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審決分類 審判 全部無効 商4条1項15号出所の混同 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y19
管理番号 1137945 
審判番号 無効2005-89094 
総通号数 79 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-07-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-07-29 
確定日 2006-05-22 
事件の表示 上記当事者間の登録第4777760号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4777760号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4777760号商標(以下「本件商標」という。)は、平成
15年10月22日に登録出願、「ヴォーグ」の片仮名文字(「標準文字」による)を表してなり、第19類「セメント製外壁材」を指定商品として、同16年6月11日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標
(1)請求人が引用する登録第655209号商標(以下「引用A商標」という。)は、「VOGUE」の欧文字を横書きしてなり、昭和36年10月23日に登録出願、商品の区分第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同39年10月9日に設定登録、その後、四回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成17年4月6日付けで商品の区分第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書換登録されているものである。
(2)同じく、登録第967284号商標(以下「引用B商標」という。)は、「ヴォーグ」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和43年12月20日に登録出願、商品の区分第26類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同47年6月7日に設定登録、その後、三回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、指定商品については、平成14年11月27日付けで商品の区分第6類、第9類、第16類、第19類及び第20類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品に書換登録されているものである。
(3)同じく、登録第4547685号商標(以下「引用C商標」という。)は、「ボーグ」の片仮名文字(「標準文字」による)を表してなり、平成11年1月8日に登録出願、商品の区分第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同14年3月1日に設定登録されたものである。
(4)同じく、登録第4802292号商標(以下「引用D商標」という。)は、後掲のとおり「VOGUE」の欧文字を横書きした構成中の第2文字目の「O」の文字中に「NIPPON」の欧文字を横書きした構成よりなり、平成16年2月20日に登録出願、商品の区分第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同年9月10日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第146号証(枝番号含む。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第15号の該当性について
引用A商標「VOGUE」は、請求人の所有に係るファッション雑誌の題号として、日本を含め世界的に著名となっている商標である。
また、引用B商標は、引用A商標のカタカナ表記の「ヴォーグ」であって、我が国においては、第二次大戦以前より現在に至るまで、引用A商標のカタカナ表記として日本国内において使用され、日本国内で周知著名となっている。
次に、引用C商標は、引用A商標のカタカナ表記として、我が国の新聞社をはじめ、辞典,雑誌等の出版業界で「ボーグ」として使用され、本件商標の出願日以前から周知著名性を獲得し、現在に至っているものである。
引用A商標の称呼に関し、「日本語の感覚からすれば『ボーグ』と『ヴォーグ』の称呼の区別はつけにくいところである」点は、東京高裁によるVOGUE関連判決における認定でも明らかである。現に、我が国における「VOGUE」誌の説明においても「ボーグ」と表記している例も多く見られている。
しかも、「登録商標の著名度が高い場合には、その著名度の高い部分に世人の注意が集中し当該著名商標の称呼、観念が生じる」ことも裁判所においても明確に認定されているところである。
さらに、引用D商標は、我が国において、平成11年(1999年)から
専用使用権者「日経コンデナスト」により使用されている「VOGUE」誌の日本語版の標章である。標章の構成は、「VOGUE」の「O」の文字中に小さく「NIPPON」が附記されているものであり、実質的に「引用A商標」と同一標章である。
これに対し、本件商標は、標準文字のカタカナ「ヴォーグ」からなるものであるから、「ヴォーグ」の称呼,外観,観念が生じる。
このため、本件商標は、引用A商標と称呼及び観念が同一、引用B商標とは外観・称呼・観念が同一、引用C商標とは観念が同一、称呼が類似、引用D商標とは称呼及び観念が同一である
しかして、本件商標の指定商品は、建築用材料の1つである「セメント製外壁材」であるところ、最近の建築業界においては、建物の外装、内装のファッション化が急速に展開しており、「セメント製外壁材」は、ファッション重視の「建物」の代表的な商品である。したがって、ファッションについて世界的著名性を有する引用A商標ないし引用D商標と、本件商標とは、相互に関連性は深く、出所について混同を生ずるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は無効とされるべきである。
