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審判番号(事件番号) データベース 権利
審判199931222 審決 商標
取消200630202 審決 商標
取消200131465 審決 商標
取消200130159 審決 商標
取消200330176 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z08
管理番号 1131280 
審判番号 取消2004-30056 
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2006-03-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2004-01-14 
確定日 2005-08-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第4317228号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4317228号商標(以下「本件商標」という。)は、「マッハスリー」の文字と「MACH3」の文字を上下二段に横書きしてなり、平成10年6月4日に登録出願、第8類「手動工具(「すみつぼ類・皮砥・鋼砥・砥石」を除く。),すみつぼ類,皮砥,鋼砥,砥石,手動利器(「刀剣」を除く。),刀剣」を指定商品として、平成11年9月24日に設定登録されたものである。

第2 請求人主張
請求人は、本件商標の指定商品中「手動利器(「刀剣」を除く。)」について、その登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、継続して3年以上、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、その指定商品中、請求に係る指定商品について使用していないものであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、請求の趣旨のとおりの審決を求める。
2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、通常使用権者、株式会社エフティ資生堂(以下「エフティ資生堂」という。)により、本件商標を請求係る指定商品中「レザー」、「ハンディレザー」について、使用している、旨主張する。しかしながら、商標登録原簿(甲第1号証)によると、エフティ資生堂の通常使用権の設定登録は為されていない。従って、被請求人による本件商標の使用を認めることはこの点で否定されなければならない。
更に、実質的に検討するも、被請求人による本件商標の使用を認めることは、以下のとおり不可能であるから、被請求人の主張はこの点でも認めることが出来ないものである。
(2)被請求人は、エフティ資生堂が被請求人の100%出資の連結子会社であるとして、乙第1号証及び乙第2号証を提出しているが、乙第1号証は被請求人の「有価証券報告書」抜粋(写し)であるため、計理の状況の報告部分はなく、又、トイレタリー製品の製造、販売はエフティ資生堂の他、株式会社ミュウプロダクツの外に、連結子会社2社、計4社で行っている旨記載されているので、この点でも、被請求人の使用を認めるに足りる根拠は必ずしも明確ではない。
(3)被請求人は、本件商標を付した「レザー」「ハンディレザー」をエフティ資生堂より主に業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売する被請求人のグループ企業である資生堂アメニティグッズ株式会社(乙第3号証)に販売し、更に、その他、鹿児島共和株式会社(乙第4号証)等の卸売や被請求人のグループ企業である株式会社ザ・ギンザ等に販売しているとし、その事実関係を示すため乙第5号証ないし乙第9号証を提出している。
ここで、よく見ると、被請求人の子会社エフティ資生堂がトイレタリー事業を行い、その製品を同じく子会社の資生堂アメニティーグッズは同社カタログに収載して同社のトイレタリー商品として販売しているものであることが示されている。してみると、ここでの商標使用はすべて子会社によるもので、被請求人は実質的使用関与を何等していないことが明かである。
(4)更に、被請求人が証拠上の指摘としてなす商標使用記載をみてみると、それらはいずれも本件商標の使用には当たらないものである。
先ず、乙第5号証の使用例は、「828590 レザー(マッハ3 1枚刃)」「828930 レザー(マッハ3 1枚刃)」である。これについて被請求人は「マッハ3」の部分が本件商標の使用であるとしている。しかし、本件商標は、「マッハスリー」「MACH3」を二段に横書き結合させて成るもので、そこには被請求人指摘の「マッハ3」は商標の構成要素とはなっていないのであるから、本件商標の使用例に当らないことは言うまでもない。又「マッハ3 1枚刃」と言うのも、既に3枚刃の商品が存在するのに不調和な表示である。
また、乙第6号証におけるその他5つの使用例として被請求人が挙げるところは乙第5号証における使用例と同じ態様であるから、ここにも本件商標の使用例は無いことが明らかである。
更に、乙第7号証における事例は、本件商標とは別の甲第3号証商標(「マッハ3」)の使用であるから、それが本件商標の使用に当らないことは極めて明白である。
