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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 111
管理番号 1136342 
審判番号 取消2005-30202 
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-06-30 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2005-02-24 
確定日 2006-04-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2657967号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2657967号商標(以下「本件商標」という。)は、「Exella」の文字を籠字で横書きしてなり、昭和63年8月24日に登録出願、第11類「コンピュータプログラム記録済磁気ディスク,コンピュータプログラム記録済磁気カード,コンピュータプログラム記録済磁気テープ,コンピュータプログラム記録済磁気ドラム,コンピュータプログラム記録済光学ディスク」を指定商品として、平成6年5月31日に設定登録、その後、指定商品については、平成17年6月8日の書換登録により、第9類「コンピュータプログラム記録済磁気ディスク,コンピュータプログラム記録済磁気カード,コンピュータプログラム記録済磁気テープ,コンピュータプログラム記録済磁気ドラム,コンピュータプログラム記録済光学ディスク」とされ、現に有効に存続しているものである。
また、本件審判の請求の登録日は、平成17年3月16日である。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上日本国内において使用された事実がないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標を「コンピュータプログラム記録済光学ディスク」(以下「使用商品」という。)について継続的に使用していると主張するが、以下の理由から、その使用は、商標法第50条の要件を満たすものではない。
(2)使用に係る商標(以下「使用商標」という。)について
商標法第50条における登録商標の使用とは、登録商標だけでなく、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む」とされている(商標法第50条第1項かっこ書き)ところ、乙各号証における使用商標は、以下のように、本件商標の使用に該当しないだけでなく、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用には当たらない。
(ア)乙第1号証の1及び乙第2号証の1(購入申込書)、乙第1号証の3及び乙第2号証の2(受領書)に製品名として記載されているのは、「Exella/Simμ」である。当該表記は同書、同大、等間隔でまとまりよく構成されているため、「Exella/Simμ」全体で一体不可分であると考えるのが自然である。
(イ)乙第4号証の1(提案書)には、製品名としては「Exella-BASIC」という表記が使用されており、当該表記は同書、同大、等間隔でまとまりよく構成されているため、全体として一体不可分であると考えるべきである。
(ウ)乙第5号証の1及び2(包装用箱)の正面及び側面に「Exella&ExRon」との表示がみられ、同裏面には、「Exella」と「ExRon」が二段に横書きされている。「Exella&ExRon」は同書、同大にまとまりよく構成されているため、全体として一体不可分である。また、二段書きの「Exella/ExRon」も同じ書体でまとまりよく構成されており、各文字の間及び上段と下段の間も極めて近接しているため、二段書きの「Exella/ExRon」全体で一体不可分である。
(エ)乙第6号証の1及び2(封筒)に「Exella&ExRon」との表示があるが、これも、「Exella」と「ExRon」の文字が同じ書体でまとまりよく構成されているため、全体として一体不可分である。
(オ)乙第7号証(ガイドブック)に表示された商標は、「Exella-BASIC」であり、同表示は同大にまとまりよく構成されているため、全体として一体不可分である。
(カ)乙第1号証の2、乙第2号証の3、乙第3号証の2(使用商品)の上に「Exella」との表示があるが、使用商品は、乙第5号証の1又は同号証の2の包装箱に入れて販売されるのであるから、取引において、商品の出所表示機能を果たすのは、あくまで当該包装箱に記載された「Exella&ExRon」であり、使用商品上に記載された「Exella」の表示は、商品の出所表示機能を果たす態様で使用されていない。
(3)乙各号証について
(ア)乙第3号証の1(物品受領書)は、「Exella」の表記が見受けられず、本件とは何ら関係ない資料であると思われる。
