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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
不服200225215 審決 商標
不服200225216 審決 商標
審判199817893 審決 商標
不服20035262 審決 商標
不服20029882 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない Y08
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない Y08
管理番号 1132944 
審判番号 不服2004-1831 
総通号数 76 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-04-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-01-26 
確定日 2006-03-08 
事件の表示 商願2002- 72357拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第8類「ドリル,ねじ回し,ドリル用ビット,ねじ回し用ビット」を指定商品として、平成14年8月26日に立体商標として登録出願されたものである。

2 原査定における拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、ドリルやねじ回しを構成するいわゆるグリップ部分の形状を表したものと容易に理解し得るものであることから、これをその指定商品中、『ドリル,ねじ回し』に使用しても、単に商品の形状そのものを普通に用いられる方法をもって表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあり、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者、需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異な形状であっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者、需要者間において当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
なお、商品等の立体的形状について、上記と同旨の判示をしたうえで、自他商品の識別力を有しない旨認定、判断をした以下の東京高等裁判所の判決がある。(平成13年(行ケ)第446号 判決言渡日 平成14年7月18日、 平成14年(行ケ)第581号 判決言渡日 平成15年8月29日ほか)
(2)そこで、本願商標を以上のことに照らし検討するに、本願商標は、別掲のとおり、ドリルやねじ回しを構成するいわゆるグリップ部分の一形態を表したと理解できる形状からなるものとみるのが自然である。
ところで、工具を取り扱う業界においては、軸部分を回しやすいようにグリップ部分に溝を設けたり、材質を工夫したりしており、また、何種類ものねじを回すことができる軸部を、差し替えることのできる差し替え式のものが製造販売されているところである。
そうすると、本願商標は、その指定商品との関係においては、それらの商品のグリップ部分として予測し難いような特異な形状や特別な印象を与える装飾的形状であるということはできず、むしろ、それら商品のグリップ部分としての機能をより効果的に発揮させたり、美感をより優れたものにするなどの目的で同種商品が一般的に採用し得る範囲内のものにすぎないとみるのが相当である。
(3)してみれば、本願商標は、これを、その指定商品中「ドリル,ねじ回し」に使用しても、単に商品のグリップ部分の形状を表したにすぎないものであって、自他商品識別標識としての機能を有するものとは認めることはできないものであり、また、これを前記以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるものといわざるを得ない。
(4)なお、請求人は、「本願商標の形状は、単に商品を表すにすぎないものでなく、商品識別の指標となりうる独創的な特徴を成し、需要者が何人の業務に係る商品であるかを十分認識できるものであり、本願商標とほぼ同一の商標がドイツ国を初め数カ国において登録されている。」旨主張し、甲第3号証ないし甲第8号証を提出している。
しかしながら、該形状の特徴は、グリップ部分において滑りにくく、握りやすいようにする機能を果たし、美感を高めるために採択されたものと認められる。
また、外国における登録例を示しているが、諸外国における立体商標の登録制度と我が国のそれが同一のものと解釈しなければならない事情が存するものとは認められないから、これに基づく主張は採用の限りでない。
そうすると、本願商標の立体的形状は、商品の機能とは全く関係のない独創的な形状とは言い難く、本願商標については、前記実情があることから、請求人の主張は採用することはできない。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして、本願を拒絶した原査定は妥当であって取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 (別掲)
本願商標






審理終結日 2005-10-03 
結審通知日 2005-10-14 
審決日 2005-10-25 
出願番号 商願2002-72357(T2002-72357) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (Y08)
T 1 8・ 13- Z (Y08)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 平澤 芳行 
特許庁審判長 山田 清治
特許庁審判官 橋本 浩子
寺光 幸子
代理人 小島 高城郎 

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