(2)商標法第4条第1項第19号の該当性について
商標権者は、本件商標の審査過程において、商標法第4条第1項第11号(引例3件)及び同第15号(引例「VOGUE」)の拒絶理由通知を受け、指定商品を補正して登録を認められたものであるから、当然、引用A商標の存在を知っていたはずである。
それにもかかわらず、指定商品の減縮補正及び補正後の指定商品である第19類「セメント製外壁材」とファッション商品との関係を、引用商標の周知・著名性の諸事実に反して、いとも簡単に否定するのみの意見書で、審査官は登録査定をしたものである。
このように、商標権者は、少なくとも「VOGUE(引用A商標)」の存在を十分承知の上で本件商標を採択したものであり、「不正の目的」を有していること明らかである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当し、無効とされるべきである。

4 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証(甲号証として提出しているが乙号証の誤記と認め、訂正して扱う。)を提出した。
答弁の理由
(1)本件商標の採択の理由
本件商標は、「ヴォーグ」の仮名文字よりなるものであり、該語は、「コンサイス カタカナ語辞典」(1998年1月10日第13版発行 株式会社三省堂)(乙第1号証)にも掲載されているように、外来語として知られ親しまれている「流行、はやり、服飾界でいうことが多い」と解説されている「ボーグ」「VOGUE」の発音に近い表記を採用したものである。
そして、「ヴォーグ」(ボーグ)の語は、前記カタカナ語辞典にも掲載されているように、我が国においては、一般に知られ、親しまれているものであり、被請求人は、これを商標として採択・使用することを欲し、請求人に係る商標であることを何ら意識することなく、登録出願したものであり、不正の意志を持って出願したものではない。
(2)「ヴォーグ」「ボーグ」「VOGUE」の語について
引用D商標に係る「VOGUE」商標が服飾界において、知られ著名になっているとしても、本件商標の登録出願時において、服飾・ファッション関連の雑誌は、我が国において「JJ(ジェイジェイ)」、「家庭画報」、「25ans」、「marie claire」、「装苑」、「ミセス」、「MEN’S CLUB」、「エル・ジャポン(ELLE JAPON)」等多数の雑誌が発行されており(乙第2号証)、ファッション関連雑誌は、何十万部、何百万部も発行されているところ、その中の一雑誌である引用D商標「VOGUE NIPPON」の発行部数は、月刊9万部程度であり、我が国におけるファッション関連雑誌の発行部数・購読者数から見ても、僅かであると推認し得るところである。
(3)引用D商標の使用に係る商品「ファッション雑誌」の取引者、需要者と本件商標の指定商品の取引者、需要者とは、相違し、かつ、本件商標の指定商品の取引者、需要者は、引用D商標の雑誌は、ほとんど目にしていないと見るのが相当である。
また、請求人は、ファッション雑誌の出版は、行っているとしても、他の業種に進出している事実を証する証左を提出していないし、ファッション関連の商品について紹介などをする雑誌の発行にとどまっているものと推認されるものであり、建材業界とは何ら関係のない者であるというべきである。
(4)近時、デザイナーズブランドの建造物・マンションなどが注目されているとしファッションブランドと称しているとしても、それは、建築デザイナーであって、服飾などのデザイナーを指しているものでないことは、当然の理である。
通常「建造物・マンション」のデザインは、建築士の資格を有する者により設計されるものであり、一般のファッションデザイナー(服飾関連の者)が「建造物・マンション」のデザインをすることはないものというべきであるから、建築物のファッション化現象と称しても、それを取り扱う者は、服飾界と相違する者に係るものであるというべきである。
いわんや、本件商標の指定商品は、「セメント製外壁材」であり、建築物を形作る前の建築材料の一つであって、これを取り扱う者は、建築士、外壁材を取り付ける作業者である鳶・左官職と称される者等であり、商品を取り扱う作業は、力仕事に属し、一般に男社会の仕事に属する者が主たる取引者、需要者であるというべきであるから、これらの者が引用D商標を付した雑誌を愛読しているとは考えられないものである。
さらに、引用A商標ないし引用C商標は、本件商標の登録出願時において、本件の指定商品を取り扱う者の間において知られ、著名になっていたものとは認められない。
(5)そして、引用D商標を付した雑誌は、本件商標の登録出願時において、本件商標の指定商品を取り扱う者が請求人らの使用に係る商標であるという認識を持っているとも認められないものというべきである。
請求人は、ある雑誌社が建築関連に関わっていると主張するが、その数は
僅かな数であり、そのことをもって請求人が本件商標の指定商品を取り扱っている、又は、本件商標の指定商品と関連があると推認することはないというべきである。
(6)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、「ヴォーグ」の仮名文字よりなり、服飾関連業界において著名となっていると主張する引用D商標とは、その構成文字において相違するものである。
また、請求人は、「ボーグ」の文字や「ヴォーグ」の文字からなる商標を「ファッション雑誌」について使用しており、本件商標の登録出願時に本件商標の指定商品において著名になっていたとする証左は、何ら提出していないものであるから、引用D商標が服飾界において著名であるとしても、「ボーグ」及び「ヴォーグ」の文字商標が本件商標の指定商品において著名になっていたとは、認められない。
本件商標と引用A商標ないし引用D商標とが、「ヴォーグ(ボーグ)」の称呼において類似することは否定しないし、「流行、はやり」の観念を生ずる点において類似することも否定しないが、「ヴォーグ」の文字に接する本件商標の指定商品の取引者、需要者が前記観念を有するものと把握、認識するとしても、前記のとおり、本件商標の指定商品を取り扱う者は、雑誌の取引者、需要者とは、相違し、また、本件商標の指定商品と雑誌の取引系統とは、明らかに相違するものであるから、「ヴォーグ」の文字に接した場合、請求人に係る雑誌を認識するとは、認められない。
