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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z09
管理番号 1141865 
審判番号 取消2005-30222 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-02-25 
確定日 2006-08-07 
事件の表示 上記当事者間の登録第4522140号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4522140号商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4522140号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年3月24日に登録出願、「COMBOX」の欧文字を標準文字で表してなり、第9類「警報受信盤,警報表示器,コンセント,配電用又は制御用機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同13年11月16日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第11号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品のうち「電子応用機械器具及びその部品」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者または通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
乙第1号証によっては、本件商標が、審判請求に係る指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に使用されたことは証明されない。
(1)「船内指令装置」は、船内各部の通信に使用される装置と思料され、「電気通信機械器具(11BO1)」であり、「電子応用機械器具およびその部品(11CO1)」でない。なお、「船内指令装置」に言及する言渡年月日が平成16年11月9日の広島地方海難審判庁の裁決がある(甲第2号証)。
(2)「非常警報装置」は、乙第1号証によると、「SOLAS条約の改正に対応した」非常警報装置と記載されている。「SOLAS条約」は、海上人命安全条約の略称であり(甲第3号証)、船舶の安全性確保等を内容としているものであるところ(甲第4号証)、この条約の改正で、一定の船舶に船舶保安警報装置の搭載が義務付けられたが、この警報装置は、「船舶に対してテロ等の危害行為が発生した場合に、当該船舶の保安が脅威にさらされている等の情報を、海上保安庁へ伝送する無線設備」をいうものである(甲第5号証)。
してみれば、被請求人が本件商標を使用しているとする「非常警報装置」は、前記船舶保安警報装置にあたると思料されるから、この「非常警報装置」は、無線設備であり、「電気通信機械器具」であって、「電子応用機械器具およびその部品」でない。
(3)「AMラジオ」は、「電気通信機械器具」であって、「電子応用機械器具およびその部品」ではない。
(4)「電話モジュラ」の「モジュラ」について、「Yahoo!コンピュータ用語辞典」で調べると、「電話・FAX・モデムを接続するためのケーブルやジャック(端子)のこと。」と記載されている(甲第6号証)。そして、「電話を接続するためのジャック(端子)」は、特許電子図書館の「商品・役務名リスト」に掲載される「電話線差込口(11BO1)」と同様の商品表示と思料されるから(甲第7号証)、「電子応用機械器具およびその部品」ではない。
(5)「ACコンセント」は、特許電子図書館の「商品・役務名リスト」に掲載される「コンセント(11AO1)」と同様の商品表示と思料されるものであるから(甲第8号証)、「配電用又は制御用の機械器具(11AO1)」であって、「電子応用機械器具およびその部品」ではない。
(6)「アウトレット」は、前記製品カタログには、「船内指令装置、非常警報装置、さらにAMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレット」と記載されているので、「船内指令装置」等は「アウトレット」の具体的商品表示と思料される。したがって、「アウトレット」は「電気通信機械器具」または「配電用又は制御用の機械器具」であると思料され、「電子応用機械器具およびその部品」ではない。ちなみに、前記製品カタログには英語表記もされており、「アウトレット」の英語表記「OUTLET」を「Yahoo!辞典-プログレッシブ英和中辞典」で調べると、「《米》〔電〕差し込み口,コンセント」と掲載されており(甲第9号証)、このことからも、「アウトレット」は「電子応用機械器具およびその部品」ではない。
