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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 009 |
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管理番号 | 1138052 |
審判番号 | 取消2005-30218 |
総通号数 | 79 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-07-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-02-25 |
確定日 | 2006-05-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4051136号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4051136号商標(以下「本件商標」という。)は、「Optima」の欧文字を横書きしてなり、平成6年5月31日登録出願、第9類「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、同9年8月29日に設定登録され、その後、商標登録の取消し審判により、指定商品中「エレクトロニックオーディオシグナルプロセッサ」について取り消すべき旨の審決がされ、同17年1月13日にその確定審決の登録がされたものである。 2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品「電子応用機械器具及びその部品」の登録を取り消すとの審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。 (1)請求の理由 本件商標は、その商標公報に示されるように、欧文字で「Optima」と左横書きされてなる商標であり、第9類において、出願され、「電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成9年8月29日設定登録され、同11年3月29日付で原商標権者に本権の移転登録がなされた後、現在も有効に存続し、その指定商品は「電子応用機械器具及びその部品、但し、エレクトロニックオーディオシグナルプロセッサを除く」とする登録商標である(これらの事実を実証するため、本件商標の商標公報を甲第1号証、商標出願・登録情報を甲第2号証、登録情報を甲第3号証及び基本情報を甲第4号証とする。)。 しかしながら、請求人は、本件商標の指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について調査しても、継続して3年以上、日本国内において、本件商標が被請求人、その他の本件商標を使用する権利を有するものによって使用された事実を見出せない(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)。 よって、商標法第50条第1項の規定にもとづいて本件審判請求をし、請求の趣旨のとおりの審決を求める。 (2)弁駁の理由 「本件商標の指定商品中、『電子応用機械器具及びその部品』について継続して3年以上日本国内において使用された事実を見出せない」との請求人の主張に対して、被請求人は、本件商標を被請求人の100パーセント子会社であるドイツ連邦共和国バートホムブルク在、ライノタイプ・ライブラリー・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング(以下「ライノタイプ・ライブラリー社」という。)をとおして、その指定商品中「電子応用機械器具」に含まれる商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」について継続して現在も使用しているとし、乙第1号証ないし乙第4号証並びに参考資料(1)及び(2)で本件商標の使用説明を提出している。 しかしながら、乙第1号証ないし乙第4号証並びに参考資料(1)及び(2)の本件商標の使用説明は、「ライノタイプ・ライブラリー社」のもとに使用されている事実を証明するものであり、被請求人が使用している事実を証明するものでないこと明白である。 被請求人は、「ライノタイプ・ライブラリー社」をとおして、使用されている事実を証明することが被請求人の使用の事実の証明になるとの理由付けとして、 (イ)「ライノタイプ・ライブラリー社」は、被請求人の100パーセント子会社であること (ロ)乙第1号証中のインボイスの右ヘッド部に、「ライノタイプ・ライブラリー社」が被請求人のグループ会社の一社であることを示すドイツ語「Ein Unternehmen der Heidelberg-Gruppe」が表示されていること。 (ハ)乙第2号証中の商品カタログ(欧文)の裏表紙の左ヘッド部に、「ライノタイプ・ライブラリー社」が被請求人のグループ会社の一社であることを示す英語「A division of the Heidelberg-Group」が記載されていることを挙げている。 しがしながら、上記(イ)ないし(ハ)の何れの主張も裏付けがなく、「ライノタイプ・ライブラリー社」が商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記億した記憶媒体」について、被請求人に代わって日本における使用を証明する正当性を見出すことはできない。 なお、本件商標には、専用使用権、通常使用権の何れの設定も成されていないことの確認の為、甲第5号証として本件商標の登録原簿を添付する。 以上により、本件商標は、本件審判請求の予告登録日(平成17年3月16日)前3年以内に、その指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」について被請求人により継続して日本国内において使用されていたものであるとの被請求人の答弁については理由がないものである。 よって、本件審判請求について、請求の趣旨とおりの審決を求める。 3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証並びに参考資料(1)及び(2)を提出した。 (1)請求人は、大凡「本件商標は、その指定商品『電子応用機械器具及びその部品』について継続して3年以上日本国内において使用された事実を見出せない」旨主張するが、被請求人は、本件商標を「ライノタイプ・ライブラリー社」をとおして、その指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」について継続して現在も使用しているものである。 因みに、商標法50条第1項の括弧書き記載の登録商標の解釈規定から明らかな如く、欧文字における大文字、小文字間の書体の変更使用は、社会通念上、同一商標の使用と認められるものである。 (2)乙第1号証の本件商標の使用説明書(1)は、「ライノタイプ・ライブラリー社」から日本国の通常使用権者である東京都豊島区高田3丁目32番3号、メイスンビル在、「エス・ディー・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」宛に供給される本件商標「Optima」(又は「OPTIMA」)を付した商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」に係る同社作成のインボイスである。作成年月日は1.平成15(2003)年2月26日、2.平成16(2004)年7月15日である。 