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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z34 |
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管理番号 | 1134644 |
審判番号 | 取消2004-31351 |
総通号数 | 77 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-05-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2004-10-12 |
確定日 | 2006-03-28 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4318388号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4318388号商標(以下「本件商標」という。)は、「PANDA」の文字を標準文字として、平成10年3月13日に登録出願、第34類「たばこ,喫煙用具(貴金属製のものを除く。),マッチ」を指定商品として、同11年9月24日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって使用された事実が存在しないものであるから、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。 2 答弁に対する弁駁 (1)登録商標の使用か否かについて 本件商標は、欧文字「PANDA」を標準文字で書してなるものであるが、乙第1号証ないし乙第4号証の商標は、笹を食しているパンダが描かれた八角形の図形と筆書きのような書体で表された欧文字「Panda」及びその下部の曲線からなる一体不可分の結合商標である。 したがって、被請求人が使用していると主張する商標は、商標法第50条第1項括弧書きの「登録商標と社会通念上同一と認められる商標」には該当しない。 (2)「継続して3年以上日本国内における」商標の使用を示す事実であるか否かについて 被請求人は、「継続して3年以上日本国内において」本件商標が使用された事実を証明する必要があるところ、乙第1号証ないし乙第4号証の写真が撮影された日時及び場所が不明であり、当該紙製容器包装が日本国内において使用されたことを示す証拠として採用することはできない。 結局、被請求人は、「継続して3年以上日本国内における」本件商標の使用の事実を示していない。 (3)「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」による使用の事実を示すものであるか否かについて 乙第1証ないし乙第4号証には、「Made Under Authority of Maxim Tabacco Co.Ltd.,London,England and the Trademark Owner」の文字が印刷されている。これに基づいて、被請求人は、イギリスのマキシム タバコ コーポレイション リミテッド(以下「マキシム社」という。)に「紙巻きタバコ」を製造せしめていると主張しているが、マキシム社と被請求人の関係を示す証拠はなんら提出されていない。 また、被請求人は、「(前略)そして、被請求人の関連会社であるユニコ トレーディング プライベート リミテッド(以下「ユニコトレーディング社」という。)を通じて同社の日本総代理店である株式会社ユニコジャパンインターナショナルが輸入し販売しているのである。(後略)」とし、「(前略)被請求人の通常使用権者である株式会社ユニコジャパンインターナショナル(以下「ユニコジャパン社」という。)(後略)」と記載しているが、被請求人とユニコトレーディング社との関係が不明確であるのに加えて、ユニコジャパン社が被請求人の通常使用権者である証拠は何ら示されていない。 さらに、被請求人は、乙第5号証、乙第9号証及び乙第13号証として、被請求人からユニコジャパン社への船荷証券の写しを提出し、乙第6号証、乙第10号証及び乙第14号証として、当該訳文を提出しているが、「ユニコトレーディング社を通じて」とする被請求人の主張と食い違うことから、当該船荷証券が信憑性のない書類であることを示すものである。 また、被請求人は、乙第7号証、乙第11号証及び乙第15号証として、ユニコトレーディング社からユニコジャパン社へのインボイスの写しを提出し、乙第8号証、乙第12号証及び乙第16号証として当該訳文を提出しているが、被請求人とユニコトレーディング社及びユニコジャパン社との関係が不明確であることから、本件商標が我が国において使用されている事実を示すものとして採用することはできない。 加えて、当該船荷証券及びインボイスの写しが存在することのみでは、日本国内で本件商標が指定商品について使用された事実を示す証拠として採用することができない。 さらには、甲第2号証として提出するユニコジャパン社のウェブサイトから、同社はコーヒーや茶を取り扱っていることが明らかであるが、本件商標を付した商品が販売されている事実を確認することはできない。 なお、請求人の現地代理人の情報によれば、ユニコジャパン社は請求人の日本の輸入者であり、ユニコジャパン社は彼らが今まで「Panda」なる商標を付したタバコを輸入したことがないことを確認したとのことである。 