以上より、被請求人が本件商標を使用している商品「船内指令装置、非常警報装置、さらにAMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレットを組み込んだユニット」を構成する商品は、いずれも「電子応用機械器具およびその部品」に属する商品とは認められない。
したがって、審判請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標を使用していることは証明されていない。
(7)また、ISO9001認証取得の証明書に掲載されている「29 February,2003」の日付によっては、乙第1号証の製品カタログが2003年2月29日以降に頒布されたことの証拠とはならない。「29 February,2003」は、前記カタログの英文表記「Certificate Expiry:29 February,2003」からみれば、被請求人が取得したISO9001認証の有効期間の満了日が2003年2月29日であることを示すに過ぎない。
そして、前記カタログの表紙及び奥付には、前記カタログの発行年月日は記載されておらず、前記カタログが2003年2月29日以降に頒布されたか否かは明らかではない。
したがって、被請求人提出の乙第1号証の総合製品カタログからは、審判請求の登録前3年以内に、被請求人が本件商標を使用していたことは証明されない。
(8)更に、乙第1号証のカタログが日本語によって記載されているとしても、実際に日本国内で頒布されたことは証明されておらず、乙第1号証の総合製品カタログからは、本件商標が日本国内で使用されたことは証明されていない。
(9)平成17年11月24日に行われた口頭審理において、被請求人は、本件商標を使用している商品を具体的に説明していない。そこで、本件商品の内容を明らかにするため、本件商品と同一の機能及び用途を有すると思しき製品を掲載する日本財団図書館(電子図書館)の写しを証拠方法とする(甲第11号証)。
上記電子図書館によれば、上記製品は船室に設置され、本件商品と同一の製品と思料されるものであり、「居住区における電気機器の取付要領」の箇所に記載されているところから、「電子応用機械器具」には該当せず、したがって、上記製品と同一の本件商品も「電子応用機械器具」には該当しないと思料する。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第20号証を提出した。
1 答弁書(第1回)
(1)使用に係る商標
乙第1号証(商品宣伝用印刷物)第17頁には、「Combination Box」とその略称として、本件商標と書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標「COMBOX」が表示されている。
(2)使用に係る商品
乙第1号証第17頁には、本件商標の使用に係る商品が掲載されており、本件商標の指定商品「電子応用機械器具およびその部品」に関する「広告、価格表若しくは取引書類」に該当する(商標法第2条第3項第8号)。
なお、使用に係る商品は、SOLAS条約の改正に適応した船内指令装置、非常警報装置、さらにAMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレットを組み込んだユニットであり、船舶に関するシステムを構成するユニットの一つであって、電子応用機械器具及びその部品に該当する。
したがって、本件商標は、指定商品について使用されている。
(3)商標の使用者
乙第1号証の裏表紙には、被請求人の住所である「愛媛県越智郡大西町大字九王甲1520」及び名称「渦潮電機株式会社」が掲載されていることから、被請求人が頒布したことは明らかである。
(4)商標の使用時期
乙第1号証第20頁には、被請求人に対するISO9001認証取得の証明書が掲載されており、この証明書には「29 February,2003」の日付が記されているから、乙第1号証は、2003年2月29日以降に頒布されたものであり、3年以内に本件商標を使用している。
(5)商標の使用場所
乙第1号証は、日本語によって記載されており、日本国内で頒布するために作成されたものである。
(6)以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で商標権者により指定商品について使用されていること明らかである。
2 口頭審理陳述要領書における主張
(1)「船内に関するシステム」は、乙第1号証に記載のとおり、船内ネットワークシステム及び船陸間情報通信システムなどの船舶に装備されるシステムをいう。また、「船内ネットワークシステム」とは、船舶に装備された装置及びユニット同士を接続して船内ネットワークシステムを構築し(乙第1号証8-9頁)、該ネットワークを介して前記装置及びユニットから船橋の電子計算機へ船舶情報を送信し、船舶状態を監視し、異常がある場合は警報情報を出力するように構成しているものをいう。
このように、現在の船舶は電子計算機を用いてシステム化されており、船舶に装備される装置及びユニットは、電子計算機と切り離すことのできない周辺機器であって、「電子応用機械器具およびその部品」に該当する。
(2)使用時期
