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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y05
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y05
管理番号 1141825 
審判番号 不服2005-4467 
総通号数 81 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-09-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-03-14 
確定日 2006-08-03 
事件の表示 商願2004-21378拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第5類「貼付用薬剤,ばんそうこう,包帯,包帯液,はえ取り紙,防虫紙」を指定商品として、平成16年3月8日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶理由
原査定は、「近時、「テープ型消炎鎮痛貼付剤」について、患部への粘着のしやすさを考え、最初に3分割の剥離フィルムのまん中部分をはがし、その粘着面を患部に貼り付けた後、残りの2つの部分のフィルムをはがすという方法により使用される商品が開発され、市場において流通していることが認められる。そうとすれば、本願商標は、商品の剥離から貼付にいたる手順を図示したものと容易に看取されるものであり、これを本願指定商品中の、例えば、「貼付用薬剤」に使用しても、上記に照応する使用の方法による商品であることを理解させるにとどまり、商品の品質、形状、使用の方法等を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)本願商標は、別掲のとおり一見して、大きく分けて次の三部の構成よりなると看取できるものである。
(ア)左部に、数字「2」を白抜きした黒丸部分、切り込みと思しき波線と一片を剥離しつつある折り返した如きに描いたシート状物品、これを押さえる左指、下方に向けた矢印、及びその物品に施した波形の切り込みに沿って矢印の方向にフィルムを剥離する如き右指の各要素とを合成した図形部(以下「図形ア部」という。)
(イ)中央部に、縦に並行した太い2本の波線、その波線の間に下方に向けた2つの矢印、及びその矢印の間に数字「1」を白抜きした黒丸部分を表した図形部(以下「図形イ部」という。)
(ウ)右部に、数字「3」を白抜きした黒丸部分、切り込みと思しき点線からなる波線、右側を反らせ右端が波状に切断された一片のフィルムを剥離する如きに描いたシート状物品及び右方に向けた矢印の各要素とを合成した図形部(以下「図形ウ部」という。)
そして、本願指定商品は、「貼付用薬剤」ほか、第5類に属する前記商品とするものである。
(2)ところで、医薬品に限らず、食料品、電気製品その他の各種の商品を取り扱う業界において、例えば、商品カタログ、商品の使用説明書あるいは包装箱等に当該商品の特徴、又は取り扱い方法、使用方法等を説明する場合において、これをより理解しやすくするために、図解により補足的に説明することが普通に行われている実情にある。
そして、本願指定商品中、「貼付用薬剤」との関係において、当該商品の使用の簡便さを図るため、粘着面のフィルムに各種の工夫を施した商品が存するところであって、原審説示の如く、「最初に3分割の剥離フィルムのまん中部分をはがし、その粘着面を患部に貼り付けた後、残りの2つの部分のフィルムをはがすという方法により使用される商品」が一般に流通している状況が窺えるところであり、また、これら商品においてもその使用方法等を図解により説明している実情にあるといえる。
(3)以上の点を考慮した上で、本願商標についてみるに、その構成は、別掲及び前記したとおりであるところ、これを貼付用薬剤に使用した場合、これに接する需要者等は、図形ア部及び図形ウ部中のシート状物品を剥離フィルム付き貼付用薬剤を絵図で表したものと理解し、そして、図形ア部は、貼付用薬剤のまん中の剥離フィルムを矢印の方向に指ではがすことを図示するものと、及び図形ウ部は、切り込みを点線で描き、右側を反らしたところから、まん中の剥離フィルムがはがされた貼付用薬剤を裏返して固定して、右側一片の剥離フィルムを矢印の方向にはがすことを図示するものと理解し、また、図形イ部は、貼付用薬剤の剥離フィルムが2つの波状の切り込みにより3分割できるものであること、及びこれをはがす際には、矢印の方向にはがすものであることを強調したと理解するものといえ、さらには、本願商標中に記載された「1」ないし「3」の数字によって、剥離フィルムをはがして貼付するまでの手順が明示されているものと容易に看取するというのが自然である。
そうすると、本願商標は、その構成全体をもって、2つの波状の切り込みにより粘着面の剥離フィルムが3分割できることを特徴とする貼付用薬剤についての図解であること、すなわち、最初に切り込みにより、3分割された剥離フィルムのまん中をはがし、次に、その粘着面を患部に貼付の後、残りの左右の剥離フィルムをはがして使用するという手順過程等を図示したものと把握するにすぎないものというのが相当である。
したがって、本願商標は、これを貼付用薬剤に使用しても、当該商品についての図解説明の一類型であると理解するに止まるというべきであり、自他商品識別標識あるいは出所標識と認識し得ないものといわなければならない。
また、本願商標を粘着面の剥離フィルムに上述のような工夫の施されていない貼付用薬剤に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
(4)以上のとおりであるから、上記認定と同趣旨で、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は、取り消すことができない。
なお、請求人は、審決例及び登録例を挙げて本願商標の登録適格性を主張しているが、それらの事例は商標の具体的構成において本願商標とは事案を異にするものであって、それらの事例をもって本願商標の登録の適否を判断する基準とするのは必ずしも適切でないから、その請求人の主張は採用することができない。
また、請求人が甲号証として示した同人所有の登録商標の使用例は、「2 2つに折ってから1のフィルムをはがします。」「3 片方ずつのフィルムをはがしながら貼ります。」等の説明文からすれば、当該商品の使用の方法を図示したにすぎないものといわざるを得ないから、この使用例をもって、本願商標が自他商品識別標識としての機能を発揮しているとするのは困難であり、その他、請求人の主張をもって、前記認定を覆すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本願商標


審理終結日 2006-05-31 
結審通知日 2006-06-06 
審決日 2006-06-20 
出願番号 商願2004-21378(T2004-21378) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y05)
T 1 8・ 13- Z (Y05)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邉 健司 
特許庁審判長 高野 義三
特許庁審判官 岡田 美加
井岡 賢一
代理人 佐藤 英二 
代理人 浜田 廣士 
代理人 長谷川 芳樹 

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