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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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取消200531137 | 審決 | 商標 |
審判199931384 | 審決 | 商標 |
取消200331101 | 審決 | 商標 |
審判199931222 | 審決 | 商標 |
取消200330345 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 全部取消 商標の同一性 無効としない 104 |
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管理番号 | 1136624 |
審判番号 | 取消2005-30546 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-06-30 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2005-05-10 |
確定日 | 2006-05-08 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1791140号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第1791140号商標(以下「本件商標」という。)は、「サーパス」の片仮名文字を横書きしてなり、昭和57年8月20日登録出願、第4類「化粧品(薬剤に属するものを除く)」を指定商品として、同60年7月29日に設定登録がなされ、その後、商標権の存続期間の更新登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により本件商標の指定商品、第4類「化粧品(薬剤に属するものを除く)」についての登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求め、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む。)を提出した。 1 請求の理由 (1)請求人の調査によれば、商標権者は、本件商標を指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」につき継続して3年以上日本国内において使用していないこと、本件商標を使用していないことについて何等正当な理由が存することも認められないこと、及び、本件商標について専用使用権の設定又は通常使用権の許諾の登録もなく使用権者による使用ということも問題にならないことから、本件商標は商標法第50条第1項に該当する。 (2)証拠の説明 ア 甲第3号証の1ないし3(商標調査報告書) (ア)甲第3号証の1の「1.所見」によれば、「商標『サーパス/SERPAS』は、依頼の指定商品(化粧品:請求人注)に関して、株式会社シーボン(以下、当該企業)の製品(化粧水)に使用されていました(ただし、平成14年2月28日現在で在庫はなくなっております。)。当時の製品名は”サーパスプラスナチュール(ニュートリックスM)”で、厚生労働省の取扱は医薬部外品でした。販売中止の原因としては、本製品には原料として牛の胎盤が使用されており、BSE問題の発生により安全性を確保する観点から、製造販売中止となった模様です。当時の商品価格は4,000から5,000円で、後継商品はありません。」と記載されている。 (イ)本調査の確認先は、商標権者である「株式会社シーボン」である。 (ウ)甲第3号証の2は、「BSE調査検討委員会の最終報告書(要旨)」で、BSE問題の食品の安全性に対する深刻な影響が報告されている。 (エ)甲第3号証の3は、次の項目イ 甲第4号証で説明するように、厚生省の「BSEに関するリスクのクラス分類表に基づく報告及び回収の状況」のリストで、前述の「1.所見」で示したように、平成14年2月28日現在で在庫がなくなっていることを示している。 イ 甲第4号証(平成13年10月2日付の局長通知に基づくBSE関連商品の報告及び回収などの状況) 被請求人の商品(化粧品)は、区分(ロ)に分類されており、甲第3号証の3に先立つ平成13年10月29日の時点ですでに在庫がないとなっている。 (3)以上から、被請求人による化粧品の販売は、遅くとも平成13年10月29日の時点ですでに本件商品(化粧品)の在庫がなくなっており、且つ、本件商品(化粧品)の販売中止理由がBSE問題であるから、それ以後の後継商品の販売はないと断定できる。 