乙第9号証は、乙第1号証の納品書であり、平成13年6月11日に被請求人へ1,000部納品されたことを示す。
また、乙第10号証は、乙第1号証を改訂した製品カタログ(乙第11号証)の請求書であり、平成14年4月20日に被請求人が1,500部さらに増刷したことを示す。
以上により、乙第1号証は、2001年6月11日以降に頒布され、増刷された乙第11号証は少なくとも2002年4月20日以降に頒布されており、本件商標が3年以内に使用されていないとの主張は失当である。
(3)使用場所
請求人は、日本国内の日本企業には頒布していないと述べるが、乙第1号証21頁には被請求人の本社、営業所及び工場の住所、電話番号などが日本国内向けの表記により掲載されている。従って、海外の日本企業に対してのみ頒布されているとの請求人の主張は失当である。
3 答弁書(第2回)
(1)使用時期
本件商標が掲載された乙第11号証は、平成14年(2002年)4月10日、東京ビックサイトにて開催された国際海洋展「SEA JAPAN」において頒布されたことを浅川造船株式会社設計本部設計部長である松本計介氏による証人陳述書(乙第13号証)において補足する。
また、檜垣造船株式会社営業部営業部長濱田孝雄氏による証人陳述書のとおり、乙第11号証は、平成14年(2002年)4月12日、東京ビックサイトにて開催された国際海洋展「SEA JAPAN」において頒布され、該展示会において、被請求人は、会社紹介及び実機による主要製品を出展した(乙第16号証)。
(2)使用に係る商品とコンピュータとの関係
使用に係る商品は、船橋に設置された船橋パーソナルコンピュータと集線装置(HUB)を介して、LANケーブルにより接続されており、更に船長室、機関長室、船内事務室及び機関室に設置されたパーソナルコンピュータとも接続されている。
すなわち、使用に係る商品は、船橋パーソナルコンピュータと各室のパーソナルコンピュータとの間でLANを介して接受される情報を中継する機能を備えた船舶に関するシステムを構成する装置及びユニットである。
以上のとおり、使用に係る商品は、「LAN接続用カード」、「コンピュータネットワーク用の接続ハブ」、「コンピュータ用のインターフェース」と同様に電子計算機の周辺機器に該当し、「電子応用機械器具及びその部品」に該当する。
(3)したがって、本件商標は、本件審判請求前3年以内に日本国内で商標権者により指定商品に使用されていることがあきらかであるから、その登録を取り消されるべきではない。

第4 当審の判断
1 商標法第50条の商標登録の取消審判にあっては、その登録商標の使用をしていないことについて正当な理由がある場合を除いて、その審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、商標権者は、その指定商品に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 乙各号証について
(1)まず、乙第1号証は、被請求人の発行に係る「Possibility」と題する総合製品カタログであって、「新たな可能性への航海」の表題のもとに、各種の船舶関連製品が紹介されている。その冒頭の「主要製品ラインアップ」の項には、「確かな経験と技術から生み出される最新のシステム・機器は、より安全で正確な航行と耐久性を追求します。」と記載されており、「船内ネットワークシステム」の項においては、「渦潮電機の船内ネットワークシステムはUMS-50をベースにして構築します。・・・UMS-50は警報・記録機能をローカルユニットで分散処理し、ディスプレイユニットが完全に2重化されリアルタイム性のよいネットワークを介して情報の収集を行います。・・・」と記載されている。
そして、「標準量産製品」を紹介する項には、数ある標準量産製品の一つとして、「コンビネーションボックス(COMBOX)/Combination Box(COMBOX)」なる表示のもとに、商品の写真が掲載され、その下に、商品説明として、「SOLAS条約の改正に適応した船内指令装置、非常警報装置、さらにAMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレットを組み込んだユニットです(以下「本件使用商品」という。)。」と記載されていることを認めることができる。
(2)上記において認定した乙第1号証によれば、被請求人は、船舶の安全で正確な航行を確保するためのシステム(船陸間の統合化情報通信システムや船内ネットワークシステム等)を提供し、そのための機器を製造し、施工している企業であると認められ、「コンビネーションボックス(COMBOX)/Combination Box(COMBOX)」なる表示のもとに、本件使用商品を提供していたものと認めることができる。
