• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
無効200689005 審決 商標
取消200531284 審決 商標
無効200589128 審決 商標
取消200531245 審決 商標
取消200531601 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 120
管理番号 1141897 
審判番号 取消2005-31219 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-10-05 
確定日 2006-08-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第2257220号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第2257220号商標(以下「本件商標」という。)は、「en」(「e」の上にアクサン-テギュが付されている。以下、「en」の文字について同じ。)の文字を書してなり、昭和63年2月8日に登録出願、第20類「屋内装置品、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年8月30日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張
請求人は、本件商標の指定商品中「葬祭用具」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べた。
(1)請求の理由
(ア)本件商標は、登録原簿(甲第1号証)より明らかなように、平成2年8月30日に登録されたものである。したがって、その登録の日から本件審判請求の日まですでに15年が経過しているものである。しかるに、本件商標の商標権者は本件商標を、その指定商品「葬祭用具」に使用している事実がない。
この事は、請求人が、本件商標の使用状況を、本件商標の商標権者の住所地及び埼玉県、東京都等の各所のデパート、専門店、小売店、あるいは土産物店及び神社、仏閣等を現実に調査した結果、いずれからも本件商標の付された「葬祭用具」を見出すことも、入手することもできなかったことからも明らかである。
また、商標権者の住所地において調査したが、唯一、美術品の一部に「葬祭用具」と思われる商品はあったが、それには本件商標は使用されておらず、本件商標を使用している商品は全く見あたらなかった。それ故、商標権者は、本件商標を付与した「葬祭用具」の商品を取り扱っているとは見られなかったし、本件商標を使用しているとは思われない。
ゆえに、本件商標の商標権者は、日本国内において継続して3年以上に渡って本件商標を、その指定商品「葬祭用具」について使用していないものであることは明らかである。
(イ)本件商標には、その登録原簿(甲第1号証)から明らかなように、登録された専用使用権者、通常使用権者、質権者等の記載がないので、これらの者が存在するとは認められない。ただ考えられるのは、未登録の通常使用権者の存在である。しかし、請求人が調査した範囲においては、指定商品「葬祭用具」について本件商標の付された商品は皆無であった事実からして、未登録の通常使用権者が存在するとは考えられない。
したがって、商標権者以外の者が、指定商品「葬祭用具」について本件商標を使用している事実は全くないものである。
(ウ)また、本件商標を、その指定商品中「葬祭用具」について使用しないことについて正当な理由があるとも思われないし、指定商品「葬祭用具」について使用することが法令によって禁止されている訳でもないし、天変地異のために使用することが出来なかったという事実もない。これにより、不使用についての正当理由の利益を受けることもできないものである。
(エ)これらの事から明らかなように本件商標は、法の認める例外の規定の適用を何ら受けることもできないのみならず、本件商標を商標権者を始めとして、他の何人も、日本国内において3年以上に渡って、指定商品「葬祭用具」について使用している事実もないのである。したがって、本件商標は、指定商品「葬祭用具」について、その登録を取り消されるべきものである。
(オ)請求人は、商願2005-2444号を出願したものであるが、本件商標を引用商標とされ拒絶される可能性があるものである。これゆえ、本件商標に対し、不使用取消の審判を請求したもので、法律上の利害関係を有するものである。
(2)答弁に対する弁駁
(ア)理由
A)商標法(以下単に「法」という。)によれば、商標とは商品について使用するもの(法第2条第1項第1号)とされており、必ず商品について使用されなければならないものである。そして、その「商品」とは、移動が可能な動産であって、かつ固体・液体・気体の全てを含み、交換価値を有するもので、政令で定められた商品区分内に属するものであればよいとされている。したがって、商標とは商品に対して、その商品が自他識別できるように付され、「使用」されなければならないということである。