してみれば、本件審判請求日(平成17年5月10日)から過去3年以上にわたり、継続して日本国内において、被請求人が本件商標を付して本件商品(化粧品)の販売を行ったという事実はないと判断できる。 また、甲第1号証によって、本件商標権について使用権の設定登録もないので、本件商標権にかかる使用権者による使用もないと判断できる。 (4)したがって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき本件商標の指定商品につき取消審判を請求するものである。 2 弁駁の理由 平成17年7月22日答弁書について次のとおり弁駁する。 (1)被請求人は、乙第1号証ないし乙第10号証を提出して「本件商標は本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の登録日前3年以内に国内において使用した事実がある。」と述べているが、被請求人(株式会社シーボン)の製品(マッサージクリーム)について使用された標章(サーパスプラスナチュール マセM)は、本件商標とは異なる使用態様であって、以下のように、いわゆる社会通念上同一の商標ということはできないので、本件商標の登録は取り消しを免れない。 (2)乙第1号証ないし乙第8号証は、答弁書によれば、いずれも本件審判請求の登録日前3年以内より遥か昔の1983年ないし1997年における使用であり、僅か乙第9号証及び乙第10号証が2003年4月1日及び同18日の納品書(控)で本件審判請求の登録日前3年以内の範囲内である。 ここで、乙第9号証及び乙第10号証には前述のような発行日付けが記載されているが、乙第1号証はともかく、乙第2号証ないし乙第8号証は答弁書に記載されているような日付はないし、答弁書にも乙第2号証ないし乙第8号証のどこにそのような記載がなされているのかその箇所の指摘もなく、本件審判の証拠として採用できない。 ア 乙第1号証は、1991年4月までの社史が記載されていることから、少なくとも1991年4月頃に発行されたものと思われる。 ただ、資料作成者は、被請求人会社とは関係のない社外法人であり、当該社史との関係についての記載及び証拠がないこと、作成者本人(自然人)でなく法人名しか記載されておらず、(法人)が書類作成をすることができないことから、記載の(法人)が乙第1号証のパンフレットを作成したとは直ちにいえない。 また、該社史中、[自然成分の「サーパスシリーズ」を発表]とあるが、当該サーパスシリーズがどのような商品であるのかを示す記述はない。そこで同証拠を更に参照すると「シーボン・マキシムIIセット」、「シーボン・クリニメディックシリーズ」、「シーボン・薬用美容液シリーズ」及び「シーボン・カラーコレクション」などの商品群が記載されているが(ただし、商品姿図は判別不可能)、他の証拠(乙第2号証ないし乙第8号証)を参照してもこれら商品群のいずれにも「サーパスシリーズ」が使用されている事実はなく、使用されていたのは「サーパス」「SURPASS」のみである。 イ 乙第2号証は、昭和60(1985)年3月発行ということであるが、そのような記載も見受けられないし、証拠のどの部分にそのような記載があるかという指摘もない。 しかも、[下半分に「化粧品『サーパス』」の文字と、「SURPASS」表示化粧品の写真が示されております。本号証により、乙第1号証として提出する「会社案内」中のサーパスシリーズの化粧品外観が明確であります。]とのことであるが、乙第1号証の写真が全く不鮮明であること、しかも乙第2号証が乙第1号証のどの部分に該当するかの指摘もないことから判別することすらできない。 ウ 乙第3号証も昭和60(1985)年3月発行ということであるが、乙第2号証同様そのような記載がどこにも見受けられないだけでなくその箇所の指摘もない。 加えて[乙第1号証として提出する「会社案内」中のサーパスシリーズが10品の写真として印刷表示されており…]と主張しているが、乙第1号証の写真が全く不鮮明であり、しかもカタログ記載の商品内容を羅列するのみで、乙第1号証のどの部分に該当するかの指摘もなく、乙第3号証が乙第1号証のどの部分に該当するものであるかを判別することすら出来ない。 加えて前記指摘がないので、前記「10品のサーパスシリーズ」の意味そのものも理解し難い。 エ 乙第4号証も平成3(1991)年1月の使用ということであるが、乙第2号証、乙第3号証同様そのような記載がどこにも見受けられないだけでなく、やはりその箇所の指摘もない。 しかも[本号証により、乙第1号証として提出する「会社案内」中のサーパスシリーズの新商品が発売されたことが明確であります。]と主張しているが、乙第4号証に発行日付がなく、かつ、カタログに記載されている商品群に関する羅列があるだけで前記同様「会社案内」のサーパスシリーズと乙第4号証とがどのような関係にあるのかの指摘もなく理解不能である。 