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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない Z30
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない Z30
管理番号 1131432 
審判番号 不服2003-12257 
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-03-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-30 
確定日 2006-02-06 
事件の表示 商願2001-29295拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME」の欧文字を標準文字で書してなり、第30類「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,アイスクリーム用凝固剤,家庭用食肉軟化剤,ホイップクリーム用安定剤,酒かす」を指定商品として、平成13年3月29日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品については、平成14年4月12日及び平成15年9月12日の二回にわたり手続補正書が提出された結果、第30類「ジャマイカ産のコーヒー,ジャマイカ産のコーヒー豆」に補正されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、産地・販売地がジャマイカの標高の高い山である最高の品質の商品であることを認識し、理解する『JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME』の文字を書したものであるところ、『HIGH MOUNTAIN SUPREME』の文字は、ジャマイカ産のコーヒーの品質を表すものとして使用されているから、これを指定商品中のジャマイカ産の商品に使用しても商品の品質・産地・販売地を表したものと認識されるにとどまるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標は、前記第1のとおり、「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME」の欧文字を書してなるものである。
2 本願商標を構成する「JAMAICA」、「HIGH MOUNTAIN」、「SUPREME」の各文字(語)については、専門書、辞書等において、以下(1)ないし(4)の記述が認められる。
(1)「JAMAICA(ジャマイカ)」について
(a)「カリブ海北部の国。ジャマイカ島とその付属島からなる。…」(「コンサイス外国地名辞典(第3版)」1998年4月20日 第1刷発行 株式会社三省堂)。
(b)「西インド諸島、ハイチの西、キューバの南に当たり、カリブ海上に浮く小共和国。…同等を横断する山脈斜面がジャマイカ・コーヒーの栽培地で、産地と標高別に、(1)ブルー・マウンテンー同島東部のブルーマウンテン地域800〜1500m産。…(2)ハイ・マウンテンー主に中部地域500〜1000m産。形は大粒で整い、煎り上がりも良い。(3)プライム・ウォッシュトー(1)と(2)以外の水洗式コーヒー、300m〜800m産。一般に高地産の豆は大粒良質で、柔らかい味と勝れた香りがある。」の記載(「コーヒー小辞典」(昭和62年12月1日第3版発行 株式会社柴田書店))。
(2)「HIGH MOUNTAIN(ハイ・マウンテン)」について
(a)「ジャマイカ島を横断する中部から西部、マンチェスター地方、標高500〜1000mの山岳地帯産のコーヒーで、大粒、美しい緑色の外見を呈し、いわゆるブルー・マウンテンに次ぐ品質として扱われている。」の記載(「コーヒー小辞典」(同上))。
(b)産地、品種、銘柄の区分及び範囲の例示には、「ジャマイカハイマウンテン地区にて生産されたコーヒー豆をいう。」の記載(「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約、規則及びガイドライン組織及び運営に関する規則」(平成12年6月 全日本コーヒー公正取引協議会 12頁)。
(3)「SUPREME」について
(品質・程度・性格・重要性など)最高の、至高の、至上の…(「小学館ランダムハウス英和大辞典」(昭和60年1月10日 パーソナル版(2冊組)第10刷発行 株式会社小学館)の意を有するの記載。
(4) High Mountain Supreme(ハイマウンテン・スプリーム )について
ハイマウンテン・スプリーム(High Mountain Supreme)の特徴として「指定されたブルーマウンテン地区以外の高地で栽培されたコーヒーで、栽培地標高は1,000m〜1,200m程度。優れたアロマ、非常に優れた酸味、優れたボディーを有す。異味異臭がない。(「世界の主なコーヒー生産国事情」(2001年3月 東京穀物商品取引所 89頁」)の記載。
3 請求人の意見