B)次に、法は、商品について、即ち、商品に付して使用する場合の「使用」の形態について定めている(法第2条第3項第1号ないし第7号)。この規定の中で、特に本件審判に係わると思われる規定は、第1号、第2号並びに第8号の規定であると思料する。そこで、
(a)第1号の規定は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」を「使用」と規定している。「商品」に直接商標(標章、以下同じ)を付して使用するのが商標の使用であることは当然である。「商品の包装」に商標を付する行為も使用であると認めている。これも法としては当然のことである。何故なら、商品には液体もあれば気体もあるからである。これらの商品は、個体の商品の如く、紙や経木、あるいは織物などでは包みきれないものである。当然、ビンやカンあるいはその他の包装用容器を使用して包装しなければならないものである。また、衛生上、あるいは安全上、商品に直接商標を付せない場合もある。これらの商品を包装したものに商標を付するのは、商品に付して、即ち、商品について使用しているとされるのは当然のことである。法はこのような包装を想定しているのであって、単に包装紙などに商標を印刷し、商品とは関係のない商品外装として、商品を包むだけの包装を想定している訳ではないのである。紙等の表面に商標を印刷し、包装紙として使用するのは、商品の取引とは関係のない、外装の美観を増長せしめるためであって、法の想定する商品について使用することとはならないものである。
包装紙は、商標の指定商品以外の他の商品についての包装も可能であり、常に当該商品について使用されるものではなく、商品選択の指針となるものでもない。「商品について」使用するという要件を欠いている。
法の規定する商標の使用に該当する「商品の包装」とは、前記の如く、「商品について」使用される合理的範囲での「包装」を想定しているのであって、あらゆる商品を包装する「包装紙」を用いて商品を包装するような場合までも「包装」に含めるものではないのである。
(b)次に、2号の規定は、合理的範囲で「商品の包装」に標章を付したものを譲渡したり、引き渡したり、その他規定された行為をすることが商標の使用に該当する旨規定するもので、「包装」については(a)と同様であり、説明を要しないものである。
(c)更に、8号の規定は、商品に関する価格表若しくは取引書類に商標を付して使用したり、商品に関する広告に商標を付する場合にも、商標の使用と認めるものである。しかし、この規定でも、「商品に関する広告、定価表又は取引書類に標章を付して」とされており、「商品に関する」ものでなければならないとしている。
即ち、いずれの商品に関するものであるか不明な商標の使用は8号に規定する商標の使用には該当しないとしているのである。例えば、カタログの表紙にのみ商標を現し、そのカタログの中に表示されている多くの商品部分に何ら商標が現されていない場合では、いずれの商品について商標を使用しているのか、全く不明である。このような場合には、「商品に関する」との要件を欠くものである。法の認める使用とは、第2条第1項第1号の要件を充足した後の広告や取引書類への使用であると解されるのである。即ち、法の規定に則した合理的範囲内で行われなければならないと言うことである。
(イ)上記(ア)のA)及びB)に基づいて被請求人の提出した審判事件答弁書の理由を検証する。
A)まず、被請求人が本件商標を使用しているとして提出した乙第1号証ないし乙第5号証について。
被請求人は、本件商標の使用の事実を証明するものとして、乙第1号証ないし乙第5号証のパンフレットを提出している。しかし、これらのパンフレットを見ると、本件商標は直接には使用されておらず、類似商標(被請求人が社会通念上同一と考えていると思われる商標)が、乙第1号証ないし乙第5号証のパンフレットの表紙のみただ1箇所表示されているのみである。但し、乙第3号証のみに一箇所本件商標が本件の取消対象でない商品(指定商品以外の商品)に使用されているのみである。そして、これらのパンフレットの内容を見ると、各種の商品がアトランダムに配置され、表示されている。例えば、身飾品があったり、純金製ぐい飲み、時計、純金製置物、純金製千呂利、額、兜、茶器、フライパン、花立て、まくら、ピルケース、ビールカップ、おろし器、数珠(念珠)、その他の商品が沢山表示されている。しかし、どれ一つの商品についても本件商標の表示はされていないのである。また、被請求人の主張の如く、乙第1号証には「御輪」、乙第2号証には「御輪」、「数珠(念珠)」、乙第3号証には「御輪」、乙第4号証には「御輪」、乙第5号証には「香立て」が記載されている。しかし、これらの商品のいずれにも本件商標は「商品について」使用されてはいないのである。
また、「パンフレット」が本件商標の取消対象の商品であれば、本件商標を使用していると言うことができる。しかし、本件商標の取消対象の指定商品は「葬祭用具」である。その「葬祭用具」に本件商標は一つとして使用されていないのである。更に、パンフレットに記載されている被請求人が指定した商品は、いずれも限定品であり、作者が明示されていたり実際に使用できない純金製の商品であったりであり実質的には美術工芸品のパンフレットにほかならない。