(5)更に、東京高裁判決(乙第10号証)は、「DON」と「ドン」の2段からなる商標について、その1段のみを使用した事例であるが、本件においては「マッハスリー」と「MACH3」の2段の中いずれとも異なる使用をしている事例であり、それについて、該判決を引用するのは適切ではない。
(6)エフティ資生堂から鹿児島共和株式会社等への売上伝票(乙第8号証)の商品コード番号は数字で品番を記載しているもので、そこには商標の使用は存在しない。よって、この点を以って本件商標の使用が為されていたとする被請求人の主張は事実に反するもので認めることはできない。
同様に乙第9号証についても商標の使用はなく、使用のあったことを示すことはこれ又不可能である。
(7)以上のとおり、被請求人による本件商標の使用の立証は、いずれも存在しないことが明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第10号証(枝番を含む。)を提出した。
1 本件商標の通常使用権者について
本件商標の使用者であるエフティ資生堂は、商標権者である被請求人の100%出資の連結子会社であり(乙第1号証及び乙第2号証)、被請求人は、かかる100%出資子会社による本件商標の使用について使用許諾を与えている。
従って、エフティ資生堂は本件商標の通常使用権者である。
なお、被請求人とエフティ資生堂との間で書面による使用許諾契約はないが、取引の経験則上100%の資本を有する子会社に自己の登録商標が付された商品を販売させるにあたって敢えて書面で使用許諾契約を締結することはないのが通例であり、被請求人もこれに倣ったものである。また、そもそも使用許諾は、商標権者と使用権者の意思表示の合意によって成立し、契約自由の原則により何らの方式も必要としない以上、書面による使用許諾契約が存在しないことは、特に問題とならない。
2 本件商標の使用の事実及び使用の証明
本件商標の通常使用権者であるエフティ資生堂は、本件商標を付した「レザー」「ハンディレザー」を主に業務用化粧品や客室用アメニティーグッズを販売する被請求人のグループ企業である資生堂アメニティグッズ株式会社(乙第3号証)に販売するほか、その他鹿児島共和株式会社(乙第4号証)等の卸売や同じく被請求人のグループ企業である株式会社ザ・ギンザ等に販売している。
その事実は、以下の乙第5号証ないし乙第9号証より明らかである。
(1)商品カタログ
乙第5号証及び乙第6号証は、資生堂アメニティグッズ株式会社が本件商標の付された商品を販売するために使用するカタログの写しであり、乙第5号証のカタログは2000年9月から、乙第6号証のカタログは2003年6月から使用されているものである。
乙第5号証には「828590 レザー(マッハ3 1枚刃)」、「828930 レザー(マッハ3 1枚刃)」及び乙第6号証には「R10901 FTSレザーマッハ3(H)ハコ」、「R10901 FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函」、「R11907 FTSレザーマッハ3 バラ」の記載がある
上記カタログ記載の商標のうち、「FTS」は通常使用権者である「エフティ資生堂」を表すもの、「レザー」部分はかみそりを表す英語の「RAZOR」をカタカナ読みしたものであり、商品の普通名称を表す部分であるから、カタログに使用されている文字のうち、「マッハ3」部分が商標として使用されている部分となる。
そして、本件商標は、カタカナ「マッハスリー」と英語の「MACH3」とを二段書きにしてなる商標であるが、「マッハ3」のような変更使用であっても、本件商標と称呼「マッハスリー」及び観念が共通する以上、本件商標と社会通念上同一性のある商標と言うべきである。
かかる点については、社会通念上同一の使用と認められた東京高裁判決「平成14(行ケ)591号事件」(乙第10号証)に鑑みても、妥当である。
また、使用商品「レザー」「ハンディレザー」は、請求に係る商品「手動利器(「刀剣」を除く。)」に含まれていることは明らかである。
(2)エフティ資生堂から鹿児島共和株式会社等への売上伝票
乙第8号証は、品番「828930」又は「828950」の商品が鹿児島共和株式会社、ダイカ株式会社秋田支店、株式会社ザ・ギンザへと取引されたことを示すエフティ資生堂の売上伝票である。
乙第5号証の商品カタログから明らかなとおり、本件商標が付された商品「レザー」「ハンディレザー」の品番は「828590」もしくは「828930」であるから、かかる売上伝票より、カタログ掲載の各品番に対応する各商品が取引されたことが客観的に明らかである。
また、売上伝票に記載の日付もそれぞれ「020925」(2002.09.25)、「030108」(2003.1.8)、「030403」(2003.4.3)、「021022」(2002.10.22)、「030611」(2003.6.11)となっており、これらはいずれも本件審判の請求の登録前3年以内のものである。
なお、乙第5号証のカタログは乙第6号証のカタログが発行される2003年6月まで使用されていたものであり、その期間の本件商標が付された商品「レザー」「ハンディレザー」の取引は、かかる品番「828590」もしくは「828930」で取引されていたものである。