(イ)乙第4号証の1(提案書)は、サービスを提案しているのか、商品を提案しているのか不明確であり、本件商標を指定商品について使用していることを示す証拠としては不適切である。また、乙第4号証の2(CD-ROM)に記載されている「2005.04.20」の数字が、仮に被請求人が主張するとおり、CD-ROMを被請求人の顧客に送付した日を表すとしても、当該日付は、本件審判の請求の登録日(平成17年3月16日)後の日付であることから、本件審判における証拠としては不適切である。
(ウ)乙第7号証及び乙第8号証(ガイドブック、チラシ)が仮に「Exella-BASIC」という商品がシンポジウムに出展されたことを示すとしても、当該商品が実際に販売され流通したことを示すものではない。したがって、乙第7号証及び乙第8号証は、本件商標が取引において出所識別機能を果たす態様で使用されたことを示すものではない。
(4)むすび
以上より、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等のいずれかが指定商品についての登録商標「Exella」の使用をしていることを証明していないのであるから、本件商標の登録は、取消しを免れることはできない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
1 使用の事実
本件商標は、以下のとおり、商標権者である被請求人が使用商品について継続的に使用しているものである。
(1)使用商品の販売について
(ア)被請求人は、取引先A社より、本件商標を付した使用商品の購入の申込を受けた(乙第1号証の1)。そこで、被請求人は、平成14年5月30日に、使用商品を交付するとともに、同日、受領書を受領した(乙第1号証の3)。
なお、乙第1号証の2は、納品した商品と同じもので被請求人の控えであるが、それには本件商標と同一の商標及び送付日を意味する「2002.5.29」との数字が表示されている。
(イ)被請求人は、取引先A社より、本件商標を付した使用商品の購入の申込を受けた(乙第2号証の1)。そこで、被請求人は、平成14年10月21日に、乙第2号証の3に示す使用商品を交付するとともに、同日、受領書を受領した(乙第2号証の2)。
なお、乙第2号証の3(受領確認書)は、本件審判の請求があったので、上記A社が上記日時に使用商品を受領したことと、受領した商品外観を証明したものである。
(ウ)被請求人は、取引先B社より、本件商標を付した使用商品の購入の申込を受けた。そこで、被請求人は、平成15年3月31日に、乙第3号証の2に示す使用商品を交付するとともに、同日、受領書を受領した(乙第3号証の1)。
なお、乙第3号証の2(受領確認書)は、本件審判の請求があったので、上記B社が上記日時に使用商品を受領したことと、受領した商品外観を証明したものである。
(エ)被請求人は、取引先C社との間で、本件商標を付した使用商品の売買に関する交渉をするとともに、参考資料を交付した(乙第4号証の1、平成17年1月7日付け提案書)。その後、上記売買交渉が合意に達したことから、同年4月20日に、乙第4号証の2に示す使用商品を交付した。
なお、乙第4号証の2は、納品した商品と同じもので被請求人の控えであるが、その表面には、本件商標と同一の商標及び送付日を意味する「2005.4.20」との数字が表示されている。
(オ)被請求人は、本件商標を付した使用商品やマニュアル等を取引先へ送付する際に、商品等を包装箱(乙第5号証の1及び2)に収め、さらにその包装箱を封筒(乙第6号証の1及び2)に収めてから送付している。これらの包装箱や封筒にも、本件商標と同一の商標が表示されている。
(2)使用商品の販売のための展示
被請求人は、平成16年12月7日〜9日に開催された「第21回トロンプロジェクトシンポジウム」に、出展者として参加した。上記シンポジウムにおいて、被請求人は、本件商標を付した使用商品を展示した。
乙第7号証は、上記シンポジウムのガイドブックの抜粋であり、被請求人の会社名が記載されているほか、本件商標と同一の商標が表示されている。また、乙第8号証は、シンポジウムの会場で来場者に配布されたチラシであり、本件商標と同一の商標が記載されている。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内で商標権者によって指定商品について使用されていることが明らかであるから、その登録を取り消されるべきものではない。

第4 当審の判断
1 乙第1号証の1ないし乙第3号証の2、乙第5号証の1及び2、乙第7号証並び答弁の理由によれば、以下の事実が認められる。
