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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Y30 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Y30 |
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管理番号 | 1132766 |
審判番号 | 不服2003-25255 |
総通号数 | 76 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2006-04-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-12-26 |
確定日 | 2006-02-16 |
事件の表示 | 商願2003-31166拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第30類及び第41類に属する願書記載のとおりの商品又は役務を指定商品及び指定役務として、平成15年4月17日に登録出願、その後、当審における同17年9月30日付けの手続補正書により、第41類に属する役務を削除し、最終的に、その指定商品を第30類「黒酢」のみとする補正がされたものである。 2 原査定の理由 (1)原査定は、「本願商標は、『黒酢の製造販売の本店』を意味する『くろず本舗』の文字よりなるものであるから、これを本願指定商品及び指定役務に使用しても取引者、需要者が何人かの業務に係る商品及び役務であることを認識することができない商標と認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第6号について 本願商標は、別掲に示すとおり「くろず本舗」の文字を書してなるところ、その構成中の「くろず」の平仮名文字は、「米酢の一種で、玄米を主原料にした酢の商品名。」を表し、また、「本舗」の文字部分は、「本店。特定商品を製造販売する大元の店。」(ともに、広辞苑「第五版」 岩波書店発行)の意味を有する漢字として、この種商品を含めて「○○○本舗」のごとき用例をもって、取引上普通に採択、使用されているものといえるものである。 そうとすれば、本願商標に接する取引者、需要者は、その構成文字全体から「黒酢を製造販売する本店」の意味を容易に理解するものと見るのが相当である。 ところで、近年の健康ブームを反映して、日本人の健康に対する関心が相当高まっていることが伺える今日の状況下において、請求人(出願人)提出の証拠においても、例えば、甲第283号証「日経ビジネス」(2002年6月24日 日本経済新聞社発行)の58頁におけるように、「黒酢はアミノ酸などを豊富に含み、中性脂肪やコレステロール値を下げる効果があるといわれる。テレビや雑誌で『黒酢を飲むと、血液がサラサラになる』などと取り上げられたこともあり、日本全国に愛飲者がいる。」と記載されていること、請求人以外の他人による「黒酢本舗」、「ゴールド黒酢本舗」及び「黒酢屋本舗」等といった極めて似た意味合いの文字を使用している事情があることなどからすれば、「くろず本舗」の文字よりなる本願商標を、請求人が補正後の商品「黒酢」について使用した場合、これに接する取引者、需要者は、容易に「黒酢を製造販売する本店」といったごとき意味合いを表示したものと認識するにとどまり、自他商品識別標識としての機能を果たし得るものとは認識し得ないとみるのが相当である。 してみれば、本願商標は、これを補正後の商品「黒酢」について使用しても、需要者が何人かの業務に係る商品であると認識することができない商標といわなければならない。 したがって、本願商標を商標法第3条第1項第6号に該当するものとした原査定は、妥当であって取り消すことができない。 なお、請求人は、多数の既登録例を挙げ、本願商標も同様に、登録されてしかるべきである旨述べているが、商標の登録の可否は、その指定商品(役務)との関係を含めて個別・具体的に判断されるべきものであり、過去の登録例の存在のみをもって、本願商標について、それらと同列に論ずべき特別の理由も見当らず、本願商標については、上記のとおり判断するのが相当というべきであるから、請求人の主張は、採用することはできない。 (2)商標法第3条第2項について 当審において、請求人は、本願商標を補正後の商品「黒酢」に17年間の長きにわたり、継続して使用した結果、自他商品識別力を生ずるに至ったものであるから、本願商標は、商標法第3条第2項に該当する旨主張し、証拠として、甲第1号証ないし甲第284号証を提出している。 そこで検討するに、商標法第3条第2項の趣旨は、同法第3条第1項第3号ないし同第5号に該当し、本来的には自他商品(役務)について、識別力を有しない商標を特定の者が永年にわたり、その業務に係る商品(役務)について、継続して使用をした結果、その商標が当該商品(役務)の需要者、取引者の間において当該商標使用者の商品(役務)を表示するものとして広く認識することが出来るものに限り、その商標登録を認めようとするものである。したがって、その適用を受けられることができる商標は、特定の者の業務に係る商品(役務)として広く認識された商標と同一の商標であって、かつ、その商標が使用されていた商品(役務)と同一のものに限られると解するのが相当である。 しかして、本願商標「くろず本舗」の文字は、前記認定のとおり、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、結局、同法第3条第2項の適用の対象外といわざるを得ない。 なお、この点につき、請求人は、同人の会社が、黒酢醸造について日本全国のトップシェア(天然つぼ造り米酢の醸造)を誇っており、その取引先も多数に及び、年間売上高は、平成16年度約22億7千万円に達した旨等を主張している。 しかしながら、同人提出の上記甲各号証のいずれにも、別掲に示した「くろず本舗」の文字態様のみが、「坂元醸造株式会社」の商号と分離し、単独もしくは独立して、商品の出所表示としての機能を発揮するに至ったことを客観的に裏付ける証拠は、見い出し得ないことから、その主張は、採用することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別 掲 本願商標 ![]() |
審理終結日 | 2005-12-16 |
結審通知日 | 2005-12-20 |
審決日 | 2006-01-05 |
出願番号 | 商願2003-31166(T2003-31166) |
審決分類 |
T
1
8・
17-
Z
(Y30)
T 1 8・ 16- Z (Y30) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 澁谷 良雄 |
特許庁審判長 |
大場 義則 |
特許庁審判官 |
蛭川 一治 鈴木 新五 |
商標の称呼 | クロズホンポ |
代理人 | 松尾 憲一郎 |