B)乙第6号証について。
被請求人は、乙第6号証は、商品の保証書用紙で、商品「数珠(念珠)」、「香立て」あるいは「御輪」の包装用箱に同梱され、若しくは、購入者に直接手渡される云々と主張している。
たしかに乙第6号証には本件商標が表示されているが、いかなる商品について使用するものであるか不明である。法は、「商品について」又は「商標に関する」と規定し、具体的な商品について(商品に関して)商標を使用することを求めているが、乙第6号証には具体的な商品が何一つ表示されていないのである。このことは、明らかに本件商標を取消対象の商品に使用していないことを如実に示しているものである。
また、上記の商品は肌身に付けて使用されるものなのか。乙第6号証の<注意>を見れば明らかな如く、前記の商品に使用される保証書ではないことは明かである。本件商標が使用されていないことはこのことからも明かである。
C)乙第7号証ないし乙第10号証について。
被請求人は、乙第7号証は「数珠」を包装用箱に入れた状態であり、乙第8号証は「念珠」を入れる包装用箱であり、乙第9号証は包装用箱を実際に包装している状態を示しており、乙第10号証は包装が完了した状態であり、包装用紙面に本件商標が表示されており、本件商標を表示した包装用紙を「念珠」の包装に使用しているから、本件商標の使用だと主張していると思われる。
しかし、前記[(ア)-B)-(a)]した如く、包装用紙による「念珠」包装用箱の包装は、単に当該商品とは関係のない包装用箱の外装の美観を増長させるためのものであって、当該商品を表示し、かつ、当該商品を識別できるものではなく、「商品について」使用しているものと言うことはできない。商標が数珠に使用されていると言うことができるのは、例えば、「数珠」を包装する包装用箱に本件商標が表示されているのであれば、あるいは商品「数珠」について本件商標を使用していると認めることもできる。しかし、被請求人の提出した乙号証の包装用箱には本件商標が全く表示されておらず、商品を入れた包装用箱を包むための包装用紙にのみに本件商標と社会通念上同一と主張する商標が表示されているのみである。「御数珠」という商品名を表示している包装用箱には、本件商標は表示されておらず、その包装用箱を単に包み外装の美観を増長させるための包装用紙に本件商標と社会通念上同一と主張する商標が表示されているとしても、その包装用紙に包装された「商品について」本件商標が使用されていると言うことはできないものである。なぜなら、商品「数珠」を購入する際に、商品選択の識別を購入後の包装用紙で行うことはないからである。したがって、乙第7号証ないし乙第10号証は、何ら本件商標の使用を証明するものには成りえず、単にラッピング作業を表示するのみである。法が規定している「商品の包装」の合理的範囲内のものではないのである。
D)乙第11号証について。
乙第11号証も乙第1号証ないし乙第5号証同様でパンフレットの表紙にのみ一箇所、本件商標と社会通念上同一と主張する商標を表示するのみで、他に本件商標は表示されておらず、かつパンフレットに記載されている各種の商品については全く使用されていない。商標が「商品について」「使用」されているものである以上、いずれかの「商品について」使用されていなければならないものであるが、どの「商品について」も使用されていないものである。取消対象の商品が「パンフレット」であるのであれば、被請求人が本件商標と社会通念上同一と主張する商標が使用されていると言うことはできる。しかし、本件商標の指定商品は、「パンフレット」ではなく、「葬祭用具」である。この「葬祭用具」に本件商標は全く使用されていないのである。
また、乙第11号証に付着しているハガキの下欄に本件商標が表示されているが、これも「商品について」使用していると言うことはできないものである。更に、本件商標と社会通念上同一の商標を表示していると主張しているが、これらの商標も「商品について」使用していると認められる態様ではないものである。
これ故、乙第11号証は、何ら本件商標の使用を証明するものではない。
(ウ)まとめ
以上から明らかな如く、被請求人の主張した、乙第1号証ないし乙第11号証の各証拠は、いずれの一つも本件商標の使用を証明するものとは認められず、又、本件の指定商品「葬祭用具」に使用しているとも認められないものである。これ故、被請求人は、本件商標を商品「葬祭用具」に使用していることを証明できていないことは明かである。したがって、請求の主旨の如くの審決を求めるものである。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第11号証を提出した。
(ア)証拠の説明
乙第1号証ないし乙第5号証は、本件商標が付された商品のパンフレットである。
