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審決分類 審判 一部申立て  登録を取消(申立全部取消) Y25
管理番号 1129446 
異議申立番号 異議2004-90131 
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2006-02-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2004-03-05 
確定日 2005-12-14 
異議申立件数
事件の表示 登録第4730345号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第4730345号商標の指定商品中第25類「和服,げた,草履」についての商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第4730345号商標(以下「本件商標」という。)は、平成15年4月7日に登録出願され、別掲に示すのとおりの構成よりなり、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成15年11月28日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立の理由の要旨
本件商標は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)の商号、すなわち営業上の別名及び経営する店舗の名称「豆千代」と同一の文字をその構成要素として含むことから商標法第4条第1項第8号に該当し、また本件商標がその指定商品と同一又は類似の商品である「和服,げた,草履」についての未登録周知商標「豆千代」と類似する商標であるから同第10号に該当し、また、本件商標をその指定商品について使用するときは、同人関連企業の販売に係る「豆千代」商標を付した商品と出所の混同を生ずるおそれがあるから同第15号に該当する。したがって、本件商標の登録は「和服,げた,草履」について同法第43条の2第1項の規定により取り消されるべきである旨主張し、証拠方法として甲第1号証ないし第84号証を提出した。

第3 当審における取消理由の要旨
当審における平成17年2月4日付け取消理由は、概略下記のとおりである。

1 本件商標
(1) 本件商標は、前記「第1」のとおりである。
(2)申立人の提出に係る各甲号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、平成10年に東京都杉並区西荻窪に、和服、草履、その他和服関連商品を販売する店舗「豆千代」を開業し、その頃から自己の営業上の名称として「豆千代」の標章を使用して現在に至る(甲第7、第24ないし第27、第31、第33、第36ないし第38、第41、第43、第46、第61、第63及び第64号証)。
(イ)申立人は、店舗の営業の案内状、自己の名刺及びインターネットのホームページにおいて「豆千代」の名称を用いると共に、納品書、領収書等においても「豆千代」の名称が用いられている(甲第2ないし第7号証)。
(ウ)申立人は、店舗経営に関する活動のほか、カルチャーセンター等の講座において講師として着物に関する講演を行っている。これらの講演においては、いずれも申立人は「豆千代」ないしは「豆千代」店主として紹介されている(甲第8ないし第12号証)。
(エ)申立人の店舗は、原則として毎月26日から月末までの営業で、しかもその営業時間も昼12時から夜8時までという独創的な営業スタイルを採択したものであるほか、アンティークな和服を独自のルートにより安価に、かつ、今風のコーディネートスタイルで和小物も含めて提案することで需要者の支持を得ると共に、申立人は、和服コーディネーターとして、また、昨今の和服ブームの立役者、和服分野のカリスマ的存在として「豆千代」の名で紹介されている(甲第14ないし第17、第23ないし第27、第30、第31、第33、第36、第37、第40、第41、第46、第53、第54、第58、第60、第61、第63及び第64号証)。
(オ)着物のモデル等が着用等する着物に申立人の提供に係る着物が使用され、提供元として「豆千代」が記載されている(甲第20ないし第22、第27ないし第29、第44、第45、第47及び第48号証)。
(カ)申立人は「豆千代」として特定され、その店舗「豆千代」と共に、各種雑誌やテレビ放送等で紹介され、インターネットホームページ上にも掲載されているほか、申立自身が「豆千代」として単行本を著作している(甲第23ないし第74号証)。
(キ)申立人の顧客等は本拠地である東京都に限られず、地方にも及んでいる(甲第75ないし第77号証)。
(ク)上記甲号証は、本件商標の登録出願後に発行されたものもあるが、多くは本件商標の登録出願前に発行されたものである。
(3)上記認定事実を総合勘案すれば、商品「和服」及びその関連商品たる「げた、草履類」の分野においては、本件商標の登録出願時には既に、申立人は、その営業に係る店舗と共に、「豆千代」として周知著名になっていたものというべきである。
してみれば、申立人が使用する「豆千代」の名称は、申立人がその営業たる各種の活動において使用する営業上の名称とみて差し支えないというべきであり、前述のとおり、これが著名なものとなっていることが認められるから、商標法第4条第1項第8号にいう他人の名称に該当するものと判断するのが相当である。
しかして、本件商標は、別掲のとおり、その構成中に「豆千代」の文字を顕著に有してなり、この文字部分自体が独立して看者の注意を引くものであるばかりでなく、申立人の承諾を得たものとは認められない。
したがって、本件商標は、その指定商品中「和服,げた,草履類」については、商標法第4条第1項第8号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

