よりなる標章は、その構成中の「Harvest」の文字部分が「JasmineSoft」の文字部分に比較し顕著に表示され、先ず看者の注目を惹く態様で表されているものであり、該「Harvest」の文字部分も独立して自他商品の識別機能を有し、該文字部分を以て取引に資される場合が少なくないものと判断できる。 この点に関し、請求人は、二段表示など態様のバリエーションはあるが、何れも「JasmineSoft」と「Harvest」とが独立して表示されることはない旨主張するが、上記のとおり判断するのが妥当であるから請求人の主張は採用できない。 そうすると、本件商標とイ号標章は、外観において相違するとしても、「ハーベスト」の称呼及び「収穫、取り入れ」の観念を共通にする相紛らわしい類似のものと判断するのが相当であり、かつ、イ号標章が使用される商品「ソフトウエア」は、本件商標の指定商品に包含されるものである。 したがって、商品「ソフトウエア」に使用するイ号標章は、本件商標の商標権の効力の範囲に属するものといわなければならない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
別掲(1)イ号標章 別掲(2)表示商標(色彩の表示については原本を参照) |
判定日 | 2006-08-17 |
出願番号 | 商願平1-51289 |
審決分類 |
T
1
2・
0-
YB
(109)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 三浦 芳夫、鈴木 茂久 |
特許庁審判長 |
柴田 昭夫 |
特許庁審判官 |
小川 有三 岩崎 良子 |
登録日 | 1994-06-29 |
登録番号 | 商標登録第2677680号(T2677680) |
商標の称呼 | ハーベスト |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 島袋 勝也 |