換言すれば、前述のように[自然成分の「サーパスシリーズ」]だけでは、一体どのような商品にこれが使用されたのか不明であって、乙第4号証に記載の商品が乙第1号証記載の[自然成分の「サーパスシリーズ」]に関係するとは俄かに断じがたい。 オ 乙第5号証も平成3(1991)年3月の使用ということであるが、前述同様、そのような日付はどこにも記載されていないし、記載箇所の指摘もない。わずかに第1頁に「’91Vol.2」と記載されており、1991年に作成されたことを窺わせる記載があるものの、3月というまでの記載はない。 加えて、乙第5号証が仮に平成3(1991)年発行であるとしても、乙第1号証の[自然成分の「サーパスシリーズ」]は1983年であり、日付的にも大きな隔たりがあること、前述同様カタログ記載の商品内容を羅列するのみであって、[本号証により、乙第1号証として提出する「会社案内」中のサーパスシリーズの新商品が発売されたことが明確であります。]と主張する根拠は全くない。 カ 乙第6号証は平成4(1992)年10月、乙第7号証は平成5(1993)年1月及び乙第8号証は平成9(1997)年1月の使用であるとのことであるが、そのような日付はどこにも記載されていないし、記載箇所の指摘もない。 以上、乙第2号証ないし乙第8号証は、本件審判請求の登録日から遡って3年以上より前の発行のものである。 したがって、乙第2号証ないし乙第8号証の中で使用されている標章は、その後の前記登録日から遡って3年以内でも使用されていない限り、本件審判における当然「使用」とは認められないのである。 そこで、「3年以内の使用」である乙第9号証及び乙第10号証によって、「サーパスプラスナチュール マセM」という標章のみが認められる。「サーパスプラスナチュール マセM」は前半の「サーパスプラスナチュール」と後半の「マセM」との間に一文字のスペースが認められるので、ここからは「サーパスプラスナチュール」と「マセM」という称呼が発生することが明らかである。そして、前半の「サーパスプラスナチュール」は、一連一体且つ同大・同字体・同色で横一列に記載されており、しかも滑らかに発音されるものであるから、商標法第50条に関しては「サーパスプラスナチュール」の称呼のみが発生するといえる。この点は判例により更に説明する。 このように考えると、乙第1号証ないし乙第8号証に記載されている標章「サーパスシリーズ」「サーパス」「SURPASS」は本件審判においては「使用」と認められないということになる。 なお、「サーパスシリーズ」「サーパス」「SURPASS」と「サーパスプラスナチュール」との商標法第50条における同一性であるが、前述のように「サーパスプラスナチュール」が一連一体の造語であると認められ、「サーパス」だけを分離抽出することができないから、「サーパスシリーズ」「サーパス」「SURPASS」とは明らかに商標法第50条における同一性がないといえる。 したがって、使用標章は「サーパスプラスナチュール」のみであるということになる。 (3)商標法第50条における同一性 商標法第50条第1項によれば、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」を使用した場合も、登録商標の使用と認める旨規定されている。換言すれば、上記基準から外れる標章の使用を行えば、「不使用」ということになる。 そこで、まず、本件商標について見てみると、本件商標は片仮名文字で「サーパス」と横書きした構成の商標よりなる。 一方、使用標章は前述の通り、「サーパスプラスナチュール」である。 第1に、前述の本件商標は、「サーパス」の片仮名文字の4文字で構成されているのに対し、使用標章「サーパスプラスナチュール」は片仮名12文字の明朝体文字で構成されるため、両者は一見して構成が異なり、外観において同視することが出来ない。 第2に、本件商標「サーパス」からは「サーパス」の称呼のみを生じ、他の称呼を生じない。これに対し前述のように使用標章からは「サーパスプラスナチュール」の称呼のみ生じるので、両者は同一の称呼を発生しえない。 第3に、「サーパス」なる語は特定の観念を生じさせるものとはいい難い。 したがって、商標法第50条第1項の「同一性」の基準から大きく外れ、使用標章は本件商標と同一性を有する範囲内での使用とは明らかにいえない。 (4)判決例 商標法第50条に関し、「社会通念上の同一性」について判断した以下のような判決例[東京高等裁判所平成12年(行ケ)第422号]によると、 登録商標が「Magic」の文字を横書きし、指定商品を化粧品その他本類に属する商品とするものであるところ、使用商標の態様が、「ALOE」と「MAGIC」の文字を上下2段に横書きして表したものであること、「ALOE」と「MAGIC」の文字は書体及び大きさが同一であること等を認定した上で、以下のように判示している。 