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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y05
審判 全部申立て  登録を取消(一部取消、一部維持) Y05
管理番号 1138235 
異議申立番号 異議2005-90127 
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-07-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2005-03-16 
確定日 2006-05-19 
異議申立件数
事件の表示 登録第4824526号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4824526号商標の指定商品中、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」についての商標登録を取り消す。 本件登録異議の申立てに係るその余の指定商品についての商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第4824526号商標(以下「本件商標」という。)は、「スリムフィット」の文字を標準文字により表してなり、平成15年7月1日に登録出願され、第5類「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,医療用腕環,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,人工受精用精液」を指定商品として、同16年12月10日に設定登録されたものである。

2 引用商標
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)が引用する登録第4100641号商標(以下「引用商標」という。)は、「フィットスリム」及び「FIT SLIM」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成8年4月18日に登録出願され、第5類「薬剤,歯科用材料,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,耳帯,眼帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,失禁用おしめ」を指定商品として、同10年1月9日に設定登録されたものである。

3 登録異議申立ての理由の要点
本件商標は、上記引用商標との関係において、商標法第4条第1項第11号及び同15号に該当し、取り消されるべきである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標とは、我が国において非常によく知られた英語の「SLIM」と「FIT」の発音表記であって、既に日本語化している「スリム」と「フィット」を結合した点において一致する商標であって、両商標の相違点は、「スリム」と「フィット」の結合の順序が逆になっている点にすぎない。
このように全く同一の二つの言葉を、順序を逆にして結合したにすぎない両商標に、需要者、消費者が時と処を異にして接した場合、その順序が必ずしも正確に記憶されるものとはいい得ない事も考慮すると、両商標について、相互に混同をきたす事は容易に想起できる。
しかも、両商標は、「スリム」と「フィット」の結合において、特定の(異なった)意味観念が生じているとは、到底いうことができず、単に「スリムと(で)フィット」あるいは、逆に「フィットと(で)スリム」との意味合いの共通の観念を有する商標である。
してみれば、両商標は、互いに類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品を包含するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、使用権者により平成9年8月以来、商品「生理用ナプキン」について使用し、需要者の間に広く知られた商標であることから、これと類似する本件商標をその指定商品に使用するときは、商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

4 本件商標に対する取消理由の要旨
当審において、商標権者に対し、意見書を提出する期間を指定して、平成18年1月23日付けで商標登録の取消の理由を通知した。その要旨は、次のとおりである。
(1)本件商標構成中の「スリム」の文字は、「細いさま、ほっそりしたさま」の意味を有する外来語として、同じく「フィット」の文字は、「適合すること、特に洋服が身体や感覚にぴったり合うこと」(いずれも岩波書店発行「広辞苑」第五版1454頁、および2299頁)等の意味を有する外来語として、いずれも良く知られ、親しまれている語であり、両語の間に意味上、周知度等における軽重の差は認め難いものであることから、本件商標は、両語を結合してなるものと容易に理解し把握されるものである。
他方、引用商標構成中の「FIT」、「フィット」、「SLIM」及び「スリム」の各文字は、各々上記と同一の意味内容であって、引用商標も、本件商標同様、両語を結合してなるものと容易に理解し把握されるものである。
そうすると、本件商標と引用商標とは、いずれも良く知られ、親しまれている「スリム」(SLIM)の語と「フィット」(FIT)の語からなるものと観念せしめるものであって、単にその順序を入れ替えたものと認識し把握されるにすぎず、かつ、順序を入れ替えることにより特別な意味合いが生ずるものともいえないから、両者は、その観念を共通にするものというべきであり、彼此相紛らわしい類似の商標というのが相当である。
(2)また、本件商標の指定商品中「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」は、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品といい得るものである。
(3)したがって、本件商標は、その指定商品中上記(2)の商品については、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