第4 商標権者の意見の要点
申立人は、平成10年に東京都杉並区西荻窪に、和服、草履、その他和服関連商品を販売する店舗「豆千代」を開業し、各甲号証によると、「豆千代」の名称を用いた結果、本件商標の登録出願時には申立人はその営業に係る店舗とともに「豆千代」として周知著名になっていたとされている。
商標権者としては、申立人が「豆千代」なる名称をもって、和服関連商品を商っていた事実を否定するものではないが、以下の理由により「豆千代」なる名称が本件商標の登録出願時に申立人はその営業に係る店舗とともに「豆千代」として周知著名になっていたとする点には承服しかねるものである。
まず、申立人の店舗は、原則として毎月26日から月末までの営業で、しかもその営業時間も昼12時からよる8時までという独創的な営業スタイルを採択した、とあるがかかる事実が「豆千代」の周知著名化に寄与したとは到底考えられいない。
店舗の営業時間が長ければ長いほど店舗の名称は周知著名化されると考えるのが一般的であり、逆に短いから、変則的であるから周知著名化されるということはありえないと思われる。このように営業時間が短いから、変則的であるから周知著名化されるというのであれば、1月に1日のみの営業、しかもその営業時間がきわめて短い(例えば、1時間)という営業スタイルを採用すれば、その店舗の名称は周知著名化されるのであろうか。
なお、申立人が証拠として挙げる甲第5号証(5号証は、2号証の誤記と思われる。)のうちには、1999年3月14日〜3月17日の「昔の着物市」、1999年4月3日〜4月7日の「昔の着物市」 、1999年5月9日〜5月14日の「昔の着物市」、1999年7月22日〜7月26日「大正・昭和のきもの市」のように、申立人の主張する4月26日から月末までの営業とは異なる時期での営業を示す証拠が数多くある。
これらは、変則な営業時期が「豆千代」の周知著名性を高めたとする申立人の主張にはなんら証拠的な裏付けがないことを自らも認めたものに等しいものである。
また、申立人の顧客等は、申立人の本拠地である東京都に限られず、地方にも及んでいる、としているが、顧客等が本拠地以外の地方にも在住しているという事実のみをもってしては、その名称「豆千代」が周知著名になっているとするものではない。
事実、本商標権者の在住する大阪府を含んだ近畿地方において、申立人の店舗である「豆千代」が周知著名であると信じるに足る証拠はまったくない。
さらに、甲第5号証は数多くの領収書類であるが、宛て名は単に「豆千代」と記載されたものにすぎず、それも「飲食代」という申立人の業務と称する和服等の販売にはまったく無関係のものも含まれている点からも証拠能力に疑問があるといわざるをえないものである。
要するに、申立人が「豆千代」であり、少なくとも本登録商標出願特に「豆千代」が和服等の商品において周知著名になっていたので商標法第4条第1項第8号に該当するという取消理由には承服しかねるものである。

第5 当審の判断
平成16年1月6日付けで通知した前記「第3」の取消理由は、妥当なものであり、これに対する商標権者の意見は以下の理由により採用できない。
(1)商標権者は、申立人の店舗は、原則として毎月26日から月末までの営業で、しかもその営業時間も昼12時から夜8時までという独創的な営業スタイルを採択したことにより「豆千代」の周知著名に寄与したと考えられいない上、営業時期がその月の26日から月末までの間でない時期での営業を示す証拠も数多くある旨主張する。
しかしながら、申立人の店舗「豆千代」の周知著名性の認定に当たっては、取消理由で開示したとおり、申立人提出の全証拠を総合勘案してのことであって、変則的な営業時期のみによっておこなったものではない。そして、証拠の中に営業時期がその月の26日から月末までの間でない書証があったとしても、それ故に、周知著名性が否定されるものでもなく、周知著名性を認定するうえで何ら支障とはならない。
(2)商標権者は、申立人の顧客等は、同人の本拠地である東京都に限られず、地方にも及んでいる、としているが、顧客等が本拠地以外の地方にも在住しているという事実のみをもってしては、その名称「豆千代」が周知著名になっているとするものではない。事実、本商標権者の在住する大阪府を含んだ近畿地方において、申立人の店舗である「豆千代」が周知著名であると信じるに足る証拠はまったくない旨主張する。
しかしながら、昨今のテレビ、新聞、雑誌等による大衆伝達、又、インターネットの普及による電子情報伝達は、目を見張るものがあるが、こうしたわが国の情報化社会の下、例えば、日本テレビ系列の全国ネットのテレビ番組「ズームインSuper」で「豆千代」に関して紹介されたこと(甲第16号証)、2002年11月26日付け毎日新聞「生活 いきいき 家庭」欄に「豆千代」に関して紹介されていること(甲第31号証)、株式会社集英社発行の雑誌「SPUR」(2000年9月号)で「KumikoChiba」の小見出しの下で、ファッション・ジャーナリストの平山景子氏が「豆千代」に関して紹介していること(甲第41号証)等マスメデアからの関心が色々と寄せられている事情をはじめとして、申立人提出の全証拠から、同人経営の店舗及び自己の営業上の名称としての「豆千代」は、本件商標の登録出願前から周知著名性を獲得していたものというのが相当である。
(3)商標権者は、甲第5号証は、領収書類であるが、宛て名は単に「豆千代」と記載されたものにすぎず、それも「飲食代」という申立人の業務と称する和服等の販売にはまったく無関係のものも含まれている点からも証拠能力に疑問がある旨主張する。
しかしながら、甲第5号証は、申立人が自己の営業上の名称として「豆千代」を使用していることを立証するものであって、それ以上の立証趣旨ではないから、特に、和服等の販売と関連づける領収書でなければならいとする必要はない。
以上のとおり、商標権者の主張は、いずれも採用できない。
してみれば、前記「第3」の取消理由は妥当なものであり、本件登録の登録は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その指定商品中結論掲記の商品についての登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別掲】本件商標(登録第4730345号商標)

(色彩は原本参照)

異議決定日 2005-10-25 
出願番号 商願2003-33345(T2003-33345) 
審決分類 T 1 652・ 23- Z (Y25)
最終処分 取消  
特許庁審判長 佐藤 正雄
特許庁審判官 山本 良廣
池田 光治
登録日 2003-11-28 
登録番号 商標登録第4730345号(T4730345) 
権利者 ▲たか▼橋 賢二
商標の称呼 マメチヨ 
代理人 大西 孝治 
代理人 石田 純 
代理人 大西 正夫 
代理人 吉田 研二 

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