因みに、上記インボイスの右ヘッド部に上記「ライノタイプ・ライブラリー社」が被請求人のグループ会社の一社であることを示すドイツ語「Ein Unternehmen der Heidelberg-Gruppe」が表示されている。 なお、本件商標「Optima」(又は「OPTIMA」)に後続する「roman」又は「Rm」の文字はローマン体を、「BOLD」、「bold」又は「Bd」の文字はボールド体を、「oblique」の文字は傾斜タイプ等のフォントの種類を各々意味するものである。 以下では、これに倣うものとしてその説明を省略する。 (3)乙第2号証の本件商標の使用説明書(2)は、日本国の通常使用権者「エス・ディ・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」が本件商標「Optima」の使用商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」の国内顧客向け販売資料として現在も使用している、「ライノタイプ・ライブラリー社」によって印刷作成された商品カタログ(欧文)である。 印刷年月日は平成12(2000)年4月1日であるが、当時、一括して印刷したものを現在も継続して使用しているものである。 因みに、上記インボイス同様、商品カタログ(欧文)の裏表紙の左ヘッド部に、「ライノタイプ・ライブラリー社」が被請求人のグループ会社の一社であることを示す英語「A division of the Heidelberg‐Group」が記載されている。 なお、本件商標「Optima」の右肩に表示されている「TM」の文字は、登録表示を意味する「TRADE MARK」の略称である。 乙第3号証は、日本国の通常使用権者「エス・ディ・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」による乙第2号証の商品カタログ(欧文)に関する印刷年月日及び使用証明である。 (4)乙第4号証は、日本国の通常使用権者「エス・ディ・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」が、東京都文京区在、「慶昌堂印刷株式会社」からの発注に基づいて、乙第1号及び乙第2号証に示される本件商標の使用商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」の販売形態の一つであるコンパクトディスク(CD)、すなわち「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶したコンパクトディスク(CD)」を販売した数量及びその金額を示す、平成16(2004)年9月1日付け請求書兼領収書である。 なお、当該使用商品の販売形態には、コンパクトディスク(CD)の他に、顧客がコンピュータから「エス・ディ・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」のインターネットホームページにアクセスし、当該使用商品を発注の上、これを直接ダウンロードして購入する方法も存在する。 (5)参考資料(1)として日本国の通常使用権者「エス・ディ・ジー株式会社(S.D.G.K.K.)」が本件商標「Optima」を付した商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」の国内顧客向け広告及び販売資料として現在も使用している事実を示す、インターネットホームページデータ(抜粋)を提出する。 (6)参考資料(2)として、特許庁においては、本件商標の使用商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」(11C01)が「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品と判断されている事実を証する商標登録第4793752号のIPDLデータを提出する。 (7)以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の予告登録日(平成17年3月16日)前3年以内に、その指定商品「電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」につき継続して日本国内において使用されていたものであり、したがって、請求人の主張については理由がないものである。 よって、本件審判請求においては、答弁の趣旨のとおりの審決を求める。 4 当審の判断 乙第1号証に添付のインボイス(送り状)は、被請求人との関係で、その送り状の社名の下部に表示されている「Ein Unternehmen der Heidelberg‐Gruppe」の記載からみれば通常使用権者と認め得るライノタイプ・ライブラリー社から、同じく本件商標の通常使用権者と認められる日本の総代理店「エス・ディ・ジー株式会社」宛てに作成された2通の書面と認められるところ、この送り状には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「OPTIMA」の文字が表示されていて、作成年月日は2003年2月26日及び2004年7月15日と認められる。 同じく、乙第2号証に添付の商品カタログ(カラー、欧文)は、該「ライノタイプ・ライブラリー社」の発行に係る「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」に関する商品カタログと認められるものであり、その最終頁には、「ライノタイプ・ライブラリー社」の社名の下部に「A division of the Heidelberg‐Group」の文字が記載がされており、また、日本の総代理店「エス・ディ・ジー株式会社」が営業所在地、電話番号等と共に印刷されている。 さらに、乙第4号証に添付の請求書は、該「エス・ディ・ジー株式会社」が日本における取引先「慶昌堂印刷株式会社」宛てに平成16年9月1日に作成した請求書及び領収書(写し)と認められるものであり、請求書の品名欄には、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「Optima」の文字が記載されていることが認められる。 しかして、上述したインボイス、商品カタログ及び請求書、領収書等は、その記載内容からみて実際の商取引の場で使用されたものと認められる。 以上の乙第1号証、乙第2号証及び乙第4号証並びに乙第3号証(商品カタログの使用証明書)及び参考資料(1)を総合すれば、本件商標の通常使用権者と認め得る「ライノタイプ・ライブラリー社」及び「エス・ディ・ジー株式会社」は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品に含まれる「コンピュータ用のフォントの電子的データを記憶した記憶媒体」について、本件商標を使用していたものと認めるのが相当である。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-12-22 |
結審通知日 | 2006-01-05 |
審決日 | 2006-01-17 |
出願番号 | 商願平6-53610 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(009)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 深沢 美沙子、石田 清 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
中村 謙三 井岡 賢一 |
登録日 | 1997-08-29 |
登録番号 | 商標登録第4051136号(T4051136) |
商標の称呼 | オプティマ |
代理人 | 飯田 伸行 |
代理人 | 加藤 義明 |