結局、被請求人は、「商標権者、専用使用権者又は通常使用権者」による本件商標の使用の事実を示していない。 以上より、被請求人は、本件商標に係る商標をその指定商品について継続して3年以上日本国内で使用していることを証明したとはいえない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。 1 本件商標に係る通常使用権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において指定商品中の「紙巻きたばこ」について本件商標と社会通念上同一の商標を使用している。 以下、その使用事実について詳述する。 (1)乙第1号証及び乙第2号証は、本件商標に係る「紙巻きたばこ」のカートン箱(10個入り)の外観を撮影した写真とその箱を展開した状態の写しであり、乙第3号証及び乙第4号証は、本件商標に係る「紙巻きたばこ」の個箱(20本入り)の外観を撮影した写真とその箱を展開した状態の写しである。 上記箱には、日本語による注意書き、紙製容器包装のリサイクルマークと「箱」の文字、プラスチック製容器包装のリサイクルマークと「フィルム:PP」の文字が表示されていることから明らかなように、各箱は我が国向けに作成されたものであり、かつ、各箱に梱包された「紙巻きたばこ」は我が国に輸入され販売されるものである。 (2)すなわち、被請求人は、イギリスのロンドンに所在するマキシム社に本件商標に係る「紙巻きたばこ」を製造せしめ、「Panda」の商標を表示した箱に梱包のうえ、納入させている。この点については、各箱に「Made Under Authority of Maxim Tabacco Co.Ltd.,London,England」と明示されている。 そして、被請求人の関連会社であるユニコトレーディング社(所在地:シンガポール共和国179803,ジ アデルフィ,06-01,コールマン ストリート1)を通じて同社の日本総代理店であるユニコジャパン社(所在地:東京都千代田区九段北3-2-2九段ビル4階)が輸入し販売しているのである。 上記事実を立証すべく、以下、本件審判の請求の登録前3年以内において任意に抜粋した船荷証券とインボイス(乙第5号証ないし乙第16号証)を提出する。 ・2003年8月20日付け船荷(乙第5号証ないし乙第8号証) ・2003年12月10日付け船荷(乙第9号証ないし乙第12号証) ・2004年3月24日付け船荷(乙第13号証ないし乙第16号証) 2 ところで、「Panda」の商標は、「P」を大文字、続く「anda」を小文字とし、「Panda」の全体を筆記体で表示してなるものであり、形式的には、すべて大文字で表してなる本件商標とは構成が相違するものではあるが、書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標であって、自他商品の識別機能になんら影響を及ぼすものではない。したがって、使用商標は本件商標と社会通念上同一の商標である。 また、「紙巻きたばこ」は、指定商品に含まれるものである。 なお、「紙巻きたばこ」と併せて宣伝広告用のTシャツや帽子なども輸入しているが、これらにも本件商標と社会通念上同一の商標が付されている。 3 以上のとおり、被請求人の通常使用権者であるユニコジャパン社が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品中の「紙巻きたばこ」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していることは明らかである 第4 当審の判断 1 乙各号証について (1)乙第1号証は、商品の包装箱の現物の写真の写しであるところ、当該包装箱の上面及び側面には、「Panda」の文字を筆記体風に表し、その下部に曲線を配した標章(以下「使用に係る商標」という。)が表示されている。また、上面には、八角形の中にパンダと竹笹を描いた図形が表示されている。 (2)乙第2号証は、上記(1)の商品包装の現物を展開したものの写しと認められる。そして、上記(1)にいう標章の頭文字「P」の横に、八角形の中にパンダと竹笹を描いた図形が示されている。さらに、側面には、「Made Under Authority of Maxim Tabacco Co.Ltd.,London,England and the Trademark Owner」の英文字が記載されている。また、日本で行われている、紙製容器包装及びプラスチック製包装容器包装のリサイクルマークが表示されている。 (3)乙第3号証は、商品の包装箱の現物の写真の写しであるところ、上面には、使用に係る商標及び八角形の中にパンダと竹笹を描いた図形が表示され、側面には、「あなたの健康を損なうおそれがありますので吸いすぎに注意しましょう」との注意書き、「タール15mg ニコチン1.3mg」の表記、上記(2)と同様のリサイクルマーク及び英文字が記載されている。そして、乙第4号証は、乙第3号証の商品包装の現物を展開したものの写しと認められ、前記各表示や記載がある。 (4)乙第5号証は、船荷証券の写し(乙第6号証はその訳)である。そして、その船荷証券の荷送り人欄には被請求人が表示され、連絡先の欄にユニコジャパン社が表示されている。海洋船として「ユタベラニ」、番号「BRN416」、荷積港として「ベラワン デリ」、荷降ろし港として「日本国、東京湾」が記載され、梱包の種類・商品の内容の欄には、「”PANDA”のケース フィルターキングサイズシガレット20’S(HLP)」「2003年8月20日にユタベラニBRN416によってベラワンデリにて船荷」の記載がある。