そして、この括弧書きで表されている「COMBOX」の表示は、他の標準量産製品の箇所にも、例えば、「音声警報発生装置(しゃべっ太郎)/Voice Alarm(Shabettaro)」、「いねむり防止警報器(ぱっちりくん)/Preventing Nap Alarm Panel(Pacchirikun)」のように、「コンビネーションボックス(COMBOX)/Combination Box(COMBOX)」と同様の体裁で表されているものがあり、「しゃべっ太郎」や「ぱっちりくん」の表示は商標として表されているものと認められるから、「COMBOX」の表示も該「コンビネーションボックス/Combination Box」なる商品の商標を表示したものとみることができる。
(3)次に、上記製品カタログには、その発行日は記載されていないが、請求人の提出に係る甲第3号証ないし甲第5号証(SOLAS条約を説明するウエブページ)には、「海上の安全確保を目的とした常設政府間協力機関であるIMO(国際海事機関)が2002年12月にSOLAS条約を改正し、2004年7月1日(改正条約発行日)までに国際貨物船等並びにこれらの船舶が使用する港湾施設において保安対策を実施することを義務化しました。」との記載がある。そして、「コンビネーションボックス/Combination Box」なる商品の説明には、SOLAS条約の改正に適応した商品である旨の記載があり、このような文言を殊更掲げているということは、乙第1号証の製品カタログは、2002年12月から2004年7月1日の間、あるいは、少なくともその前後には、発行されていたものとみるのが自然である。
また、乙第9号証は、乙第1号証の納品書であり、平成13年6月11日に被請求人へ1,000部納品されたことが窺われるものである。
さらに、被請求人は、乙第1号証の改訂版と認められる「製品カタログ(改版)」(乙第11号証)を印刷会社に発注し、平成14年4月20日付けでその代金請求書が被請求人宛てに送付されている事実(乙第10号証)から、被請求人は、本件審判請求前3年以内に上記製品カタログ(改版を含む)を頒布していたとみても差し支えないものというべきであるる
そうとすれば、被請求人は、本件審判請求の登録(平成17年3月17日)前3年以内に発行されたものと推認し得る乙第1号証の総合製品カタログ及び乙第11号証「総合製品カタログ(改版)」において、本件商標を本件使用商品に付して、日本国内において使用していたものと認められる。
3 使用商品について
次に、本件使用商品が取消請求に係る「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品であるか否かについて検討する。
なお、本件については、被請求人の使用に係る商品が「電子応用機械器具及びその部品」に属するか否か不明確であったため、平成17年11月24日に口頭審理を開催した。以下、双方から提出された各証拠及び「口頭審理陳述要領書」等を踏まえ判断する。
本件使用商品は、乙第1号証の商品の説明によれば、「SOLAS条約の改正に適応した船内指令装置、非常警報装置、さらにAMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレットを組み込んだユニットです。」と記載されている。
ところで、SOLAS条約とは、前記した甲第3号証ないし甲第5号証(SOLAS条約を説明するウエブページ)によれば、海上人命安全条約(Safety of Life at Sea)の略称であり、船舶の安全性確保等を内容としているものであり、この条約の改正で、一定の船舶に船舶保安警報装置の搭載が義務付けられている。
また、「アウトレット」の語は、商品説明の英文の記載に照らせば、「outlet」の訳語であり、「outlet」の語は、「Yahoo!辞典-プログレッシブ英和中辞典」(甲第9号証)によれば、「《米》〔電〕差し込み口、コンセント」と記載されている。また、例えば、研究社発行の「新英和大辞典」においても、「コンセント」と記載されているとともに、「=outlet box」とも記載されており、その「outlet box」の説明には、「《米》〔電気〕アウトレットボックス(コンセントを収めた金属などの箱)」と記載されている。
そうすると、本件使用商品は、被請求人が答弁書において述べているように、「船舶に関するシステムを構成するユニットの一つ」としての位置付けのものであるが、そのユニットを構成している商品は、SOLAS条約の改正に適応した「船内指令装置や非常警報装置」自体が組み込まれており、さらに、「AMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレット(コンセント)」も組み込まれている商品と解することもできるし、また、本件使用商品自体は、「船内指令装置、非常警報装置、AMラジオ、電話モジュラ、ACコンセント等のアウトレット(コンセント)」を組み込んだ「アウトレットボックス(コンセントを収めた金属などの箱)」であり、システム全体がSOLAS条約の改正に適応した製品であって、本件使用商品は、そのシステムを構成するユニットの一つとも解することができる。
しかしながら、該ユニットを上記いずれの構成からなる商品と理解するとしても、本件使用商品は、取消請求に係る「電子応用機械器具及びその部品」の範疇に属する商品とは認められない。