「使用商標は上下2段に表されているとしても、その全体が外観において極めて緊密な一体性を有しているということができ、これに接した取引者・需要者が「ALOE」の文字部分が原材料表示であると理解し、下段の「MAGIC」の文字部分のみを独立した商標として認識することは極めて不自然であるから、使用商標は全体として1個の商標を構成すると認めるのが相当で、使用商標をクリームに使用したことをもって、登録商標を指定商品に使用したことに当たるということはできないとして、商標法第50条により登録商標の登録取消請求を認容した審決に取り消すべき瑕疵はない。」 なお、これと同趣旨の判決例として、東京高等裁判所平成12年(行ケ)第498号がある。 これを本件に照らしてみると、「サーパスプラスナチュール」は登録商標「サーパス」に指定商品の用途・品質等表すと思われるフランス語らしき「ナチュール」と、これを「サーパス」に付加する意味の「プラス」とを渾然一体とした造語で、既に述べたように同一の書体及び大きさで隙間なく連続されており、全体として1個の商標を構成すると認めるのが相当で、商標法第50条の「使用」に関しては、使用標章「サーパスプラスナチュール」をマッサージクリームに使用したことをもって、登録商標「サーパス」を指定商品に使用したことに当たるということはできない。よって、商標法第50条により本件商標はその登録を取消されるべきである。 (5)以上のとおり、乙各号証によって、被請求人の使用標章が、社会通念上同一の商標であることを立証することはできず、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消されるべきものである。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第13号証を提出した。 1 答弁の理由 (1)被請求人は、本件商標を本件審判請求に係る指定商品について、本件審判請求の登録日前3年以内に国内において使用した事実がある。 (2)審判請求書の「(3)証拠の説明」の項、第2ないし7行中の「商標『サーパス/SERPAS』は、依頼の指定商品(化粧品:請求人注)に関して、株式会社シーボン(以下、当該企業)の製品(化粧水)に使用されていました。」との主張中の「SERPAS」を除く主張、及び「当時の製品名は”サーパスプラスナチュール(ニュートリックスM)”で、厚生労働省の取り扱いは医薬部外品でした。」との主張は認め、その余は否認ないし不知である。 (3)本件商標が、本件審判請求に係る指定商品に関して使用したことを証明するため証拠方法を提出する。これらの証拠方法によって、請求人が認めるサーパスプラスナチュール製品中、ニュートリックスM(化粧水)についてはともかく、マセM(マッサージクリーム)について、登録商標が使用された事実を証明し、商標法第50条括弧書きの社会通念上同一と認められる商標の使用を主張する。 (4)乙各号証に示されている本件商標の使用者は、本件商標権者である。なお、請求人の弁駁次第では、新たな証拠方法等を提出する予定である。 2 答弁の理由(第2回) 本件商標は本件審判請求に係る指定商品に関し、本件審判請求の登録日前3年以内に国内において使用した事実を証明するために証拠補充を行う。 即ち、乙第9号証及び乙第10号証によって、商標権者がサーパスプラスナチュールセット3品中のマッサージクリームである「マセM(品番Y-SM)」が2003年4月に販売されたことが明確であり、「サーパス」商標について商標法第2条第3項第2号の規定による「使用」に該当することを証明した。また、乙第11号証ないし乙第13号証によって、かかる販売の事実を示す証拠を更に補充立証する。 第4 当審の判断 1 乙号証について (1)乙第7号証は、商標権者(被請求人)が発行した商品カタログ(写し)と認められるところ、このカタログ(表紙)には、大きく書された「C’BON」の文字があり、その中頁の左側半分の上部には、やや図案化された「SURPASS」の欧文字が表示されており、その下に3種の商品写真が並べて撮影されていて、それぞれ(ア)化粧水として「サーパスナチュール ニュートリックスM」、品番「Y-SN」、(イ)マッサージクリームとして「サーパスナチュール マセM」、品番「Y-SM」、(ウ)乳液として「サーパスナチュール エマルジョンM」、品番「YーSE」と記載がされていていることが認められる。 (2)乙第8号証は、同じく商標権者(被請求人)が発行した商品カタログの商品の紹介頁及び本件商標を使用した商品の拡大頁(3頁・写し)と認められるところ、その2頁目の右側には、やや図案化された「SURPASS」の欧文字が表示が表示されており、その下に乙第7号証で紹介されている(ア)及び(イ)の商品の商品写真、品名、品番が同様に掲載されていることが認められ、かつ、3頁目には上記部分が拡大されて表示されていることが認められる。 (3)乙第9号証及び乙第10号証は、2003年4月1日及び同年4月18日に商標権者(被請求人)(会社)・栃木工場が取引先宛に発行した納品書(写し)と認め得るものであり、この取引書類には他の納品物と同様に、乙第7号証及び乙第8号証に掲載されていた商品(イ)マッサージクリームの「サーパスナチュール マセM」及び品番「Y-SM」が商品コード、数量、金額等と共に記載されていることが認められる。 2 社会通念上の同一について 本件商標は、「サーパス」の片仮名文字よりなるところ、乙第7号証及び乙第8号証には、やや図案化された「SURPASS」の欧文字(以下「使用商標」という。)が表示されている。 しかして、商標法第50条第1項は、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標」などは、社会通念上同一の商標と認められる旨規定している。 そして、「SURPASS」「サーパス」は、ともに、「サーパス」の称呼のみを生じ、「超える」の意味を有する英語である。 そうとすれば、使用商標「SURPASS」は、本件商標「サーパス」を欧文字(ローマ字)に変更するものであって、同一の称呼及び観念を生ずる商標である。 したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標である。 3 請求人は、弁駁書で該カタログには、(ア)商標権者(被請求人)が述べている発行年月日の記載がないので本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標を使用した事実を立証するものとは認められない。(イ)商標権者(被請求人)の製品(マッサージクリーム)について使用された標章(サーパスナチュール マセM)は本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない旨述べているが、本件審判の予告登録日は、平成17年(2005年)5月30日であって、提出に係る該カタログに発行年月日が表示されていないとしても、現実に商品を取引したことが認められる乙第9号証及び乙第10号証の納品書には、上記したとおり、それぞれ2003年4月1日及び同年4月18日に発行されたと認め得る年月日があり、これらの日付は上記の予告登録日前3年以内に使用されていたことが証明されるものであって、かつ、納品書中には、「サーパスナチュール マセM」と記載されているものの、一緒に記載されている品番「Y-SM」からすれば、該商品は、品番「Y-SN」及び「Y-SE」とともに、本件商標と社会通念上同一と認め得る使用商標「SURPASS」が付された該商品カタログに掲載されている3種の商品中の一というべきであるから、これらの点に関する請求人の主張は採用することができない。 また、請求人は、本件審判請求書において、調査機関が調査したと認められる「商標調査報告書」(甲第3号証の1ないし3)を提出して、本件商標を付した商品(化粧品)の販売中止理由がBSE問題に関連する商品であるから、本件商標は使用されていなかった旨(なお、弁駁書ではこの点に関し何らの主張もしていない。)を主張しているが、該調査報告書に記載されている商標及び商標登録番号は、本件商標とは異なるものであるから、この点に関する請求人の主張も採用の限りでない。 そうとすると、被請求人が本件商標の使用を立証するものとして提出した上記の商品カタログ及び納品書によれば、本件商標は、本件審判請求の取消に係る指定商品「化粧品」に属する「マッサージクリーム」に使用されていたことが認められる。 4 結論 してみれば、商標権者は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を本件審判請求に係る指定商品「化粧品」について使用をしていたものと認めることができる。 したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-03-06 |
結審通知日 | 2006-03-10 |
審決日 | 2006-03-22 |
出願番号 | 商願昭57-73340 |
審決分類 |
T
1
31・
11-
Y
(104)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小野里 高次 |
特許庁審判長 |
中村 謙三 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 久我 敬史 |
登録日 | 1985-07-29 |
登録番号 | 商標登録第1791140号(T1791140) |
商標の称呼 | サーパス |
代理人 | 坂口 信昭 |
代理人 | 森 義明 |