乙第1号証パンフレットは、「Excellent Collection」「2003 Autumn」と題されており、表紙下部に、商標権者を表す「日鉱美術工芸株式会社」の文字と共に、円輪郭内に白抜きで、本件商標が表示されている。又、商品記載頁には、「葬祭用具」に属する「御りん」(審決注:「りん」の文字は漢字で表され、偏が金で、つくり(漢字の右側の部分)は「倫」と同じである。以下、同じ。)が、その写真、販売価格、仕様等と共に掲載されている。
乙第2号証パンフレットは、「Excellent Collection」「2004 Spring」と題され、乙第1号証と同様、商標権者並びに本件商標が表示されている。又、同様に、「御りん」及び「数珠(念珠)」が、各々、その写真、販売価格、仕様等と共に掲載されている。
乙第3号証パンフレットは、「2005 春の新作クラフトコレクション」と題されており、表紙左上に、本件商標が表示され、同下部に商標権者が表示されている。又、内部には、商品「御りん」が掲載されている。
乙第4号証パンフレットは、「2005 夏の新作クラフトコレクション」と題されており、乙第3号証と同様に、本件商標が並びに商標権者が表示されている。又、内部には、商品「御りん」が掲載されている。
乙第5号証パンフレットは、「Excellent Collection」「2005 Autumn」と題され、乙第1号証と同様、商標権者並びに本件商標が表示され、商品「香立て」が、写真、販売価格、仕様等と共に掲載されている。
乙第6号証は、商品の保証書用紙の写しであるが、前記商品「数珠(念珠)」、「香立て」或いは「御りん」の包装用箱に同梱され、若しくは、購入者に直接手渡される保証書の用紙であり、表面及び裏面に本件商標が付されている。
乙第7号証ないし乙第10号証は、商標権者たる日鉱美術工芸株式会社の販売に係る商品「数珠」を、現実に販売する状態の写真を表すものである。
乙第7号証は、商品「数珠」を包装用箱に入れた状態の写真である。
乙第8号証は、同「数珠」を入れた包装用箱の写真である。
乙第9号証は、前記包装用箱を、実際に包装している状態の写真である。
乙第10号証は、乙第9号証の包装が完了した状態の写真である。包装用紙面に、本件商標が表示されていることが明らかである。
乙第11号証は、「’95〜’96 AUTUMN&WINTER COLLECTION」と題されたパンフレットの写しである。表紙には、本件商標及び商標権者が表示されているが、同時に、裏表紙には、本件商標の由来が記載されており、「文化とあなたを結ぶ-『en』」の表題の下に、「「en(エン)」。それは日鉱美術工芸(株)の頭文字「N」の発音記号である。そして「en」は、「円満」「ご縁」などを意味します。私たちはこれからも宝飾品や工芸品を通してお客様とのつながりを大切にしていきたいと考えております。」と記載されている。
(イ)本件商標の使用事実
本件商標は、商標権者である東京都港区虎ノ門2丁目10番1号所在の日鉱美術工芸株式会社により、日本国内の同所に於いて、本件商標の指定商品「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)」、「香立て」及び「御りん」について、本件審判の予告登録の日である平成17年10月24日(審決注:10月19日は、商標登録原簿によれば、10月24日の誤記と認められる。)前3年以内(平成14年(2002年)10月20日ないし平成17年(2005年)10月19日)に、継続して使用されている(乙第1号証ないし乙第11号証)。
先ず、本件商標が、商品の広告媒体であるパンフレット(乙第1号証ないし乙第5号証)及び商品の取引書類の一種である保証書(乙第6号証)に使用されていることは明らかである。又、本件商標は、商品の包装用紙にも表示されており、現実に当該包装用紙で包装された状態で取引されているものである(乙第7号証ないし乙第10号証)。
次に、本件商標が、その指定商品「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)」、「香立て」及び「御りん」について使用されていることも明らかである(乙第1号証ないし乙第5号証並びに乙第7号証ないし乙第10号証)。尚、「数珠(念珠)」、「香立て」及び「御りん」が、「葬祭用具」に属することは明白な事実で、証明或いは説明を要するものではない。
更に、商品パンフレットは、平成15年(2003年)ないし平成17年(2005年)に継続して制作・印刷され、頒布されていた(乙第1号証ないし乙第5号証)。この期間は、本件審判の予告登録の日前3年以内に該当している。
尚、本件商標が、商標権者所在地に於いて使用され、頒布されたパンフレット(乙第1号証ないし乙第5号証)が日本語で記載されていることから、当然日本国内で頒布されたと認められ、日本国内で使用されていた事実も明らかである。
(ウ)結 論
以上、本件商標は、商標権者「日鉱美術工芸株式会社」により、その指定商品中「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)」、「香立て」及び「御りん」に、審判の予告登録の日前3年以内に、日本国内に於いて継続して使用されており、商標法第50条第1項の規定により、取り消されるべきものではない。