(1)被請求人は、平成14年5月28日にその顧客より、「ソフトウェア(製品名) Exella/Simμ」の使用許諾の申し込みを受け(乙第1号証の1)、上記申し込みをした顧客は、商品の表面に、「Exalla」の文字が大きく表示され、その下に小さく「Exella/Simμ [Ver1.01]」、「2002.5.29」、「Copyright(c)2002」、「Firmware Systems Inc.」などの文字が表示されたコンピュータプログラム記録済光学ディスク(CD-ROM:使用商品、乙第1号証の2)を、平成14年5月30日に受領したこと(乙第1号証の3)。
(2)被請求人は、平成14年9月24日にその顧客より、「ソフトウェア(製品名) Exella/Simμ」の使用許諾の申し込みを受け(乙第2号証の1)、上記申し込みをした顧客は、平成14年10月21日に該「ソフトウェア(製品名) Exella/Simμ」を受領したこと(乙第2号証の2)、及び同顧客は、平成14年10月21日に受領した上記「Exella/Simμ」なる製品が、乙第2号証の3に示すようなコンピュータプログラム記録済光学ディスク(CD-ROM:使用商品)であることについて、2005年(平成17年)5月18日に証明したこと。使用商品には、「Exalla」の文字が大きく表示され、その下に小さく「Exella/Simμ [Ver1.03]」、「2002.10.17」、「Copyright(c)2002」、「Firmware Systems Inc.」などの文字が表示されていること。
(3)被請求人は、2003年(平成15年)3月31日にその顧客より、「Ri10クロスツール、Rd17クロスツール」一式を受領した旨の「物品受領書」を受け取ったこと、「物品受領書]における「Ri10クロスツール」の明細は、「WindowsXP/2000版」対応のCD-ROMであり、「構造化アセンブラ、クロスアセンブラ、基本ユーティリティ(リンカ、ローダ、オブジェクトインスペクタ、ライブラリアン、絶対アドレスリスト生成ツール、ダウンロードソース生成ツール)、ビルダ」等より構成されていることが記載されていること(乙第3号証の1)、及び上記「Ri10クロスツール、Rd17クロスツール」一式を受領した同顧客は、2003年(平成15年)3月31日に受領した製品が、乙第3号証の2に示すようなコンピュータプログラム記録済光学ディスク(CD-ROM:使用商品)であることについて、2005年(平成17年)5月20日に証明したこと。使用商品には、「Exalla」の文字が大きく表示され、その下に小さく「Ri10クロスツール Windows2000/XP版」、「2003.3.31」、「Copyright(c)2003」、「Firmware Systems Inc.」などの文字や「構造化アセンブラ、クロスアセンブラ、リンカ、ローダ、オブジェクトインスペクタ、ライブラリアン、絶対アドレスリスト生成ツール、ダウンロードソース生成ツール、プログラムビルダ」などの文字が表示されていること。
(4)使用商品は、被請求人の社名が入った包装箱に包装されて顧客に送付するところ、包装箱の正面及び各側面には、「Exella&ExRon」の文字が表示され、同裏面には、二段に横書きした「Exella」と「ExRon」の文字が表示されていること、これらの表示における「Exella」と「ExRon」には、いずれも登録商標を示す「マルアール」の記号が小さく付されていること(乙第5号証の1及び2)。
(5)被請求人は、トロンプロジェクトシンポジウム実行委員会が開催する「TRON PROJECT SYMPOSIUM/TRONSHOW2005」(開催期間は、「December 7(Tue.)〜December 9(Thu.)」)に、「マルチタスクOS ExRon 4-MeP」なる製品の出展をし、「参考出品」として「Exalla-BASIC」なる製品の出展をしたこと、上記「Exalla-BASIC」の説明として、「Exalla-BASICは、T-Engine上で動作するGUIアプリケーション開発をサポートするBASIC言語インタプリタです。Exalla-BASICを使って簡単かつ短期間にGUIアプリケーションを開発することができます。」(「概要」欄)などと記載されていること、及び上記「TRONSHOW2005」のガイドブックは、2004年(平成16年)12月7日に発行したものであること(乙第7号証)。
2 前記1で認定した事実によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成14年5月30日、平成14年10月21日、平成15年3月31日に、「Exalla」の文字が大きく表示された「コンピュータプログラム記録済光学ディスク」(CD-ROM:使用商品)を顧客に引き渡したと推認することができ、また、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成14年12月7日発行の「TRON PROJECT SYMPOSIUM/TRONSHOW2005」のガイドブックに、「Exalla-BASIC」なる「コンピュータプログラム記録済光学ディスク」(CD-ROM:使用商品)を展示し、広告したと認めることができる。