したがって、本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、請求人に係る雑誌の商標(引用D商標)及び引用Aないし引用C商標を連想、想起することはなく、かつ、請求人に係るもの、あるいは、請求人と組織的、経済的に関連のある者に係るものであるかのごとく、その商品の出所について、誤認、混同を生ずるおそれはないものと判断するのを相当とする。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものでなく、請求人の主張は、失当である。
(7)商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標は、前述したように、一般に知られ親しまれている「流行、はや
り」を意味するカタカナ語辞典に掲載されている外来語であり、本件商標の指定商品を取り扱うこの種業界においても前記意味合いを有するものとして知られているものと推認し得る。
そして、このような外来語の既成語を採択使用することは、一般に行われているところであり、かつ、「ヴォーグ」の語が、請求人に係る商標であるとして、本件商標の指定商品を取り扱う取引者、需要者の間に認識されていないことから、採択したものであり、請求人の使用に係る引用D商標や引用A商標ないし引用C商標に便乗、ただ乗り使用として採択したものでないことは、明らかである。
請求人は、「ヴォーグ」「ボーグ」「VOGUE」の語が「流行、はやり」を意味するものとして使用されていないと主張しているが、使用されていないことと、「流行、はやり」の意味を有する語として知られていることとは別異のことであり、「ヴォーグ」「ボーグ」の語に接する者は、「流行、はやり」の意味を有するものと認識するというべきであり、本件商標の指定商品を取り扱う取引者、需要者は、引用D商標や引用A商標ないし引用C商標を連想、想起するとは、認められない。
被請求人は、このような外来語の既成語である「ヴォーグ」の語を商標として採択、使用することを欲し、登録出願したものであって、不正の意志は、何らないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものでなく、請求人の主張は、失当である。

5 当審の判断
(1)請求人より提出された甲第6号証ないし甲第146号証によれば、請求人が発行している、ファッション雑誌「VOGUE」及び「ヴォーグ」の題号は、本件商標の出願日(平成15年10月22日)前より、我が国を含む世界において永年使用されてきた結果、取引者・需要者の間においてよく知られていた事実を認め得るところである。
また、「VOGUE」(ヴォーグ)の語は、英語又はフランス語で「人気、流行」の意味を有する語若しくはその表音表示であるが、我が国においては上記意味合いをもって認識するというよりも、上記ファッション雑誌の題号として、広く認識されているものと見るのが相当である。
(2)被請求人は、「近時、デザイナーズブランドの建造物・マンションなどが注目されているとしファッションブランドと称しているとしても、それは、建築デザイナーであって、服飾などのデザイナーを指しているものでないことは、当然の理である。通常『建造物・マンション』のデザインは、建築士の資格を有する者により設計されるものであり、一般のファッションデザイナー(服飾関連の者)が『建造物・マンション』のデザインをすることはないものというべきであるから、建築物のファッション化現象と称しても、それを取り扱う者は、服飾界と相違する者に係るものであるというべきである。いわんや、本件商標の指定商品は、『セメント製外壁材』であり、建築物を形作る前の建築材料の一つであって、これを取り扱う者は、建築士、外壁材を取り付ける作業者である鳶・左官職と称される者等であるから、これらの者が引用D商標を付した雑誌を愛読しているとは考えられない。」「建築業界は男社会であるから、『ファッション雑誌』を見る者はいない」と主張している。
しかしながら、最近の建築業界において、建物の外装、内装のファッション化が急速に展開していることは事実であり、これらをデザイン又はコーディネイトする者を「建築デザイナー」、「インテリアデザイナー」又は「インテリアコーディネーター」等と称していることも事実である。
また、建築は、本来「請負」であるところから、その需要者は、建築主自体であり、したがって、「これを取り扱う者は、建築士、外壁材を取り付ける作業者である鳶・左官職と称される者」に限定されるわけではなく、本件商品「セメント製外壁材」もまたこの例にもれず、ファッション雑誌「VOGUE」の需要者ではないということはできない。
(3)そして、本件商標を構成する「ヴォーグ」の文字に接する取引者・需要者が最初に想起するのは、フランス語「VOGUE」の日本語表記としてではなく、被請求人の使用する「ファッション雑誌」の名前であることは、経験則に照らして、相当というべきである。
(4)そうとすれば、ファッション雑誌「VOGUE」の我が国を含む世界的な周知・著名性を考慮すると、被請求人が本件商標をその指定商品について使用するときは、あたかも、当該商品が請求人と組織的又は経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわざるを得ない。
そして、その著名性は、現在も継続しているものと認められる。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 引用D商標


審理終結日 2006-03-27 
結審通知日 2006-03-31 
審決日 2006-04-11 
出願番号 商願2003-92715(T2003-92715) 
審決分類 T 1 11・ 271- Z (Y19)
最終処分 成立  
前審関与審査官 谷村 浩幸 
特許庁審判長 大場 義則
特許庁審判官 内山 進
柳原 雪身
登録日 2004-06-11 
登録番号 商標登録第4777760号(T4777760) 
商標の称呼 ボーグ 
代理人 平木 祐輔 
代理人 水谷 安男 
代理人 岩△崎▽ 和夫 
代理人 島田 義勝 
代理人 安田 徹夫 
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