請求人は、本願商標は、その構成中の少なくとも「HIGH MOUNTAIN」の文字部分について、自他商品識別力を有する。また、永年にわたり「ジャマイカ産のコーヒー,ジャマイカ産のコーヒー豆」について使用され結果、自他商品識別力を有するに至った商標であるので、商標法第3条第2項に該当する旨主張し、甲第1号証ないし甲第26号証を提出した。
そこで、本願商標が商標法第3条第1項第6号及び同第3条第2項に該当するかについて、以下検討する。
(1)商標法第3条第1項第6号について
上記2(1)ないし(4)よりすると、本願商標は、表された「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME」の欧文字全体で、「ジャマイカ産の『ハイ・マウンテン』と称される至高、至上のコーヒー及びコーヒー豆」であると取引者、需要者に認識されるというのが相当であるから、商標法第3条第1項第6号に該当するというべきである。
請求人は、ジャマイカには、「HIGH MOUNTAIN」と呼ばれる地域は存在しないから、「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約、規則及びガイドライン組織及び運営に関する規則(平成12年6月 全日本コーヒー公正取引協議会)12頁中」の記述は、正しくない旨主張する。
しかしながら、「ハイ・マウンテン」がジャマイカ島を横断する中部から西部、マンチェスター地方と称されていることは、「レギュラーコーヒー及びインスタントコーヒーの表示に関する公正競争規約、規則及びガイドライン組織及び運営に関する規則」以外にも上記2(1)(b)から明らかであり、本願商標の指定商品といえる「コーヒー及びコーヒー豆」を取り扱う業界において、「ハイ・マウンテン」が、コーヒー豆の一定の品質・産地を表すものとして用いられていることも、上記2(1)(b)ないし2(2)(b)からも明らかであるから、この点についての請求人の主張は採用できない。
したがって、本願商標は、全体として、商品の産地、品質を表したものといえ、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわざるをえないから、商標法第3条第1項第6号に該当する。
4 商標法第3条第2項について
(1)本願商標は、原審において、商標法第3条第1項第6号に該当するとしているが、本願商標の構成中、「JAMAICA HIGH MOUNTAIN」は、産地(国名)ないし品質(地域)を表し、「SUPREME」は、誇称表示であって、いずれも、同第3条第1項第3号中に掲げられており、同第3条第1項第3号に該当する場合も必ずしも否定できないから、以下、同第3条第2項に該当するに至った商標であるか検討する。
(a)甲第1号証は、登録第858907号商標の商標登録原簿及びその商標公報であり、甲第2号証ないし甲第5号証は、請求人の社長による宣誓書及び請求人の案内書並びに経歴であるから、これをもって、本願商標が、使用された結果、自他商品識別力を有するものに至ったことを証明したものということはできない。
(b)甲第6号証は、請求人によれば「1992年4月から2000年12月の間「『JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME』の日本で販売された額を示す書類」である。
そして、これには、訳文は添付されていないが、表された欧文字よりすれば、「COUNTRY」の欄に「JAPAN」の記載、「COMPANY」の欄に「UESHIMA COFFEE CO.LTD.(上島珈琲株式会社)」、「TOSHOKU LTD(株式会社東食)」等の記載があり、さらに「GRADE(等級)」の欄には、「JA.HIGH MTN SUP」の欧文字が記載されているから、請求人は、日本の企業向け(輸出)用に商品を販売し、前記日本の企業は、「GRADE(等級)」を「JA.HIGH MTN SUP」とする商品を日本国内に輸入したといえるものである。
そうすると、「GRADE(等級)」欄中の欧文字は、本願商標の指定商品(コーヒー)との関係から、商品の生産地及び商品の等級(品質)を表したものといえるから、その欄に表された欧文字は、「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME(ジャマイカ産ハイマウンテンコーヒーの最上品)」の略記と推認せざるを得ないから、これをもって、直ちに、本願商標が、使用された結果、自他商品識別力を有するものに至ったことを証明したものということはできない。
(c)甲第7号証は、請求人の英語によるホームページであり、これには、「Blue Mountain」と呼ばれるコーヒーに関する記載が大多数であり、わずかに1件「High Mountain Supreme」の記載を認めらことができるが、これも本願商標と異なるから、これをもって、直ちに、本願商標が、使用された結果、自他商品識別力を有するものに至ったことを証明したものということはできない。
(d)甲第8号証及び甲第9号証は、「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME」のコーヒー豆の樽及び焙煎コーヒーに使用されるラベルというが、これも、本願商標と必ずしも同一といえる構成態様のラベルということできないし、使用された時期についても明らかにされていないから、これをもって、本願商標が、使用された結果、自他商品識別力を有するものに至ったことを証明したものということはできない。