当該証券の発行日付欄には「20 AUGUST 03」と記載されている。 (5)乙第7号証は、インボイスの写し(乙第8号証はその訳)である。2003年8月20日ユニコトレーディング社からユニコジャパン社を宛て先としたものである。これには、前記乙第5号証の船荷証券中に記載された事項と同様の、荷積港、荷降ろし港、商品の内容、出港日等が示されている。 (6)乙第9号証ないし乙第16号証も、上記(4)及び(5)と同様に、船荷証券の写しとその訳、インボイスの写しとその訳である。そして、乙第9号証及び乙第10号証は2003年12月10日、乙第13号証及び乙第14号証は2004年3月24日の船荷証券に関するものであり、これらにも、上記(4)と同様の、荷送り人、連絡先、荷積港、荷降ろし港、商品の内容、発行日等が記載されている(なお、乙第13号証には荷受人の欄にユニコジャパン社が表示されている。)。また、乙第11号証及び乙第12号証、乙第15号証及び乙第16号証には、上記(5)と同様に、日付が対応する船荷証券中に記載された事項と同様の、荷積港、荷降ろし港、商品の内容、出港日等が示されている。 2 使用商品について 上記1によれば、乙第2号証ないし乙第4号証の形態からみて、これらは、いわゆるたばこのカートン箱及び個箱であり、包装箱に記載された英文字から、英国のマキシム社の製造にかかるものであること、及び乙第3号証の包装の形態、乙第4号証の成分表示や英文中の「cigarettes」の文字から包装の内容が紙巻きたばこであると推認される。さらに、乙第3号証及び乙第4号証の日本語による注意書き、成分表示及びリサイクルマークの表示からみれば、当該商品は、我が国向けの商品「紙巻きたばこ」と認め得るものである。そして、当該商品に、使用に係る商標を表示したものと認められる。 3 社会通念上同一の商標の使用か否かについて (1)本件商標は、前記のとおり「PANDA」の文字を標準文字としてなるものである。一方、使用に係る商標は、「Panda」の文字を筆記体風に表し、その下部に曲線を配した標章である。しかして、その構成文字を比べると、2文字目以下が大文字と小文字である点、書体を異にする点で差異を有するが、ともにその構成欧文字を共通にしており、これより生ずる「パンダ」の称呼及び観念を同じにするものであり、下部の曲線は付記付飾の類というべきものであるから、社会通念上同一の商標と認められるというのが相当である。 (2)請求人は、乙各号証で示された商標は、図形と欧文字及び下部の曲線からなる一体不可分の結合商標であると主張する。 しかしながら、図形が配されているとしても、これと下部に曲線を伴う欧文字とは視覚上分離しているものであり、図形と欧文字部分とは、独立しても商品の識別機能を果たし得るとみるのが相当であって、当該図形が近接して配置されることによって、欧文字部分が別異の識別機能を果たす標章になるものとはいい難く、これらを一体不可分に結合したものとみるべき理由は見いだせないから、請求人の主張は採用できない。 4 使用者及び使用に係る商品について 上記1によれば、船荷証券及びインボイス(乙第5号証ないし乙第16号証)より、前記年月日に、「PANDA」の表記で特定された紙巻きたばこについて輸入手続がされたと認められ、使用に係る商標を表示する商品「紙巻きたばこ」が我が国に輸入されたと推認し得るものである。そして、数次の輸入手続及び被請求人の主張を併せれば、ユニコジャパン社が本件商標の通常使用権者であるとみるのが相当である。 してみると、通常使用権者が商標権者から、本件商標と社会通念上同一の商標を表示した商品「紙巻きたばこ」を我が国に輸入したものと推認されるから、本件商標が商品「紙巻きたばこ」について使用をされたといい得るものである。 そして、使用に係る商品「紙巻きたばこ」が、本件商標の指定商品中の商品の一であることは明らかである。 5 まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に日本国内において、通常使用権者(ないし商標権者)が本件商標の指定商品中の「紙巻きたばこ」について、本件商標と社会通念上同一の商標を使用していたことを証明したというべきである。 6 したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条第1項により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-10-28 |
結審通知日 | 2005-11-04 |
審決日 | 2005-11-15 |
出願番号 | 商願平10-20424 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(Z34)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
野本 登美男 |
特許庁審判官 |
井岡 賢一 中村 謙三 |
登録日 | 1999-09-24 |
登録番号 | 商標登録第4318388号(T4318388) |
商標の称呼 | パンダ |
代理人 | 佐々木 功 |
代理人 | 森田 俊雄 |
代理人 | 深見 久郎 |
代理人 | 竹内 耕三 |
代理人 | 川村 恭子 |
代理人 | 野田 久登 |