4 当審の判断
被請求人は、乙第1号証ないし乙第11号証を提出し、本件商標は、その指定商品中「葬祭用具」に属する商品「数珠(念珠)」、「香立て」及び「御りん」に、審判の予告登録の日前3年以内に、日本国内において継続して使用していた旨を主張している。
そこで、被請求人の提出に係る上記証拠についてみるに、乙第1号証の「Excellent Collection 2003 Autumn」と題するパンフレットによれば、そのパンフレット中に、写真入りで商品「御りん」が、乙第2号証の「Excellent Collection 2004 Spring」と題するパンフレットによれば、そのパンフレット中に、写真入りで商品「御りん」及び「念珠」が、乙第3号証の「SPRING COLLECTION 2005 春の新作クラフトコレクション」と題するパンフレットによれば、そのパンフレット中に、写真入りで商品「御りん」が、乙第4号証の「SUMMER COLLECTION 2005 夏の新作クラフトコレクション」と題するパンフレットによれば、そのパンフレット中に、写真入りで商品「御りん」が、乙第5号証の「Excellent Collection 2005 Autumn」と題するパンフレットによれば、そのパンフレット中に、写真入りで商品「香立て」がそれぞれ掲載されている。
そして、上記パンフレットに写真入りで掲載されている商品「御りん」は、「読経のときなどにたたく小さな椀形の仏具」である「りん(鈴)」(株式会社岩波書店 広辞苑第五版)と認められ、これは、本件審判の請求に係る指定商品中の「葬祭用具」の範疇に属する商品と認められる。同じく、写真入りで掲載されている商品「念珠」は「数珠」ともいわれ、写真入りで掲載されている商品「香立て」とともに本件審判の請求に係る指定商品中の「葬祭用具」の範疇に属する商品と認められる。
また、上記乙第1号証ないし乙第5号証のパンフレットには、その表紙に円輪郭内に白抜きで「en」の標章が表示され、これは本件商標と社会通念上同一と認められる。また、同パンフレットには発行者として「日鉱美術工芸株式会社」の文字が表示され、当該会社は商標権者と認められる。
さらに、同パンフレットには、表題中に「2003 Autumn」、「2004 Spring」、「2005 春の新作クラフトコレクション」、「2005 夏の新作クラフトコレクション」及び「2005 Autumn」が表示されていることから、2003年(平成15年)秋、2004年(平成16年)春、2005年(平成17年)夏、同年秋の時期に頒布されたものと推認することができる。
以上を総合すると、本件商標は、商標権者である「日鉱美術工芸株式会社」によって本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、審判の請求に係る指定商品中の「りん(鈴)」、「念珠(数珠)」及び「香立て」について使用をしていたとみるのが相当である。
請求人は、乙第1号証ないし乙第5号証のパンフレットには、本件商標が表紙に1箇所表示されているのみで直接には使用されていないので、いずれの商品について本件商標を使用しているのか全く不明である旨主張する。
しかしながら、自社の取り扱う商品を、商品のパンフレット、商品カタログ等で紹介する場合、紹介する商品が単品に限らず、多数の商品を紹介し、それら商品の取り扱い主体を表示するために、当該パンフレットの表紙や裏表紙に商号商標や代表的出所標識(ハウスマーク)等を表示することが一般に行われていることは顕著な事実である。
そうすると、本件の前記パンフレットは、多数の商品を掲載しているものの、その中には商品「御りん」、「念珠(数珠)」及び「香立て」が掲載され、当該表紙に社会通念上同一と認められる本件商標が表示されている以上、当該商標は商品「御りん」、「念珠(数珠)」及び「香立て」について使用されているというべきであるから、前記請求人の主張は採用することができない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中の請求に係る商品についての登録を取り消すべきではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-06-12 
結審通知日 2006-06-15 
審決日 2006-06-27 
出願番号 商願昭63-11877 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (120)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 信永 英孝鈴木 茂久 
特許庁審判長 山口 烈
特許庁審判官 山本 良廣
伊藤 三男
登録日 1990-08-30 
登録番号 商標登録第2257220号(T2257220) 
商標の称呼 エン 
代理人 丸山 幸雄 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