これをさらに、説明文に記載されている商品毎にみるに、「船内指令装置」は、例えば、広島地方海難審判庁の裁決(甲第2号証)においても、「船内各部の通信は、操舵室に本体が設置された船内指令装置を通して、船橋から船首船桜甲板のウィンチ前、車両甲板など全ての区域にスピーカーで指示を出すとともに、・・・」と記載されているように、船内各部の通信に使用される装置と認められるものであるから、「電気通信機械器具」の範疇に属する商品であって、「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品とは認められない。
また、「非常警報装置」は、SOLAS条約の改正で搭載が義務付けられた船舶保安警報装置にあたるものと認められ、この警報装置は、「船舶に対してテロ等の危害行為が発生した場合に、当該船舶の保安が脅威にさらされている等の情報を、海上保安庁へ伝送する無線設備」をいうものであるから(甲第5号証)、「電気通信機械器具」の範疇に属する商品であって、「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品とは認められない。
そのほか、「AMラジオ」は、明らかに「電気通信機械器具」に属する商品であり、「電話モジュラ」は「電話・FAX・モデムを接続するためのケーブルやジャック(端子)」を表すものであるから(甲第6号証)、「電話機械器具の部品及び附属品」に属する商品であり、「ACコンセント」は、「配電用又は制御用の機械器具」であるから、いずれも、「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品とは認められない。
また、「アウトレット」の語は、上記したとおり、「差し込み口、コンセント」と理解されるものであるから、「配電用又は制御用の機械器具」の範疇に属する商品であって、「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品とはいうことはできない。
以上のとおり、本件使用商品の説明文に記載されている各商品を個別にみた場合、そのいずれの商品も「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品とは認められないものである。
そして、「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属しない各商品をどのように組み合わせてみても、組み合わせることによって、「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品となるものではなく、また、SOLAS条約の改正に適応したシステム全体の中の一つのユニット(構成単位)として見た場合においても、「COMBOX」と称される本件使用商品自体が「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品でないことに変わりない(使用に係る商品は、「電気通信機械器具」の範疇に属する「船舶用通信機械器具」に属する商品と解される。)。
なお、被請求人は、「使用に係る商品は、船橋パーソナルコンピュータと各室のパーソナルコンピュータとの間でLANを介して接受される情報を中継する機能を備えた船舶に関するシステムを構成する装置及びユニットである。」旨主張するが、本件使用商品は、前述のとおり、船内指令装置を通して船内各部の通信に使用されることを主目的とする装置と認められるから、かかる目的のために一部コンピュータを使用することがあったとしても、それが直ちに「電子応用機械器具およびその部品」の範疇に属する商品ということはできない。
4 以上のとおり、被請求人の提出に係る乙各号証をもってしては、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、使用権者のいずれによっても、その請求に係る指定商品「電子応用機械器具およびその部品」について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、指定商品中の「電子応用機械器具およびその部品」について取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2006-06-09 
結審通知日 2006-06-16 
審決日 2006-06-28 
出願番号 商願2000-29535(T2000-29535) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Z09)
最終処分 成立  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 寺光 幸子
小林 薫
登録日 2001-11-16 
登録番号 商標登録第4522140号(T4522140) 
商標の称呼 コンボックス、コムボックス、コム、シイオオエム 
代理人 河野 登夫 

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