そして、使用商品は、本件請求に係る指定商品に含まれるものであり(前記1で認定した証拠における使用商品が本件請求に係る指定商品に含まれるものであることについては、争いのない事実。)、使用商品に表示された「Exalla」の文字(乙第1号証の2、乙第2号証の3及び乙第3号証の2)は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標というべきである。
3 請求人の主張について
(1)請求人は、使用商品は、包装箱(乙第5号証の1又は同号証の2)に入れて販売されるのであるから、取引において、商品の出所表示機能を果たすのは、当該包装箱に記載された「Exella&ExRon」若しくは二段に横書きされた「Exella」と「ExRon」の各文字であり、使用商品上に記載された「Exella」の表示は、商品の出所表示機能を果たす態様で使用されていない旨主張する。
しかし、使用商品そのものに表示された「Exella」の表示が自他商品の識別標識としての機能を発揮し得ないものであるとは到底認めることはできないのみならず、前記認定のとおり、包装箱に表示された「Exella&ExRon」の文字及び二段に横書きされた「Exella」と「ExRon」の各文字の、いずれの「Exella」、「ExRon」にも登録商標を示す「マルアール」の記号が小さく付されていること及び被請求人の取扱いに係る製品には、少なくとも「マルチタスクOS ExRon 4-MeP」、「Exalla-BASIC」なる製品が存在すること(乙第7号証)からすれば、包装箱に表示された「Exella&ExRon」の文字及び二段に横書きされた「Exella」と「ExRon」の各文字が表示されているとしても、「Exella」は、独立して自他商品の識別標識としての機能を発揮し得るものというのが相当である。
なお、請求人は、「Exalla-BASIC」は、本件商標と社会通念上同一の商標とは認められないとも主張するが、「BASIC」の文字部分は、乙第7号証の説明にもあるとおり、「BASIC言語」を表すものと理解され、この種商品分野の需要者は、「初心者向けに開発されたプログラミング言語」の意味を直ちに認識するというのが相当であるから、「Exalla-BASIC」における要部は、「Exalla」であるというべきである。
(2)請求人は、乙第3号証の1(物品受領書)には、「Exella」の表記がなく、本件とは何ら関係ない資料である旨主張する。
しかしながら、前記1(3)で認定したように、乙第3号証の1に記載された「Ri10クロスツール」の明細と乙第3号証の2(コンピュータプログラム記録済光学ディスク:使用商品)の表面に記載されている文字は、実質的に同一のものと認められ、したがって、乙第3号証の1は、「Exella」の表記がないとしても、使用商品に係るものと認め得るところである。
(3)請求人は、乙第7号証及び乙第8号証(ガイドブック、チラシ)が仮に「Exella-BASIC」という商品がシンポジウムに出展されたことを示すとしても、当該商品が実際に販売され流通したことを示すものではない旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、使用に係る「Exella-BASIC」の要部は、「Exella」の文字部分であり、その表示をもって、コンピュータプログラム記録済光学ディスク(使用商品)を展示し、広告したと認めることができるから、商標法第2条第3項第8号で規定する使用に当たるというべきである。
(4)したがって、上記(1)ないし(3)についての請求人の主張は、いずれも理由がない。
4 むすび
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を請求に係る指定商品中の「コンピュータプログラム記録済光学ディスク」について使用していたことを証明したというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-11-16 
結審通知日 2005-11-22 
審決日 2005-12-08 
出願番号 商願昭63-97512 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (111)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小林 和男青木 俊司深沢 美沙子鈴木 茂久 
特許庁審判長 柴田 昭夫
特許庁審判官 岩崎 良子
小川 有三
登録日 1994-05-31 
登録番号 商標登録第2657967号(T2657967) 
商標の称呼 エクセラ、イグゼラ 
代理人 青木 博通 
代理人 藤木 久 
代理人 古川 幸伯 
代理人 中田 和博 
代理人 青島 恵美 
代理人 伊藤 甲治 
代理人 松本 篤志 
代理人 足立 泉 
代理人 柳生 征男 

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