(e)甲第10号証は、グローバルビュー(1997年3月7日)であって、ジャマイカコーヒーについてのものであり、これには、「ジャマイカコーヒーの唯一の輸出業者であるジャマイカ・コーヒー・インダストリー・ボードによって認証された世界的に有名なジャマイカコーヒー」を標題とした「…ジャマイカ国ブルーマウンテン地域産のコーヒーは、世界でも最上としてランク付けされ続け…この島では、他にも、ジャマイカハイマウンテンシュプリーム及びジャマイカプラムの2種類のすばらしいコーヒーが生産されます。…購入されるコーヒーが正真正銘のジャマイカコーヒーであることを確かめるには、ジャマイカコーヒーの唯一の認証機関である、ジャマイカのコーヒー・インダストリー・ボードの認証をお求めください。」(部分訳文)とする内容の記述がある。
そうすると、これに使用されている「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME」文字の使用が商標の使用に当たるものといえるかどうか直ちにいうことはできないし、仮に、これが商標として使用されているとしても、請求人は、前記したコーヒー・インダストリー・ボードの完全子会社である(甲第3号証)。
したがって、親会社であるコーヒー・インダストリー・ボードが、完全子会社である請求人の「ジャマイカハイマウンテンシュプリーム」等の商品(コーヒー)を認証することは、利害関係者からの認証といえるから、客観性に欠け、これをもって、直ちに、本願商標が、使用された結果、自他商品識別力を有するものに至ったことを証明したものということはできない。
(f)甲第11号証及び甲第12号証は、コスタリカ国及びメキシコ国における「JAMAICA HIGH MOUNTAIN SUPREME」商標の登録証であるが、諸外国の登録制度と我が国の登録制度が同一であると解釈しなければならない特段の理由が存するものとは認めらないから、諸外国の登録例をもって、本願商標が登録されなければならないとする根拠とはなり得ない。
(g)甲第13号証ないし甲第24号証は、平成14年の各種新聞記事のコピーであるが、これらの記事は、本願商標に関するものでなく、トマト、米、メロン等の食品の偽装表示を内容とする記事であって、その一部に、コーヒーに関するもの(甲第24号証)もあるとしても、それは、他社の在庫品のコーヒーを新製品に再使用していたという事例であるから、これをもって、本願商標が、使用された結果、自他商品識別力を有するものに至ったことを証明したということができない。
(h)甲第25号証は、「商標〔第5版〕平成13年2月28日第2刷発行 株式会社有斐閣」の「商標の機能」に関する部分の抜粋である。
しかしながら、該書籍の内容は、「商標の機能」を説明するものであるから、これをもって、本願商標が使用された結果、自他商品識別力を有するものに至った商標であるという証明をしたということはできない。
(i)甲第26号証は、ランハム法に関する国際商標団体のホームページであって、翻訳文が付されていないが、これは、問題となる商標が誰により所有されているかを証明する必要はなく、当該商標が使用された結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであれば、当該商標が登録可能であるとする内容である。
しかしながら、これが米国最高裁の判決に関する米国の連邦商標法(ランハム法)であるとしても、米国の登録制度と我が国の登録制度が同一であると解釈しなければならない特段の理由が存するものとは認められないから、これをもって、本願商標が我が国において登録されなければならないとする根拠とはなり得ない。
(2)以上の(a)ないし(i)を総合すると、本願商標は、使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商標であることを認識することができる商標に至ったということはできない。
5 まとめ
以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであって、同第3条第2項にいう長年その業務に係る商品について使用した結果、その商標がその商品と密接に結びついて出所表示機能をもつ商標に至ったということもできないから、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-09-08 
結審通知日 2005-09-09 
審決日 2005-09-27 
出願番号 商願2001-29295(T2001-29295) 
審決分類 T 1 8・ 16- Z (Z30)
T 1 8・ 17- Z (Z30)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 堀内 仁子 
特許庁審判長 野本 登美男
特許庁審判官 中村 謙三
三澤 惠美子
商標の称呼 ジャマイカハイマウンテンサプリーム、ジャマイカハイマウンテンシュープリーム、ハイマウンテンサプリーム、ハイマウンテンシュープリーム、ジャマイカハイマウンテン、ハイマウンテン 
代理人 山本 秀策 

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