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審決分類 |
審判 全部無効 商4条1項7号 公序、良俗 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z1635 |
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管理番号 | 1136448 |
審判番号 | 無効2005-89109 |
総通号数 | 78 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-06-30 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2005-08-29 |
確定日 | 2006-04-26 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4413843号商標の商標登録無効審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第4413843号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4413843号商標(以下「本件商標」という。)は,「丘のまちびえい」の文字を横書きしてなり,平成11年2月18日に登録出願,第16類「写真,印刷物,紙類,紙製包装用容器,家庭用食品包装フィルム,紙製ごみ収集用袋,プラスチック製ごみ収集用袋,衛生手ふき,型紙,紙製テーブルクロス,紙製テーブルナプキン,紙製タオル,紙製手ふき,紙製のぼり,紙製旗,紙製ハンカチ,紙製ブラインド,紙製幼児用おしめ,裁縫用チャコ,荷札,書画,写真立て,遊戯用カード,文房具類,事務用又は家庭用ののり及び接着剤,青写真複写機,あて名印刷機,印刷用インテル,印字用インクリボン,活字,こんにゃく版複写機,自動印紙はり付け機,事務用電動式ホッチキス,事務用封かん機,消印機,製図用具,装飾塗工用ブラシ,タイプライター,チェックライター,謄写版,凸版複写機,文書細断機,封ろう,マーキング用孔開型板,郵便料金計器,輪転謄写機,観賞魚用水槽及びその附属品」及び第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定商品又は指定役務として,同12年9月1日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は,結論同旨の審決を求める,と主張し,その理由を要旨以下のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第15号証(枝番号を含む。なお,甲第9号証については,「号証」の表示がないが,平成14年度ないし同16年度の「観光客入込調査標」を採用する。)を提出した。 本件商標は,請求人の丘の風景が「丘のまちびえい」として全国的に知れわたり,認知された称呼をそのままに引用したものである。 請求人は,請求人の広報誌のタイトルを「びえい」として発行してきたが,平成6年(1994年)10月16日の発行のより,広報誌「びえい」のサブタイトルに「丘のまち」を採択し,「丘のまちびえい」として発行してきたものであり(甲第8号証),平成7年3月に策定した「美瑛町サイン整備計画」において,指定書体として決定してからは,請求人のみならず,請求人町民,各団体等が使用し,現在(平成16年8月27日)では,多くの者がその地域を表すものとして使用している(第10号証)。 被請求人の取締役である「武田信玄」は,平成7年5月1日から同15年4月30日まで,請求人の町議会議員として奉職していたものであるが,議員在職中に本件商標を出願したものである。したがって,被請求人は,当時,上記実情を承知の上で,本件商標を出願したものである。 現在,本件商標の存在により,(「丘のまちびえい」の文字の)使用を取りやめたり,使用の継続を心配したりして,その経済的・精神的損害は,計り知れず,この商標は,請求人の町民等に広く開放しておくべきであり,特定人の独占使用を認めることは,著しく公益を害するものである。 以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に該当するものであるから,同法第46条第1項の規定により,登録を無効とされるべきものである。 3 被請求人の答弁 被請求人は,答弁しない。 4 当審の判断 本件商標は,前記のとおり,「丘のまちびえい」の文字よりなるものである。 そして,請求人の提出に係る甲各号証及びその述べるところによれば以下の事実が認められる。 請求人は,北海道上川郡に所在する地方公共団体であって,自己の発行する広報誌「びえい」の平成6年(1994年)10月16日の発行により,サブタイトルに「丘のまち」を採択し(甲第8号証),また,平成7年(1995年)3月に「美瑛町サイン整備計画」を策定し,「丘のまちびえい」の文字をその理念を表彰するものとして採択し(甲第6号証),表示板等の統一化を図るとともに,請求人の町のシンボルマークとして使用し,現在(平成16年8月27日)では,多くの者がその地域を表すものとして使用している(第10号証)。 他方,被請求人は,「農業,林業,畜産業,農産物及び畜産物の加工販売等」を業務とする有限会社であり(甲第2号証の1,なお,現在は,閉鎖されている。甲第2号証の2),その取締役である「武田信玄」は,本件商標の出願当時,請求人議会の議員であったことが認められる(甲第1号証,甲第4号証及び甲第5号証)。 ところで,商標法第4条第1項第7号は,「公の秩序善良の風俗を害するおそれがある商標」を具体的不登録理由として定め,その趣旨は,商標の構成自体が矯激な文字や卑猥な図形等よりなり,秩序又は風俗を害するおそれのあることが明らかな商標ばかりでなく,商標の構成自体がそうでなくとも,指定商品について使用することが社会公共の利益に反し,又は,社会の一般的道徳観念に反するような場合も含まれるものと見るのが相当と解されるところである。 そこで,本件について見るに,本件商標は,請求人による,町の経済の振興を図るという地方公共団体としての政策目的に基づく公益的な施策に便乗して,その遂行を阻害し,公共的利益を損なう結果に至ることを知りながら,「丘のまちびえい」の名称による利益の独占を図る意図で出願したものと認められるから,本件商標は,公正な競業秩序を害し,公序良俗に反するものである。 してみれば,本件商標は,商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 したがって,本件商標は,商標法第46条第1項の規定により,その登録を無効とすべきである。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2006-02-14 |
結審通知日 | 2006-03-23 |
審決日 | 2006-02-28 |
出願番号 | 商願平11-14434 |
審決分類 |
T
1
11・
22-
Z
(Z1635)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 須藤 祀久 |
特許庁審判長 |
柳原 雪身 |
特許庁審判官 |
小出 浩子 山本 良廣 |
登録日 | 2000-09-01 |
登録番号 | 商標登録第4413843号(T4413843) |
商標の称呼 | オカノマチビエイ、オカノマチ |