5 商標権者の意見の要旨
上記4の取消理由に対する商標権者の意見は、要旨次のとおりである。
(1)本件商標は、上記1のとおりの構成よりなるところ、これより「スリムフィット」のみの称呼が生ずる。これに対し、引用商標は、上記2のとおりの構成よりなるところ、これより「フィットスリム」の称呼が生ずる。
そうすると、両商標は、外観及び称呼において比較するまでもなく、非類似の商標である。
(2)本件商標は、「Slim fit dress」や「Slim-fit jeans」のように用いられる英語の成語を片仮名文字としたものであり、「ぴったりとした細身(の)」のような観念を生ずる。
これに対し、引用商標は、英語の成語にはないものであるが、「フィット(FIT)」及び「スリム(SLIM)」の語を軽重の差なく「フィットスリム」「FIT SLIM」と一体化したものとして認識されるものであり、特定の観念を生じない一体の造語として認識されるものである。
したがって、両商標は、観念においても明確な差異を有するものであり、非類似の商標である。
また、両商標の称呼は、決して冗長とはいえず、一体にのみ称呼され、分断して称呼されることは考えられない。したがって、取引者・需要者が構成要素毎の「スリム(SLIM)」と「フィット(FIT)」の意味合いを、商標を分断してまで比較観念するとは到底想像できない。
(3)過去において、商標の前半部と後半部が入れ替わった併存登録例の審決及び決定例が多数あり、法の適用の衡平及び予測可能性の観点から、本件商標も同様に取り扱われて登録を維持されるべきである。
(4)したがって、両商標は、それぞれの指定商品が相抵触するとしても、商標が非類似であることから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

6 当審の判断
(1)上記4の取消理由通知で示したとおり、本件商標と引用商標とは、いずれもよく知られ、親しまれている「スリム(SLIM)」の語と「フィット(FIT)」の語からなるものと観念せしめるもので、単にその順序を入れ替えたものと認識し、把握されるものであり、かつ、順序を入れ替えることにより特別な意味合いが生ずるものともいえないから、両者は、観念において類似する商標といわざるを得ない。
したがって、本件についてした先の取消理由は、妥当なものというべきである。
(2)ところで、商標権者は、意見書において、本件商標は、英語の成語を片仮名文字としたものであるのに対し、引用商標は、英語の成語にはないものである旨主張している。
しかしながら、仮に英語の文法からして、前者が成語、後者が成語ではないとしても、商標に接する一般取引者・需要者においては、必ずしも英語の文法どおりに、注意深くその意味、観念を把握、理解するものとは、到底認め難いものといわざるを得ず、また、これを左右する証拠も見出せない。
また、商標権者は、両商標とも、取引者・需要者が構成要素毎の「スリム(SLIM)」と「フィット(FIT)」の意味合いを、商標を分断してまで比較観念するとは到底想像できない旨主張しているが、両商標の構成要素が外来語として、いずれも良く知られ、親しまれている語であり、両語の間に意味上、周知度等における軽重の差は認め難いものであることから、両商標は、両語を結合してなるものと容易に理解し把握されるものであることは、先の取消理由においても説示したとおりである。
さらに、商標権者は、過去における審決及び決定例を示し、本件商標も登録を維持されるべきである旨主張しているが、商標の類否判断は、個別具体的に判断すべきであり、過去の審決及び決定例に前記認定が左右されるものではない。
(3)してみれば、本件商標の登録は、その指定商品中「薬剤,医療用油紙,衛生マスク,オブラート,ガーゼ,カプセル,眼帯,耳帯,生理帯,生理用タンポン,生理用ナプキン,生理用パンティ,衛生又は生理用パンティライナー,脱脂綿,ばんそうこう,包帯,包帯液,胸当てパッド,歯科用材料,失禁用ナプキン,失禁用パッド,失禁用パンツ,失禁用ライナー,失禁用おしめ,失禁用吸収性ショーツ・ブリーフ及びトランクスその他の失禁用吸収性下着」については、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものと認められる。
しかしながら、本件商標の登録は、その指定商品中、上記以外の「医療用腕環,はえ取り紙,防虫紙,乳糖,人工授精用精液」なる指定商品については、引用商標の指定商品と非類似のものと認め得ることから、商標法第4条第1項第11号には該当しない。
(4)したがって、本件商標の登録は、商標法第43条の3第2項の規定に基づき、結論掲記の指定商品について、その登録を取り消すべきものとし、その余の指定商品については、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2006-03-31 
出願番号 商願2003-54763(T2003-54763) 
審決分類 T 1 651・ 271- ZC (Y05)
T 1 651・ 263- ZC (Y05)
最終処分 一部取消  
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 水茎 弥
久我 敬史
登録日 2004-12-10 
登録番号 商標登録第4824526号(T4824526) 
権利者 ユニ・チャーム株式会社
商標の称呼 スリムフィット 
代理人 竹内 裕 
代理人 網野 友康 
代理人 網野 誠 
代理人 初瀬 俊哉 

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