また、乙第9号証は、上記取引を示すエフティ資生堂ロジスティクス部作成の売上げ表一覧であり、上記の取引がされていることを示すものである。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に、通常使用権者である株式会社エフティ資生堂によって、請求に係る指定商品中「レザー」「ハンディレザー」について使用されていたものである。

第4 当審の判断
1 本件商標の通常使用権者について
被請求人が本件商標の使用権者である、と述べているエフティ資生堂は、トイレタリー製品の製造、販売を主な事業とする、被請求人(商標権者)の100%出資の連結子会社であり、グループ企業であることが認められる(乙第1号証及び乙第2号証)。
そうしてみると、エフティ資生堂が被請求人(商標権者)の100%出資子会社である等の前記実情よりすれば、エフティ資生堂は、当然、両者間において使用許諾契約が存在していた通常使用権者と推認して差し支えないものである。
2 証拠の認定
被請求人が提出した乙第5号証ないし乙第9号証によれば、下記の事実が認められる。
(1)商品カタログ(乙第5号証及び乙第6号証)によれば、該カタログの商品紹介、商品販売の商品中に「828590 レザー(マッハ3 1枚刃)」、「828930 レザー(マッハ3 1枚刃)バラ」、「R10901 FTSレザーマッハ3(H)ハコ」、「R10901 FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函」及び「R11907 FTSレザーマッハ3 バラ」と記載されていると共に、該商品の包装箱(乙第7号証)には、「エフティ資生堂レザー」、「マッハ3」及び「ハンディレザー」の文字を三段に表示し使用していることが認められる。
(2)売上伝票(乙第8号証)及び売上げ表一覧(乙第9号証)によれば、エフティ資生堂は、品番「828930」とする商品を鹿児島共和株式会社に2002年9月25日、2003年1月8日、2003年4月3日に販売していること、品番「828950」とする商品をダイカ株式会社に2002年10月22日に販売していること、品番「828950」とする商品を株式会社ザ・ギンザに2003年6月11日に販売していることが認められる。
3 本件商標の使用について
上記したとおり、エフティ資生堂(通常使用権者)の使用態様は「レザー(マッハ3 1枚刃)」、「レザー(マッハ3 1枚刃)バラ」、「FTSレザーマッハ3(H)ハコ」、「FTSレザーマッハ3(H)1ヶ函」、「FTSレザーマッハ3 バラ」及び「エフティ資生堂レザー」「マッハ3」「ハンディレザー」を三段に表示した構成文字よりなるものであるが、その構成文字中、「FTS」「エフティ資生堂」の文字は使用権者「エフティ資生堂」、「レザー」「ハンディレザー」の文字は商品「かみそり」、「(H)」「1枚刃」「1ヶ函」「バラ」の文字はその商品の記号、数量、包装形態を表したものと認識、看取されるものであるから、その使用に係る商標の要部は「マッハ3」の文字部分にあり、「マッハ3」の使用と認められるものである。
そこで、本件商標をみると、本件商標は「マッハスリー」「MACH3」の構成よりなるものであるから、その構成文字に相応し「マッハスリー」の称呼及び高速飛行体の速度を示す「3マッハ」の観念を有するものである。
そして、エフティ資生堂が使用している「マッハ3」は、本件商標と同様に「マッハスリー」の称呼及び「3マッハ」の観念を生ずるものである。
そうしてみると、本件商標とエフティ資生堂の使用する「マッハ3」とは、同一の称呼、観念を生ずるものであるから、「マッハ3」は、本件商標と社会通念上同一の商標というのが相当である。
また、エフティ資生堂の使用商品は、「レザー」「ハンディレザー」であり、請求に係る商品「手動利器(「刀剣」を除く。)」に含まれる商品と認め得るものである。
そうとすれば、本件商標は、本件商標の通常使用権者(エフティ資生堂)により、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る商品中「レザー」「ハンディレザー」ついて、使用していたものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、請求に係る指定商品の登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2005-03-18 
結審通知日 2005-03-23 
審決日 2005-04-05 
出願番号 商願平10-47917 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (Z08)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 達夫 
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
宮川 久成
登録日 1999-09-24 
登録番号 商標登録第4317228号(T4317228) 
商標の称呼 マッハスリー、マッハサン、マッハ 
代理人 浅村 皓 
代理人 新田 藤七郎 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 田中 克郎 
代理人 浅村 肇 
代理人 小池 恒明 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 岡野 光男 

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