ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
---|---|---|
取消200430969 | 審決 | 商標 |
取消200530224 | 審決 | 商標 |
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z35 |
---|---|
管理番号 | 1139597 |
審判番号 | 取消2005-30225 |
総通号数 | 80 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-08-25 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-02-28 |
確定日 | 2006-06-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4434792号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4434792号商標の指定役務中「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4434792号商標(以下「本件商標」という。)は、「CARION」の文字を標準文字で書してなり、平成11年6月3日に登録出願、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・復写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、同12年11月24日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張の要点 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標の権利者である本件審判の被請求人は、少なくとも過去3年以内に日本国内において、本件商標をその指定役務「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」について使用していない。 しかも、本件商標については、専用使用権又は通常使用権の設定登録もなされていない。 上述のように、本件商標は、商標法第50条の要件に該当するものであり、その登録の取消を免れないものである。 2 被請求人の答弁に対する弁駁の理由 被請求人が提出している乙各号証によっては、本件商標が本件取消請求に係る指定役務について、自他役務の識別標識としての機能を果たす商標として使用されている事実は、証明されていない。 被請求人が、それ自体識別力を有し、本件商標とは社会通念上同一の商標であるとの述べる「キヤリオン事業部」の表示及び「CC:キャリオン」の表示並びに「carion@n-his.co.jp」及び「CARION Division」中の「CARION(又は『carion』)」の各表示は、それ自体としてみても、自他役務識別標識としての機能を果たす商標としての使用に該当しない。したがって、本件商標の使用は証明されていないこと明らかである。 また、乙各号証に表されている「キヤリオン事業部」の表示は、本件商標「CARION」とその構成が大きく異なり、構成それ自体としてみても、「CARION」と同一でなく、また、同一性もないことも明らかである。 本件商標の使用の事実の証明との関係で問題になるのは、乙第3号証から同第8号証なので、これらについて述べる。 (1)乙第3号証の書面は、いずれも本件審判請求の予告登録日(平成17年3月16日)後の日付のものである。したがって、本件商標が本件審判請求の予告登録の日前に、商標として本件取消請求に係る指定役務について使用されていたことを直接的に証明する証拠とはならない。 また、乙第3号証に表示された「キヤリオン事業部」の各表示は、本件商標と同一でないことはもちろんとして、社会通念上からみても同一性の範囲内に含まれないことは明らかである。 すなわち、この「キヤリオン事業部」の表示は、自他役務識別標識として指定役務との具体的な関係を示して使用されているのではなく、単に、被請求人会社の組織の一部の名称として使用されているにすぎないものである。 不使用取消審判請求において、その登録の取消が求められている登録商標の使用とは、当該取消審判請求において請求人が特定した取消請求に係る指定商品又は指定役務について自他商品又は自他役務識別標識としての機能を果たしている態様で使用されていなければならない(甲第3号証ないし同第7号証参照)。 このことよりすれば、被請求人の会社の組織の一部の名称に使用されているにすぎない「キヤリオン事業部」の表示が商標として使用されているのではないことは明らかである。そして、この「キヤリオン事業部」は、「CARION」ではない。また、「キヤリオン」の文字が文中に使用されている例もあるが、当該「キヤリオン」の文字が本件商標の使用でないことも、その使用の場所及び態様からみて明らかである。 さらに、この乙第3号証において、被請求人の会社の事業として紹介されている「人材紹介サービス及び再就職紹介サービス」の事業は、役務という点からみても、本件取消請求に係る指定役務とはその概念を異にする役務である(特許庁「類似商品・役務審査基準」の第35類の例示役務参照)。 (2)乙第4号証に表された「Carion」の文字は、その使用内容及び表示の在り方からみて、商標法第2条第3項に規定されている使用に該当するものではない。「キヤリオン」の文字が表されている1枚目の書面には、本件取消請求に係る指定役務は、何ら示されていないし、この書面自体が、役務の提供とは全く関係しないものである。2枚目以下の書面についても、この1枚目と同様のことを指摘できる。 (3)乙第5号証の年賀状と暑中見舞いの葉書に表されてある差出人の会社の組織の一部の名称又はその肩書中の「キヤリオン事業部」の表示は、本件商標「CARION」とは異なるものである。この「キヤリオン事業部」の表示についても、上記(1)で指摘したことを改めて指摘する。 (4)乙第6号証の1枚目の名刺に表されたローマ文字の「CARION」の文字が「Division」の文字と分離して認識されるものでないことは、名刺の性質上明らかである。また、「CARION Division」の文字が商標としての使用に該当しないことは、上記で指摘したことと同様に明らかである。同じく、3枚目に表されてある「CARION Administration Department」及び「CARION Division」の表示中の「CARION」の文字が、本件商標の使用に該当するものでないことも、上記したことより明らかである。 (5)乙第7号証の「覚書」中に表された「甲」の会社名の下の組織の一部の名称として表示されている「キャリオン事業部」の文字が、本件商標「CARION」と全く異なることはもちろんとして、当該文字が商標として使用されているものでないことは、上記したことより明らかである。 (6)乙第8号証(2004版 Yellow Page)に、被請求人の会社名と共に「キヤリオン事業部」の表示が表されているが、当該表示は、本件商標「CARION」と全く異なることはもちろんとして、当該文字が商標として使用されているものでないことは、上記したことより明らかである。 3 被請求人の答弁の要点 被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由を要旨次のように第1答弁書及び第2同弁書で述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第8号証を提出した。 1 第1答弁書 (1)本件審判請求に係る指定役務についての本件商標の使用について (ア)乙第3号証は、株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービスの会社概要であり、その事業内容は、有料職業紹介事業、労働者派遣事業、求人、採用活動に関する事務の受託及びそのコンサルティング,給与オペレーション業務代行、厚生オペレーション業務代行、HRシステムASPサービス、業務サポートシステム導入支援と併せ、上記事業から派生する「経営の診断及び指導及びそのコンサルティング,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」の役務を行っているところである。 (イ)乙第4号証「日産サーバ内(統合サイト)使用の新サイト作成申請に関する資料」には、メールの使用として「CC:キャリオン」が使用されている。また、メールの差出人として「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部(carion@n-his.co.jp)」を使用している。 (ウ)乙第5号証は、年賀ハガキに使用した「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部」の名称である。 (エ)乙第6号証は、「CARION Division」の名称を名刺に使用している資料である。 (オ)乙第7号証は、「覚書」に使用した「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部」の名称である。 (カ)乙第8号証は、社団法人日本人材紹介事業協会が発行する2004年版の「Yellow Page」に掲載された「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部」の名称である。 (2)商標について 本件商標は、「CARION」の文字からなるものであり、その読みは「キヤリオン」と特定されるものである。 そうすると、乙第3号証ないし同第5号証・同第7号証及び同第8号証に表示される「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部」および「CC:キャリオン」中の「キヤリオン」の文字は、それ自体識別力を有し、容易に「CARION」の文字の読みと認識されるものであるから、本件商標とは社会通念上同一の商標である。 乙第4号証及び同第6号証に表示される「carion@n-his.co.jp」および「CARION Division」中の「CARION(carion)」の欧文字は、それ自体識別力を有し、本件商標とは社会通念上同一の商標である。 (3)むすび 以上によれば、本件商標は、本件審判請求の予告登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定役務である「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」の範疇に含まれる「経営の診断及び指導及びそのコンサルティング,市場調査,商品の販売に関する情報の提供」について、被請求人たる「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス」により使用されているものである。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その登録は取り消されるものでない。 2 第2答弁書 (1)乙第3号証の日付は、ホームページからダウンロード、すなわちプリントアウトした日付である。本件商標が使用されている期間は、第1ページは2002年から現在まで使用中であり、第2ページは平成11年6月から現在まで使用中である。また、上記以外の資料にあっては2002年から現在まで使用中である。 (2)乙第4号証は、日産サーバ内(総合サイト)の使用の新サイト作成申請に関する資料であって、そこにはメールの使用として[CC:キャリオン」、すなわち「キャリオン」が要部として使用されている。 (3)乙第8号証は、「社団法人 日本人材紹介事業協会」が発行する2004年版の「Yellow Page」に掲載された「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キャリオン事業部」であって「キャリオン」の文字が要部として使用されている。 (4)請求人は、「権利者が『経営の診断及び指導そのコンサルティング,市場調査,商品の販売に関する情報の提供』を行っていることがあるとしても」と認定し、取消に係る役務を使用していることを認めている。 第4 当審の判断 商標登録原簿に徴すれば、日産自動車株式会社(以下「日産自動車」という。)から被請求人である株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービスに本件商標の商標権移転登録がされたのは、平成13年1月30日であり、その後、登録名義人の表示変更が平成17年5月27日になされたものであって、本件審判請求の予告登録(平成17年3月16日)前における最初の商標権者は日産自動車であった。しかし、第3号証によれば、被請求人は、日産自動車の全額出資会社であることが認められるから、両当事者間における本件商標に関する使用許諾契約者等の書類は提出されていないが、上記商標権移転の登録前は、本件商標を実質的に使用し得る通常使用権者の地位にあったものということができる。 しかしながら、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、被請求人が本件商標を請求に係る役務「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」について使用した事実は証明されていないといわなければならない。その理由は、次のとおりである。 1 乙第3号証は、被請求人会社の会社概要を記載した書類であるが、これには、請求人の事業内容として、「有料職業紹介事業、労働者派遣事業、求人、採用活動に関する事務の受託及びそのコンサルティング,給与オペレーション業務代行、厚生オペレーション業務代行、HRシステムASPサービス、業務サポートシステム導入支援」が挙げられているが、本件審判の取消請求に係る指定役務に関する業務を行っている旨の記載はなく、かつ、「キヤリオン事業部」、「事業部キヤリオン:CARIONの由来」の記載のように、「キヤリオン」又は「CARION」の文字が被請求人の組織の一部の名称又は用語の説明として使用されているものの、自他役務を識別する標識として使用されていると認め得る記載はない。 2 乙第4号証は、被請求人が「日産サーバ内(統合サイト)使用の新サイト作成申請に関する資料」と述べるものであるが、これには、メールの宛先あるいは差出人等として「CC:キヤリオン」、「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部[carion@n-his.co.jp]」、「Carion」等の文字が記載されているが、本件審判の取消請求に係る指定役務に関する業務を行っている旨の記載はなく、かつ、「キヤリオン」、「carion」及び「Carion」の文字が被請求人の組織の一部の名称として使用されているものの、自他役務を識別する標識として使用されていると認め得る記載はない。 3 乙第5号証は年賀ハガキ、乙第6号証は名刺、乙第7号証は「覚書」と記載された書類、乙第8号証は「2004年版の『Yellow Page』人材紹介会社さがしのイエローページ」であるが、これらには、「株式会社日産ヒューマン・インフォメーション・サービス キヤリオン事業部」、「CARION Division」等の記載があるが、本件商標を取消請求に係る指定役務について使用していると認め得る記載はない。 その他、被請求人の提出に係る証拠には、本件商標を本件審判の取消請求に係る指定役務について使用していると認め得るものはない。 以上の事実からすれば、被請求人の提出に係る証拠を総合しても、被請求人は、本件審判請求の予告登録前3年以内に、日本国内において、請求に係る指定役務である「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」について、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が本件商標を使用した事実を証明していないといわなければならない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その指定役務中「経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理」についての登録を取り消すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-04-13 |
結審通知日 | 2006-04-19 |
審決日 | 2006-05-09 |
出願番号 | 商願平11-49125 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Z
(Z35)
|
最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
山口 烈 |
特許庁審判官 |
山本 良廣 伊藤 三男 |
登録日 | 2000-11-24 |
登録番号 | 商標登録第4434792号(T4434792) |
商標の称呼 | カリオン、キャリオン |
代理人 | 小栗 昌平 |
代理人 | 太田 恵一 |
代理人 | 市川 利光 |